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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35641号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2724153号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2724153号商標(以下、「本件商標」という。)は、下記に表示したとおり「日本ヴォーグ社の」「編物ヴォーグ」の各文字を二段に横書きしてなり、第26類「雑誌」を指定商品として、昭和58年3月10日に登録出願、平成10年9月4日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概略次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証から同第87号証までを提出している。

(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することについて

(イ)引用登録商標

請求人が所有する登録第655209号商標(以下、引用A商標という。)は、欧文字で「VOGUE」と横書きしてなり、旧第26類「印刷物、ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品として、昭和36年10月23日に登録出願、同39年10月9日に設定登録されたものである(甲第2号証の1及び2参照)。同じく、登録第967284号商標(以下、「引用B商標」という。)は、片仮名文字で「ヴォーグ」と横書きしてなり、第26類「雑誌、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和43年12月20日に登録出願、同47年6月7日に設定登録されたものである(甲第3号証の1及び2参照)。

(ロ)標章の類似性

まず、本件商標と引用A、B商標とを称呼の点から対比してみると、本件商標からは、その上段部分に相応して「ニホンヴォーグシャノ」の称呼が生ずるとともに、その下段部分に相応して「アミモノヴォーグ」の称呼が生ずるものである。更に、本件商標の下段部分「編物ヴォーグ」からは、著名商標との関係及びその構成に照らし「ヴォーグ」の称呼も生ずるものと考えられる。

(ハ)本件商標の下段部分は、上段部分に比べて太く大きくハッキリと書されており、それ自体、看者の注意を惹きやすい構成態様であるところ、その「編物ヴォーグ」の文字は、(a)漢字と片仮名文字の異種の文字を結合してなるものであるから、「編物」と「ヴォーグ」の部分に分離して観察されやすい(b)「編物ヴォーグ」の文字全体で独自の観念を生ぜしめるものではない(c)その構成中「編物」の文字は、単に本件商標の指定商品である「雑誌」の内容を表示するにすぎず、自他商品識別力の希薄な文字であるから、とりたてて取引者、需要者の注意を惹くものではない。

これに対し、その構成中「ヴォーグ」の文字は、後述するように、世界的に著名なファッション雑誌の題号である「VOGUE」の片仮名表記であり、我が国において、「ヴォーグ」の文字は「VOGUE」誌を指称するものとして広く認識されており、強力な自他商品識別力を有するものである。これらを総合勘案し判断すれば、本件商標の下段部分「編物ヴォーグ」は、不可分一体の構成ではなく、自他商品識別力が希薄な「編物」の文字と強力な自他商品識別力を有する「ヴォーグ」の文字とに分離して観察されるものと考えられる。そうであれば、元々、看者の注意を惹きやすい構成の下段部分において、「ヴォーグ」の文字部分に取引者、需要者の注意が集中することは明らかであるから、この部分から「ヴォーグ」の称呼が生ずることは疑う余地のないところである。

他方、引用A、B商標からも、それぞれ「VOGUE」及び「ヴォーグ」の文字に相応して「ヴォーグ」の称呼が生ずることはいうまでもないことである。

従って、本件商標と引用A、B商標とが称呼の点において、類似するものであることは明らかである。加えて、外観の点においても、引用B商標の「ヴォーグ」において、類似するものである。

(ニ)引用A商標は、以下の「VOGUE」商標(引用A商標)の著名性についての項において立証するように、ファッション雑誌のタイトルとして、我国をはじめ世界的に著名な商標であり、特に我が国においては、第二次大戦以前より「VOGUE」誌の称呼としてはカタカナの「ヴォーグ」(引用B商標)又は「ボーグ」が用いられて現在に至っている。

(ホ)「VOGUE」商標(引用A商標)の著名性について

(a)まず、「VOGUE」商標(登録第655209号)(引用A商標)の著名性について立証する。

「VOGUE」商標の著名性については、当該商標登録第655209号の商標登録原簿(「甲第2号証の2」参照。)に既に22件の防護標章が登録されている事実、並びに、後述する一連のいわゆる「VOGUE」判決に照らし、特許庁及び裁判所における顕著な事実である。請求人は、その事実を下記の証拠により重ねて立証する。

(b)各種事典類、文献類、新聞、雑誌等々における「VOGUE」誌についての記載を紹介することによって、「VOGUE」商標が本件商標の出願日(即ち、昭和58年(1983年)3月10日)よりも遥か以前から、わが国において著名性を獲得していた事実を立証する。

(c)戦後の入荷

まず、戦後間もない1949年(昭和24年)10月3日発行の「朝日新聞」(甲第11号証の1及び2)には、「『ヴォーグ』入荷 世界的スタイル雑誌『ヴォーグ』が十年ぶりに一日入荷した。」と記載されており、戦争のため輸入ができなかった「VOGUE」誌が10年ぶりに入荷したことが、社会的事件として報じられている。

(d)事典類の記載

・1955年(昭和30年)8月30日、平凡社発行の「世界大百科事典 3」(甲第12号証)には、「ヴォーグ」の項に、「Vogue 最も知られた流行服飾雑誌の名。」(第96頁)として20行にわたる解説が記載されており、昭和30年において、早くも「最も知られた流行服飾雑誌」との評価を受けている。

・1970年(昭和45年)8月25日、平凡社発行の「アポロ百科事典3」(甲第13号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue フランスの服飾雑誌。」(第1809頁)との記載のほかに、アメリカ版、イギリス版にも触れた記載がある。

・1971年(昭和46年)3月15日、小学館発行の「大日本百科事典ジャポニカ−16」(甲第14号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue 婦人服飾流行雑誌。」(第444頁)との記載と、フランス版、アメリカ版、イギリス版の特色が記載され、「いずれの版もファッション雑誌としては高水準のものを紹介していることでは一致している。」(同頁)と記載されている。

・1973年(昭和48年)2月1日、平凡社発行の「小百科事典」(甲第15号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue フランスの服飾雑誌。」(第1288頁)との記載及びアメリカ版、イギリス版もある旨の記載がある。

・1974年(昭和49年)8月1日、集英社発行の「外国からきた新語辞典 第3版」(甲第16号証)には、「ボーグ」の項に、「アメリカのファッション雑誌名」(第266頁)との記載がある。

・1981年(昭和56年)4月20日、平凡社発行の「世界大百科事典 3」(甲第17号証)には、「ヴォーグ」の項に、「Vogue 最も知られた流行服飾雑誌の名。」(第117頁)と記載され、アメリカ版、フランス版、イギリス版についての説明も含めて23行にわたる解説が記載されている。

・1981年(昭和56年)7月16日、講談社発行の「写真大百科事典」(甲第18号証)には、「80 VOGUE ヴォーグ」の項に、「国際的なモード誌のひとつ。」(第135頁)と記載され、「VOGUE」誌の歴史が詳細に記載されている。

・1983年(昭和58年)1月10日、小学館発行の「最新英語情報辞典」(甲第19号証)には、「Vogue」の項に、「米国の月刊ファッション誌;1915年創刊;ファッション雑誌の代名詞ともいわれ、多くの優秀なファッション=カメラマンを輩出した」(第1313頁)と記載されている。

・1983年(昭和58年)5月25日、講談社発行の「大事典desk」(甲第20号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue 服飾雑誌」(第1447頁)と記載されている。

・1986年(昭和61年)4月20日、名著普及会発行の「アメリ力州別文化事典」(甲第21号証)には、「Vogue ボーグ」の項に、「Conde Nast publicationsが発行する月刊ファッション誌。創刊は1989年。ファッションマンガの代名詞と言われる高い評判を獲得した。」との記載されている。・・・・・・・・(以下、省略)

上記の如く、当該周知証明書は、我が国を含めて世界の錚々たる企業・協会等が、「VOGUE」商標の著名性について立証したものであり、前記東京商工会議所の周知証明書に優るとも劣らない証拠能力を有するものである。

(ヘ)更に、「VOGUE」標章の著名性については、裁判所の判決においても明確に認定されている。即ち、前述した、平成10年9月29日に判決言渡があった平成9年(行ケ)第278号審決取消請求事件の「判決」(甲第4号証)の第24頁には、「以上に認定の事実を総合すると、本件商標の出願時である昭和58年12月はもちろん、その登録時である昭和62年7月においても(引用商標の著名性が本件商標の出願時後に衰えたことを認めるに足りる証拠はない。)、引用商標は、日本国内において、原告(当時は、コンデ・ナスト社)の発行している世界的に有名なファッション雑誌である「VOGUE」(「ヴォーグ」)誌の題号として、服飾関係のデザイナーはもちろん、ファッションに関連する商品の取引者、需要者間において広く知られていたものと認められる」と認定されている。

また、平成10年12月10日に判決言渡があった平成10年(行ケ)第162号審決取消請求事件の「判決」(甲第5号証)の第19頁ないし20頁には、「(4)以上認定の事実並びに服飾関係者、書店出版関係者などが作成した証明書である甲第66号証の1ないし70を総合すると、本件商標の登録出願時である昭和61年2月27日はもちろん、その登録時である平成1年1月23日においても、引用商標は、日本国内において、原告(当時は.原告が合併する前のコンデ・ナスト社)の発行する世界的に有名なファッション雑誌である『VOGUE』(「ヴォーグ」)誌の題号として、服飾関係のデザイナーはもちろん、ファッションに関連する商品の取引者、需要者間において広く知られていたものと認めることができ、これに反する証拠はない。」と認定されている。

次に、昭和62年から昭和63年にかけて相次いで言い渡された、いわゆる「VOGUE」事件関連判決においても、「VOGUE」商標の著名性は明確に認定されている。即ち、まず、昭和60年(ワ)第1035号損害賠償請求事件についての大阪地方裁判所の「判決」(甲第52号証)の第20頁には、「被告(コンド・ナスト社)は、今世紀初頭からアメリカでファッション雑誌『ヴォーグ』(VOGUE)の出版を始め、現在アメリカ、フランス、イタリア、イギリス、オーストラリア、ドイツの六か国でヴォーグ誌を出版し、世界各国で発売しており、ファッション誌としては古典的かつ世界的な権威を持った有数の雑誌として知られている。日本でも昭和二八年頃からアメリカ版、フランス版等各国版が全国の、一流書店で販売されており、日本語版が販売されていないこと、価格がやや高価なことなどから大衆的なフアツンョン誌ではなく、発行部数もそれほど多くはないけれども、洗練されたフランスやアメリカの最新ファッションを知ることができる高級ファッション雑誌として、ファッションに関心のある各種デザイナーや一般女性の間にも広く知られている。」と認定されている。

更に、昭和61年(モ)第4564号商標権仮処分異議申立事件についての東京地方裁判所の「判決」(甲第53号証)の第15頁には、「すなわち、『VOGUE』誌は、債権者(コンド・ナスト社)により一九〇九年から発行され、現在ではアメリカ、フランス、イタリア、イギリス、オーストラリア、西ドイツで出版され、世界各国で発売されており、日本においても昭和二八年ころから右各国版が発売されているが、洗練されたアメリ力やフランスの最新ファッションを知ることができる高級ファッション専門雑誌として、デザイナーのみならず、一般人の間でも広く知られているほか、用語辞典にも、『VOGUE』の項に右『VOGUE』誌の紹介をしているものがある。」と認定されており、何れの判決も「VOGUE」の著名性を明確に認めている。

因に、上記東京地裁「判決」が言い渡された昭和63年2月12日の翌日の朝日新聞、毎日新聞及び読売新聞には、何れも当該判決に関する記事が掲載されており(甲第54号証の1〜4参照)、この事実に照らしても、「VOGUE」事件が一般社会において如何に注目されているか、換言すれば、「VOGUE」が如何に著名であるかが判る。そして、更に、昭和61年(モ)第53971号商標権侵害行為等差止仮処分異議申立事件の「判決」(甲第55号証)及び昭和61年(ワ)第9077号商標権侵害行為差止等請求事件の「判決」(甲第56号証)においても、「VOGUE」の著名性は明確に認定されている。即ち、当該甲第55号証「判決」の第17頁並びに甲第53号証「判決」の第17頁及び第18頁には、「以上の事実が認められ、右認定の事実によれば、『VOGUE』標章は、債権者(コンド・ナスト社)の発行している『VOGUE』誌の題号として,日本国内のファッションに関心のある各種デザイナーはもとより、ファッション関連商品の取引者及び需要者の間でも広く知られるに至っているものであり、遅くとも昭和55年ころまでには、債権者(コンド・ナスト社)主張のような意味で商品表示となるとともに営業表示となり、周知性を確立したものと認めるのが相当である。」と記載されている。しかも、当該「判決」が言い渡された翌日の新聞各紙は前記東京地裁の「判決」の場合と同様に、当該「判決」を大々的に取り上げて(甲第57号証の1〜7)「VOGUE」事件に対する関心の高さを示している。

(ト)更に、請求人は、わが国の一流企業が「VOGUE」誌を如何に高く評価しているかを明らかにすることによって、「VOGUE」標章の著名性を立証する。即ち、「VOGUE」誌はファッション関係を中心として各分野における世界一流の粋を集めたものであり、「VOGUE」誌に登場するファッション、ファッションモデル、デザイナー、カメラマン、企業、政界人、財界人等々は全てー流である。また、「VOGUE」誌に広告を掲載するについては、厳しい基準が設けられており、厳選された一流企業のみが「VOGUE」誌に広告を掲載できるのであり、「VOGUE」誌に広告を掲載できること自体、一流企業の証明となり得るのである。従って、わが国の一流企業もこのような「VOGUE」誌の権威性及び著名性を極めて高く評価しており、厳しい基準をクリアして宣伝広告を掲載しているのである。請求人は、上記事実を立証するため、パリ・ヴォーグ日本支局が発行した「VOGUE」誌への広告掲載主リストを甲第58号証として提出すると共に、実際に「VOGUE」誌に掲載されたわが国一流企業の宣伝広告頁(写)を甲第59号証として提出する。

以上の諸事実に基づき、「VOGUE」商標(引用A商標)が、わが国において、著名性を有していることは最早疑う余地のない事実である。又、引用B商標「ヴォーグ」も、「VOGUE」のカタカナ表記として前記甲第11号証の1から甲第59号証で示すように日本語の各書証中で使用されており、著名性を獲得しているものである。

従って、本件商標の登録審決時において、引用A、B商標は、いずれも著名性を有するものである。

(チ)一方、本件商標の使用態様は、「編物ヴォーグの20年」(甲第86号証)の創刊の昭和40年から20年間の各表紙が表すように、被請求人は「編物ヴォーグ」から徐々に「編物」の文字を小さくして使用するに対し、「ヴォーグ」の文字は大きく表示して使用している。そして、甲第87号証の「編物ヴォーグ」(’85 SPRING)の表紙及び目次では、「ヴォーグ」文字が際立って大きく表示され、殆ど「ヴォーグ」のタイトル同一のものとして見られる状態で使用している。請求人は、このような具体的な使用態様における対比を行う迄もなく、著名性の点で両者は明らかに類似するものと確信するものであるが、この甲第87号証の具体的な使用態様を見れば、少なくとも引用A商標と称呼同一、引用B商標と外観同一と判断されてしかるべきものである。このように、「VOGUE」、「ヴォーグ」を、一部に附して登録しようとする者は、いろいろと反論はするものの、登録後において、殆どこのようなフリーライドの意図がありありとわかるような方向へと変形使用しているのが実際である。

(リ)本件商標は、世界的な著名商標「VOGUE」(引用A商標)及び、そのカタカナ表記「ヴォーグ」(引用B商標)に共通する称呼「ヴォーグ」を含み、称呼が類似し、しかも、その指定商品「雑誌」は、引用A、B商標のそれと抵触する。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。

(2) 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

(イ)被請求人は、本件商標のタイトルを使用した雑誌「編物ヴォーグ」(甲第61号証)(但し、「ZAZA」に改題されている)の他に、以下に提出する数々の証拠、即ち商標権者「株式会社 日本ヴォーグ社」の出版に係る商品「雑誌」「パンフレット」「案内」等の「印刷物」について、請求人らの所有、かつ使用に係るファッション雑誌のタイトルとして世界的に著名な「VOGUE」(又は「ヴォーグ」)を使用している。

因みに上記甲第61号証の表紙は、「編物」と「ヴォーグ」が2段書きになっており、「ヴォーグ」を独立させている。従って、本件商標は引用A、B商標との関係で明らかに出所混同を生ずるおそれがあるものである。

従って、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に基づき、その登録は無効とされるべきである。

以下、その各証拠を列挙する。

(a)被請求人「株式会社日本ヴォーグ社」は、その出版する「雑誌」等の新刊を広告するために、縦書きで「ヴォーグ月報」(甲第62号証)と題する印刷物を作成し、書店等に配布している。

(b)更に、被請求人は、編物、刺繍、パッチワーク等に関する書籍を「暮らしを楽しむハンドホビー BOOKカタログ 販売店用」を通して「ヴォーグ基礎シリーズ」(甲第63号証)との名称を使用して出版している。

ここでは上記各種の書籍の宣伝、広告に少なくとも26種類の雑誌について、「日本」の文字を入れないで「ヴォーグ基礎シリーズ」の文字を使用している。請求人は、被請求人グループの「ヴォーグ学園」の入学案内書に「日本ヴォーグ・ホームカルチャー」文字の他に「日本」の文字を入れないで「ヴォーグ・ホームカルチャー」の文字を用いている(甲第64号証)。

被請求人グループの「ヴォーグ学園」の「講座のご案内」(甲第65号証)。ここでも「日本」の文字を使用しないまま「ヴォーグ学園」として使用されている。「ヴォーグ学園」の通信講座の1つ「アメリカン・パッチワーク・キルト」の案内書には「日本ヴォーグ・ホームカルチャー」「NIHON VOGUE’S HOME CULTURE SERIES」の文字が使用されている(甲第66号)。

(c)「ヴォーグ学園」の通信講座の1つ「キルト講座 入学のご案内」には、「日本ヴォーグ・ホームカルチャー」「NIHON VOGUE’S HOME CULTURE SERIES」の文字が使用されている(甲第67号証)。

(d)「ヴォーグ学園」の通信講座の1つ「パッチワーク入学のご案内」には、「日本ヴォーグ・ホームカルチャー」 「NIHON VOGUE’S HOME CULTURE SERIES」の文字が使用されている(甲第68号証)。

(e)「ヴォーグ学園」の通信講座の1つ「テディベア講座」の案内書には、「日本ヴォーグ・ホームカルチャー」の文字が使用されている(甲第69号証)。

上記のように、被請求人及びその関連会社の使用する「雑誌」を含む「パンフレット」「チラシ」等の印刷物には、請求人らの使用に係る世界的著名性を有する「VOGUE」又は「ヴォーグ」の文字が、その一部に取り入れられたままの状態で、現在、広範囲に亘って使用されている。

これらの諸事実から判断すれば、被請求人が出版内容を編物とした「雑誌」或いは「定期刊行物」を創刊するにあたって、請求人らの使用に係る「VOGUE」の名声に只乗り(フリーライド)しようとして本件商標をタイトルとして採択したことは、容易に考えられることである。なぜならば、主に出版業及び服飾業を行う被請求人が、その創業時あるいは本件商標をタイトルとした雑誌の創刊時に、請求人らがそれ以前から使用していた「VOGUE」、又は後述する「VOGUE KNITTING」の存在を全く知らないで、或いはこれらと無関係で本件商標を含む「VOGUE」及び「ヴォーグ」関連商標を採択したとは到底考えられないからである。換言するならば、第二次大戦後の被請求人会社設立年度である昭和33年以前から現在に至るまで、我国のファッション業界においてファッションを学び職業とする人々は、海外とりわけニューヨーク、パリ、ロンドン発のファッション文化を学ぶことが極めて当たり前、或いは必須であることは自明の事実であり、このような現実が存在している以上、被請求人が「VOGUE」誌と無関係に、或いは「VOGUE」誌のタイトルを知らないで「ヴォーグ」なる文言を採択するはずがないと考えるのが自然である。

現に我が国において、殆どの人は「日本ヴォーグ社」と聞くと、「VOGUEの日本支社ではないの?」と答えるのが実際である。事実、被請求人の所有する本件商標「編物ヴォーグ」(登録第2724153号)は、昭和33年当時から我国で発売された請求人ら発行の雑誌の商標「VOGUE KNITTING」の日本語訳そのものなのである。

(ハ)一方、請求人の引用A商標「VOGUE」は、ファッション雑誌のタイトルとして現在世界12ヶ国で出版されている(甲第8号証の1ないし9参照)。しかも、引用B商標「ヴォーグ」は、我国においては、著名商標「VOGUE」のカタカナ表記として、少なくとも昭和24年頃から現在に至る迄、新聞、雑誌等の印刷物上に広く使用されている(前記甲第11号証の1ないし甲第48号証参照)。又、「VOGUE」誌は、日本の有名大学をはじめ、有名でない大学を含め古くから配布されていることは、「学術雑誌総合目録」(紀伊国屋書店発行)の第6395頁及び第6396頁に明らかな通りである(甲第71号証)。加えて、本件商標の要部「編物ヴォーグ」の元となっていると推定される「VOGUE KNITTING」なるタイトルの編物専門雑誌が、米国で出版され、日本に輸入されている事実がある。即ち、「VOGUE」誌と関連させて、「ザ・コンデ・ナスト.パブリケーションズ・インコーポレーテッド」(The Conde Nast Publications,Inc.)名義で遅くとも、(a)1932年(昭和7年)には「VOGUE’S BOOK OF KNITTING and CROCHET」を出版していた事実がある(甲第72号証の1)(b)同様に上記タイトルの本(甲第72号証の2)を出版(年代不詳)(c)同様に上記タイトルの本(甲第72号証の3)を出版(年代不詳)(d)1947年(昭和22年)には、タイトルを上記のものから「VOGUE’S KNITTING BOOK」に変更して出版し(甲第72号証の4)(e)1950年(昭和25年)には、タイトルを更に変更して「VOGUE KNITTING BOOK」として出版(甲第72号証の5)(f)1965年(昭和40年)には「VOGUE KNITTING」とタイトルを更に変更(甲第72号証の6)(g)1969年(昭和44年)の「VOGUE KNITTING」誌(甲第72号証の7)に示すように出版(h)1982年(昭和57年)からは「VOGUE KNITTING」誌は、上記のコンデ・ナスト社から「バターリック・カンパニー・インコーポレーテッド」(Butterrick Co.,Inc.)によって毎年3回に亘り継続出版されることになり(甲第72号証の8)、実に1932年(昭和7年)から現在迄継続発行されている。

(ニ)被請求人は、その業務に係る本件商標の他に、上記(a)〜(e)に示すように「ヴォーグ基礎シリーズ」、或いは「ヴォーグ学園」、或いは「NIHON VOGUE’S HOME CULTURE SERIES」、或いは「ヴォーグ・ホームカルチャー」の文字を雑誌、パンフレット、チラシ等の印刷物に使用しているのであり、その中には明確に「VOGUE」(ヴォーグ)の部分が含まれているのである。

これらの諸事実から判断すれば、被請求人が著名商標「VOGUE」(ヴォーグ)そのものを含む本件商標をその指定商品「雑誌」について使用するときは、取引者・需要者は、「VOGUE」誌を発行する請求人らと経済的あるいは組織的に何らかの関連を有する企業の業務に係る商品であるかのように混同を生じさせるおそれがあることは自明である。同様に、上記(a)〜(e)に示す被請求人らの雑誌、パンフレット、チラシ等の印刷物を手にした入学希望者および生徒らを含む需要者、取引者も、「VOGUE」(ヴォーグ)の文字を見た場合、世界的に著名なファッション雑誌「VOGUE」を発行する請求人らと、経済的あるいは組織的に何らかの関連を有する企業の業務に係る商品であるかのように混同(例えば「日本ヴォーグ社」が「VOGUE」発行元の請求人会社らの日本支社であるかのような誤認混同)を生じさせるおそれがあることも、当然と考えられる。

なお、商品の出所について混同を生ずるか否かの判断は、商標自体の類否を抽象的に対比して論ずるだけでは足りず、当該商標の著名性の確立の程度等の当該商標取引を巡る諸事実を広く勘案して決定すべきものであることは、多くの判例によっても支持されているところである。

殊に、甲第86号証及び甲第87号証の如き使用態様の変化を見れば、被請求人がどのような反論をするにせよ、不正競争の意図は明々白々である。

よって本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号の規定に該当し、その登録は無効とされるべきである。

(ホ)日本国内及び諸外国からのVOGUE類似商標の他社出願について

ところで、ここ10数年来、著名登録商標「VOGUE」のもつ強力なグッドウィルにフリーライドすることを目的として、「VOGUE」、「vogue」、「ヴォーグ」あるいは「ボーグ」等の文字を含む商標の使用及び出願をする悪質な第三者が後を絶たない状況にある。このような状況に鑑み、コンド・ナスト社及びアドバンス社は、これらの第三者を排除するために、侵害者に対しては裁判所へ不正競争防止法等を根拠にした仮処分申請、本案訴訟を提起し(いわゆる「VOGUE」事件)、特許庁に対しては、登録異議申立をし、無効審判の請求を行なう等、著名登録商標「VOGUE」の防衛のためにあらゆる企業努力を重ねてきたのである。

その結果、まず、対裁判所との関係においては、後述するように、大阪地方裁判所及び東京地方裁判所に対して申請した都合3件の仮処分申請は全て申請容認の決定がなされ、更に、大阪地方裁判所及び東京地方裁判所に提起し、または、提起された都合4件の訴訟も全てコンド・ナスト社及びアドバンス社側の勝訴となったのである。そして、その内の2件について「VOGUE」商標の不正使用者が大阪高等裁判所に控訴した事件についても、大阪高等裁判所は大阪地方裁判所の判断を支持し、コンド・ナスト社及びアドバンス社側の勝訴となり、不正使用者側が上告を断念したため、いわゆる「VOGUE」事件についての裁判所判決は全てコンド・ナスト社及びアドバンス社側の勝訴として確定したのである。

以上のごとく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号ならびに同第15号の各規定に該当する無効理由を有するものであり、商標法第46条第1項の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。

3 被請求人は、請求人の上記2に対し何ら反論をしていない。

4 当審の判断

本件商標は、下記に表示したとおり「日本ヴォーグ社の」及び「編物ヴォーグ」の各文字を大きさを変え、かつ、大きく間隔をあけて二段に書してなるものである。

ところで、請求人が提出している甲各号証をみると、1892年社交界雑誌としてニューヨークで創刊し、1909年からは「コンデ・ナスト社」によりファッション雑誌に作りかえられた「VOGUE」誌は、その後、アメリカ、フランス、イタリア、イギリス、オーストラリア、ドイツ等の国々で出版され、世界的な権威をもったファッション雑誌として広く知られてきたものである。

請求人(アドバンス・マガジン・パブリツシャーズ・インコーポレーテツド)が、昭和63年に「コンデ・ナスト社」を合併した後の今日に至るも、「VOGUE」誌は引き続き発行され続けてきた。そして、該「VOUGE」誌が我が国に輸入され、広く知られるようになった経緯については、甲第11号証の「朝日新聞」の記事、甲第12号証乃至同第49号証の「世界大百科事典」、「アポロ百科事典」、「服飾辞典」等の事典、雑誌等により明らかである。

してみれば、「VOGUE」(「ヴォーグ」)の文字は、本件商標の出願時はもとよりその査定時においても、既に請求人の業務にかかるファッション雑誌の題号として、上記ヨーロッパ諸国を始め、我が国のファッション関係者には広く知られていたものと認められる。

一方、上記「VOGUE」誌は、我が国において片仮名文字「ヴォーグ」「ボーグ」とも表され、新聞・雑誌等で紹介されているところである。

そうとすれば、被請求人がファッション雑誌の題号として世界的に著名な「VOGUE」若しくは「ヴォーグ」に類似する「ヴォーグ」の文字を有してなる本件商標を、その指定商品である「雑誌」に使用した場合、需要者は該「ヴォーグ」の文字部分よりファッション雑誌である「VOGUE」誌を連想し、その商品が請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その商品の出所について誤認混同するおそれがあるものと言わなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とする。

よって、結論のとおり審決する。

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類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

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商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。