結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30641号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
I 本件商標
本件登録第2583840号商標(以下「本件商標」という。)は、「アセック」の片仮名文字を横書きしてなり、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、平成3年6月7日登録出願、同5年10月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
II 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のとおり述べた。
1.本件商標は、その指定商品中「測定機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証の1、乙第2号証の1及び乙第3号証の1について
▲1▼これらは、被請求人が作成したものと推測させる「納品書(控)」であるが、被請求人が作成し、現に使用しているものである、との客観的な証明が何もなされていないから、証拠として信憑性がなく、証拠能力がない。
▲2▼これらに記載されている「アセック株式会社」の表記は、郵便番号及び住所と共に記載されており、単なる商号としての使用であって商標としての使用ではない。また、「アセック株式会社」と一体不可分に構成されており、その一部を抽出して、本件商標の使用とすることはできない。
(2)乙第1号証の2、乙第2号証の2及び乙第3号証の2について
これらは、「東京計装株式会社」(以下「東京計装」という。)のカタログであり、被請求人の商品であるとの、もしくはこれを推測させる記載もない。また、被請求人の商品が使用されているとの記載もなく、これを証明する客観的な証拠が何もなされていないから、証拠能力がない。
(3)乙第4号証について
▲1▼これは、「求人広告」の写しであって、募集要項とともに会社概要が記載され、会社概要の一部として、製造品目が記載されているにすぎず、商品の広告、宣伝というべきものではないから、商標の使用を証明する証拠となり得ない。
▲2▼ここに記載されている「アセック株式会社 府中事業所」の表記中、「アセック株式会社」の部分は被請求人の商号であり、「府中事業所」の部分は被請求人の一事業部の表記であって、郵便番号、住所、電話番号及び担当者名とともに記載されているものであるから、商標としての使用ではない。また、「アセック株式会社 府中事業所」の表記は、一体不可分に構成されており、その一部を抽出して、本件商標の使用とすることはできない。
(4)乙第5号証の1について
▲1▼乙第5号証の1は、被請求人が作成したものと推測させる「会社案内」であるが、作成年月日が不明であり、その作成年月日を何ら立証していない。また、これは、会社概要とその一部として製造品目が記載されているにすぎず、商品の広告、宣伝というべきものではないから、商標の使用を証明する証拠となり得ない。
▲2▼乙第5号証の1に記載されている「ASEC」の表記が、本件商標「アセック」との関係において、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用とは認められない。
即ち、商標法第50条第1項規定の「登録商標の使用とみなす態様」は、「片仮名よりなる登録商標」を「欧文字表記した商標」全てを含むものではなく、「同一の称呼及び観念を生ずる商標」を登録商標の使用とみなす、というものである。一方、同一の称呼を生ずる場合であっても、平仮名及び片仮名とローマ字のいずれかに別異の観念が含まれるときの相互間の使用は、登録商標の使用とは認められていない。このことから、平仮名及び片仮名をローマ字の文字に変更する場合に、複数の表記が生じる場合は、そのローマ字の表記の一つをもって、「平仮名及び片仮名の表記による登録商標」の使用とは認められないものである。
被請求人は、「『アセック』なる商標が造語である。」と主張するが、造語である以上、「同一の称呼及び観念を生ずる商標」とはいえず、「平仮名及び片仮名をローマ字の文字に変更する場合に、複数の表記が生じる場合は、そのローマ字の表記の一つをもって、登録商標の使用とは認められない」との考え方が適用されるものである。
「アセック」という称呼を有する登録商標として、「ACEC」(商標登録第1283955号)のように、「ASEC」以外にも散見されることからも、そのことがいえる。
したがって、「ASEC」の表記は、本件商標との関係において、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用と認められる範囲に属するものではない。
(5)乙第5号証の2及び3について
これらは、それぞれ「見積書」、「振込金受取書」であるが、乙第5号証の1との関連性が何ら立証されていないものであるから、これをもって、乙第5号証の1が、いつ作成され、どれぐらいの期間使用されたかを立証する証拠とはなり得ない。
III 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む)を提出した。
1.乙第1号証ないし乙第3号証
(1)これらは、被請求人が得意先(東京計装)へ測定機械器具たる商品「液面計」を納品した際の納品書(乙第1号証の1、乙第2号証の1、乙第3号証の1)と、その商品が液面計であることを示す得意先のカタログの写し(乙第1号証の2、乙第2号証の2、乙第3号証の2)である。
(2)乙第1号証は形式「FW8000」、乙第2号証は形式「FST3000」と形式「FW9000」に関するものであり、これらの商品は、平成10年1月23日、同9年8月25日、同9年8月28日にそれぞれ納入されていることが、それらの日付から明らかである。
(3)乙第1号証の2、乙第2号証の2のそれぞれの冒頭の記載(「FW−8000シリーズ液面計」、「FST−3000シリーズは...液面指示・発信計)、乙第3号証の2の10頁のタイトル(液面計測・制御機器)から、これらの商品は液面計もしくはその部品であることが容易に判定される。
また、商品区分第10類によると液面計は測定機械器具のうちの一つである。
(4)乙第1号証の1、乙第2号証の1、乙第3号証の1(納品書)には、商標「アセック」が含まれており、これは、登録商標の使用である。
したがって、乙第1号証ないし乙第3号証により、上記期間中、商標権者により、本件商標は指定商品「測定機械器具」に使用されていた。
2.乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が雑誌「トランジスタ技術」1997年12月号に掲載した求人広告の写しである。ここには、本件商標が用いられており、会社の製品として、測定機械器具である「自動計量器」が掲げられている。このことも、上記期間中、商標権者により、本件商標が指定商品「測定機械器具」に使用されていたことを示すものである。
3.乙第5号証
(1)乙第5号証の1は、被請求人が発行した自社の会社案内で、随所に商標「ASEC」が使用されている。また、商品に関しては、「プラント用計測機器」、「産業用計測機器」、「液体のレベル計測機器」等の記載が見られ、液面計等の測定機器を取り扱っていることが判る。
(2)乙第5号証の1は、それ自体では発行日が明確でないが、その記載内容(沿革)から平成7年3月以降であることが容易に推定できるし、この印刷のための見積書(乙第5号証の2)とその振込書(乙第5証の3)の日付から発行日が平成9年7月1日以降であろうことが読み取れる。
そして、その発行部数は3000部であり(乙第5号証の2)、このことからも上記期間中にこの会社案内が配布されていることが判る。
(3)商標「ASEC」は、商標法第50条第1項規定の「登録商標(片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標)」に該当するものである。
「ASEC」はローマ字による造語であり、特別の観念はない。したがって、同一性は専ら称呼によると考えられるが、その称呼は「アセック」とするのが可能性のある唯一の発音である。
法が上記のカッコ書きの商標の使用を登録商標と認めたその趣旨は、正に本件商標についての「ASEC」の使用のような場合を考えたことと信ずる。
また、同条同項には、「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」をも登録商標に含む旨規定されている。この点からも、上記「ASEC」の使用は、本件商標の使用であると考えられる。
したがって、乙第5号証によっても、上記期間中、商標権者により、本件商標は指定商品「測定機械器具」に使用されていたといえる。
IV 当審の判断
1.乙各号証(枝番を含む)を総合すれば、被請求人は、取消請求に係る商品「測定機械器具」の範疇に属すると認められる「液面計」等を製造販売し、該商品を本件審判の請求登録前3年以内に日本国内で取引をしていたものと認めることができる。
2.本件商標は前記に示したとおり、「アセック」の片仮名文字を書してなるものであるところ、本件商標が前記1.で認定した「測定機械器具」について使用されていたが否かについて検討する。
(1)乙第1号証の1、乙第2号証の1、乙第3号証の1(納品書)によれば、被請求人の事業所の郵便番号・住所と認められる「〒183 東京都府中市住吉町3−4−6」の文字とともに、「アセック株式会社」の文字が表示されていることが認められるが、該「アセック株式会社」の文字部分は、納品書を発行した者であることを表示するものであって、商品の識別標識たる商標の使用とはいえないものである。
また、乙第1号証の2、乙第2号証の2、乙第3号証の2(東京計装のカタログ)には、本件商標及びこれと社会通念上同一と認められる商標の表示は見当たらない。
(2)乙第4号証(雑誌「トランジスタ技術」)の「人材募集広告」欄によれば、「アセック株式会社 府中事業所」の表示が郵便番号・住所・電話番号等とともに記載されていることが認められるが、これは、募集主としての表示と認められるものであり、上記乙第1号証の1、乙第2号証の1、乙第3号証の1と同様、商品の識別標識たる商標の使用とはいえないものである。
また、募集を訴える文章中に「アセックは海底調査や..」、「アセックで、さらなる..」の語句が記載されているが、これらは記述的であり、商標の使用とは、到底いい得ないものである。
(3)乙第5号証の1(会社案内)には、「ASEC」及び「アセック株式会社」の各文字が表示されていることが認められ、被請求人は「ASEC」は、本件商標のローマ字による表記であるから、本件商標の使用に当たる旨主張する。
しかしながら、商標法第50条第1項によれば、「登録商標」に含まれるものの一つとして、同条項の括弧書きに「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」が掲げられているところ、本件商標は特定の語義を有しない造語よりなる商標と認められるものであって、このような商標にあっては、たとえ称呼を同一にする「ASEC」なるローマ字で表示したところで観念上同一のものとはいえないばかりでなく、本件商標から直ちに「ASEC」のローマ字が想起され、常に該ローマ字をもって置き換えられるというものでもない。
してみると、使用に係る商標「ASEC」は、本件商標「アセック」とは、外観上著しい差異を有することも相俟って、商標法第50条第1項に規定する「登録商標」に含まれるものということはできない。
また、「アセック株式会社」は、商号商標であり、造語である本件商標とは、観念上相違するばかりでなく、外観上も相違するものであるから、本件商標と社会通念上同一のものいうことはできない。
さらに、乙第5号証の1のなかの文章中に記載されている、例えば、「私たちアセックは..」、「アセックのノウハウは..」などの「アセック」は、前記2.(2)の後段の認定と同様、商標の使用とはいい得ないものである。
(4)前記2.(1)ないし(3)の認定によれば、乙第1号証ないし乙第5号証に表示されている「アセック株式会社」、「ASEC」は、商標の使用とはいえないもの、もしくは本件商標の使用とはいえないものと認められる。
3.以上によれば、被請求人(商標権者)は、本件商標を本件取消請求に係る「測定機械器具」について、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において使用していたものとは認めることができないものであり、また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の指定商品について取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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