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Trademark Appeal Case

「アパマン」称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35530号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標、

本件登録第 4274859号商標(以下「本件商標」という。)は、「アパマンショップ」の文字を書してなり、平成9年11月29日登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、同11年5月21日設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人は、本件商標の登録無効の理由に、以下(1)ないし(7)に示す登録商標を引用する。

(1)登録第4202629号商標(以下「引用商標1」という。)は、「株式会社アパマン」の文字を書してなり、平成5年8月24日登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、同10年10月23日に設定登録されたものである。

(2)登録第1682939号商標(以下「引用商標2」という。)は、「APAMAN」の文字を書してなり、昭和55年7月28日登録出願、第26類「雑誌、新聞、その他本類に属する商品」を指定商品として、同59年5月29日に設定登録され、その後平成6年10月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

(3)登録第1783947号商標(以下「引用商標3」という。)は、「アパマン」文字を書してなり、昭和55年7月28日登録出願、第26類「雑誌、新聞、その他本類に属する商品」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、その後平成8年2月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

(4)登録第 2216674号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(1)に表示した構成よりなり、昭和62年5月29日登録出願、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後同11年11月9日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

(5)登録第 2216675号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(2)に表示した構成よりなり、昭和62年5月29日登録出願、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後同12年3月27日に存続期間の満了により抹消の登録が同12年12月20日になされているものである。

(6)登録第 2247623号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(3)に表示した構成よりなり、昭和62年11月13日登録出願、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録され、その後同12年8月8日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

(7)登録第4319979号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(4)に表示した構成よりなり、平成6年4月28日登録出願、第36類「 預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,当せん金付証票の発売,企業の信用に関する調査,税金に関する情報の提供,慈善のための募金 」を指定役務として、平成11年10月1日に設定登録されているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第47号証(枝番を含む)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「アパマンショップ」の文字を書してなるところ、構成中の「ショップ」の文字が「店、店舗及び小売店」等を意味し、役務の提供の場所を表示する自他役務の識別標識としての機能を充分に果たし得ないものである。そのため、本件商標は、識別力を具備しない「ショップ」の文字を除いた「アパマン」の文字が主要部を形成して、単に「アパマン」の称呼をも生じ、特定の意味合いのない造語と認識されるものである。

これに対し、引用商標1は、「株式会社アパマン」の文字を書してなるところ、構成中の「株式会社」の文字が法人格を表わし、自他役務の識別標識としての機能を有しないため、これを除いた「アパマン」が主要部を形成し、「アパマン」の称呼をも生じ、特定の意味合いのない造語と認識されるものである。

したがって、本件商標と引用商標1は、「アパマン」の称呼を共通にする類似の商標である。

また、本件商標と引用商標1は、その指定役務も同一又は類似するものである。

(2)商標法第 4条第1項第15号について

引用2ないし引用6は、請求人の商標として広く一般に知られ、かつ、使用されている商標であるので(甲第3号証の1ないし同第19号証)、これと類似する本件商標をその指定役務に使用する場合、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。

引用商標2は、「APAMAN」の欧文字を横書きしてなるので、該文字に相応して「アパマン」の称呼を生じ、特定の意味合いのない造語と認識されるものである。

同じく、引用商標3は、「アパマン」の片仮名文字を表示したとみられる文字を横書きにしてなるので、該文字に相応して「アパマン」の称呼を生じ、特定の意味合いのない造語と認識されるものである。

同じく、引用商標4は、「アパマン」の片仮名文字を表示したとみられるやや図案化した文字を横書きにしてなるので、該文字に相応して「アパマン」の称呼を生じ、特定の意味合のない造語と認識されるものである。

同じく、引用商標5は、「APAMAN」の欧文字を表示したとみられるやや図案化した文字を横書きにしてなるので、該文字に相応して「アパマン」の称呼を生じ、特定の意味合いのない造語と認識されるものである。

同じく、引用商標6は、「APAMAN」の欧文字を表示したとみられるやや図案化した文字を横書きにしてなるので、該文字に相応して「アパマン」の称呼を生じ、特定の意味合いのない造語と認識されるものである。

請求人は、昭和57年7月に株式会社ハウザー(昭和48年5月の設立)が昭和48年12月に創刊したアパートマンション情報誌の取次・販売部門を引き継いで「株式会社アパマン」として設立した会社である。

請求人は、その後、昭和61年 7月に株式会社ハウザーのアパートマンション情報業務のすべてを移管し、その情報誌の発売元となるとともに、情報誌名を請求人の略称「アパマン」を採択し「アパマン」及び「APAMAN」と改題し、アパートマンションの賃貸の取次ぎ・不動産情報についての提供等のサービスを「アパマン館」として営業し、現在に至っている(甲第8号証及び甲第9号証)。

そして、「アパマン」及び「APAMAN」を商標として使用したアパートマンションの情報誌(甲第10号証ないし甲第15号証)は、関東一円の各都市の販売店並びにJR及び関東の各私鉄駅の売店等で販売し、その広告宣伝についてはJR及び各私鉄駅の構内・プラットホームならずJR及び関東の各私鉄の電車内の中吊り広告等をもって大々的な宣伝活動を展開している(甲第16号証及び甲第17号証)。

また、「アパマン」及び「APAMAN」の文字を使用した情報誌は、日本テレビ、東京放送、フジテレビ、テレビ朝日及びテレビ東京等のテレビでスポットコマーシャルで放映している(甲第18号証の1ないし甲第19号証)。

そのため、「アパマン」及び「APAMAN」の文字は、アパートやマンション住まいの部屋さがしに関心を有する人は勿論のこと、関心のない人までが親しみをもって見つめており、取引者・需要者間において広く周知・著名となっているものである。

さらに、請求人は、アパートやマンションにおける賃貸の取次ぎ・マンションの分譲及び不動産情報の提供等のサービスを業務とするガイドセンターとして、「アパマン館」を新宿・渋谷・池袋及び立川等に配置しており、「アパマン」及び「APAMAN」の文字をアパートやマンションの物件の内容(間取り等)・所在地・交通手段及び価格等を表示した部屋さがしに使用しており、また、札幌・富山・京都及び鹿児島等のように全国的な宿さがしをダイヤル回線を通じての対処サービスに使用している(甲第8号証)。

してみれば、本件商標は、前記したとおり引用商標1ないし6と「アパマン」の称呼を共通にする類似の商標であり、請求人が使用する「アパマン」及び「APAMAN」の文字の著名性が交通機関やテレビ等のマスメディアを介して広く需要者間に親しまれているので、交通機関やテレビ等を介して需要者が本件商標に接するとき、あたかも請求人又は請求人の関連する会社の商品かと誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないのであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。

4 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、本件商標が「アパマンショップ」の片仮名文字を同書・同大・同間隔に外観上まとまりよく一体的に表わし、称呼も冗長でないので「アパマンショップ」と一連に淀みなく称呼し得るものであり、「アパマン」の称呼は生じないので、「アパマン」と「APAMAN」の文字よりなる各引用商標とは称呼、観念及び外観において類似しない旨を主張している。

しかしながら、本件商標は、「アパマンショップ」の片仮名文字を同書・同大・等間隔に書してなるとしても、これを構成する「ショップ」の文字は、「店、店舗」等を意味する語として一般に親しまれており、これを除いた「アパマン」の文字が自他役務を区別する標識としての識別性を具備するものである。

そのため、本件商標は、識別性を具備する「アパマン」の文字部分に相応して「アパマン」の称呼をも生ずるものである。

このことは、商品区分における類否の事例であるとしても、本件商標と同様に「ショップ」の文字を結合してなる商標について、これを除いた文字部分を対比して類似するとした審決例によっても明らかであるし、特許庁における商標の審査基準又は審査・審判事例に徴しても明らかである。

さらに、請求人は、引用商標7を引用する。

引用商標7は、欧文字「APAMAN」の図案化であり、これよりは、「アパマン」の称呼を生ずるものである。

してみれば.「アパマン」の称呼を生ずる本件商標は、引用商標7とも称呼上類似するものである。

その上、本件商標は、引用商標1及び引用商標7と役務について互いに類似し、その抵触を免れないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)被請求人は、「賃貸の取次ぎ、マンションの分譲及び不動産情報の提供」等のサービスを提供するガイドセンターとしての「アパマン館」と請求人が別個の会社であり、本件とは係わりがなく、また、「アパマン館」が「アパマン館 (株)ハウザー」として請求人情報誌の取扱物件に掲載しており(甲第15号証)、請求人と別会社であることが明白であるので、請求人と被請求人とは具体的混同のおそれを生じない旨を主張している。

しかしながら、「賃貸の取次ぎ、マンションの分譲及び不動産情報の提供」等のサービスを提供するガイドセンター名の「アパマン館」の文字は、請求人が所有に係る登録商標である(甲第30号証の1及び同2)。

また、株式会社ハウザーは、「賃貸の取次ぎ、マンションの分譲及び不動産情報の提供」等のサービス業務を提供しており、株式会社ハウザーが商標「アパマン館」を使用することについて、請求人との間で使用許諾が締結されているのである(甲第31号証)。

そのため、甲第15号証(請求人情報誌「APAMAN」)に掲載の「アパマン館」に併記する「株式会社ハウザー」は、請求人の関連会社であり、請求人情報誌(APAMAN)の取扱物件に掲載されて当然である。

したがって、請求人と何ら関係のない被請求人の本件商標は、各引用商標と具体的混同を生ずることが免れないものである。

(3)被請求人は、請求人が立証する証拠(甲第8号証乃至甲第19号証)では、「アパマン」及び「APAMAN」が本件商標の出願時及び登録時において、その使用開始時期、使用期間、販売地域、発行部数、販売部数及び広告宣伝等において、昭和63年1月からの発行で、販売地域が東京を中心としたその周辺であり、2年間だけのテレビ広告で、車内の中吊り広告が単発であり、住宅情報誌の発行部数(26万部)を証するものがないので、需要者間に広く認識されていたと認められない旨を主張している。

しかしながら、請求人は、昭和62年からの「アパマン」の文字をアパートマンション情報誌に使用し(甲第32号証)、その販売エリアも甲第8号証(甲第7号証とあるが、甲第8号証の誤りとした)に示すように、首都圏を中心とする関東地方の中部及び南部であり、現在も毎週金曜日に定期的に発売している。

その発行部数について、一般に情報誌はその特性から販売部数を公表しないのが通例で、新聞社・雑誌社等が発行する週刊誌の販売にあっても、部数が雑誌広告の効果を率直に表わし利害が絡むため、正確な数字を公表しないのが出版業界の慣習であり提出できない。

しかし、「APAMAN」及び「アパマン」の文字を使用したアパートマンション情報誌の発行部数が正確でないとしても過去・現在を通じて最高の数値を示したものである。

また、請求人は、アパートマンション情報誌が昭和54年11月に第3種郵便物として認可されたものを引継ぎ、前記のとおり、昭和62年からの「APAMAN」及び「アパマン」の文字を使用し、毎週金曜日に発売、書店及び駅構内の売店で販売しており、その広告も駅構内及び電車内の中吊り等をもって引き続き広告宣伝をしている(甲第33号証ないし同第45号証)。

さらに、「APAMAN」及び「アパマン」の文字は、アパートマンション情報誌の商標として周知・著名であることが、商標登録異議申立ての異議決定において明らかにされているものである(甲第46号証及び甲第47号証)。

したがって、本件商標は、請求人の関連会社の業務による役務であるかのように、混同を生ずるおそれがあるものである。

(4)むすび

以上のとおりであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

5 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第23号証を提出している。

(1)被請求人の主張の要旨

請求人は、甲第1号証の1乃至甲第19号証を提出して、本件商標は、請求人が所有する引用商標1と類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、本件商標は、請求人の使用する周知・著名商標との関係において、本件商標を指定役務に使用した場合、請求人の業務にかかる商品と出所の混同を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当すると主張している。

しかしながら、本件商標は、引用商標とは類似しないし、また、請求人の使用する商標は周知・著名商標ではないので、本件商標を指定役務に使用しても請求人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれはない。

したがって、本件商標に対する無効審判請求は理由がないことは明白である。

以下、その理由を詳述する。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「アパマンショップ」と同書・同大・同間隔に外観上まとまりよく一体的に表わしたものである。また、これより生じる「アパマンショップ」の称呼も冗長という程のものではなく淀みなく称呼し得る程度のものである。

してみると、本件商標は、前記のとおり、外観、称呼において一体のものと見られるので、その表わされた構成どおり、「アパマンショップ」の一連の称呼が生じると考えるのが自然である。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「アパマンショップ」の一連の称呼が生じるものであって、本件商標からは「アパマン」の称呼は生じない。

これに対し、引用商標1は、その構成中「株式会社」が法人格を表し、自他役務識別力を有しないため、引用商標からは、これを除いた「アパマン」が主要部を構成するものと認識され、それから「アパマン」の称呼が生じる場合もある。

そこで、まず、本件商標と引用商標の前記称呼を対比すると、本件商標からは「アパマンショップ」の称呼が生じ、引用商標からは「アパマン」の称呼が生じ、両者は「ショップス」の音の有無に差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても需要者は両者を明確に聴別することができるものである。

次に、観念についてみると、「アパマン」と「アパマンショップ」はいずれも造語であって、それから特定の観念が生じないので、観念上、両者を比較することができない。

次に、外観についてみると、両者は「株式会社」及び「ショップ」の語の差異があるから、外観上類似しない。

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいてもなんら類似するものではないので、これを指定役務と同一又は類似する役務について使用しても、役務の出所の混同を生ずるおそれはない。

また、 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標が、その外観、観念、呼称等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察するべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである(最高裁第3小法廷昭和43年2月27日判決、東京高等裁判所平成8年4月17日判決、乙第1号証ないし乙第2号証)。

かかる観点から、本件商標と引用商標との類否を鑑みるに、本件商標の指定役務である第36類「建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供」を行う業者の役務を示す商標や営業名は非常に似通ったものが多くなることが常であり、かかる商標や営業名は普通は略称されることはない。需要者は、不動産業者をその営業名全体で認識するのが、かかる不動産業界での取引の実情である。

また、請求人が実際におこなっている業務は、「建物又は土地の情報の提供」のみである。かかる情報の提供業務は主として、定期刊行物の販売という形で行われるのが常であるが、かかる印刷物の分野においては、需要者は、題号にあらわされた文字全体をもって、商品の取引に当たるのが普通である。従って、不動産業全般にしても、建物又は土地の情報の提供を行う業務にしても、本件商標により、請求人との間で一般的出所の混同は生じない。

さらに、請求人が発行する情報誌は、その情報誌に東京近郊の数社の不動産業者が取扱物件を掲載し、掲載物件を取り扱っている不動産業者に読者が直接連絡をして、賃貸契約等を締結するシステムであり、需要者は、不動産仲介業者と不動産情報誌の発行者である請求人とが異なる会社であることを十分に認識できる。

かかる需要者が、不動産仲介業者である被請求人と情報誌の発行者に過ぎない請求人を混同することはありえないし、自己の取扱物件のみを掲載する被請求人の情報誌と請求人の情報誌を混同することもありえない。従って、具体的出所の混同が生じるおそれも、勿論存在しない。

請求人の主張する「賃貸の取次ぎ・マンションの分譲及び不動産情報の提供等のサービスを提供するガイドセンターとしてのアパマン館」は、請求人とは別個の会社であり、本件とは関わりが無い。現実にもかかる「アパマン館」は、「アパマン館 (株)ハウザー」として請求人の情報誌に取扱物件を掲載しており(甲第15号証参照)、請求人と別会社であることを明白にし、被請求人との混同のおそれも全く生じない。

なお、「アパマン」及び「APAMAN」が、第4条第1項第11号に関する審査基準4.(6)でいうところの「指定商品もしくは指定役務について需要者の間に広く認識された」周知・著名商標ではないことは、後記の第4条第1項第15号の「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある」周知・著名商標ではないことに関する説明のとおりである。したがって、「アパマン」の語を一部に有する本件商標が引用商標と類似しないことは明白である。

よって、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張は失当である。

(3)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、「アパマン」及び「APAMAN」を「住宅情報誌」について使用した結果、本件商標の出願時及び登録時には、前記商標が請求人発行にかかる「住宅情報誌」を表示するものであると需要者の間に広く認識されていたと主張している。

しかしながら、それを立証するために請求人が提出した甲第8号証から甲第19号証では、請求人使用の商標(以下「本件題号」という)が、請求人発行にかかる「住宅情報誌」を表示するものとして本件商標の出願時及び登録時に需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

すなわち、請求人発行の「住宅情報誌」は、ある地域のアパートマンションの賃貸物件を主に掲載するものであるから、その販売場所は物件の所在地及びその周辺地域に限られる。一般の雑誌のように日本全国に流通するものではない。また、「住宅情報誌」の購入者はその掲載内容からして一般大衆である。

したがって、「住宅情報誌」に使用する本件題号が周知・著名というためには、全国的に広く知られることまでは必要はないが、少なくとも東京を中心としたその隣接数県の範囲の一般消費者の大多数、あるいは少なくとも過半数の者が、本件題号は請求人発行にかかる「住宅情報誌」を表示するものであると認識していることが必要である(東京高裁昭和58年6月16日判決、乙第3号証、第4条第1項第10号に関する判決であるが、第11号ならびに第15号で求められる周知性は少なくともこれと同じか、それ以上の周知・著名性が必要と考えられる)。

そこで、以下、請求人が提出した各証拠に基づいて、本件題号がこの要件を備えているかどうかを検討する。なお、請求人提出の証拠中、甲第14号証及び甲第15号証は、本件商標の出願後に発行されたものであるから、これらを請求人の主張を裏付ける証拠とはならないものである。

(a)使用開始時期及び使用期間

本件題号の使用開始時期は昭和63年1月である。請求人は、「昭和61年7月に株式会社ハウザーのアパートマンション情報業務のすべてを移管し、その情報誌の発行元になると共に、情報誌名として請求人の略称『アパマン』を採択し、『アパマン』及び『APAMAN』と改題した」と主張し、改題の時期を明らかにしていないが、請求人が題号を変えたのは昭和63年1月である(平成5年審判第16302号審決書3(2)、乙第4号証)。したがって、本件商標の出願前までの本件題号の使用期間は10年間である。

(b)販売地域

請求人は、「住宅情報誌」は「関東一円の各部市の販売店並びにJR及び関東の各私鉄駅の売店で販売した」と主張している。

しかし、これは請求人が作成した甲第8号証(甲第7号証とあるが、甲第8号証の誤りとした。)の会社案内及び甲第9号証(甲第8号証とあるが、甲第9号証の誤りとした。)の業務広告に記載されているだけで、このことを客観的に証明するものは一切提出されていない。

請求人の「住宅情報誌」は、その掲載記事から東京を中心とした近郊で販売されていることは認められるが、請求人主張のように「関東一円の各都市の販売店並びにJR及び関東の各私鉄駅の売店で販売した」というのは誇張である。

(c)発行部数並びに実販売部数

請求人は、昭和63年1月から本件商標の出願前までの間の「住宅情報誌」の発行部数、実販売部数及び売上高等を明らかにしていない。甲第8号証(甲第7号証とあるが、甲第8号証の誤りとした。)の会社案内には、「発行部数26万部、発行部数は同業者でトップ」の記載はあるが、これを客観的に証明するものは一切提出されていない。

被請求人の調査によれば、首都圏の賃貸情報誌のシェアは、株式会社リクルートの発行する「ふおれんと」と株式会社賃貸住宅ニュース社の「CHINTAI」の2誌独占状況であるが、両誌とも実販売部数は3万から5万と推測される。請求人の情報誌は競合状態の範囲外にあり、実販売部数はせいぜい数千部でしかない。さらに、首都圏における賃貸情報の量は、請求人の発行する「アパマン(東京・神奈川・千葉・埼玉)」(12月24日号)の掲載物件数が約1300件であるのに対し、他の同種情報誌の掲載物件総数は、合計約9万3500件である。

このように請求人の発行する情報誌「アパマン(東京・神奈川・千葉・埼玉)」に掲載された賃貸情報の量は、約1300件であるが、これは、同種情報誌で提供されている同地域の賃貸情報の総量のせいぜい1パーセント強といったところであり、請求人の情報誌は、当該地域の需要者のうちの1パーセント程度に認識され、利用されているにすぎず、しかも、その数字は年々減少しつづけている(乙第5号証ないし同第21号証)。

(d) 広告宣伝の方法、回数及び内容

請求人は、「その広告宣伝についてはJR及び各私鉄駅の構内・プラットホームならずJR及び関東の各私鉄の電車内中吊り広告等をもって大々的な宣伝.活動を展開している。」と主張している。

しかし、請求人が提出した証拠の中にはJR及び私鉄の構内・プラットホームに広告を行ったことを証明するものは何もない。また、電車内の中吊り広告にしても、甲第16号証及び甲第17号証は、電車内に中吊り広告をしている状態を撮影した写真の下に、線名、期間、媒体を記載しただけであり、それらを誰がいつ作成したのか、何本の電車に何枚の広告をしたのか等の具体的なことが、これだけでは一切判らない。また、中吊り広告の回数も、甲第16号証及び甲第17号証によると、平成7年に、2日間の広告を、京成線5回、新京成線5回、京急線11回、東武線10回、京王線4回、小田急線4回、東急線14回、西武線5回、相鉄線5回、東京モノレール1回、横浜地下鉄線1回、JR線17回を行ったにすぎない。電車内には毎日多数の中吊り広告が掲示されるが、その中で、数か月に1回、しかも2日間だけ、1枚か2枚程度の広告を出すことが大きな宣伝効果を有することなどはあり得ない。また、本件題号を付した「住宅情報誌」という商品の性質からすれば、これに関心のある者ないしは購読を希望する者の数はある程度限られているから、この広告により需要者が本件題号を請求人が発行する「住宅情報誌」を表示するものであると認識することなど考えられない。

また、請求人は、「アパマン」及び「APAMAN」は日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日及びテレビ東京等のテレビでスポットコマーシャルで放映しているとして、甲第18号証の1から甲第19号証の各テレビ局のテレビスポット放送通知書及び株式会社電通の請求書を提出している。

しかしながら、証拠として挙げている各テレビ局のテレビスポット放送通知書には、昭和63年1月から4月(日本テレビとTBSは1月から3月まで、フジテレビとテレビ東京は1月と2月、テレビ朝日は1月、2月と4月)までしか記載されてなく、又、株式会社電通の請求書も従来のアパートマンション情報誌の題号を「APAMAN」に改題した昭和63年1月から平成2年2月までのものに限られ、しかもどの局でどの程度の頻度で、しかもどのような内容で放送されたかが、はっきりしない。本件商標の出願時及び登録時までに、かかるテレビ広告が、この移り変りの激しいテレビという媒体からの広告として効果を持ち続けるはずもない。

以上、これを要するに、請求人提出の証拠によると、請求人は「アパマン」の題号を付した「住宅情報誌」を昭和63年1月から発行していること、販売地域は東京を中心としたその周辺地域であること、前記「住宅情報誌」の創刊から2年間だけはテレビ広告をしたこと、JR及び私鉄の駅や電車内に広告をしているが散発的であることがわかるだけで、それ以上に本件題号が需要者に浸透していることを裏付ける事実は認められない。

かえって、被請求人の調査結果からもわかるように、請求人の情報誌は、まさに需要者に忘れ去られる寸前の状態にあるのである。

したがって、これだけでは、本件題号が、本件商標の出願時及び登録時に需要者の間に広く認識されていたと認めることができないから、本件商標が商標法第4条第1項第15号のに該当するとの請求人の主張は失当である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項第1号により無効にすることはできないものである。

6 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「アパマンショップ」の片仮名文宇よりなるものであるところ、構成の各文字は、同じ書体、同じ大きさ及び等間隔に一体的に表されており、これより生ずる「アパマンショップ」の称呼もさほど冗長という程でもなく、淀みなく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標の構成中「ショップ」の文字が「店、店舗」等を意味する外来語であるとしても、本件商標の指定役務である第36類の「建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介」を取り扱う不動産に係る取引業界は、例えば、「......ハウス」、「......ホーム」等、役務の内容に係る用語や似通った営業名が非常に多くなることが多いので、かかる役務の内容に係る用語や営業名は略称することなく、営業名全体をもって役務の取引に当たるのが不動産業界での取引の実情といえるものである。

また、同様に第36類の「建物又は土地の情報の提供」を取り扱う不動産に関する情報の提供を行う分野は、主として情報誌あるいは定期刊行物を介して取引者、需要者にサービスを提供しており、これらの情報誌あるいは定期刊行物も同種のものが多数発行されており、非常に似通ったものが多くなるから、これらの情報誌あるいは定期刊行物に表された情報の提供業者の営業名も略称することなく、営業名全体をもって役務の取引に当たるのが取引の実情といえるものである。

してみると、本件商標は、前記したように、外観、称呼において一体のものとみられるばかりでなく、その指定役務の取引の実情からも、書された文字全体を読んだ場合の「アパマンショップ」の一連の称呼を生ずるものとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応して「アパマンショップ」の一連の称呼を生ずるものであって、単に「アパマン」の称呼は生じないものといわなければならない。

これに対して、引用商標1は、「株式会社アパマン」の文字よりなるところ、その構成中の「株式会社」の文字は単に法人の種類を表すものであるから、該文字部分を略して、「カブシキガイシャアパマン」の他に「アパマン」の称呼をも生ずるものである。さらに、引用商標2ないし引用商標7は、前記あるいは別掲の構成よりなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して「アパマン」の称呼を生ずるものである。

してみれば、本件商標より生ずる「アパマンショップ」の称呼と引用の各商標より生ずる「アパマン」の称呼を比較すると、本件商標は、後半部分において「ショップス」の音を有してなるものであるから、それぞれを一連に称呼するも、明瞭に聴別し得るものである。

また、本件商標と引用各商標の観念についてみるに、「アパマンショップ」及び「アパマン」の両語は、共に造語よりなるものと判断するのが相当であるから、両者は、観念上比較することはできない。

さらに、本件商標と引用各商標は、それぞれの構成よりみて、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。

したがつて、本件商標と引用各商標は、称呼、観念及び外観上のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

なお、請求人は、「ショップ」の文字について自他役務識別標識としての機能を有しない旨述べ、審査例、審決例等を挙げ(甲第20号証ないし同第30号証)、甲第46号証及び同第47号証)、本件商標と引用各商標は称呼上類似する旨主張するが、これらの事例は、称呼、観念等において軽重の差異を有するものであったり、あるいはその指定商品が必ずしも「建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供」に限定されているものではないし、また、前記したように不動産業界あるいはその情報の提供を行う分野の取引の実情よりすれば、本件商標は、一体不可分の商標として把握、認識されるとみるのが相当であるから、請求人の挙げた事例が本件における両商標の類否判断にそのまま当てはまるものではなく、請求人の主張は採用できない。

(2)商標法第4条第1項第15号について。

請求人は、「アパマン」及び「APAMAN」を「住宅情報誌」について使用し、本件商標の登録出願時には、前記商標が請求人の発行に係る「住宅情報誌」を表示するものとして需要者間に広く認識されている旨主張し、この点に関する証拠として甲第8号証ないし同第45号証(枝番を含む。)を提出しているので、以下この点について検討する。

(イ)甲第8号証は、3頁からなる「会社案内」の写しで、表紙に商号「株式会社アパマン」、設立「昭和57年7月」、支社「新宿・横浜・西船橋」及び関連会社「(株)アパマン館、(株)アパ」の記載、さらに2頁目に「媒体名...」、「販売場所...」、「発行部数、26万部」の記載がされている。

しかしながら、請求人が請求の理由中で主張している「株式会社ハウザー」と「株式会社アパマン」との関係及び経緯の記載はなく、また、発行部数についても、単に「26万部」と記載されているのみで、「アパマン館」商標の使用についての「株式会社ハウザー」の証明書(甲第31号証)を除き、他にこれらに関する第三者の証明あるいは公的機関の登記簿等の提出はない。

(ロ)甲第9号証は、3頁からなる「WEEKLY アパマン」の表題のある請求人の業務広告で、業務内容及び業務範囲の宣伝が掲載されているが、発行日の記載のないものである。

(ハ)甲第10号証ないし同第14号証は、別掲(3)及び同(4)の表題を有する週刊情報誌の表裏の写しで、甲第10号証は「昭和63年1月21日発行」、甲第11号証は「平成3年5月31日発行」、甲第12号証は「平成9年9月4日発行」、甲第13号証は「平成9年5月9日発行」及び甲第14号証は「平成10年4月17日発行」であり、甲第15号証は、別掲(3)及び同(4)の表題を有する週刊情報誌の現物で「平成11年8月6日発行」であるが、大きく表題として用いられている商標は、全て同一の図案化した別掲(3)及び同(4)の商標である。

(ニ)甲第16号証及び甲第17号証は、各電車内で中吊り広告をしている状態の写真であるが、線名、日付、期間及び媒体名の記載がなされているだけで、誰が撮影したか、該中吊り広告に要した金額等は不明である。

(ホ)甲第18号証の1ないし同甲第18号証の5は、各テレビのテレビスポット放送通知書の写しであり、甲第19号証は、株式会社電通の「各テレビのテレビスポット放送」の請求書の写しである。

各テレビのテレビスポット放送通知書には、昭和63年1月から4月までの間の記載(各テレビ局によって期間が異なるが)であり、株式会社電通の「各テレビのテレビスポット放送」の請求書の写しには、平成2年3月19日が請求日の最終の日付であるから、本件商標の登録出願日である平成9年11月29日(登録日は平成11年5月21日)より相当以前の日付でわずかの期間といえるものであるし、また、どのような内容で放送されたか明らかではない。

(ト)甲第32号証ないし甲第45号証は、上記(ハ)及び(ニ)の追加的証拠で甲第32号証が週刊情報誌の表紙及び裏表紙の写しで、表紙の右上に小さく「昭和62年11月19日発行」、上部中央に大きく「アパートマンションの情報」の表題、その左下に小さく「アパマン」の文字、裏表紙に「アパマン館」及び「株式会社ハウザー」の文字の記載があるが、甲第15号証及び甲第32号証の週刊情報誌は、いずれもその実際の発行部数、実販売部数が明らかでないし、また、他誌と比較した場合の部数の多寡等を客観的に把握することのできる資料の提出はない。

さらに、甲第33号証ないし甲第44号証は、「株式会社 アド・東弘」による駅構内のポスター、電車内の中吊り広告及びバス内の車額に広告をしている状態の写真で、これらの中、以下の甲号証には、依頼を受けた広告を掲出したとする掲出証明書、広告掲出証明書及び掲出通知書の写しが上記写真の間に挟まれている。

しかして、甲第34号証には、「京浜急行電鉄株式会社」の掲出期間が平成10年3月4日から同5日、数量780枚の掲出証明書、「株式会社相鉄エージェンシー」の上記と同一の期間、提出枚数450枚の広告掲出証明書及び「株式会社モノレール・エージェンシー」の「(株)アパマン」宛ての掲出期間が平成10年3月6日から同8日で、数量120の「掲出通知書」の写しが提出されているが、これらの証明書あるいは通知書には、いずれも掲出証明した日付のないものである。また、甲第33号証ないし甲第41号証には、上記「株式会社モノレール・エージェンシー」の「掲出通知書」の写しが提出されているが、これらには、上記の甲第34号証と同様に、掲出証明した日付はなく、掲出場所の欄に「浜松町から空港」の項のあるものだけである。

甲第45号証は、単なるインターネットによる「全国交通広告料金表」の写しである、

(チ)以上、提出された商標法第4条第1項第15号に関する甲各号証よりすると、「アパマン」、別掲(3)及び同(4)の商標が、住宅情報誌に用いられていること、各駅構内・プラットホームに広告、各電車内の中吊り広告、バス内の車額に広告及び各テレビのスポット放送広告がなされたことは認められるが、住宅情報誌については、上記(ハ)及び(ト)のとおり、大きく表題として用いられている商標は、甲第32号証を除き、別掲(3)及び同(4)の同一商標であって、他の引用商標と比較して、図案化の程度が特異といえるものであるし、実際の発行部数、実際の販売部数、実際の販売地域及び他誌との多寡の比較が客観的には明らかではない。

また、JR及び各私鉄の駅構内、プラットホームの広告、各電車内で中吊り広告及びバス内の車額の広告については、広告量、広告した期間は、上記のとおり、一部明らかな部分はあるが、広告に使用されている住宅情報誌の表題として用いられている商標は、別掲(3)及び同(4)の同一商標のみであるし、広告の量についても、他社との多寡の比較が客観的には明らかではない。

さらに、各テレビのテレビスポット放送については、上記(ホ)のとおり、昭和63年1月から4月までの間であり、本件商標の登録出願日である平成9年11月29日(登録日は平成11年5月21日)より相当以前の日付で、かつ、わずかの期間といえるものである。

そうとすると、別掲(3)及び同(4)の商標はともかく、請求人が商品「住宅情報誌」に使用している「アパマン」及び「APAMAN」の商標は、請求人の取り扱いに係る商品「住宅情報誌」を表示するものとして、本件商標の登録出願時には、請求人の提出した証拠からは、需要者間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠を十分提出しているものとは認められない。

してみれば、本件商標をその指定役務に使用した場合、引用の各商標を連想、想起させることはなく、本件商標は、請求人または請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれはない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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