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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35410(T2000−35410/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標 本件登録第4157557号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年12月24日に登録出願、商標の構成を後掲(1)に示すとおり、スクリプト書体(手書き書体)による「Virgin Pink」の欧文字とし、指定商品を第3類「化粧品」として、同10年6月19日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の無効を述べる理由に引用する登録第2541387号商標(以下、「引用商標」という。)は、昭和60年1月26日に登録出願、商標の構成を後掲(2)に示すとおり、「バージンフェース」の片仮名文字及び「VIRGIN FACE」の欧文字とし、指定商品を旧第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」として、平成5年5月31日に設定の登録がされたものである。

3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由の要旨及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当について

本件商標の構成よりして、その全体称呼「バージンピンク」が生じることは請求人に於いても異論はない。然しながら、本件商標中「Pink」の文字は色彩表示に過ぎず、特に化粧品を取り扱う業界に於いては日常汎用されて既に日本語化されている語であって、それ自体には自他商品識別力が認められないものである。してみれば、本件商標を構成する前半部の「Virgin」が「未婚婦人」や「若い女」を意味するそれ自体独立した、しかも耳慣れた語である一方、被請求人自身、商願平7一49607号について平成8年12月24日付け意見書に於いて認めている如く、「ヴァージンピンク」がその全体としては何ら格別な意味観念を有しないこととも相俟って、簡易迅速を旨とする商取引の現場に於いては、自他商品識別力を有する「Virgin」の部分から単に「バージン」なる略称を以って商取引せられることは否定し得ず、むしろ自然なことである。

他方、引用商標の構成中、「フェース」「FACE」が指定商品との関係に於いて「顔用」の商品であることを表わした用途表示で、それ自体には自他商品識別力が認められないことは極めて明らかである。

してみれば、引用商標に於いて自他商品の識別機能の存在する部分は「バージン」「VIRGIN」の部分であり、これより「バージン」なる自然称呼の生じることは自明である。

而して、両商標は何れも「バージン」なる自然称呼を以って商取引せられるものであり、自ずと彼此誤認混同を生じる恐れは必至である。よって、本件商標は引用商標と類似の商標たるを免れない。尚、両商標の指定商品が相抵触するものであることは挿疑の余地がない。

因に、請求人に於いて平成5年2月10日付で本件商標と実質同一の「ヴァージン ピンク」なる商標について「化粧品」を指定商品とする商標登録出願(商願平5−13587号)をしたところ、該商標「ヴァージンピンク」は上記引用商標「バージンフェース/VIRGIN FACE」と類似するとの理由で拒絶査定を受け、該拒絶査定が確定している事実(甲第3号証)が存するが、該確定した行政処分に徴すれば、事実上全く同一事例たる本件商標と引用商標の類似は極めて自明と云うの外ない。

(2)以上説述した如く、本件商標と引用商標とは称呼上類似の商標であって、かつ指定商品も相抵触するものであり、自ずと本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するにも拘らず登録を受けたものとして、その登録は商標法第46条の規定により無効とされるべきものである。

(3)被請求人の答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、若い女性や幼い女性の血色がよく赤みがかった頬等を指して、桃色又はピンク色にたとえることを根拠にして、本件商標から「若い女又は処女のような桃色」の観念が生じる旨主張する。

然しながら、若い女性や幼い女性の血色がよく赤みがかった頬等をたとえることがあってもそれはあくまでも被請求人主張の如く、桃色やピンクであり、”Virgin Pink”と称されることは全くない。してみれば、本件商標から「若い女又は処女のような桃色」の観念が生じる余地のないことは極めて明らかである。すなわち、本件商標は何ら特別な意味観念を有しない造語に外ならない。

因に、このことは、甲第5号証に於て、被請求人自身が「全体として何ら格別な意味観念を認識させることのない造語である」と明確に主張している事実からも明らかである。仮に、本件商標が造語ではなく、被請求人主張の如き「若い女又は処女のような桃色」や「若い女性や幼い女性の血色がよく赤みがかった頬等の色」を観念せしめると云うのであれば、本件商標は、本件指定商品すなわち「化粧品」との関係に於ては明らかに色彩表示そのものであり、自ずと自他商品識別力を有しないものとして登録無効を免れないものである。

(イ)本件商標及び引用商標の何れからも「バージン」なる共通の称呼が生じ、両商標が相互に類似の商標であることは、甲第3号証の4の拒絶査定の理由及び甲第4号証の登録異議決定の理由よりして明らかである。

してみれば、本件商標は、その登録査定時に他人の先願登録商標が存在していたにも拘らず、過誤登録されたものに外ならず、自ずと登録無効を免れないものである。

(ウ)本件商標は、全体として何ら格別の意味観念を認識せしめ得ない以上、本件商標が「Virgin」と「Pink」に分離されて明らかに2単語として表示されている事実及び当該「Pink」の文字が化粧品の分野に於て色彩表示として汎用されている事実と相俟って、商取引上本件商標から単に「バージン」なる略称が生じることは挿疑の余地すら存しないのである。

(エ)請求人は単に欧文字のスペースのみを以って、「バージン」なる分離称呼を主張しているのではない。請求人は、甲第3号証の4及び甲第4号証に明示されているように、「化粧品」の分野に於て「フェース」「FACE」の文字が「顔用」の商品であること、すなわち商品の用途を表示するものとして汎用されている事実と当該スペースによる分離表示と相俟って、商取引上引用商標からも「バージン」なる略称が生じるとしているのである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する再答弁の理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。

(1)本件商標の要旨の認定について

本件商標は、「Virgin Pink」なる欧文字を特殊な書体により構成した商標である。この点、本件審判請求人は、a.本件商標中「Pink」の文字部分は単なる色彩表示にすぎず、識別力が認められないこと、b.本件商標中「Virgin」の文字部分が「未婚婦人」や「若い女」を意味する、それ自体独立した、しかも耳慣れた語であること、c.「Virgin Pink」がそれ自体特別な意味観念を有しないこと、を理由として、本件商標の要部を「Virgin」の文字部分と認定している。

しかしながら、本件商標「Virgin Pink」からは、「若い女又は処女のような桃色」の観念を生じ、本件商標全体として特別な意味観念を有しているものである。

この点、血色のよい肌、特に、若い女性や幼い女性の血色がよく赤みがかった頬等を指して、桃色又はピンク色にたとえることは一般に行われていることと認められる。即ち、本件商標「Virgin Pink」は、その全体として、血色のよい肌の色を暗示せしめているものであり、一体不可分に結合したものである。

さらに、請求人が本件審判請求書において述べているように、本件商標を構成している「Virgin」及び「Pink」の文字は、我が国国民の一般に有する英語力からすれば、特に難解な欧文字ではなく、上述のような意味観念を認識することは一般に認められるところと考えられる。

したがって、本件商標は、我が国の一般需要者が、その全体から「若い女又は処女のような桃色」の意味観念を普通に認識するものであり、かかる認識に基づいて、血色のよい肌の色を連想するものであることから、本件商標「Virgin Pink」に接した我が国の一般需要者は、その全体が一体不可分に結合しているものと認識すると考えるのが妥当である。

(2)引用商標の要旨の認定について

請求人が引用している商標は、「バージンフェース」のカタカナ文字と「VIRGIN FACE」の欧文字を二段に構成してなる商標である。

この点、請求人は、引用商標の構成中、「フェース」及び「FACE」の部分が指定商品との関係において「顔用」の商品であることを表した用途表示で、それ自体には自他商品識別力が認められないため、引用商標においても「バージン」及び「VIRGIN」の部分が要部であると判断している。

しかしながら、引用商標においても、「フェース」及び「FACE」並びに「バージン」及び「VIRGIN」の文字部分は、我が国国民の一般に有する語学力からすれば容易にその意味内容を認識し得るものであり、かつ、その全体として、「若い女又は処女のような顔」の意味観念を有し、かかる観念を有することから、「FACE」の部分のみを独立して「顔用」という用途表示をしているものと認識することはないものと考えられる。

したがって、引用商標においてもその全体が一体不可分に結合しているものと考えるのが妥当である。よって、請求人が引用商標につき「バージン」及び「VIRGIN」の部分に自他商品の識別機能が存在すると判断したことには、過誤がある。

(3)本件商標と引用商標との類似について

上述のように、本件商標については、「Virgin Pink」全体が、一体不可分に結合したものであり、また、引用商標についても、「バージンフェース/VIRGINFACE」が一体不可分に結合したものであるため、両者は、その外観、称呼及び観念において全く異なる商標であって、これらに接する需要者において出所の混同を生じる一般的な関係は認められず、両者は非類似の商標であると考えるのが妥当である。

(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念において全く異なる商標であって、これらに接する需要者において出所の混同を生じる一般的な関係は認められず、両者は非類似の商標であると考えるのが妥当である。したがって、請求人の主張は妥当でなく、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされものとはいえない。

5 当審の判断

本件審判における請求人、被請求人両当事者の主張の論点は、本件商標と引用商標との類否、すなわち、両商標中の「Pink」または「フェース/FACE」の各文字(語)部分はそれぞれ当該商品の色彩(品質)表示または用途(品質)表示でしかなく、それ自体が商品識別の機能を有しない故に両者を「Virgin」(バージン)の称呼・観念において類似とすべきものか否かの点にある。

そこで、判断するに、本件商標は、前記したとおり、スクリプト書体による「Virgin Pink」の欧文字よりなるところ、これを構成する前半の「Virgin」及び同後半の「Pink」の各文字部分はいずれも同書体の手書き風の文字で表されていて視覚上まとまりよく一体的に看取し得るものである。また、これより生ずるとみられる「バージンピンク」の称呼もさほど冗長なものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、たとえ、構成中の「Virgin」(バージン)及び同後半の「Pink」(ピンク)の各文字(語)部分がそれぞれ「処女、生娘」及び「薄紅色、ももいろ」の意味合いをもって共に一般に親しまれている平易な英語であるとしても、これら両語の結合からは、全体として特定の意味合いの熟語的文字とはいい難く、これを認めるに足りる証拠はないから、かかる場合、本件商標に接する取引者、需要者は、ある種暗示的意味合いを想起する場合はあるとしても、それ以上に特定の事物、事柄等を直ちに想起し得るものでなく、したがって、本件商標は、全体として不可分一体の一種の造語として認識し把握されるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して生ずる「バージンピンク」の称呼のみをもって取引に資される固有の商標というべきである。そして、特段の事情を有する場合を除き、殊更、前半の「Virgin」と後半の「Pink」とに分離すべき理由は存しないものといわなければならない。

請求人は、「Pink」(ピンク)の語は化粧品の商品分野において、商品の色彩表示として使用される故に本件商標中の自他商品の識別機能を果たす部分は前半の「Virgin」(バージン)にあると述べているが、「Pink」(ピンク)の語が化粧品の色彩(品質)表示として用いられる場合のある点は否定し得ないとしても、そのように捉えることに合理的妥当性を有する場合であればともかく、商標自体とこの種化粧品の取引事情その他の点よりして、本件商標に接する取引者、需要者がそのように認識し把握するとする事情は見出し難く、その証拠も見出せない。そして、本件商標の不可分一体性については、前記認定を相当とするから、請求人の主張はこれを認めるに十分でなく採用の限りでない。

また、請求人は、本件商標は特定の意味合いを看取し得ない造語である故にその要部は「Virgin」(バージン)とされる旨述べているが、全体をもって造語商標と認識されるものとすれば、もはや原義に却って本件商標の要部を「Virgin」にあるとするのは適切でなく、その主張は採用することができない。

このほか、本件商標を「Virgin」と「Pink」とに分離し、或いはその要部を「Virgin」とする旨述べる請求人の主張は、前記各事情に照らしいずれも妥当でなく、採用の限りでない。

そうすると、本件商標より「バージン」(処女、生娘)の称呼または観念を生ずるということはできないから、これを理由に本件商標と引用商標との類似を述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって、本件商標と引用商標とを類似のものとすることはできない。

ところで、引用商標(「バージンフェース/VIRGIN FACE」)についてみるに、たとえ、構成中の「フェース/FACE」の各文字部分が化粧品について「顔」または使用部位を表示する語として用いられる場合があるとしても、それをもって直ちに当該商品の用途(品質)表示とみるのは必ずしも適切でないこと本件商標の場合と同様であって、引用商標に接する取引者、需要者は該構成よりある種暗示的意味合いを想起する場合はあるとしても、それ以上に特定の事物、事柄等を直ちに想起し得るとみるのは適切でなく、したがって、全体として不可分一体の造語と認識し把握されるとみるのが相当である。

そうすると、引用商標は、全体の構成文字に相応して生ずる「バージンフェース」の一連の称呼のみをもって取引に資される固有の商標というべきであって、殊更「バージン/VIRGIN」の文字(語)部分を分離抽出し、当該他人の商標との類否について比較考量しなければならないような合理的理由はないとみるのが相当である。したがって、該文字(語)部分を分離抽出しあるいは要部とすべきことを理由に本件商標との類似を述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって、両商標を類似のものとすることはできない。

その他、本件商標と引用商標とを類似のものとすべき事由は見出せない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえないから、その登録は、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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