Trademark Appeal Case
通称と出所混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−18831(T2000−18831/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第3類「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」、第20類「葬祭用具」を指定商品として、平成11年12月2日に商標登録出願されたものである。
2.原査定の拒絶の理由
本願商標は、「浄土真宗東本願寺派」と「本山 東本願寺」の漢字文字を普通に用いられる方法で二行に縦書きしたものであるところ、該文字の構成中「本山 東本願寺」の文字部分は、一般世人の間に、京都府京都市下京区烏丸七条在の「真宗大谷派」の通称として認識されているものと認められ、これを構成中に含むところから、仮令「浄土真宗東本願寺派」の文字部分を附記的に有するものであっても、一般的需要者・一般的取引者をして、恰も、本願商標を附与された指定商品が、京都府京都市下京区烏丸七条在の真宗大谷派の取り扱いに係る商品であるか、あるいは同人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、出所の混同を生じ得る場合も少なくないものと認める。(なんとならば、真宗大谷派と本願出願人の代表役員の地位にある大谷光紹(債務者)との間の名称等使用禁止仮処分申請事件(昭和63年(ヨ)第1652号)の決定(昭和63年11月11日、東地民9)において、「『東本願寺』との部分は、・・・によれば、債務者の通称であって、しかも、その宗教法人としての正式名称以上に社会的に通用している通称であることが明らかであり・・・」とされていることに照らしても、「本山 東本願寺」の文字部分との関係において、法的に裏付けられ得るものである。)而して、本願商標は、これに接する者より、仮令、右に「浄土真宗東本願寺派」の文字部分が厳として存在するものではあるものの、左側の「本山 東本願寺」の部分に注目し、該文字部分によって、一般的取引者、需要者をして、京都府京都市下京区烏丸七条在の「大谷派 本山 東本願寺」(例:「大辞林」株式会社三省堂発行、「大谷派」の項参照)に何らかの関係を有する者の業務に係る商品として理解、認識され得るものとみるのが相当である。そして、宗教団体は、しゅ香その他の薫料,葬祭用具等の本願指定商品の取引に関係する場合も多いことが知られており、京都府京都市下京区烏丸七条在の真宗大谷派においても、同人と商品取引等に関係する団体である「真宗大谷派保信会」を通じて、本願指定商品の取引にも関与しているものと認められる。してみれば、本願商標出願人が、本願商標をその指定商品に使用する場合、一般的需要者、取引者をして、恰も、京都府京都市下京区烏丸七条在の真宗大谷派の取り扱いに係る商品であるか、あるいは同人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがあり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3.当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「浄土真宗東本願寺派」及び「本山 東本願寺」の文字を2行に縦書きしてなるものであるところ、左側の「本山 東本願寺」の文字は、前半の「本山」の文字部分が、「一宗・一派の末寺を統括する寺院」(「広辞苑第5版」1998年11月11日株式会社岩波書店発行)を指す語として、一般世人に広く知られているものとみるのを相当とする。そして、後半の「東本願寺」の文字部分は、一般世人の間に、京都市下京区烏丸七条所在の「真宗大谷派」の通称として古くより広く知られているものと認められる。このことは、真宗大谷派(債権者)と請求人(出願人)の代表役員の地位にある大谷光細(債務者)との間の名称等使用禁止仮処分申請事件(昭和63年(ヨ)第1652号)の決定(昭和63年11月11日、東地民9)において、「・・・『東本願寺』との部分は、前掲疎明事実及び公知の事実によれば、債権者の通称であって、しかも、その宗教法人としての正式名称以上に社会に通用している通称であることが明らかであり、・・・」とされていることからも認め得るものである。
ところで、「本山」の文字が「末寺を統括する寺院」を指す語であることは前記のとおりであるが、同一系統の宗派間(例えば、「浄土系」「日蓮系」)において「本山」を名乗る寺院が多数存在することが認められ、また、国内にある多数の寺院の中には、単立の寺だけで「本山」と称する寺院が存在することも知られている。
してみると、一般世人は、「本山」の語が伴う寺院等の名称を主要部として理解、認識するものといわざるを得ない。
そうとすれば、本願商標構成中の左側の「本山 東本願寺」の文字は、これに接する者により、真宗大谷派の通称として広く知られる「東本願寺」の文字に「本山」の文字を冠したものであり、その構成文字全体をもって、真宗大谷派を表したものとして理解、認識されるとみるのが相当である。
一方、右側の「浄土真宗東本願寺派」の文字は、請求人(出願人)の結成した宗教団体の名称として採択使用されていることが、前出名称等使用禁止仮処分申請事件の決定において、「しかしながら、他方、『浄土真宗東本願寺派』は東京本願寺と同一の場所に所在し、その代表者は債務者であって、債権者のそれとは明確に異なっており、・・・右のとおり同一に近いほど類似性の高い名称ではあるものの、・・・一般人にとっても、両者の識別が著しく困難であるということはできない。したがって、債務者が『浄土真宗東本願寺派』との名称を採択使用していることについては、前掲の見解に照らし、特段の事情がない限り、違法性はないものというべきである。」とされていることから窺い知れるところである。
しかして、本願商標構成中の右側の「浄土真宗東本願寺派」の文字は、請求人(出願人)の結成した宗教団体の名称であるとしても、京都市下京区烏丸七条所在の真宗大谷派の通称として古くより広く知られている「東本願寺」と類似性が高いものであって、同左側の「本山 東本願寺」の文字が、一般世人に真宗大谷派を表したものとして理解、認識されるものであることは上記のとおりであるから、これとの関連性を打ち消すものとして認識されるとはいい難いものである。
してみれば、「本山 東本願寺」の文字をその構成中に有する本願商標は、これを請求人がその指定商品に使用する場合には、宗教団体等が、葬祭用具、ふくさ、あるいは出版物等の種々の商品の取引に関係する場合の多いことが知られていることから、現時点はもとより、本願の出願時において、真宗大谷派の取扱いに係る商品であるか、あるいは同人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、これに該当するとの理由で本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、「本山 東本願寺」の略称である「東本山」の登録商標を具有するから、真宗大谷派を表したものとして理解、認識される「本山 東本願寺」の文字と十分に識別性を具有するものであり、商品の出所の混同を生じない旨主張しているが、上記「東本山」の登録をもって、直ちに上記認定を覆すに足るものとはいい難く、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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