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Trademark Appeal Case

称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35538(T2000−35538/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4219348商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」及び第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,造園工事」を指定役務として平成9年5月8日に登録出願、平成10年12月11日に登録されたものである。

2 引用商標

請求人が引用する登録第3150612号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月28日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、平成8年4月30日に登録されたものである。同じく登録第3167830号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月28日に登録出願、第36類「建物の売買,土地の売買,建物の貸与,土地の貸与」を指定役務として、平成8年6月28日に登録されたものである。同じく登録第3190721号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月28日に登録出願、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリ―トの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定役務として、平成8年8月30日に登録されたものである。同じく登録第3201100号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月28日に登録出願、第37類「建築一式工事」を指定役務として、平成8年9月30日に登録されたものである。同じく登録第3202184号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月24日に登録出願、第37類「建築一式工事,家具の修理」を指定役務として、平成8年9月30日に登録されたものである。

3 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

(1)請求の根拠

本件商標は、証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第11号の規定により商標登録をうけることができないものであり、その商標登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

(2)具体的理由

本件商標は、図形に併記された文字に相応して「シューケン」の称呼を生ずるものである。

これに対し、引用商標は、引用商標1ないし5は、いずれもその構成文字に相応して「ジューケン」の称呼を生ずるものである。

本件商標より生ずる称呼「シューケン」及び引用各商標より生ず称呼「ジューケン」は、同数の音から構成され、異なる点は第1音において「シュ」と「ジュ」の違いを有することのみであり、これに続く長音及び「ケ」「ン」の音を全て共通にするものである。

しかして、その異なる第1音の「シュ」と「ジュ」は、それぞれ音「u」を共通にする清音と濁音の近似する音であり、この音の差称呼全体に及ぼす影響は極めて僅かなものである。

その一方で、それぞれの長音に続く第3音の「ケ」が破裂音であって語尾の弱音「ン」と相まって明確に強く発音されるため、このが称呼全体に及ぼす影響は大きい。

すなわち、第3音の「ケ」によって、長音→強音→弱音による全体の語調、語感の共通性が強く印象づけられるため、両者をそれぞ−連に称呼するときは、その語調、語感において極めて近似したものとなり、彼此相紛れるおそれがあるものである。

してみれば、両商標は称呼において類似する商標である。

ちなみに、称呼における差異音が長音を伴う第1音における「シ」と「ジ」の清音と濁音の近似した音のみの差であり、語調、語感も共通するため、称呼上類似とされた審決(甲第7号証及び甲第8号証)も存在する。

また、役務については、本件商標は、その第36類の指定役務が引用商標1及び2のものに抵触し、第37類の指定役務が引用商標3ないし5のものに抵触する関係にある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができないものとすべきところ、登録されたのである。

(3)被請求人の答弁に対する弁駁

引用各商標は「住建」ではなく、一見して認識し得る片仮名文字「ジューケン」又は欧文字「JUKEN」から構成された商標である。

この引用各商標は、現在有効に存続する商標であるから、その存在を前提として商標の類否判断がなされるものである。

そして、これら各商標より自然に生ずる称呼は、各構成文字「ジューケン」又は「JUKEN」に相応する「ジューケン」であって、被請求人が生ずると主張する称呼「ホソナガイセントフトクテナガイセンラクミアワセタジューケン」、「ジョウゲニサンカクケイラシカクニエグッタズケイラジョウゲニタイショウニハイチシタジューケン」等の不自然な称呼は生じ得ない。

本件商標は、図形、漢字「秀建」、及び影をつけて立体感をもたせた欧文字「ShuKen」からなるものであるが、それぞれの外観構成が顕著に異なり、分離独立して取引に供される場合もあるので(甲第9号証)、それぞれが商標の要部を構成する。

このため、各要部について、外観、称呼及び観念の要素から商標の類否が判断されることとなる。

そして、要部となる上記欧文字「ShuKen」については、引用各商標と同様に表音文字であってそれ自体特定の親しまれた観念を生じさせるものではない。

したがって、本件商標は、「シューケン」の称呼によって取引されるものである。

4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第9号証を提出した。

(1)引用商標1及び3は、欧文字「U」の文字を図案化した「JUKEN」の欧文字を横書きした構成からなり、引用商標2及び5は細長い線と太くて長い腺とを組み合わせた、独特の雰囲気のある「ジューケン」の片仮名文字を横書きした構成からなり、引用商標4は上下に三角形を四角にえぐった独特の図形を上下に対象に配置し、その図形の間に「JUKEN」の欧文字を横書きした構成からなっている。そしてすべての引用商標に共通することは、それぞれ表現に特徴をもち、決して普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではないことである。

ところで、一方で、「ジューケン」と称呼される「住建」という言葉が存在している。一般の辞書には収録されていないようであるが、とくに不動産に関する売買などの役務、そして建築工事などの役務に集中して、広く使用されている。ここで重要なことは引用商標1ないし5の指定役務と重なっていることである。

営業標に「住建」の語を含めて使用しているケースが多い。一地方のみならず全国に広く分布している。近時、「住建」の語が流行したという事情もないから、出願時、査定時においても同様の状況であったことが容易に推認できる。使用形態をみると、ほとんどのケースが、不動産に関する売買などの役務、そして建築工事などの役務に営業商標として使用しており、「住建」の語は、住宅と建築(住宅建設、設計、不動産売買等)などの意味合いをもって使用されていることが明らかである。土木と建築などの意味をもつ「土建」と同様に、「住建」の語は、不動産に関する売買や建築工事などの分野において定着し、取引者、一般人などがその意味合いをよく理解する成熟したものとなっていることが認められる。

つまり、そのことは、36類の不動産に関する売買などの役務や、37類の建築工事などの役務において、「住建」の語を使用したり、「ジューケン」と称呼しただけでは、取引者、一般人は、住宅と建築(住宅建設、設計、不動産売買等)などの意味合いで使用していると理解するにとどまることを意味している。言い換えれば、本来このような商標は商標法第3条第1項第1号(普通名名称)あるいは第3号の規定(サービスの質を表示)に該当し、拒絶無効理由を構成するのみならず、過誤登録されたとしても、商標法第26条第1項第3号の規定によりその効力が及ばないものとして取り扱われるべきなのである。

上記したことがらを踏まえて引用商標1ないし5をみると、いずれも普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標の構成で登録されているとはいい難い。つまり、引用商標1ないし5は、「ジューケン」、「JUKEN」が変形あるいは図形化された標章だから登録されたと考えるのが自然であるというべきである。

してみれば、引用商標1ないし5からは、単に「ジューケン」の称呼が生ずると考えるのは上記した理由からも誤りであり、称呼のない図形商標と考えるべきであろうが、しいていえば、変形あるいは図形化された特徴と関連づけられた称呼、すなわち、引用商標1および3からは「マルユージューケン」の称呼が、引用商標2および5からは「ホソナガイセントフトクテナガイセンラクミアワセタジューケン」の称呼が、そして引用商標4からは「ジョウゲニサンカクケイラシカクニエグッタズケイラジョウゲニタイショウニハイチシタジューケン」の称呼が生ずるものと考えるのが至当というべきである。

これに対して、本件商標は、「シュケン」、「シューケン」の称呼が生ずるものと考えるのが自然であるから、結論として、本件商標は引用商標のいずれとも称呼において明らかに類似しない。

(3)さらに、請求人は、「シーテック」と「ジーテック」、そして「シーコン」と「ジーコン」が類似であると過去の審査例を示されているが、いずれも明確な観念のない商標相互の類似関係についての審査例であり本件商標と引用商標との類否関係にはそのまま採用できないものである。なぜならば、引用各商標には、上記したように変形あるいは図形化した構成に関連付けられた観念、あるいは、住宅と建築(住宅建設、設計、不動産売買等)などの意味合いが付随するもので、これに対して、本件商標からは全体として「秀でた建築(設)」の観念が生ずるものであるから、互いに意味合いが明確に異なり、しかも、本件商標は清音の拗音「シュ」、引用商標は濁音の拗音「ジュ」であるから、かりに引用商標から「ジューケン」の称呼が唯一生じるものと仮定しても、全体として、本件商標と引用各商標とは称呼においても類似しないというべきである。そのことは、過去に、「寿宝(ジュホー)」と「朱宝(シュホー)」(審判番号55−11479号、審判日 58.10.11)が、意味合いを異にし、濁音の拗音「ジュ」と清音の拗音「シュ」の差異があるとして、類似しないと判断されていることからも裏付けられる。

(4)以上述べたとおり、引用商標はいずれも本来、商標法第3条第1項第1号(普通名称)あるいは第3号の規定(サービスの質を表示)に該当し、拒絶無効理由を構成し、登録されるべきでない商標であり、また、かりに登録されているとしても引用各商標は、上記したように変形あるいは図形化した構成に関連付けられた称呼を生ずるものであるから、本件商標とは称呼において類似しないというべきであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定、同法第46条第1項第1号に該当しない。

4 当審の判断

本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「秀建」の漢字及びこの漢字の欧文字表記に相当する図案化した「ShuKen」の文字より、「シューケン」の称呼を生ずるものと認められる。

一方、引用商標1及び3は、「U」の部分を図案化した「JUKEN」の欧文字を表してなるものであるから、これより「ジューケン」若しくは「ジュケン」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。

また、引用商標2及び5は、「ジューケン」の片仮名文字を表してなるものであるから、「ジューケン」の称呼を生ずること明らかである。

そして、引用商標4は構成中に「JUKEN」の欧文字を有しているから、前記文字に相応して、「ジューケン」若しくは「ジュケン」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「シューケン」の称呼と引用商標1ないし5より生ずる「ジューケン」の称呼を比較すると、両称呼は、いずれも4音からなる冗長とはいえない称呼であって、聴取した場合に印象に強い語頭音において、「シュー」と「ジュー」の清濁の差があり、しかも、いずれもこの差異のある語頭音にアクセントをおいて発音されるのが通常と認められるから、それぞれを一連に称呼した場合においても、その語感が明らかに異なったものとなり、互いに紛れて聴取されるおそれはないものと判断するのが相当である。

また、本件商標より生ずる「シューケン」の称呼と引用商標1、3及び4より生ずる「ジュケン」の称呼とを比較すると、語頭音において清濁の差に加えて、長短の差もあるため、語調、語感が明らかに異なったものとなり、互いに紛れて聴取されるおそれのない称呼ということができる。

そうすると、本件商標は、引用商標1ないし5と称呼上類似しないものといわなければならない。

そして、本件商標は、外観及び観念において引用商標1ないし5と紛らわしいところがあるとも認められないから、これらの商標と非類似の商標といわざるを得ない。

ところで、被請求人は、引用商標1ないし5は、いずれも本来、商標法第3条第1項第1号(普通名称)あるいは第3号(サービスの質を表示)に該当し、登録されるべきでない商標であり、また、登録されているとしても図形化した構成に関連付けられた称呼を生ずるものであるから、本件商標とは称呼において類似しないというべきであると主張する。

そして、その論拠として、「住建」の語が、住宅と建築などの意味合いをもって使用され、不動産に関する売買や建築工事などの分野において定着し、取引者や一般人がその意味合いをよく理解しており、不動産に関する売買などの役務や建築工事などの役務について明らかに自他役務識別力を備えていないことを主張する。

しかし、たとえ「住建」の語についてそのようなことがいえるとしても、前記した構成の引用商標1ないし5は、「住建」の文字よりなるものでなく、この文字と同等のものとも認められないから、この点の被請求人の主張は相当の根拠がないものであり、採用できない。

したがって、本件商標は、前記認定のとおり、引用商標1ないし5と非類似の商標であって、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでなく、同法第46条第1項1号に該当しないものであるから、その登録を無効とすべき限りでない。

以上のとおり、本件審判の請求は、理由がないから成り立たないものとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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