sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消と証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第18502号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2459965号商標の指定商品申「穀物、豆、粉類、素材蛋白、種子類、植物、獣、鳥、魚、虫、種まゆ、蚕種、種卵」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2459965号商標(以下「本件商標」という。)は、「アース」の片仮名文字を横書きしてなるものであり、昭和62年10月5日に登録出願、第33類「穀物、豆、粉類、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年9月30日に登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中『穀物、豆、粉類、素材蛋白、種子類、植物、獣、鳥、魚、虫、種まゆ、蚕種、種卵』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対し次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。

(1)請求人は、「アース」なる商標を第31類「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類,魚類(食用のものを除く。),鳥類及び昆虫類(生きているものに限る.),蚕種,種繭,種卵,飼料,釣り用餌,果実,野菜(茶の葉を除く。),茶の葉,糖料作物,種子類,本草芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花,飼料用たんぱく」について商標登録出願している(甲第1号証)。

そこで、事前調査したところ、本件商標の登録が確認され、請求人の上記商標登録出願は、本件商標が存在するため商標法4条1項11号により拒絶を受けるおそれがある。したがって、請求人は、商標法50条による本件商標の取消審判を求めるのに必要な利害関係を有するものである。

(2)被請求人は、3年以上に亘って本件商標をその指定商品について使用していないものである。即ち、請求人において調査したところ「アース」を製造販売している事実は認められない。しかも本件商標について専用使用権又は通常使用権の設定の登録がなされていないことも商標原簿謄本によって明らかである(甲3号証)。前記したようなことから本件商標は商標法第50条1項でいうところの所謂継続して3年以上日本国内において商標権者はもとよりのこと、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品について使用していないこと、に該当することは明白である。

(3)「種」であれば、あくまで指定商品「種子類」の農産用種子又は園芸用種子に該当するはずであり、決して穀物の範疇には属さないということである。即ち「とうもろこしのタネ」で本件商標を使用しても、「とうもろこし」での使用証拠となるものではない。最も、本審判事件では「種子類」での本件商標の使用を証明すれば取消しを免れるわけであるから、被請求人が何ゆえ「とうもろこし」での使用を強調しているか不明である。

(4)請求人は本件証拠物の信憑性を確認するために、市販されている種の袋(参考資料1)を購入した。これを被請求人提出の本件証拠物と比較して見ればその相違は一目瞭然である。即ち参考資料1には裏面の上部に1品種番号03405」、下部に「’97年度用・内容35ml」、「検定試験済」の文字があり、更にバーコードが記入されている。これに対し本件証拠物にはそれらの文字及びバーコードがない。また、袋の材質、接着方法にも違いがある。つまり、このような「種の袋」は通常水をはじくような材質の袋を使用し、密封性を良くするため周囲をしっかり溶着するものである。本件証拠物はそうではなく、あたかもカラーコピーを駆使して急造された袋のように思える。被請求人は平成9年3月6日付けの第一答弁書において本件商標の使用を「商標権者又は通常使用権者が使用している」としながらも証拠の提出は「追って補充する」としている。このことは、この時点でまだ使用権者を商標権者とするか通常使用権者とするかさえも決定していなかったということであり、審判請求後に使用証拠を準備したと考えざるを得ない。

(5)被請求人は「証明願」を提出し、本件証拠物が第三者に購入されたとしている。しかし該「証明願」の証明者は伊藤直孝氏との個人であり、その身分を証明するものがなく、伊藤直孝氏と被請求人がどのような関係にあるのかも全く不明である。なお、伊藤直孝氏は平成8年審判第18501号に添付の「証明願」の証明者にもなっており同一人物であると思われるが、住所が相違している。このことより伊藤直孝氏本人が捺印したものかどうか疑わしいと思わざるを得ない。

いずれにしても取引伝票等の具体的な証拠に基づく立証でないため信憑性を欠くといわざるを得ない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対し次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。

(1)被請求人は、本件商標を本件指定商品中「穀物、豆、粉類、素材蛋白、種子類、植物、獣、鳥、魚、虫、種まゆ、蚕種、種卵」について使用している。

そこで、被請求人は、前記指定商品中の「とうもろこし」、「米ぬか」、「園芸用種子」などに使用している事実を立証する。「園芸用種子」については平成9年8月1日提出の第2答弁書に添付した乙第1号証のとおりである。「とうもろこし」、「米ぬか」についての使用証明は追って補充する。

(2)種子類を販売する場合の包装袋等は、「品種番号」、「97年度用」、「内容35mg」、「検定試験済」などの文字及び「バーコード」を必ずしも全部記載及び貼付する必要はない。また、「バーコード」は、販売業者(例えば小売業者)がバーコード専用の貼付あるいは印字機械を用いて自由に商品の包装に貼付することができるものであり、必ずしも印刷当初から印刷することが義務づけられているものではない。

(3)被請求人の提出した使用証明について

▲1▼請求人は、被請求人の提出した種の袋について、「カラーコピーを駆使して急造された袋のように・・・」とのことであるが、この点は否認する。このような態様の「タネ」は、実際に園芸店、農家の店先、花屋などに陳列されている。

▲2▼「通常使用権者」に関しては、登録していない通常実施権を認容している。この点については、追って補充する。

▲3▼「証明者『伊藤直孝』氏」は実在する者である。この点については、追って補充する。

4 当審の判断

本件審判の請求をするについて当事者間に利害関係の有無につき争いがないので、本案に入って判断するに、被請求人が本件商標を使用している証拠として提出した乙第1号証は、平成9年6月17日作成の「証明願」であることが認められ、それには「伊藤直孝 北海道札幌市東区東苗穂4条2−1」が商標「アース」を付した袋入り「いんげん」と「とうもろこし」の種を各20袋づつ平成7年5月10日に購入した旨が記載されていることが認められる。

しかるところ、請求人は、上記の「『証明願』の証明者は伊藤直孝氏との個人であり、その身分を証明するものがなく、伊藤直孝氏と被請求人がどのような関係にあるのかも不明である。なお、伊藤直孝氏は平成8年審判第18501号に添付の『証明願』の証明者にもなっており同一人物であると思われるが、住所が相違している。このことより伊藤直孝氏本人が捺印したものかどうか疑わしいと思わざるを得ない。いずれにしても取引伝票等の具体的な証拠に基づく立証でないため信憑性を欠くといわざるを得ない」と弁駁している。

この請求人の弁駁に対して、被請求人は、「証明者『伊藤直孝』氏は実在するものである。この点については、追って補充する。」と答弁しただけで、その後、請求人が指摘する点について何ら釈明することもなく、また、具体的で客観的に証明できる使用証拠の補充もしていない。

そこで、審判長は、平成11年3月9日付け審尋書により、「被請求人は、『とうもろこし』『米ぬか』についての使用証明は追って補充する。また、『通常使用権者』及び証明者『伊藤直孝』に関する点については、追って補充する旨記載しているので、これらについて具体的かつ客観的に認定できる証拠資料の提出」を被請求人に対して求めたにもかかわらず、相当の期間が経過する現在に至るも、被請求人は何らの証拠資料等を提出していない。そして、職権により調査したところによれば、平成8年審判第18501号に添付の『証 明願』の証明者は、「伊藤直孝 北海道札幌市東区東苗稲4条2−1」であり、請求人が指摘するように、証明者「伊藤直孝」の住所が相違している事実を確認することができた。

そうとすると、被請求人が本件商標を使用している証拠として提出した乙第1号証は、その信憑性に乏しく、証拠として採用することができないものであるというべきである。そして、他に、本件商標が、取消請求に係る商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたと認めるに足る証拠は見出すことができない。

してみれば、被請求人の答弁及び乙第1号証を総合勘案するも、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、取消請求に係る指定商品中のいずれかについて使用されていたものということはできない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「穀物、豆、粉類、素材蛋白、種子類、植物、獣、鳥、魚、虫、種まゆ、蚕種、種卵」についての登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。