結論テキスト
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35677号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4053117号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年2月9日登録出願、別掲(A)に示すとおり、「PRINCESS COBRA」の欧文字及び「プリンセスコブラ」の片仮名文字を上下二段に横書してなり、第25類「 洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同9年9月5日に設定の登録がされているものである。
請求人が本件商標の登録を無効とすべきものとする理由に引用した登録第797133号商標(以下、「引用商標(1)」という。)は、昭和41年12月28日登録出願、別掲(B)に示すとおり、「COBRA」の欧文字を横書してなり、旧第24類「スキー締具、その他の運動具」を指定商品として、同43年11月14日に設定の登録がされ、該商標権は、同54年4月5日、同63年9月26日及び平成10年9月1日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がされているものである。
同じく、登録第1234767号商標(以下、「引用商標(2)」という。)は、昭和48年8月27日登録出願、別掲(C)に示すとおり、体の前部を直立させて威嚇するコブラをデザインした図形よりなり、旧第24類「ゴルフ用具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同51年11月18日に設定の登録がされ、該商標権は、同62年1月22日及び平成9年6月13日の2回に亘り商標権存続期間の更新登録がされているものである。
同じく、請求人の取り扱いに係るゴルフクラブに使用する商標は、別掲(D)に示すとおり、ややデザインされた「KING」及び「cobra」の欧文字を二段に横書してなるもの(以下、「引用商標(3)」という。)、及び別掲(E)に示すとおり、王冠を戴いた頭部を持ち上げて威嚇するコブラをデザインした図形よりなるもの(以下、「引用商標(4)」という。)である。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第65号証を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア.請求人(会社)について
請求人は、ゴルフクラブ及びその他のゴルフ関連商品の製造、販売に従事している米国法人である。請求人のゴルフクラブ及びその他のゴルフ関連商品に係る営業は、1974年、トーマス・レスリー・クロウによって創設されたコブラ ゴルフ インクに始まる。同社は、1978年その営業一切をコブラ ゴルフ インク2に譲渡し、このコブラ ゴルフ インク2が、1993年、合併によって、成立したのが請求人である。
イ.請求人に係る引用商標について
コブラ ゴルフ インクから現在のコブラ ゴルフ インコーポレーテツドに到るまで、−貫して、その製造・販売するゴルフクラブには、引用商標(1)及び引用商標(2)を含む商標が使用され、また、cobraのロゴ及び引用商標(2)が会社のシンボルとして使用されてきた(甲第8号証)。また、1992年10月からはクラブヘッドを大型化した新しいゴルフクラブについて引用商標(3)及び引用商標(4)を付して販売し、これが米国を筆頭としてヨーロッパ等でも非常によく売れた結果、請求人の会社及び製品が米国で注目され、米国のみならず、日本を含むその他の諸国のゴルフ業界はもとより、一般ゴルフ愛好家の間でも周知、著名となったことは、甲第9号証ないし甲第63号証から明らかである。
引用商標(2)は、請求人会社の創始者であるトーマス・レスリー・クロウがその登録を受け、その後、商標権の移転登録により、現在は、請求人が、その登録権利者である。また、引用商標(1)についてもトーマス・レスリー・クロウが専用使用権の設定登録を受けていたが、商標権の移転登録により、現在は請求人がその登録権利者である。
ウ.引用商標によるゴルフ製品の日本における販売
日本においては、1976年より、株式会社マーキュリーインターナショナルINC.、寿商事株式会社、株式会社イタニ トレーディング等が輸入総代理店として、Cobraの文字及び引用商標を使用したゴルフクラブ及びゴルフ用品を広告・宣伝し、販売してきた(甲第64号証ないし同第67号証)。
エ.本件商標と引用商標との比較
甲第7号証、甲第8号証及びイ.に述べた雑誌の記事から明らかなように、本件商標の登録出願当時、引用商標はゴルフクラブ、その他のゴルフ用品について需要者間で著名であった。
引用商標は「COBRA」の文字を基本としており、その図形と、さらに「大型」を暗示させる「KING」の文字と、これを象徴する王冠の図形等を組み合わせて請求人の製品に使用してきた。
これに対し、本件商標は「PRINCESS COBRA」のローマ字と「プリンセスコブラ」の片仮名文字からなり、請求人の著名な商標「COBRA」を主要な要素として含むものである。
オ.次に本件商標の指定商品についてみると、「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」は、請求人の引用商標が使用されてきたゴルフクラブ、その他ゴルフ用品と共通の需要者が購入するものであり、いずれも運動具店など同一の店舗で販売されているものであって、互いに類似する商品である。またそれ以外の指定商品であっても、例えばゴルフをする者が着用するゴルフ用シャツ、ゴルフ用ズボン、手袋、靴下等の商品は大部分カジュアルウエアの範疇に属するものであるから、これらの商品もまた需要者を共通とするものである。
カ.してみれば、本件商標がその指定商品について使用されるときは、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように需要者が誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア.本件商標と引用商標(1)を比較検討すると、本件商標は「PRINCESS」「プリンセス」の文字が付加されている点で相違するものである。
しかし、(2)エ.で述べたように被請求人は本件商標の他に「QUEEN COBRA」、「PRINCESS COBRA」、「COBRA KING」等の商標を運動用具について出願し、又は登録しており、「COBRA」の文字を共通語としている。一方、請求人の「COBRA」商標は使用によって広く認識されるに至っている。これらの事実を勘案するならば、本件商標における「PRINCESS 」の文字は従要素であり、あくまで「COBRA」の文字が主たる要素であり、被請求人においてもこの文字に出所表示機能のあることの認識を持っていることが示される。したがって、本件商標は前記引用商標に類似するものである。そして指定商品の関係において相抵触する。
イ.してみれば、本件商標は商標法第4条第1項第11号にも該当し、その登録は無効とされるべきものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
本件商標は、別掲(A)に示すとおり、「PRINCESS COBRA」の欧文字及び「プリンセスコブラ」の片仮名文字を上下二段に横書してなるものであるところ、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同第4条第1項第15号に該当する旨主張するので、その当否について判断する。
(1)商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて
ア.引用商標の周知・著名性について
請求人は、ゴルフクラブ及びその他のゴルフ関連商品の製造、販売に従事している米国法人であるところ、請求人が提出した、雑誌「ゴルフダイジェスト チョイス・1990年1月号(写し)」(甲第14号証)には、「今、米国ではコブラ旋風と呼ばれています。」の記載、雑誌「ゴルフ用品界・1994年9月号(写し)」(甲第12号証)には、「キングコブラアイアンが強力な広告の援護もあって、プライム(高額)アイアン市場の35パーセントを占めてトップになった」の記載、及び「日本スポーツ工業新聞・1995年11月27日(写し)」(甲第63号証)には、「『コブラ』といえばアイアンの代名詞ともいえ、全米では昨年からNO.1のシェアを獲得しており、日本での売上げは昨対倍増となっている」の記載が認められる。
また、雑誌「スポーツ用品ジャーナル・1994年8月号(写し)」(甲第11号証)には、ブレッド・オーグル、グレッグ・ノーマン等多くの著名なプレイヤーが、ハワイアンオープン、ザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップ等多くの大会で、請求人の取り扱いに係る「キングコブラ」の名称を付したゴルフクラブを使用して優勝している旨の記載が認められる。
我が国においても、株式会社イタニトレーディング作成の1990年(平成2年)の請求人会社の取り扱いに係るゴルフクラブの製品カタログにおいて、ゴルフクラブについて引用商標(2)や「cobra」及び「コブラ」の文字の使用が認められ、その後、雑誌「The Best Golfers'Magazine’Choice」・平成5年11月号(写し)」(甲第10号証)には、「日本でも今年初めから発売され、以来着実に広まっている」の記載が認められる。そして、平成2年から同7年にかけての、「スーパーゴルフダイジェスト」、「週刊アサヒゴルフ」等の雑誌(甲第18号証、甲第19号証ないし同第26号証、甲第28号証ないし同第33号証)及び「東京中日新聞」「日本経済新聞」等の新聞(甲第34号証ないし同第48号証、甲第50号証ないし同第52号証、甲第54号証ないし同第62号証)における、請求人の輸入代理店である株式会社イタニトレーディングが取り扱うゴルフクラブの広告記事において、引用各商標の使用が認められる。
以上の各点よりして、引用各商標は、少なくとも、本件商標出願日である平成8年2月9日以前に、米国のみならず、我が国の取引者・需要者間においても、請求人の製造販売に係るゴルフクラブを表すものとして広く認識されるに至ったいわゆる周知・著名商標ということができ、他に、この認定を左右するに足りる証拠はない。
イ.出所の混同について
本件商標に係る指定商品は、前記1に述べたとおりのものであって、その指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」には「ゴルフ靴」が含まれている。
そして、請求人会社は、ゴルフクラブのみならず、ゴルフ関連商品をも製造、販売していること、また、ゴルフクラブもゴルフ靴も、需要者層、販売場所を共通にする場合が少なくないこと等の取引状況を勘案すれば、その構成中に「COBRA」の欧文字及びその表音「コブラ」の片仮名文字を有してなる本件商標を、その指定商品中の前記請求人の業務に関連する商品すなわち「ゴルフ靴」を包含する「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」について使用した場合、取引者、需要者は、本件商標の構成文字中の「COBRA」及び「コブラ」の文字部分に着目するとともに、容易に前記周知・著名な引用各商標を想起し、これを請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあったものといわなければならない。
また、請求人のその余の無効請求に係る指定商品については、請求人の提出した証拠によっては、それら商品の分野にまで引用各商標の著名性が及ぶとする点は疑問であって、その主張は俄に認め難く、また、それら商品と「ゴルフクラブ」とは、その用途、販売場所を異にするばかりでなく、生産、流通過程も自ずと相違するから、その余の無効請求に係る商品についてはその出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。よって、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
(2)商標法第4条第1項第11号に該当するか否かついて
本件商標は、別掲(A)に示すとおり、「PRINCESS COBRA」の欧文字及び「プリンセスコブラ」の片仮名文字を上下二段に横書してなるところ、上段下段の各文字は、それぞれ同一の書体で外観上まとまりよく一体的に構成され、これより生ずる「プリンセスコブラ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、淀みなく一連に称呼し得るものである。
また、その構成中の「PRINCESS」または「プリンスセス」の各文字部分は、本件商標の指定商品との関係において、特定の商品の品質等を表示するものとも認められないことから、これより「COBRA」または「コブラ」の文字のみが独立して認識され、称呼、観念されるとする理由は見出せない。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「プリンセスコブラ」の称呼のみを生ずるものというべきである。
これに対して、引用各商標は、それぞれ別掲(B)、(C)、(D)、(E)に示すとおり、引用商標(1)は、「COBRA」の欧文字を横書してなり、引用商標(2)は、攻撃の際の体の前部を直立させて頭巾を広げ威嚇するコブラの特徴を捉えてデザインした図形よりなり、引用商標(3)は、それぞれ異なるデザインを施した「KING」及び「cobra」の欧文字を二段に横書してなり、引用商標(4)は、頭部に王冠を戴いているが、攻撃の際の体の前部を持ち上げて頭巾を広げ威嚇するコブラの特徴を捉えてデザインした図形よりなるから、いずれも「コブラ」の称呼及び「コブラ」の観念を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼において、前半部の「プリンセス」の音の有無により、その構成音数、音の配列において顕著な差異があり、明らかに区別し得るものである。
また、本件商標を構成する「PRINCESS」及び「プリンセス」の文字が「王女」を、「COBRA」及び「コブラ」の文字が「毒蛇のコブラ」をそれぞれ意味する語であるとしても、これら文字を結合してなる構成の全体からは、むしろ、何ら特定の語義を看取し得ない一種の造語として認識し、把握されるものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標が特定の観念を有しない造語と認められるのに対し、引用各商標は「コブラ」の観念を生ずるから、両商標は、観念上比較することのできない非類似のものであり、かつ、それぞれの構成は前記のとおりであるから、外観についても明らかに区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、観念及び外観のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」については商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから、上記商品についての登録は同法第46条第1項第1号の規定により無効とすべきものとし、その余の請求に係る商品についての登録は、無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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