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Trademark Appeal Case

「シリーズ」の要部抽出と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35244(T2000−35244/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4049900号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4049900号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ホームシリーズ」の文字を横書きしてなり、平成7年9月28日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人の引用する登録第4213179号商標(以下、「引用商標」という。)は、「HOME」の文字を横書きしてなり、平成2年6月22日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」を指定商品として、同10年11月20日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)本件商標は、「ホームシリーズ」の片仮名文字を横書きしてなるところ、構成中の「シリーズ」の文字は一連の商品群や商品の内容等が共通な連続もの(シリーズもの)を表示するための品質表示として一般に採択・使用されているものである。

したがって、本件商標中「シリーズ」の文字は自他商品識別標識としての機能を有さない部分であるから、本件商標の要部は「ホーム」の文字部分である。

さらには、「ホーム」と「シリーズ」とが結合した場合に特別な意味合いを生じるものではなく、また、「ホームシリーズ」一連で特定の意味合いが生じる熟語を形成するものでもない。よって、本件商標が常に一体不可分に称呼、観念されるべき特段の事情はないものである。

よって、本件商標からは「ホームシリーズ」の称呼の他、単に「ホーム」の文字部分に照応した「ホーム」の称呼をも生じるものである。

過去における審決例をみても,「〇〇シリーズ」といった構成よりなる商標からは、単に「〇〇」の文字部分に照応した称呼をも生じると判断されているものが多数存在する(甲第3号証ないし甲第8号証)ので、本件商標が特に異なった判断をされなければならない合理的な理由、根拠は見当たらない。

加えて、請求人は、商願平11−5470号「ホーム/HOME」を出願中であるが、当該出願につき本件商標を引用され拒絶理由通知を受けている(甲第9号証)。これは本件商標からは「ホーム」の称呼をも生じると認定されたことに他ならない。

一方、引用商標は、「HOME」の欧文字を横書きしてなるものであり、「ホーム」の称呼が生じること明らかである。

してみれば、本件商標と引用商標とは「ホーム」の称呼を共通にする、類似の商標である。

(2)本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

(3)以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。

(4)答弁に対する弁駁

(イ)被請求人は本件商標が一体不可分として一連に横書きしてなるものであり、「ホームシリーズ」は包括的名称として使用されている旨、主張している。しかしながら、一連に「〇〇シリーズ」と横書きしてなる商標であっても分離され得るものがあることは、甲第6号証ないし甲第8号証で判断されていることからも明らかである。

また、たとえ被請求人が「ホームシリーズ」を包括的名称として使用しているとしても、これに接する需要者・取引者はその構成中の「シリーズ」の文字を自然と抽出し、これがシリーズものを表す語であることを直感するものである。したがって、本件商標に接する需要者等はこれを「ホーム」のシリーズ商品であると自然と理解するものである。

加えて、「ホームシリーズ」を包括的名称として使用しているということは、換言すれば「ホームシリーズ」はこれに属する一連の商品群(各システムの商品)を有するものということができるところ、「シリーズ」の文字部分は一連の商品群を有することを需要者等に直感させる語であるから、本件商標中「シリーズ」は商品の品質表示に該当する、自他商品識別力を有し得ない文字部分である。

(ロ)次に、被請求人は「ホーム」は「home、家庭」の意味合いのみならず、「法務、形式・書式(form)」等の意味合いも有するから、本件商標から生ずる特定の観念はありえないと主張されている。しかしながら、日本人にとって「ホーム」は「home(家庭)」を表す外来語として極めてなじみ深い語であり、自然と「home(家庭)」が直感されることは論を待たないところである。

本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」においても、一連の商品群を表示するものとして「シリーズ」の語が広く一般に使用されている。具体例を挙げれば、パーソナルコンピュータにおいて「FMV−BIBLOシリーズ」「VAIOシリーズ」「MATEシリーズ」「Priusシリーズ」等、ソフトウエアにおいて「奉行シリーズ」「officeシリーズ」等が挙げられる(甲第10号証)。

この様な流通事情下において、本件商標「ホームシリーズ」に接する需要者等がこれから一連の商品群を有する商品であると直感するのはむしろ当然である。

以上のとおり、本件商標はその構成のみでなく、使用に係る商品が一連の商品群を有するものである点、本件商標の指定商品の流通事情等を考慮した場合においても、本件商標からは「ホームシリーズ」一連の称呼の他、「シリーズ」は商品の品質表示に該当する、自他商品識別力を有さない部分である結果、本件商標からは単に「ホーム」の称呼をも生じるものである。

4 被請求の主張

被請求人は、審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。

(1)本件商標は、「ホームシリーズ」の片仮名文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔をもって一体不可分として一連に横書きしてなるもので、被請求人の創作に係る特定の語義を表さない創造語である。

そして、本件商標は指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について使用するものである。さらに具体的にその使用態様について説明する。乙第1号証に被請求人の商品カタログにおける「ホームシリーズ」のシステム相関図、乙第2号証に商品カタログにおける「ホームシリーズ」の守備範囲を示す。乙第2号証の「ホームシリーズ」に係る商品は、不動産物件処理を中心とする法務分野を業務分析し、業種間総合連結システムとして設計されたものである。

「ホームシリーズ」は、一定の型式を持つ商品あるいは特定のブランドを付した商品を連続して発表していこうという意図の下に企画された、いわゆる連続ものといわれる商品、すなわち一連の商品群や商品の内容等が共通な連続もの(シリーズもの)を表示するための品質表示として採択・使用しているものではない。

すなわち、「ホームシリーズ」はあくまで包括的名称であり、「ホーム」と「シリーズ」とを分離して一連の商品群や商品の内容等が共通な連続(シリーズもの)を表示するための品質表示を示すものではない。「ホームシリーズ」の下位概念としての「シリーズ」ではなく、「システム」として「司法書士システム」と「ビックバンパスポートシステム」があり、さらにその下位概念の「システム」として「不動産登記システム」、「商業法人登記システム」、「不動産担保管理システム」等の各種の「システム」がある。この様に「ホームシリーズ」は、取引者、需要者間においてシリーズものの名称として用いられているのではなく、包括的名称として用いられているのが実情である。

なお、「ホーム」は「家庭(home)」の意味合いのみならず、「法務、形式・書式(form)」等の意味合いも有す。したがって、本件商標から生ずる特定の観念はありえないものである。

以上の理由から、本件商標を「ホーム」と「シリーズ」の文字部分に分離抽出して、「シリーズ」の文字は自他商品識別標識としての機能を有さない部分であり、「ホーム」が本件商標の要部である、と認識しなければならない特別の理由はない。

したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、直ちに「ホーム」の文字部分に照応した「ホーム」の称呼により取引に当たるよりは「ホームシリーズ」の称呼のみをもって取引に当たるとみるのが自然である。

(2)請求人は、過去における審決から、「〇〇シリーズ」といった構成よりなる商標からは、単に「〇〇」の文字部分に照応した称呼をも生じると判断されているものが多数存する、と主張しているが、これらの審決は、本件商標「ホームシリーズ」のように片仮名文字のみを同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔をもって一体不可分に一連に横書きしてなるものには該当せず、「〇〇」と「シリーズ」に分離して認識されうる何らかの理由があるか、あるいは商品の内容等が共通な連続ものを表示するためのものと認識される何らかの理由があるものである。

したがって、本件商標を「ホーム」と「シリーズ」に分離抽出して、「シリーズ」の文字は自他商品識別標識としての機能を有さない部分であり、「ホーム」が本件商標の要部である、と認識しなければならない特別の理由はない。

過去の特許庁における判断において「〇〇」と「シリーズ」に分離抽出せずに「〇〇シリーズ」として判断された例が多数存在する(乙第8号証ないし乙第11号証)。

(3)以上のとおり、本件商標「ホームシリーズ」を「ホーム」と「シリーズ」の文字部分に分離抽出して、「シリーズ」の文字は自他商品識別標識としての機能を有さない部分であり、「ホーム」が本件商標の要部である、と認識しなければならない特別の理由はないものであり、本件商標の商品の取引業界における取引実情もそのような認識はされていない。

すなわち、本件商標の自他商品識別標識としての機能を有するのは、包括的名称たる、一連に書してなる一体不可分の「ホームシリーズ」であるから、これから分離抽出した「ホーム」の称呼は生じ得ないものである。

したがって、「ホーム」の称呼を生ずる引用商標と「ホームシリーズ」のみの称呼を生ずる本件商標は、外観、観念が異なることは勿論のこと、称呼を共通としない非類似の商標である。

(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しないものであり、同法第46条第1項第1号の無効理由も存在しない。

5 当審の判断

本件商標は、「ホームシリーズ」の片仮名文字よりなるところ、該文字は全体として特定の意味を有する成語として存在しないから、これに接する取引者、需要者をして、「わが家、家庭」を意味する外来語として親しまれている「ホーム」と「連続、組、系列」を意味する外来語として親しまれている「シリーズ」の語よりなるものと容易に認識、理解されるものというのが相当である。

しかして、請求人の提出した甲第10号証に徴すれば、本件の指定商品「電子応用機械器具」を取り扱う分野において、一連の商品群を表示するものとして、パーソナルコンピュータにおいて「FMV−BIBLOシリーズ」、「VAIOシリーズ」、「MATEシリーズ」、「Priusシリーズ」及びソフトウエアにおいて「奉行シリーズ」、「officeシリーズ」等一連の商品群を表示するものとして、「シリーズ」の語が使用されている事実が認められる。

してみれば、本件商標を構成する「シリーズ」の文字は一連の商品群や商品の内容等が共通な連続もの(シリーズ商品)を表示するための品質表示として一般に採択使用されているものであり、本件商標中「シリーズ」の文字は自他商品識別標識としての機能を有さない部分であると見るのが相当である。

そうとすれば、本件商標の自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は「ホーム」の文字部分にあるから、全体として「ホームシリーズ」の称呼を生ずるほかに、「ホーム」の文字に相応し、単に「ホーム」(わが家、家庭)の称呼、観念をも生ずるものといわざるを得ない。

この点において、被請求人は、本件商標「ホームシリーズ」は包括的名称として使用している創造語である、と主張している。しかしながら、被請求人が使用している意図とは関係なく、これに接する需要者、取引者をして、その構成中の「シリーズ」の文字が前記したとおり、認識、理解される以上、前記した判断を覆せない。

他方、引用商標は、「HOME」の欧文字よりなるものであるから、該文字に相応し「ホーム」(わが家、家庭)の称呼、観念を生じること明らかである。

してみれば、本件商標と引用商標とは「ホーム」(わが家、家庭)の称呼、観念を共通にする、類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものである。

したがって、、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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