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Trademark Appeal Case

酒香干の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成7年審判第22131号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2491996号商標の登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件審判請求に係る登録第2491996号商標は、ゴシック体の漢字で「酒香干」の文字と、ゴシック体の平仮名で「しゅこうぼし」の文字を上下二段に左横書きしてなり(以下「本件商標」という。)、旧第32類「加工水産物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年3月23日に登録出願、同4年12月25日に設定登録がなされたものである。

2 請求人の主張

請求人は結論同旨の審決を求め、以下の理由を述べ、証拠方法として甲第1号証から同第12号証(枝番号に係るものを含む。)までを提出した。

(1) 請求人は、魚の加工食品について、甲第2号証に示される標章を付し、平成元年3月より現在に至るまで継続して販売しているところ、被請求人より平成6年7月19日付で、請求人の前記使用行為が本件に係る登録第2491996号商標権に抵触するので、販売の中止等を求める内容証明便が送られてきた。

請求人は甲第2号証に示される標章を前記商品につき使用する予定であり、そのため、本件商標の登録を無効とする必要がある。

よって、請求人は本件審判を請求するについて利害関係を有するものである。

(2) 本件商標は、指定商品中の「干物類」に使用しても、単に商品の製造方法、品質を表示するにすぎないので商標法第3条第1項第3号に該当し、「干物類」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じる虞があるから同法第4条第1項第16号に該当するので、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

(3) 本件商標を構成する「酒香/しゅこう」の文字は、指定商品との関係においては、「酒を利用して、その醸し出す風味(香り)を特色とする食品」の意味合いを容易に看取させるものである。

また、本件商標を構成する「干/ぼし」の文字は、指定商品との関係においては、「天日その他の方法により乾燥した食品」であることを示す語にすぎない(甲第3号証乃至同第7号証)。

したがって、これらを一連とした本件商標「酒香干/しゅこうぼし」は、全体として「酒に浸して乾燥させた干物類」を直感させ、これを指定商品に使用しても、単に商品の製造方法、品質を表示するにすぎないものである。

甲第8号証はゴシック体の漢字で「酒香干」と左横書きしてなり、旧第32類「食用水産物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年1月14日に登録出願(商願平3−1365)されたものに関する出願書類一式である。該出願は平成4年8月11日付で、「この商標登録出願に係る商標は、酒の風味を出すために、一度酒に浸して干した魚介類を容易に認識する『酒香干』の文字を普通に用いられる方法に書してなるにすぎないから、これをその指定商品中干し魚介類に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、この商標登録出願に係る商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨の拒絶理由の通知がなされた。これに対し、出願人は意見書を提出するとともに、指定商品を「す干し魚介類」等に補正をしたが、平成4年12月9日付で拒絶査定がなされ確定した。

甲第9号証は「さかぼし」「酒薫干」と二段に併記された商標のと出願書類一式であり、甲第10号証は「酒香麺」商標の出願書類一式であるところ、前記の出願と指定商品は異なるものの、これらも甲第8号証と同趣旨の理由により拒絶されている。その他の拒絶の例としては、「酒味酒香」、「酒干し」等がある(甲第11号証の1、甲第12号証の1)。

以上のとおり、本件商標は、これを指定商品中の「酒に浸して乾燥させた干物類」に使用しても、単に商品の製造方法、品質を表示するにすぎないことは明らかであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(4) 本件商標を構成する「千/ぼし」の文字は、指定商品との関係において、「天日その他の方法により乾燥した食品」であることを示す語にすぎず(甲第3号証乃至同第7号証)、全体として「酒に浸して乾燥させた干物類」を想起させることは前述のとおりである。そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中の「干物類」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じる虞があることは明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第16号にも該当するものである。

(5) 本件商標は指定商品中の「干物類」については商標法第3条第1項第3号に該当し、「干物類」以外の商品については同法第4条第1項第16号に該当する。

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とされるべきものである。

2 被請求人の答弁

平成8年1月21日に本件審判請求書副本を送達して答弁を求めたが、被請求人は何ら答弁をするところがない。

3 当審の判断

(1) 本件商標は「酒香干」及び「しゅこうぼし」の文字を表示し、「加工水産物等」を指定商品として登録されたものであり、水産物に属する魚介類の加工、調理には様々な方法、種類等があるところ、その一つに調味料として酒を使用した加工、調理方法があり、酒に含まれる清酒は、特にそれが醸し出す香り、風味を楽しみ味わうために様々な調理又は料理において使用されることはよく知られたことであり、例えば、あさりの酒蒸し、アワビの酒蒸しなどが代表的である。しかして、本件商標の登録前より真空パック技術の発達等により様々な料理品が商品化され、指定商品に属する加工水産物においても実情は同様である。

また、酒が醸し出す香り、風味を楽しみ味わうと共に、清酒等の酒は魚肉、獣肉等を柔らかくする効果があるため、これらを酒に浸して料理し、食することは普通に行われていることである。

このような実情を踏まえて、本件商標をその指定商品との関係において観察すると、本件商標中の「酒香」の文字は、指定商品「加工水産物」との関係においては、当該商品の製造のための調理において清酒等の酒を使用し酒の香り、風味を有する商品であることを表したものと認識される場合も少なくないと認められる。

また、本件商標中の「干」の語は、加工水産物の分野では、「天日干」、「丸干」、「一夜干」、「味醂干」等のように、特に魚介類の干物類を表す語として語尾的に使用されて、「天日等により乾燥した又はそれを加工した魚介類」の意味合い、すなわち、その製造方法、品質を表すものとして普通に採択、使用されているものと認められる。

してみれば、「酒香干」の文字とその読み「しゅこうぼし」を表示してなる本件商標は、その指定商品との関係においては、全体としても「酒の香り、風味を有する干物又はその加工品」の意味合いを認識させるものとみるのが相当であり、したがって、本件商標は、これをその指定商品中「魚介類の干物及びその干物を加工した加工水産物」に使用しても、単に商品の製造方法又は品質を表示したにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2) また、本件商標中には「干」の語を有し、前記認定の通り該語は魚介類の干物類を表す語として語尾的に使用され、「天日等により乾燥した又はそれを加工した魚介類」の意で、その製造方法、品質を表すものとして普通に採択、使用されている実情の下で、本願商標は、これを「魚介類の干物及びその干物に係る加工水産物」以外の商品に使用するときは、干物又はその加工品の如く、その品質について誤認を生ずる虞があるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

(3) 請求人提出の甲第8号証乃至同第12号証に係る先例は前記認定、判断と同じ立場のものであるところ、これらに対して、被請求人は何ら主張するところがないのは前記のとおりである。

(4) したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすべきである。

よって結論の通り審決する。

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