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Trademark Appeal Case

普通名称化と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35148(T2000−35148/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4324458号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4324458号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年9月2日に登録出願、「エンドーサ」の片仮名文字を横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置」を指定商品として、平成11年10月15日に設定の登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)無効原因

本件商標は、その指定商品中、「印字機能付きの電子応用機械器具」等に使用した場合には、単に商品の品質・機能を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用した場合は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(2)無効理由

本件商標は、「エンドーサ」の文字よりなるものであるところ、英語で「ENDORSE」は「裏書きする」の意味を、「ENDORSER」は「裏書人」の意味を有する語であるが(甲第2号証)、電子応用機械器具メーカー等の業界においては「ENDORSER」「エンドーサ(ー)」はスキャナー等で読みとった原稿に印字すること、あるいはその機能を表す語として本件商標の登録査定前より一般に使用されている(甲第3号証ないし甲第13号証)。

すなわち、「エンドーサ(ー)」なる語は、古くは昭和51年9月24日出願、昭和63年6月23日出願の特許明細書等に一般用語として使用されている(甲第3号証、甲第4号証)。また、公開特許に関するパトリス検索結果打ち出し(甲第5号証)中において、検索用のキーワードとして「エンドーサー」があげられていることからも、「ENDORSER」「エンドーサ(ー)」の文字はすでに普通名称化していることが明らかである。

さらには、商標権者はすでに「ENDORSER」「エンドーサ(ー)」を上記意味合いの機能表示として本件商標の登録査定前より実際に使用しており(甲第8号証、甲第11号証)、出願人以外の大手電子応用機械器具メーカーである富士通株式会社、コダック社、バンクテック社等も上記意味合いの機能表示として本件商標の登録査定前より実際に使用している(甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証、甲第11号証及び甲第12号証)。

請求人は、本件商標の登録査定前である平成11年8月18日付にて本件商標(商願平10−75128号)に対し刊行物等提出書を提出している(甲第13号証)。

今般請求人が提出した甲第5号証ないし甲第11号証は当該刊行物等提出書にて提出した刊行物等(1)ないし(7)と同一であるので、甲第5号証ないし甲第11号証は少なくとも平成11年8月18日以前に発行等されたものであることが明らかであり、よって遅くても本件商標の登録査定前より「ENDORSER」「エンドーサ(ー)」の語が機能表示として実際に使用されていることが立証される。

念のため、甲第6号証ないし甲第9号証として提出した商品カタログ、商品パンフレットの発行日をわかる範囲で示すと、甲第6号証の商品カタログ「富士通OEMイメージスキャナ装置M3099A/G」は1995年5月発行、甲第8号証の商品カタログ「リコーイメージスキャナー」は1995年5月発行、甲第9号証の商品パンフレット「コダックドキュメントスキャナー性能比較一覧表」(写し)は1998年11月発行である。

(3)以上の通りであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べた。

請求人の提出した平成12年3月17日付の審判請求書の請求の理由中、無効事由および無効原因については、以下の通り争う。

(1)請求人は、甲第3号証、甲第13号証を提出して本件商標が商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号の各規定に該当し、その登録が無効である旨主張するが、甲各号証のうち、甲第8号証は商標権者である被請求人の商品カタログであり、また甲第11号証の「リコーイメージスキャナ」以下も被請求人の製品情報である。

請求人は、本件商標の登録査定前より被請求人が実際に本件商標を使用していたことを無効理由としているが、登録前に同様の商標を使用していたことが、本件商標の無効理由とならないことは明らかである。

(2)甲第3号証および甲第4号証は公開特許公報、甲第1号証の2および甲第5証はパトリスの検査結果であり、これらに「エンドーサー」の語は見られるが、技術用語であっても商標として使用された場合には出所表示として機能する場合があり、これら甲号証をもって本件商標が商品の品質表示であるということはできない。

(3)請求人は、甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証、甲第10号証および前出甲第11号証を提出しているが、甲号証に示される機器は、件外、富士通株式会社、コダック株式会社(株式会社コダック情報システムズ)の2社のみのものであり、これら2社のみの機器を示す甲号証によって本件商標が品質、機能表示として用いられていると結論することはできないものである。なお、甲第12号証は、本件商標の登録後のものである。

(4)本件審判において提出された甲第5号証から甲第11号証は、甲第13号証に示される通り、本件商標の出願係属中に提出されたものであり、それら甲号証の存在にかかわらず本件商標が登録されたことは、被請求人の主張と同様の判断が行われたものであり、僅か2社の使用によっては本件商標が品質、機能表示と判断されないことが示されたものである。

(5)以上の理由により、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当せず、商標法第46条第1項第1号の規定に該当しないものである。

4 当審の判断

本件商標は、「エンドーサ」の片仮名文字よりなるところ、一般に、「エンドーサー」(endorser)の文字(語)は、「大部分の磁気インク文字認識読取り装置に付けられた特殊装置で、書類読取りが正しく行われた書類上に銀行の裏書き記号を印刷するもの」(昭和60年3月25日株式会社日刊工業新聞社発行マグローヒル科学技術用語大辞典「エンドーサー,endorser」の項より)の意味合いをもって理解される技術用語の一と認められる。

そして、請求人は、本件商標は商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号の各規定に違反して登録されたものと述べ、甲各号証を提出しているので、以下、検討する。

(1)甲各号証について

(ア)甲第3号証は、公開日を昭和52年5月19日とし、発明の名称を「プリントホイル組立体、プリントドラム組立体及びエンドーサー組立体」とする公開特許公報(特開昭52−60719号)であって、該明細書の記述によれば、「この発明はプリントホイル及びプリントドラム及びエンドーサー等の組立体に関し、記号等の雑多可視情報をしかも広い巾に亘ってのものを、裏側印刷を犯すことなく高速で紙材上に印刷するようにしたものである。切符、食品券、小切手、手形などの種々の紙片を積み重ねたり計数したりする装置は、実用上計数処理装置を通る紙材に印刷や消却や裏打ちを施すことが要求される」、「エンドーサー組立体はそれ自身一体として着脱できるものであって、・・・、更にエンドーサー組立体はプリントドラム組立体、インク移しローラーとインクローラーとを含んでいる」等の記述・説明が認められる。

甲第4号証は、公開日を平成1年12月27日とし、発明の名称を「原稿処理システムにおけるスキュー補正方式」とする公開特許公報(特開平1−321238号写し)であって、該明細書の記述によれば、「(エンドーサー)3は下流周辺機としてのエンドーサーであり、例えば、小型ドットマトリックスプリンター等により、搬送部・・・から搬送された原稿に直接数字等のキャラクタ文字を印字する」、「エンドーサーは搬送ローラと排紙ローラからなる搬送部、印字部および排紙トレイからなっている。搬送部は原稿を給紙し、所定の印字位置(印字部)に停止させるとともに印字終了後、原稿を排紙する」等の記述・解説が認められる。

甲第5号証は、上記2件の公開技術に関する検索情報であって、同記載によれば、甲第3号証公開技術は、米国「ブラント プラ INC」を、同じく、甲第4号証公開技術は、被請求人会社をそれぞれ特許出願人とすることが認められる。

(イ)甲第6号証は、1995年5月件外富士通株式会社の作成に係る「富士通OEMイメージスキャナ装置」とする製品カタログであって、当該機種の基本仕様として「Endorser」をオプション品として装備し得ることが認められる。

(ウ)甲第7号証及び甲第9号証は、1998年作成のものとみられる件外株式会社コダックに係る当該製品のカタログ及び仕様書であって、それら記載によれば、当該機器「Document Scanner/Microimager990」のオプション品として「エンドーサー」を装備し得るものであることが認められる。

(エ)甲第8号証は、被請求人会社に係る1999年5月現在のものとする「リコーイメージスキャナー」なる商品カタログであって、同表紙に「エンドーサ(印字機構)」と表示され、当該製品の機能特性として「エンドーサで原稿に印字(済みスタンプ)」、「ADFで読み取った原稿に印字できる。エンドーサユニット(印字機構)を用意しました。読み取り済みスタンプとして、原稿が読み取り済みかを確認する場合や、読み取ったデータと元原稿を照合する場合に便利です」、「※エンドーサ:語源は[Endorse]〜に裏書きする、保証する」、「※・・・は標準搭載、・・・はオプション」等とする旨の説明が認められる。

(オ)甲第11号証は、1999年(平成11年)5月または同年3月の時日における前出富士通株式会社に係る「システム向両面スキャナ:VSP420」に関するインターネット・ホームページ情報ほか、「イメージスキャナ」または「エンドーサ」に関して紹介されている関連各メーカーに係る製品情報(被請求人会社に係るものを含む。)であって、たとえば、「エンドーサ標準実装」とする当該機能の印字方式などが詳細に説明されており、または、その特長として「読みとりを行った後、裏面に英数字を印字します」と説明され、或いは「エンドーサ(ナンバリング)機能、・・・」、「読み取った原稿にスタンプ印字することにより、原稿が読み取り済みかを確認できるエンドーサ機能を標準搭載している」等の記述・説明が認められる。

(カ)甲第12号証は、2000年(平成12年)1月の時日における件外米国バンクテック社に係るスキャナ関連各製品に関するインターネット・ホームページ情報であって、当該製品の機能・性能特性として「スタンプ・エンドーサー」または「エンドーサー」の用語が随所に用いられていることが認められる。

以上の各認定によれば、「ENDORSER」(Endorser)または「エンドーサ(ー)」の文字(語)は、本件商標の登録査定時(平成11年8月20日)前においてすでに、磁気インク文字読み取り装置等の読み取り装置に装填し、当該書類の読み取りが正しく行われた旨を当該書類上に印字するもの(機器)、または当該機器の機構・機能を意味する技術用語の一として定着していたものとみて差し支えなく、また、この種読み取り装置またはその利用分野ないしこの種関連機器類の取引者、需要者間においては、該語を前記機構・機能を備えたいわば読み取り済み記号印字装置ないしその機能特性を表示するものとして、取引上普通に使用しているのが実情である。

そうすると、本件商標(「エンドーサ」)をその指定商品中の読み取り済み記号印字装置ないし同機構を備えた関連機器類について使用した場合、これに接する需要者は、前記各事情よりして、当該機器またはその機能特性を端的に表示したものと理解するに止まり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。そして、これを前記装置または機器類以外の商品について使用するときは、読み取り済み記号印字装置または同機構を備えた機器であるかの如く、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の各規定に違反して登録されたものといわざる得ない。

(2)被請求人の主張について

被請求人は、被請求人会社の商品カタログ(甲第11号証ほか)にみられる「エンドーサ」の用例は商標的使用である旨述べているが、それら被請求人に係るカタログ等における「エンドーサ」の用例をみるに、たとえば、「リコーイメージスキャナ」なる製品仕様に関し、「エンドーサ」の文字(語)を「ドロップアウトカラー」、「ウォームアップタイム」等の説明語句と併用して用いているなど必ずしも商標的使用といえるものでなく、むしろ、前記認定の読み取り済み記号印字装置ないしその機能特性を表示するもの、すなわち、品質・機能表示と看取されるとみるのが相当であるから、この点について述べる被請求人の主張は妥当でなく、採用の限りでない。

また、被請求人は、技術用語や機能名称でも商標たりうる旨述べているが、本件商標に関してその状況を窺わせる客観状勢はなく、また、これを認めるに足りる証拠も見出せないから、その主張は妥当でなく、採用の限りでない。

さらに、被請求人は、「ENDORSER」または「エンドーサ(ー)」の使用者は件外富士通株式会社、コダック株式会社の2社でしかなく本件商標を品質表示とすることはできない旨述べているが、甲第3号証、甲第5号証及び甲第12号証によりそれぞれ示される件外各メーカーの存在を無視して述べる被請求人の主張は適切でなく、その主張は採用することができない。

また、この点に関して、被請求人は、甲第12号証(米国バンクテック社に係るインターネット・ホームページ情報)は、本件商標の登録後のものであって証拠力に欠ける旨述べているが、確かに甲第12号証に係る製品情報が本件商標の登録査定(平成11年8月20日)後の平成12年1月13日付ではあるが、その時期は極めて接近していて企業活動の実際からすれば僅かな時間差というべきであるから、本件商標の登録時における当該スキャナ関連業界の製品化の実情ないし販売状況の一端を窺うのに当該バンクテック社に係る「ENDORSER」または「エンドーサ(ー)」の製品情報は十分参酌し得るものとみて差し支えなく、したがって、この点を述べる被請求人の主張は妥当でなく、採用の限りでない。

そして、このほか述べる被請求人の主張は、いずれも妥当でなく採用の限りでない。その他、前記認定を覆すに足りる証拠はない。

(3)結語

以上のとおり、本件商標は、前記各法条の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録は、商標法第46条第1項により、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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