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Trademark Appeal Case

称呼と観念の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2001−60026(T2001−60026/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「女性用洋服及びコート」に使用するイ号標章は、登録第1467763号商標の商標権の効力の範囲に属しない。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1467763号商標(以下「本件商標」という。)は、別記に示すとおりの構成よりなり、昭和51年2月16日登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年6月30日に設定登録されたものであるが、その後、指定商品については、平成13年2月7日に第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」について指定商品の書換登録がされ、平成3年9月27日及び平成13年1月23日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

2 イ号標章

「女性用の洋服及びコート」に使用されていると請求人が述べる商標(以下「イ号標章」という。)は、「Pinky Girls」の欧文字を横書きしてなるものである。

3 請求人の主張

請求人は、「被請求人が商品『女性用の洋服及びコート』に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)請求の理由の要約

本件商標は、「Pink Girl」の欧文字よりなるものであるから、「桃色の少女」の観念と「ピンクガール」の称呼が生ずるものである。

これに対し、イ号標章は、「Pinky Girls」の欧文字よりなるものであるから、「桃色の少女達」の観念と「ピンキーガールズ」の称呼が生ずるものである。

両標章は、「桃色の少女」の観念を共通にする類似の標章であり、また、両標章は、「桃色の少女」の観念を共通にすることによって、称呼においても誤認混同を生ずる虞れのある類似の商標というべきものである。

(2)判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者である。

他方、被請求人は、イ号標章を商品「女性用の洋服及びコート」に使用している。

請求人は、本件商標の商標権の効力の範囲について判定を求める。

(3)イ号標章の説明

被請求人は、数年前から「Pinky Girls」の欧文字からなるイ号標章を付した商品「女性用の洋服及びコート」を東京都内のピンキーガールズ渋谷109店などにおいて販売し、現在もこれらの店舗において販売しているものである。

請求人は、イ号標章が「女性用の洋服及びコート」に使用されていることを証明するために甲第1号証ないし甲第3号証を提出する。

甲第1号証及び甲第2号証は、イ号標章の構成態様及びイ号標章が商品「女性用のスカート」に使用されていることを証明するものである。

甲第1号証によると、商品「女性用のスカート」(甲第1号証の1)のウエスト裏側の織ネーム(甲第1号証の2)とタグ(甲第1号証の3)上にイ号標章が表示されている。

甲第2号証は、前記商品「女性用のスカート」を購入したときに、ピンキーガールズ渋谷109店が発行した領収証である。

甲第3号証は、イ号標章が「女性用のワンピース」及び「女性用のマフラー」(甲第3号証の1)に使用されていることを証明するものである。

また、甲第3号証の2及び同3は、イ号標章と実質的に同一の標章「ピンキーガールズ」が商品「女性用のワンピース」、「女性用のセーター」、「女性用のスカート」及び「女性用のコート」に使用されていることを証明するものである。

一方、請求人は、昭和58年3月以前より、本件商標を商品「女性用のブルゾン・ジャケット・スーツ・セーター」などに使用し(甲第4号証、甲第5号証)、現在も、本件商標を商品「女性用のティーシャツ」に使用しているのである(甲第6号証、甲第7号証)。

甲第4号証によって明らかな如く、本件商標を付した商品「女性用のブルゾン・ジャケット・スーツ・セーター」(甲第4号証の1)は、請求人のグループ企業の株式会社ゴジ・デザインハウスが企画・製造し、卸売業の株式会社ラブ伊太利屋から小売業の株式会社ゲストに販売され(甲第4号証の2)、同社の東京都内の8店舗、横浜、新潟、大阪(梅田、難波)、札幌、京都、博多、松山、神戸及び金沢の各店舗等において販売(甲第4号証の3)されてきたものである。

甲第5号証は、前記商品に使用していたタグである。

甲第6号証及び甲第7号証は、本件商標を付した商品「女性用のティーシャツ」の写真であり、この商品は、現在も、自社の直営店、専門店、一般小売店、百貨店などにおいて販売されているものである。

なお、1999年度(1999年4月から2000年3月まで)における請求人会社のレディスアパレル業界における業績は、前年度を下回ったものの、売上高において28位(第8号証の1)、営業利益額において12位(営業利益率6位)(同号証の2)、経常利益額において13位(経常利益率8位)(同号証の3)、また、チャンネル別ランキングでは、専門店・一般小売店部門において15位、直営店部門において8位(同号証の4)、品目別では、スーツ・アンサンブルで8位、ワンピースで12位(同号証の5)、婦人ボトム(ズボン、スカートなど)で26位(同号証の6)にランキングされている。

(4)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明

(ア)本件商標について

本件商標は、別記に表示したとおり、その構成中前半部の「Pink」が「桃色」(甲第9号証の1)等の意味を、後半部の「Girl」が「少女」(甲第9号証の2)等の意味を有する英語として共に日常語化し、親しまれているところから、「桃色の少女」の観念と「ピンクガール」の称呼が生ずるものである。

(イ)イ号標章について

「Pinky Girls」の欧文字からなるイ号標章は、その構成中前半部の「Pinky」が「薄桃色の、桃色の」(甲第9号証の1)の意味を、後半部の「Girls」が「少女達」の意味を有する英語として共に日常語化し、親しまれているところから、「桃色の少女達」の観念と「ピンキーガールズ」の称呼が生ずるものである。

なお、後述のとおり、「Pinky」が「Pink」の形容詞形であるところから、「桃色の」の意味を有するものであることは明らかである。

(ウ)本件商標とイ号標章の類否について

本件商標における前半部の「Pink」は「桃色」の意味を有する英語の名詞形であるのに対し、イ号標章における前半部の「Pinky」は「Pink」の形容詞形(甲第9号の1「pinky」の項)にすぎないものであるから、両者は「桃色」の観念において同一である。

また、本件商標における後半部の「Girl」は「少女」の意味を有する英語の単数形であるのに対し、イ号標章における後半部の「Girls」は「Girl」の複数形にすぎないものであるから、両者は「少女」の観念において共通するものである。

両標章は、英語の意味として「少女」と「少女達」の差異を有するとしても、イ号標章において「達」という複数形の意味を表す「Girls」中の「s」の発音「ズ」は、末尾に位置して発音されるためにとかく曖昧な音となり、明確に聴取し難いものであるから、あたかも「ガール」(「Girl」)と発音されているかの如く聴き取られることが少なからずあり得るのである。

したがって、イ号標章は、取引者及び需要者に「桃色の少女」との印象を与え、「桃色の少女」として認識され、「桃色の少女」として記憶されるものであるから、本件商標とイ号標章は、「桃色の少女」の観念を共通にする類似の標章というべきものである。

次に、本件商標から生ずる称呼「ピンクガール」とイ号標章から生ずる称呼「ピンキーガールズ」について考察する。

両称呼は、3音目において「ク」と「キー」の差異を、末尾において「ズ」の音の有無の差異を有するものである。

この「ク」と「キー」は、50音図の同行に属する近似音であり、また、「ズ」の音は、末尾に位置して発音されるために明確に聴取し難いものである。

したがって、「ピンクガール」と「ピンキーガールズ」は、両者の全体の称呼が極めて近接しているので、時と処を異にする商取引の場において一連に称呼された場合、彼此相紛れる虞れのある類似の商標というべきものである。

また、商取引は、一般的に、過去に購入した商品の記憶に基づいて行われるものであるから、両標章は、「桃色の少女」の観念を共通にするために、「ピンキーガールズ」を「ピンクガール」と聴き誤り、また、「ピンクガール」を「ピンキーガールズ」と聴き誤る虞れがあるのである。

このような意味からも、本件商標とイ号標章は、称呼上も類似の商標というべきものである。

被請求人がイ号標章を使用する商品「女性用のワンピース」、「女性用のマフラー」、「女性用のセーター」、「女性用のスカート」及び「女性用のコート」が本件商標の指定商品中「被服」に含まれているものであることは、明らかである。

以上のとおり、イ号標章は本件商標と観念及び称呼において類似する標章であり、その使用商品も本件商標の指定商品に含まれているものであるから、被請求人が商品「女性用の洋服及びコート」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論掲記の判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。

(1)(ア)本件商標は、商公昭55一30278号公報に示す通り単なる筆記体で表現されているだけでなく高度にデザイン化されているものである。

これに対し、イ号標章は普通の活字体の形式である。したがって本件商標とイ号標章は外観上全く異にするものである。

洋服を買う場合等はまず目でその洋服をみることになり、又雑誌等でみる場合でもまず目、即ち視覚で雑誌等をみることになるので外観上の相違は被服の分野では類似判断をする上で非常に大きなウエイトをもってくる。

さらに、高度にデザイン化されている場合、図形商標が類似の判断基準を外観類似に置いているように、高度にデザイン化されている場合は外観類似を最も重要とすると言える。したがって本件商標とイ号標章は全く異なっており、取引上出所の混同を生じることはありえない。

(イ)本件商標は、請求人が「筆記体で横書きしてなり、最初の欧文字は「r」の筆記体のようにみえるし、5番目の欧文字は末尾の欧文字と同じような字体になっているので小文字の「l(エル)」の筆記体にみえるし、また、6番目の文字も小文字の「j(ジェイ)」にみえるものである。

したがって、本件商標の称呼からは、すぐに「ピンク ガール」という称呼は出てこない。むしろ「リンクルジル」と称呼するのが自然である。してみると特定の観念も生じないものである。

したがって、本件商標は特定の称呼、観念はもちえないともいえるが、仮に「Pink Girl」とした場合でも下記のように称呼、観念上異なるものである。

(ウ)そこで、まず、称呼上「ピンクガール」と「ピンキーガールズ」を比較した場合、少し前になりますが「恋の季節」を歌った「ピンキーとキラーズ」という有名なグループの歌手がいたが、この「ピンキー」は人の名前のことを言っていたのであり、「ピンキー」即ち「桃色がかった」という意味を示さず、人の名前の愛称のことをいったものである。このように「ピンキー」は人の名前をいう場合もある。又このピンキーをピンクにかえて「ピンクとキラーズ」とした場合「ピンキーとキラーズ」のことをいっているとは誰も思わないものである。さらに「Pinky」 は「pink」 のように日常的に使用されていないので「ピンキー」と「ピンク」は称呼上明確に区別できる。したがって「ピンク ガール」と「ピンキーガールズ」は称呼上明確に区別出来るものであり類似しないものである。

(エ)次に観念上、「Pink Girl」は「桃色の少女」の意味で色も明確で、さらに「桃色の少女」という特定の一人の少女を意味し、「Pinky Girl」は桃色がかった少女達」という意味で色も不明確で、さらに「桃色がかった少女達」という不特定多数少女達を意味し、したがって、観念上類似しない。

(2)乙第1号証は上段に少し太い欧文字で「Pinky Girls」、下段に普通の太さの欧文字で「Pinky&Dianne」を配してなるものである。乙第1号証の上段及び下段の「Pinky」は「Pinky Wolman」というデザイナーの名前を表しているものであり、「Pinky」は人の名前をいうこともある。さらに乙第1号証は「Pinky Girls」を少し太めの欧文字で書してあり、かつ二段書きになっているため、「Pinky Girls」は乙第1号証において特に目を引く部分として主要部となっている。

したがって「Pinky Girls」が請求人の本件商標と類似しているとすれば乙第1号証は請求人の本件商標で拒絶されているはずであるが登録になっている。

さらに、乙第1号証は一度も拒絶理由が発行されずに登録になっている。

このことは前記の被請求人の主張を根拠づけるものであり、「Pinky Girls」と本件商標は類似しないとの根拠になるものであり、したがって商品「女性用の洋服及びコート」に使用するイ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。

4 当審の判断

本件商標は、別記に示すとおりの構成よりなるところ、本件商標の構成は、ややレタリング化してなるものであるとしても、「Pink girl」の欧文字を筆記体風に書してなるものと認識する程度のものと判断するのが相当であるから、「Pink girl」の欧文字部分に相応して「ピンクガール」の称呼及び「桃色の少女」の観念を生ずるものと認められる。

これに対し、イ号標章は、「Pinky Girls」の欧文字よりなるものであるところ、「Pinky girls」の欧文字部分に相応して「ピンキーガールズ」の称呼及び「Pinky」の文字が、「桃色がかった」等の意味を有する英語であり、「Girls」の文字が、「少女たち」等の意味を有する英語であるから、全体として、「桃色がかった少女たち」の観念を生ずるものと判断するのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「ピンクガール」の称呼とイ号標章より生ずる「ピンキーガールズ」の称呼とを比較するに、語頭音、第2音、第4音及び第5音において共通するものの、第3音において「ク」と「キー」の音の差異及び語尾において「ズ」の音の有無の差異を有するものである。

該差異音「ク(ku)」音と「キ(ki)」音は、共にカ行に属する音であるとしても、該差異音の前者のうち、「ク」の音は、「前舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声音(k)と母音(u)との結合した音節」であるのに対し、後者のうち「キ」音は、「後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声音(k)と母音(i)との結合した音節」であり、さらに、該差異音「キ」に続いて長音を有するものである。

そして、該差異音の前者のうちの母音「ウ」は、「前舌面を下歯の歯ぐきにわずかに触れる程度に後退させ、後舌面を高め、唇を尖らせ、口腔の狭い部分から声を出すことによって発する母音」であるのに対し、後者のうちの母音「イ」は、「くちびるを平たく開き、舌の先を下方に向け、前舌面を高めて硬口蓋に接近させ、声帯を振動させて発する母音」であり、さらに、該音に長音を伴うことと相俟ってそれ自体明確に発音、聴取され得るものであり、また、語尾において「舌端を前硬口蓋に寄せて発する有声摩擦音(z)と母音(u)との結合した音節」の「ズ(zu)」の音の有無の差異を有するものであって、それ自体明確に発音、聴取され得るものであるから、両者は、それぞれ相違する音構成の差及び音質の差等により、一連に称呼する場合、その語調、語感が相違し充分に聴別し得るものと認められる。

してみれば、本件商標とイ号標章は、称呼において相紛れるおそれのないものである。

また、本件商標は、前記したとおり、「桃色の少女」等の意味合いを有するものと認められのに対し、イ号標章は、前記したとおり、「桃色がかった少女たち」等の意味合いを有するものと認められるから、両者は、観念において充分区別し得るものであり、さらに、それぞれの構成よりして外観も明らかに区別し得る差異を有するものである。

したがって、本件商標とイ号標章は、その称呼、観念及び外観のいずれよりみても類似しないものであり、「女性用の洋服及びコート」等に使用するイ号商標は、本件商標の効力の範囲に属しないものである。

よって、結論のとおり判定する。

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