結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35383号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3262746号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ソリューション」の片仮名文字と「SOLUTION」の欧文字を二段に書してなり、平成4年12月25日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,有線放送,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、同9年2月24日に設定登録がなされたものである。
請求人は、本件商標の登録は無効とすべき旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求の理由
「ソリューション」なる語は、原語である英語の「SOLUTION」の有する「解決」の意味から本指定役務の関係する通信ネットワークの分野において多用されているため、「ソリューション」、「SOLUTION」なる語を本願指定役務のうち「電子計算機端末による通信,有線放送」について使用した場合、「問題を解決するための、電子計算機端末による通信」「問題を解決するための、有線放送」を想起させるため、単に役務の質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。
一方、上記以外の役務に本願商標を使用した場合は、役務の質の誤認を生じるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号または第4条第1項第16号に該当するものであることは明らかであり、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とされるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、「『ソリューション/SOLUTION』の語が審判請求書において述べられた役務について具体的にその役務の質を表すものとして、普通に使用されている事実はなく、又、該語がコンピュータ用語として使用されている概念はあいまいであり、役務の質は特定できない。又、役務の質を表すものであるとする具体的な事実、役務の質を表す語として普通に使用されている事実等を示していない。」旨主張している。
これについては、請求人は、「ソリューション」の語がコンピュータのユーザ企業の各種業務・ビジネス等における問題や課題を解決すること、問題解決、問題解決提案、問題解決手法をいうことを示すための補強資料として甲第3号証を提出する。
なお、甲第3号証は発行日が平成8年11月25日であり、本登録の登録査定日より後に発行されたものであるが、登録査定の僅か3か月後に発行されたものであり、発行の準備期間を考慮すると本登録査定時にはすでに「ソリューション」の語が上記の意味を有する語となっていたことを十分示すものである。
また、「ソリューション(Solution)」の語は甲第4号証のように不特定の分野でまさしく「解決」の意味で「解決」の語より響きがよい外来語として多用されており、本登録の登録査定時にも同様の状況であったことは明白である。
被請求人は該語がコンピュータ用語として使用されている概念はあいまいであると述べているが、上記のとおり、該語は、「ユーザ業務における問題や課題のコンピュータシステム化を通じた解決」という特定の意味を有しており、その解決する内容は多岐にわたるが決して「あいまいな概念」ではない。
また「ソリューション」には、イントラネットやインターネットを利用したシステムを提言することは第5号証のとおり当然のこととして行われており、「ソリューション」の語が「電子計算機端末による通信,有線放送」業務について使用された場合には「顧客の業務における問題を解決するために有用な、電子計算機端末による通信・有線放送」の意味で把握されるため、役務の質(内容)を表わすものであることは明らかである。
「ソリューション」の語は、その登録査定時には甲第3号証ないし同第5号証に示すような状況になっていた訳であるから、該語は、「取引上、現実に多数人に使用されているから、商標として登録しても特定人の役務を識別する標識としての機能を営みがたく、また、取引上多数人にその使用を開放しておかなければ商取引上不便であり、特定人に独占される場合には多数人に不測の損害を与える」ものとして登録されるべきではない。
(イ)被請求人は、「第42類について『ソリューション/SOLUTION』の語を含む商標が複数登録されているから、該語は識別力を有する。」旨主張している。
しかしながら、第42類の例が本件第38類に適用されるとはいえない。なぜ、第38類の例をあげないのか疑問である。
また、これら「ソリューション」の語を含む複数の語が併存しているということは、「ソリューション」の語には識別力がないか又はこれらの商標が一連一体でのみ看取されて全体として識別力を有する語として判断されたかを示すものであり、決して「ソリューション」の語が識別力を有することの証明にはなり得ないものである。
(ウ)したがって、「ソリューション」の語は識別力を有しないものであり、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当し、無効にされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のように答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし同第2号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)商標法第3条第1項第3号に該当するとの理由について
(ア)本件商標「ソリューション/SOLUTION」は、乙第2号証によれば、「溶解、解決」等の意味を有する英語であることが認められる。請求人は、該語は「問題を解決するための、電子計算機端末による通信」「問題を解決するための、有線放送」を想起させる旨を述べているが、その事実の立証がなされていなく、正当性を欠くものである。
「SOLUTION」に「解決」の意味を含み、近年コンピュータ関連の用語として「顧客の情報化の課題を理解し、その解決のための支援をトータルに行なう」の意味において用いられているとしても、請求人が説示する指定役務について、「ソリューション/SOLUTION」が具体的にその役務の質を表わすものとして、普通に使用されている事実はなく、又、該語がコンピュータ用語として使用されている概念はあいまいであり、したがって、これからは役務の質は特定できないものである。
この点に関し、請求人は本件商標から「解決」の意味が生じ、したがって指定役務「電子計算機端末による通信,有線放送」に使用すれば役務の質を表示する旨を述べるだけで、「解決」の意味を有する「ソリューション/SOLUTION」がなぜこれら役務に使用され、その役務の質を表わすものであるとする具体的な事実、役務の質を表わす語として普通に使用されている事実等を全く示していない。
(イ)ちなみに、第42類の役務であるが、上記事実を示すものとして、過去の登録例をたどってみても、例えば、「Quick−Solution」(登録第3331787号)、「BEST/SOLUTION」(登録第4027921号)、「ソリューションブティック」(登録第4067582号)、「ASソリューション」(登録第4083382号)、「98ソリューションセット」(登録第4093039号)、「98BestSolution」(登録第4303349号)等々が存在し、そのいずれもが役務として識別力を有し、又、役務の質の誤認を生ずるおそれがないとして、登録されており、これら事実は被請求人の答弁と一致その正当性を充分証左するものと深く確信するところである。
したがって、本件商標は商標法第第3条第1項第3号に該当するとの請求人の理由は成り立たないものである。
(2)商標法第4条第1項第16号に該当するとの理由について
前記(1)で述べた理由により、本件商標をその指定役務に使用するも、充分自他役務の識別機能を果たし得るものであるから、これを如何なる指定役務に使用するも、役務の質について誤認を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当するとの請求人の理由は成り立たないものである。
本件商標は、前記に示すとおり、「ソリューション」の片仮名文字と「SOLUTION」の欧文字よりなるところ、「SOLUTION」の欧文字は「解決、解答、溶解」等の意味を有する英語であり、上段の「ソリューション」の片仮名文字は、下段の欧文字の読みを表したものと認められる。
請求人の提出した平成6年9月22日、株式会社オーム社発行の「最新マルチメディアに強くなる用語事典」(甲第2号証の1)には、「ソリューションプロバイダ」の項で「企業の情報システム構築をトータルにサポートするメーカーやソフト会社のこと」との記載があることが認められる。
また、コンピュータ関連雑誌(甲第2号証の2ないし4)において、その記事及び見出し等で「ソリューション/SOLUTION」の語が使用され、平成8年11月25日、株式会社オーム社発行の「情報ネットワーク用語事典」(甲第3号証)の「ソリューション業務」の項で「ユーザ企業の業務などにおける問題点を的確に把握し、最適なシステム化へ向けて提案、販売、開発、保守により、ソリューション(問題解決)を行う業務をいう。」の記載、検索キーを「ソリューション」とした「YAHOO!」の検索結果(甲第4号証)の中に「ソリューション/SOLUTION」の語が使用されていること、日本アイ・ビー・エムのWebページ(甲第5号証)の中に「ソリューション」の語が使用されていることがそれぞれ認められる。
そこで、上記甲第2号証ないし同第5号証(枝番を含む。)の事典類及び記事の記載について判断するに、これらの記事等は、コンピュータ、パソコン、インターネットの利用者(取引者・需要者)をその購買者層として含むと考えられる出版社及び情報通信企業によって掲載されたものであるが、これらは紹介する用語又は紹介する記事、検索結果として「ソリューション」「SOLUTION」等の用語が使用されているにすぎないものであって、それも他の語と連綴した熟語として使用されていることも多く、また、該検索結果はビジネスと経済、趣味とスポーツ、コンピュータとインターネット等、不特定多数の分野を検索対象にしたものと認められるものであり、該語が本件商標の指定役務の質(内容)となることを読者に認識させるような内容とはいえない。
ところで、コンピュータ、パソコン、インターネットのIT情報産業分野においては、次々と新しい機器が販売され、これに伴うシステムの提供に際して種々の問題課題を抱えており、これはユーザーにとっても同様のことであるが、これらの問題の解決に向けて機器の開発、製造及びこれに伴う業務を行うことは当然のことであり、かつ、永遠の課題ともいえるものである。
そうとすれば、本件商標は、「SOLUTION(ソリューション)」の語が「解決、解答、溶解」等の意味を有する英語(単語)であり、前述の如く該語が情報通信の分野において使用されているとしても、これが特定の役務の質(内容)等を具体的に表したものとして理解されることはなく、また、該語がそのように用いられている証左も見出せない。
してみれば、本件商標は、その指定役務中の「電子計算機端末による通信,有線放送」に使用した場合、役務の質(内容)等を具体的に表示したものとはいえず、自他役務の識別標識として機能し得るものであり、また、前記役務以外の指定役務に使用しても、その役務の質の誤認を生じさせるおそれのないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、平成12年1月5日付け提出の弁駁書「6.理由(4)」中において「なお、上記資料によってもなお、該語がコンピュータ用語として使用されている概念の特定が難しいとしても、該語は上記に述べた意味を想起させるものであり、需要者をして何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものに該当するので、本件登録が商標法第3条第1項第3号に該当しない場合には商標法第3条第1項第6号に該当し、無効にされるべきものであると考える。」と述べている。
しかしながら、無効審判請求後に新たな無効理由を追加主張することは、請求の理由の要旨を変更する補正にあたるというべきであるから、請求人の上記無効理由の追加は、商標法第56条において準用する特許法第131条第2項の規定により認められない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。