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Trademark Appeal Case

商標の外観同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30564(T2000−30564/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1. 本件商標

本件登録第3054425号商標(以下、「本件商標」という。 )は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として平成4年5月28日登録出願、同7年6月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2. 請求人の主張の要点

請求人は、「登録第3054425号の商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。 」との審決を求め、その理由を(1)のように述べるとともに、被請求人の答弁に対し、(2)以下のように弁駁した。

(1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品に使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2)被請求人提出の証拠では、商品「チョコレート ウエハース」が、わが国で販売され、その商標が、「Darry’s Topper」であることは認められるとしても、被請求人が、本件商標を、本件審判請求前3年以内に、わが国において、その指定商品に使用していたことを客観的に証明したものということはできない。

(a)被請求人の提出した乙第4号証等の商品のパッケージには、商標「Darry’s」(以下、「使用商標」という。)が使用されているけれども、本件商標は、当該「Darry’s」という文字の「D」の左上部分に帽子の絵が顕著に表されており、しかも、該「D」の文字の左上部分が5分の1ほど隠れているものである。

これについて、被請求人は、「使用商標の称呼は、『ダリーズ』であり、本件商標の称呼も『ダリーズ』であることは明らかであるから、両者は、同一の識別力を有し、社会通念上同一の商標と考えられることに疑いの余地はない。」旨述べているが、本件商標中、帽子の絵は顕著に表されているので、本件商標をみる者に際立った印象を与えるものである。したがって、本件商標は、単なる英文字よりなる使用商標とは、外観において、全く異なった印象をみる者に与えるのであり、言い換えれば、本件商標は、英文字の「Darry’s」の「D」の左上部分に帽子を被らせたところにユニークさがあり、この帽子の絵によって需要者、取引者を外観上惹きつけており、当該帽子の絵は、商品の識別標識として外観上重要な要素であるがゆえに、本件商標と使用商標とは、ともに「ダリーズ」の称呼を生ずるとしても、両者は、外観において著しく相違するのである。

よって、被請求人は、「チョコレート ウエハース」に、本件商標を使用しているということはできない。

(b)被請求人は、本件商標が使用されている書類として、「PACKING LISK」(「PACKING LIST」の誤記。以下、「PACKING LIST」と表示を訂正する。)を提出しており、当該書類には、確かに、本件商標が記されているけれども、該書類は、「ダリーズ コンフェクショネリー エスディーエヌ. ビーエイチディー」(以下、「ダリーズ社」と略称する。)が会社で使用する便箋であって、それを「PACKING LIST」に用いたにすぎないので、当該書類は、いつでも作成でき、例えば、審判請求の後においても自由に作成することができるものといえる。仮に、「PACKING LIST」が、現実に存在していたとしても、便箋よりなるその書類の上部には、本件商標と同一の構成態様の商標を、いつでも付けることができるので、このような書類を、本件商標が現実に使用された事実を裏付ける証拠とすることは不十分である。

さらに、当該書類には、「APPLICANT:REHNO TRADING CO.,LTD.」(「RENHO TRADING CO.,LTD.」の誤記。以下、「RENHO」と表示を訂正する。「RENHO TRADING CO.,LTD.」は、聯豊貿易株式会社の英文表示であり、以下、「RENHO社」と略称する。 )という記載があるところ、これが「RENHO社」に対して実際に取引書類として渡された事実が定かでない。すなわち、本件商標が付されているこれらの書類をわが国の輸入業者である「RENHO社」が、現実に受け取らない限り、本件商標は、わが国において使用されたものとみることはできない。

したがって、「PACKING LIST」を提出しただけでは、本件商標が、わが国で使用された事実を客観的に証明したということにはならない。

よって、請求人は、被請求人に対し、本件商標が付された状態の乙第16号証等の「PACKING LIST」を「RENHO社」が、現実に受け取ったという事実を客観的に示す証拠の提出を求める。

なお、被請求人は、乙第56号証乃至同第57号証を提出しているが、これらが本件商標の使用を立証するものでないことは明らかである。

したがって、被請求人が提出した資料をもってしては、本件審判請求前3年以内に、本件商標が、その指定商品に使用されたことを証明しているということはできない。

3. 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第59号証を提出した。

(1)本件商標は、当初の商標権者「チョコレイト プロダクツ マニュファクチュアリング エスディーエヌ ビーエイチディー」(以下、「チョコレイト プロダクツ社」と略称する。)及びその承継人「マエストロ スイス ホールディング(エイチ.ケー.)リミテッド」(以下、「マエストロ社」と略称する。)の通常使用権者である「ダリーズ社」が、商品「チョコレート ウエハース」について日本国内において平成6年8月から平成12年に至るまで継続して使用している。

「ダリーズ社」は、前記「チョコレイト プロダクツ社」が、100%の株式を有する関連会社であり、同社が、本件商標の通常使用権者であることに疑いの余地はない。なお、添付の各乙号証における商品のパッケージには、「ダリーズ社」の名称(英文表示)が、「DARRY’S CONFECTIONERY SDN.BHD」と記載されている。

(2)本件商標の登録が維持されるべき理由

(ア)本件商標の設定登録時(平成7年6月30日)の商標権者「チョコレイト プロダクツ社」及びその承継人「マエストロ社」の通常使用権者である「ダリーズ社」は、日本国内において平成6年8月から平成12年に至るまで、本件商標を商品「チョコレート ウエハース」に使用しており、具体的には、各乙号証に示すように、取引書類、宣伝広告書類及び販売の際における商品のパッケージ等において本件商標を使用している。なお、商品「チョコレート ウエハース」が、「菓子」の範疇に属することは、疑問の余地がない。

そして、輸入販売業者「RENHO社」を介してなされる「Darry’s TOPPER」商標に関する商品「チョコレート ウエハース」の日本国内における販売数量は、上記の期間中、継続して年間約22万から23万個であり、小売り1個当たりの金額が、約100円であることからすると、年間約2,200万円以上となり、この販売数量及び販売金額は、かかる商品としては非常に高額であり、「DARRY’S」商標(「Darry’s」商標の誤記。以下、「Darry’s」商標と表示を訂正する。)は、少なくとも「菓子」について周知商標と考えられる。

(イ)商品「チョコレート ウエハース」のパッケージに実際に付されている「Darry’s」商標は、本件商標とは、「D」の文字に付された帽子の有無において異なっているものの、「Darry’s」商標の称呼は、「ダリーズ」であり、本件商標の称呼も「ダリーズ」であるから、両商標は、同一の識別力を有し、かつ、社会通念上、同一の商標と考えられ、そのことに疑いの余地はない。

また、商品「チョコレート ウエハース」に実際に使用されている「Darry’s」商標と、本件商標とは、ともに造語商標であるから、異なる観念を生ずるものではない。

さらに、本件商標の通常使用権者「ダリーズ社」と輸入販売業者「RENHO社」との取引書類には、本件商標と色彩を異にするだけの類似した商標が付されているので、かかる商標の使用は、商標法第70条第1項の規定により、本件商標の使用とみなされるべきである。

したがって、本件商標は、日本国内において、通常使用権者により、本件審判請求の予告登録前3年以上継続して、商品「菓子」(チョコレート ウエハース)に使用されており、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

4. 当審の判断

請求人は、「本件商標と使用商標とは、ともに『ダリーズ』の称呼を生ずるとしても、両商標は、外観において著しく相違するから、結局、被請求人は、本件商標を『チョコレート ウエハース』に使用しているということはできない。」旨主張する。

そこで本件商標と使用商標とが社会通念上同一のものか否かについて検討する。

(1)称呼について

本件商標からは、「ダリーズ」の称呼を生じ、使用商標からも同様に「ダリーズ」の称呼を生じることは明らかである。

(2)観念について

本件商標と使用商標は、ともに特段の語義をも有しない造語であると認められる。

そして、本件商標は、構成文字中、「D」の上端にごく小さな帽子状図形をちょこんと傾け被せた構成よりなるところ、かかる帽子状図形を加えることをもって、本件商標全体から特段の観念を生ずるというものでもない。

(3)外観について

本件商標と使用商標とは帽子状図形の有無においてのみ外観上相違するといえるところ、該図形と文字との関係については、前記したとおりであることから、本件商標に接する取引者、需要者は、構成中の「Darry’s」の文字部分を自他商品識別標識としての機能を果たす主要部であると看取する反面、帽子状図形については、単に「Darry’s」の文字を強調し、装飾する意味合いで付したものと理解するというのが相当である。

ところで、商標法第50条第1項括弧書きは、社会通念上同一と認められる商標等、すなわち、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」を登録商標の使用に当たると規定しており、また、パリ条約第5条C(2)も「・・・登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合には、その商標の登録の効力は、失われず、また、その商標に対して与えられる保護は、縮減されない。」とほぼ同様に規定している。さらに、商取引の実際においても、登録商標が少なからぬ変更を加えて使用されることが明らかである。それ故、これらを総合勘案すると、たとえ、物理的に同一と言えず、登録商標に多少の変更が加えられていても、具体的に使用される商標の態様が、需要者等により離隔的に観察される場合に、同一性の範疇にとどまる程度の変更、つまり、商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更は、社会通念上同一の商標であるものといわなければならない。

そこで、本件商標と使用商標をみるに、帽子状図形の有無の差はあるものの、前記(1)乃至(3)を総合すると、本件商標中、「D」の上端にある帽子状図形は「Darry’s」の文字を強調し、装飾する意味合いで付されたものと理解されるものであり、本件商標から該帽子状図形を除いて、その指定商品に使用しても、それは本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみるのが相当であり、結局、本件商標と使用商標の関係は、社会通念上同一の範疇に属する商標と判断するのが相当である。

そうとすれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る指定商品中「チョコレート ウエハース」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国において使用していたものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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