Trademark Appeal Case
「POLO」の著名性と結合商標
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成6年審判第14879号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「CANTER POLO」の文字よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とし、平成1年7年5日に商標登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、登録異議の申立てのあった結果「『POLO』の標章は、米国の著名なデザイナー、ラルフ・ローレンが申立人会社等の事業を通じて紳士服・婦人服等アパレル関係の商品について使用する商標として本願の出願の時点において需要者の間に広く認識されていた。そして、本願商標は、その構成中に『POLO』の文字を有し、かつ、その指定商品はアパレル関係の商品を包含することは明らかである。そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、前記事情よりして当該商品が前記デザイナーあるいは申立人会社の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同をおこすおそれがある。よって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
(1)「POLO」及び「ポロ」の文字は、「ポロ競技」のみを意味するものではなく、「polo shirt」の「polo」にも通ずる語であり、昭和40年代始め頃には「被服」等の関係においては「ポロシャツ」を意味するものとして認識されていた。
その後複合語からなる「POLO」等の文字部分は、これを分離することなく一連の造語からなる商標として、指定商品,第17類の「全商品」について登録を認める商標審査実務例が例外を除いて大方において確立していたものといえる。そして、「POLO」等の文字を含む商標が多数登録され、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品の商標と併存して誤認混同を生ずることなく市場を流通している実情にある。
そうすると、こと「被服類」については、「POLO」及び該語を含む複合語からなる商標の使用実態が先行した結果、該語が米国ポロ社固有の商標としての識別力は喪失している。
(2)本願商標は、「かけ足馬」を意味する「CANTER」と「ポロ競技」又は「ポロ競技に着用するポロシャツ」に由来する「POLO」の複合語からなる商標であって、両語は共に日本語化された外来語として親しまれているものである。
特に、「CANTER」は、出願人の著名商標である。
したがって、上記(1)の実情において、出願人の著名商標に識別力の乏しい(ポロシャツの普通名称)「POLO」の文字を結合して複合語としたものであり、 ラルフ・ローレンとの関係で商品の出所の混同を生じないから、本願商標を商標法第4条第1項第15号により拒絶した原審認定は失当といわざるを得ない。
4 当審の判断
(1)「POLO」の周知性について
(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケテイング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファツションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフオードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、一括して「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社 昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー 昭和54年9月発行 別冊チャネラ−「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN′S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の表題(商標)の下に紹介されていることが認められる。
他にこれを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」 、 「ポロ」「Po1o」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くても昭和55年までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需用者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)混同のおそれについて
本願商標は、前記したとおりの構成よりなるものであって、二つの既成語よりなることは明らかではあるが、これらの語が一体となって特定の親しまれた熟語を形成する関係にはなく、また、一見して一連の意味合いを看取させるものでもなく、せいぜいポロ(競技)に関連した何かの事柄を表したものとして認識、理解させるに止まり、「POLO」を含むものとして印象に残るものである。
請求人は、「CANTER」の語が「POLO」の語と結びつくものであり、かつ、出願人の著名商標として強い識別力を発揮する旨主張するが、それらの事実を何ら立証していない。
そうすると、本願商標をその指定商品である「被服」等に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成文字中の「POLO」に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンの「POLO」標章を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
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