結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30825(T2000−30825/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第3070668号商標(以下、「本件商標」という。)は、「味工房」の文字を書してなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(『かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり』を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成5年3月16日登録出願、同7年8月31日設定登録されたものである。
2.請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を(一)のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出し、かつ、被請求人の答弁に対して、(二)以下のように弁駁した。
(一)本件商標は、継続して過去3年以上「カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物」について不使用である。よって、当該商品について、商標法第50条の規定に基づき、その登録の取り消しを求める。
(二)被請求人が、本件商標の使用事実を立証するものとして提出した乙第1号証は、本件商標の通常使用権者である株式会社味工房の納品書(控)であって、それには、納品者として、株式会社味工房という表示が存することは認められるものの、該納品書における「株式会社味工房」という表示は、ブイヤベースの素5箱の納品者を表示しているにすぎず、商標としての使用ではない。
被請求人は、当該納品書の「株式会社味工房」という表示によって、本件商標が、商品「スープのもと」に使用されている旨主張するが、商品「スープのもと」に使用される商標というのは、別途、その包装袋に表示(印刷)されているはずであり、「株式会社味工房」という表示は、商品「スープのもと」の商標ではなく、納品者の社名表示にすぎない。
つまり、商標と商品との関係が、明確に表示されていることが必要であり、被請求人の提出証拠では、それが明確といえない。
さらに、前記乙第1号証は、取引書類の使用を客観的に立証するものとしては、それのみでは不十分である。
3.被請求人の主張の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たないとの審決を求め、(一)のとおり答弁するとともに、乙第1号証及び同第2号証を提出し、また、請求人の弁駁に対して、(二)以下の旨再答弁した。
(一)本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、通常使用権者により、商品「スープのもと」に使用されている。
(1)乙第1号証は、本件商標の通常使用権者(未登録)である株式会社味工房(東京都調布市布田1−26−12−607)により発行された納品書の「控え」であり、当該納品書の右上欄には、「味工房」の文字が表示されているので、本件商標が使用されていることがわかる。
また、その「コード・商品名」欄には、「ブイヤベースの素」と記入されているので、取引の対象となった商品が「スープのもと」であって、本件商標が、当該「スープのもと」に使用されていたことがわかる。
なお、本件審判請求の登録日は、平成12年8月16日であるところ、前記納品書の右上欄には、「11年8月12日」と記載されているので、当該請求の登録の約1年前に本件商標は使用されていたことがわかる。
(2)乙第2号証は、本件商標の通常使用権者である株式会社味工房の登記簿謄本であるが、これにより当該会社は実在しており、食品の販売、ソース・惣菜の製造等を目的として設立されていることが明らかである。
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、通常使用権者により、商品「スープのもと」に使用されていること明らかである。
(二)請求人は、乙第1号証及び同第2号証によっては、本件商標の使用事実は立証されていないと主張しているが、被請求人は、本件商標の使用事実が、乙第1号証及び同第2号証によって十分に立証されていると確信している。
(1)商標法第2条第3項は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為(第1号)」のほかに、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡等する行為(第2号)」や「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為(第7号)」も、「標章の使用」であると規定している。
そして、登録商標の取消審判において使用事実を立証しようとする際には、これらすべての態様で登録商標が使用されていることを立証しなければならない訳ではなく、いずれか一つの態様での使用行為が立証されれば足りる。
被請求人の提出した乙第1号証によれば、本件商標が、法第2条第3項第7号に規定されている態様で使用されていることは明らかである。請求人も認めているように、「納品書」というのは、「商品の取引書類」である。
また、この書類には、納品先の会社名、その住所、発行日、商品の数量、単価、金額が明記されていることから、この書類が納品先の会社に送付され、実際に使用されたものであることは明らかである。
そして、この書類には、本件商標「味工房」と同一の文字よりなる標章が付されている。
そうしてみると、「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に本件商標が付され、展示又は頒布」されたことは明白であり、したがって、乙第1号証によって、本件商標の使用事実は十分に立証されていると考えられる。
(2)なお、乙第1号証による使用事実の立証の可否について、請求人は、「『株式会社味工房』は、『スープの素』の商標ではなく、納品者の社名表示にすぎない」と主張しているが、かかる請求人の主張が、仮に「納品書における『株式会社味工房』という表示は、納品者の社名表示であるから、本件商標は、対象商品について使用されていない」という意味のものであるならば、そのような主張は、著しく妥当性に欠けるものであるといわざるを得ない。
「ある標章が社名表示である場合には、それは他のものではあり得ない」というように、「社名表示」が排他的な性格を有しているのであれば、そのような主張も可能であろうが、「社名を表示すること」と、「商標的な態様で使用することにより、商標としての機能(自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能等)を発揮させること」とは、決して「相容れない」こと、つまり、「両立し得ないこと」などではなく、ある文字列の表示(標章)が看者に対し社名を伝達すると同時に、商標としての機能を発揮し得ることは、今日の取引業界において顕著な事実であり、これを否定することはできないはずである。
そうであるとすれば、「社名表示であるから、商標としての使用に該当しない」とする請求人の主張は、著しく妥当性を欠いているものであるといえる。
なお、この「味工房」の文字のデザインは、株式会社味工房が、これを商標として使用することを企図して、書道家に依頼して特別に制作した、オリジナルのものである。
このような事情に鑑みると、納品書に表示されている「味工房」の文字は、その左側に表示されている「株式会社」の文字と一体不可分のものであるとはいえない。
したがって、納品書に表示されている「味工房」の文字は、「株式会社」の文字との組み合わせにおいては、納品者の社名を表示することになるが、単なる社名表示には止まらず、特別な書体によって表示されること等により、看者に対し、単独でアピールする力を有している。
そうしてみると、納品書に表示されている「味工房」の文字は、自他商品識別機能を発揮し得る態様で、すなわち、商標的な態様で使用されていると考えられ、継続的に使用されることにより、自他商品識別機能だけでなく、品質保証機能、宣伝広告的機能等も、十分に発揮し得る。
4.当審の判断
被請求人は、通常使用権者である株式会社味工房が、本件商標を取消請求に係る商品に使用している実質的証拠として、納品書(控)(乙第1号証)を提出しているが、当該書面は、通常使用権者が件外「山屋食品(株)」に宛てたものであり、そのコード・商品名欄に「ブイヤベースの素」と記入されているので、取引の対象となった商品が「スープのもと」であって、本件商標は、それに使用されていたことがわかると被請求人は主張している。
そこで思うに、商品「スープのもと」は、そのパッケージあるいはそれに含まれる複数の小袋のそれぞれに、商標、品名、原材料名、栄養表示、内容量、保存方法、製造年月日、賞味期限、製造者の名称・住所、販売者の名称・住所、問合せ先、当該商品の特徴、召し上がり方等を表示し、当該商品を不特定多数の者に対し、反復継続して販売等するというのが一般的であるといえるところ、例えば、そのうちの賞味期限などは、概ね製造年月日より1年未満であることなどから、かかるパッケージ等の提出をもって、使用立証も比較的容易といい得るところであるが、被請求人は、一貫して、前記一葉の納品書(控)により本件商標を本件審判請求の登録日前3年以内に取消請求に係る商品に現実に使用しているとの主張をしている。
しかして、前記納品書の右上付近に見受けられる「株式会社 味工房」の文字は、その下段に郵便番号、住所、電話及びFAX番号を伴っていることよりすれば、たとえ、「味工房」の文字部分の書体が「株式会社」の書体と異なっているとしても、両文字が一体として商号を表示したものと理解されるに止まるというのが相当である。
そして、前記「株式会社 味工房」と本件商標とは、その構成はもとより、称呼、観念を異にするものであるから、これをもって、社会通念上、本件商標と同一のものとみることはできないものである。
そうとすれば、被請求人は、前記したとおりに判断し得る乙第1号証を提出したのみで、本件商標を本件審判請求に係る商品「カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物」に使用していた事実を客観的に認め得る証左を提出していないものというべきであるから、本件商標を審判請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品に使用しているものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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