結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第31234号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3190089号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成5年4月2日登録出願、商標の構成を後掲に示すものとし、指定商品を第32類「乳清飲料」として、同8年8月30日に設定の登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標は、墨楕円の中に白抜き文字で、上段部に「aimi」と書し、下段部に片仮名文字「アイミイ」と二段に併記してなり(甲第1号証参照)、「第32類 乳清飲料」を指定商品として、平成5年4月2日に出願され、平成8年8月30日に商標権の設定登録がなされたものである(甲第2号証参照)。
しかしながら、請求人が調査したところによると、本件商標はその指定商品「乳清飲料」について、本件商標の商標権者である岩谷産業株式会社によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見出せない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権および専用使用権等の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない。
したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録を取り消すとの審決を求める。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)乙第1号証について
本号証は、被請求人が被請求人の通常使用権者とされる岩谷クリエイティブ株式会社の存在を証明する書面と思われるが、その証明書の記載によれば、同社の事業内容は「能力開発研修、実務研修、人材派遣、損害保険代理店業等」とあり、本審判の取消の対象となっている商品「乳清飲料」に関連する業務とは全く関連性がない。
(イ)乙第2号証について
本号証の各写真は、本件商標の使用事実を証明する証拠にはなりえない。本号証によると、本件商標が清涼飲料の販売を行う自動販売機の設置ブース名称として使用されている事実が窺えるのみで、本審判の取消に係る商品「乳清飲料」への使用にはなりえない。それは、同号証の第3番目に添付の被請求人がいう「商標の拡大写真」によれば、店舗の看板に用いられるような表現で「LUNCH SHOP」との記載があり、特定の商品に付される商標とは考えられないとの理由による。また、本号証の使用の態様は商標法第2条第3項各号に掲げるいずれの使用にも該当しない。よしんば、本号証が同法同条同項第7号にいう広告に該当すると考えたとしても、本号証に係る被請求人の商標の使用態様は「自動販売機による飲料の提供」への使用であり、本件商標が商品「乳清飲料」に使用している立証ではない。更に、自動販売機内の個々の商品については個別の商標が付されていることからも本件商標が取消に係る「乳清飲料」に使用されているとの主張は無理がある。
また、被請求人は本号証に示された自動販売機中に「乳清飲料」が含まれると主張するが、その商標は、サントリー株式会社が販売する商品に付されたものであり、被請求人およびその通常使用権者であると主張する岩谷クリエイティブ株式会社が本件商標に使用していることを示す証拠とはなりえない。また、本号証で使用していることを証明できる商標はサントリー株式会社の販売に係る商品についての「Bikkle/ビツクル」であり、本件商標「aimi/アイミイ」との関連性が皆無である。
(ウ)乙第3号証について
本号証は、金井自動販売株式会社が岩谷クリエイティブ株式会社へ「S.F」との商品が販売されたことを示す取引書類等と見受けられるが、「S.F」が何を意味するのか、また「S.F」と本件商標とは関連性があるのか、の諸点が不明である。加えて、日東エースベンディング株式会社のロケーション手数料についても、「自動販売機コーナー/サントリー」との表示が示されているのみであり、本件商標の使用とは関連性が全くない。
(エ)乙第4号証ないし同5号証について
各本号証は、サントリー株式会社がその製造販売を行う特定の飲料について使用する商標「Bikkle/ビックル」およびその商品の説明であるが、これらの証拠は本件商標の使用立証とは直接関連性がない。
(オ)以上、被請求人の提出する証拠は全て日本国において本件審判の請求の登録日である平成11年10月6日以前に本件商標が使用されていた事実を証明するものではない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
被請求人は、口頭契約に基づいて、子会社である岩谷クリエイティブ株式会社に本件商標の通常使用権を許諾しており、通常使用権者が本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を使用しているものである。従って、本件審判請求は成り立たないものである。
(1)通常使用権者の存在
被請求人である商標権者と通常使用権者との間で、口頭契約において、本件商標の使用許諾契約を締結していることに相違はない。なお、通常使用権者である岩谷クリエイティブ株式会社は、被請求人岩谷産業株式会社が100%出資している被請求人の子会社である(乙第1号証)。
(2)使用事実について
通常使用権者である岩谷クリエイティブ株式会社は、自動販売機を設置して、各種飲料を販売しているが、その販売の現況写真及び取引を証する書証を提出する。
(ア)平成11年12月4日撮影の現況写真(乙第2号証)。
(イ)飲料卸売り業者が発行した販売手数料明細書及びロケ手数料お支払い明細書(乙第3号証)。
(ウ)上記の写真中には、飲料の製造者であるサントリー株式会社製造に係る飲料(商品名:Bikkle(ビックル))が含まれている。この商品名:ビックルは、サントリー株式会社が、指定商品「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料」において、商標登録を受けているものである(乙第4号証)。
(エ)この飲料は、その成分からして指定商品「乳清飲料」に該当するものである(乙第5号証)。
上記の状況からして、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に、日本国内で、本件商標の通常使用権者である岩谷クリエイティブ株式会社によって、指定商品「乳清飲料」に使用されていることは明らかである。
(3)請求人主張の不当性について
以上のとおり、本件商標については、商標権者と通常使用権者との間で通常使用権の許諾契約を締結し、通常使用権者である岩谷クリエイティブ株式会社は、指定商品「乳清飲料」について使用をしているものである。従って、請求人の主張は、前記したように、本件商標を通常使用権者が使用しているという事実を看過したものであり、請求人が主張する請求の理由は不当なものである。
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れない。
これを本件についてみるに、本件商標は、その構成後掲に示すとおり、黒く塗りつぶした楕円内に、肉太の欧文字「aiMi」及び同下部に極小かつ細字の片仮名文字「アイミイ」をそれぞれ白抜きに表してなるものである。そして、その指定商品とする「乳清飲料」とは、一般に「乳清」すなわち「牛乳からカード(主としてカゼインと脂肪の部分)を分離した残りの部分で、<ホエー(whey)>の別名である。」(株式会社同文書院平成10年発行総合食品事典:ハンディ版「乳清」の項より)を素材原料とする飲料の一つと解される。
被請求人は、本件商標はその通常使用権者により本件審判の請求前3年以内に日本国内において取消請求に係る指定商品について使用されていた旨述べ、乙各号証を提出しているので、以下、検討する。
(1)乙第1号証は、被請求人会社に係る有価証券報告書(写し)であって、岩谷クリエイティブ株式会社が被請求人会社のいわゆる子会社であって、その事業内容は「能力開発研修、実務研修、人材派遣、損害保険代理店業等」であることが認められる。
(2)乙第2号証は、「本三モータープール」なる特定地籍の駐車場脇に設置されたいわゆる自動販売機コーナー及び当該販売に係る特定の飲料を撮影した写真7葉であって、簡易店舗風に設えた同コーナーの屋根びさし(庇)中央部に、本件商標と略同一と認め得る商標、すなわち、本件商標中の黒塗り楕円を黄色ないし橙色の楕円とし、同楕円内上部にやや小さく白抜きに表した「LUNCH SHOP」の欧文字を付加してなる商標(以下、「使用商標」という。)の表示が認められる。
そして、被請求人が本件商標の使用を述べる当該写真掲載の飲料は、販売者をサントリー株式会社とし、商標を「Bikkle/ビックル」とする飲料であって、当該飲料の容器側面のラベルには、その原材料名、栄養成分等の記載とともに、「清涼飲料水」である旨の表示が認められる。
また、これら写真の撮影日がいずれも本件審判請求後の1999年(平成11年)12月4日であることは、被請求人もこれを認めるところである。
(3)乙第3号証は、乙第2号証写真掲載の特定地籍(本三モータープール)に設置された自動販売機のロケーション手数料に関し、いずれも1999年の当該月に作成された前出岩谷クリエイティブ株式会社宛件外金井自動販売株式会社及び日東エースベンディング株式会社名義に係る都合8葉の「販売手数料明細書」または「ロケ手数料お支払い通知書」とする支払伝票と認められる。それら伝票の記載によれば、前出地籍に設置されていたいわゆる自動販売機コーナーに関し、前出岩谷クリエイティブ株式会社が当該設置事業者より毎月一定割合の金員(売上金の1割)をその手数料として収受していたことが認められる。
(4)乙第4号証は、乙第2号証写真掲載の飲料及び当該「ビックル」商標に関する商標登録データ(IPDL)(特許庁商標登録データ)であって、当該権利者が「サントリー株式会社」であることが認められる。
(5)乙第5号証は、乙第2号証写真掲載の飲料に関する当該メーカー(サントリー株式会社)に係るインターネット・ホームページ情報であって、当該飲料が「はっ酵乳」をベースにした飲みものであること、その他の紹介情報が認められる。
以上、(1)ないし(5)の各認定によれば、被請求人の述べる本件商標の通常使用権者「岩谷クリエイティブ株式会社」(以下、「関連会社」という。)は、その事業内容よりして本件商標の指定商品とする乳清飲料を取り扱う者とするのは極めて疑問であって、そのほか、商標権者または使用権者による本件商標の使用を認めるに十分な証拠は見出せないから、結局、被請求人は、本件商標をその指定商品について本件審判の請求前3年以内に日本国内において使用していたことを主張・立証し得たものということはできない。
すなわち、当該簡易店舗の屋根庇に表示された使用商標は、それ自体、本件商標と社会通念上同一のものとすべき点は認め得るとしても、提出写真(乙第2号証)は、使用商標が前記時日(平成11年12月4日)において当該自動販売機コーナーの屋根庇に表示されていたことを示しているに止まり、それをもってしては、本件審判の請求前3年以内における本件商標の使用は証明されない。そして、唯一本件商標の使用時期を特定し得るものというべき前記伝票類(乙第3号証)は、前記認定の自販機による飲料販売業者と関連会社との間の販売手数料の収受を示しているに止まり、本件商標とは全く関連性がなく、何らその使用状況を窺うこともできないから、写真による使用商標の表示のみをもってしては関連会社による本件審判の請求前3年以内の使用は不明というほかはなく、客観的に判断することができない。
この点に関し、被請求人は、本件商標は関連会社によりその取扱いに係る指定商品の販売票として使用されていた旨述べているが、提出に係る写真およびその他の乙号証をもってしても、本件審判の請求前3年以内の使用商標または本件商標の使用は客観的に証明されないから、その主張は採用することができない。その他、この認定を左右するに足りる証拠はない。
以上によれば、被請求人は、本件商標を本件審判の請求前3年以内に日本国内においてその指定商品について使用していたことを主張、立証し得なかったものといわざるを得ないから、前記飲料が本件商標の指定商品に該当するものかどうかの点を子細に検討するまでもなく、その登録は、商標法第50条により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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