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Trademark Appeal Case

商標使用の立証不備

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30422号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3026146号商標(以下、「本件商標」という。)は、「N.H.S.」の文字を書してなり、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成4年7月31日に登録出願、同7年2月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)請求の理由

請求人の調査したところによると、本件商標はその指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れも使用した事実が認められず、かつ、それについての正当理由も認めることができなかった。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

乙第3号証ないし乙第7号証には、本件商標の商標権者である被請求人の表示がない。あるのは「ルベルコスメティックス」或いは「LebelCosmetics」の表示だけである。この「ルベルコスメティックス」とは何を意味するのか、また、何を指すのかも不明であり、少なくとも本件商標権者が発行している資料でないことは歴然としており、被請求人が本件商標を使用していることを証明するものではない。

イ)乙第3号証の「価格表」について

一般に、価格表とか定価表とか呼ばれる文書には、その中に具体的商品名と当該商品の代価が相対比した形で表されているのが通常であるところ、乙第3号証には、そのような記載がない。同号証中、被請求人が朱印を付けている箇所には、単なる記号としか認められない表示と、該表示と並んで「容量」「サロン価格」「小売価格」が掲載されているに過ぎず、具体的商品名の記載がない。同表中には「NHS」なる英文字が存在していても、具体的な商品名の対応が欠けており、その上、この英文字部分はそれ以外の部分と合体して使用されているので、登録商標そのものの独立性が失われている。 したがって、指定商品について社会通念上も登録商標の使用があったとはいえない。

ロ)乙第4号証の「キャンペーン案内(チラシ)」について

このチラシにおいて、本件商標に関係がありそうな表示は、チラシ中程の左部分「N.H.S.クッション(1コ)」とチラシ中程の一覧表中「N.H.S.シリーズ」の2ヶ所である。「N.H.S.シリーズ」の表示からは「N.H.S.」が何の商品に使用されているものなのか全く不明である。本件チラシの他の部分にも「N.H.S.シリーズ」なる商品の具体的な内容についての説明は全くないし、他の乙号証みても何の商品を指しているのか見当もつかない。乙第4号証からは、「N.H.S.」を「クッション」について使用していることが分かるにすぎない。

ハ)乙5号証の「キャンペーン案内(チラシ)」について

このチラシに記載されている本件商標に係る表示は「NHSニューイヤーボックス」のみである。「NHS」の表示は、「ニューイヤーボックス」の文字表記についてだけ冠されているのみであるから、たとえ、箱内にヘアソープやトリートメントが収納されていることが連想できたとしても、箱そのものに「N.H.S.」なる表示がない以上、箱内の商品について自他商品の識別力を有する商標として使用しているとはいえない。

ニ)乙第6号証及び乙第7号証の「サロン誓約書」及び「記名・押印済の同誓約書」について

取扱サロン誓約書は、代理店契約の一種、すなわち、サービス業務を内実とする取引契約を締結されたいとの勧誘ないしは宣伝文書に過ぎず、具体的商品の宣伝を目的としているものではないから、その文書の中に「NHSプレミアム」なる表記がなされていても、商品についての広告とはいえない。しかも、乙第6号証及び乙第7号証には、「NHS」が単独ないし独立して使用されているわけではなく、文字の位置、大きさ等、「NHS」の英文字と全く同格に表示された「プレミアム」なる片仮名と共に、一体に表示された態様で表されているから、本件商標が使用されていたとはいえるものではない。

また、被請求人は、本誓約書を1999年に作成したとしているが、審判の予告登録日は1999年6月30日であり、この登録日より前にこの誓約書を作成し、且つ配布されていなければ、適法な証明証拠とはなり得ないにもかかわらず、被請求人は、本誓約書の作成・配布時期を具体的に証明していない。特に、乙第7号証の誓約書の日付は、H11年7月24日となっており、審判予告登録日以降のものである。このような、予告登録日以降の日付の書類しか提出できなかったことからしても、乙第6号証の誓約書は6月30日より以前に作成・配布されたものとは認められない。

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の予告登録前3年以内に本件商標をその指定商品について使用していることを立証していないから、本件商標の登録は取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

(1)本件商標は、商標権者である被請求人によって審判の請求前3年以内に本件商標の指定商品に包含されている「頭髪用化粧品」である「ヘアーソープ」及び「ヘアートリートメント」についてに使用されているものである。

(2)乙第3号証ないし乙第7号証に示す「LebeICosmetics 」、「ルベルコスメティックス」は、被請求人が商標登録第2722481号、同第2722486号として所有している登録商標(乙第8号証及び乙第9号証)であり、化粧品事業に係わる商品にハウスマークとして統一的に使用している商標である。

本件商標は、頭髪用化粧品の商標であり、一般の消費者に直接販売している商品と相違し、美容院、理髪店等の専門店の店内において業務用として使用、又は、同店を利用している顧客に対して店頭においての販売を目的とする商品「ナチュラルヘアソープ及びナチュラルヘアトリートメント」のシリーズ商品に被請求人が使用している商標である。このことは、乙第3号証ないし乙第7号証からみても容易に認識されるものである。

イ)乙第3号証は、「1998年11月現在」の記載より明らかなとおり、審判請求の登録前3年以内の被請求人において販売している商品の定価表であり、その「EXCLUSIVE SALON PRODUCTS」の文字より明らかなとおり、一般の化粧品店において直接一般の消費者に販売することを目的とする商品でなく、美容院、理髪店等の専門店において、業務用としての使用または同店を利用している顧客に対して店頭において販売を目的とするものであることが「サロン価格」「小売価格」「梱包」の欄より明らかなところであり、一般の化粧品店に配置している価格表とは相違するものである。また、「LebeICosmetics」の文字より被請求人の製造販売にかかる商品であることを認識し、「ナチュラルヘアソープ」の各種の商品のシリーズ商品については「N.H.S」(または「NHS」)によってその商品を識別して美容院、理髪店等の専門店が購入して、業務用として使用または同店を利用している顧客に販売されているものである。この定価表の「サッシェギフト」の項にあるとおり「N.H.S」(または「NHS」)の商標は、「ナチュラルヘアソープ」のギフト用の商品についても商標として使用している事実を示すものである。

ロ)乙第4号証は、「’97 RETAIL CAMPAIGN HAIR CARE」及び「申込書」の記載より明らかなとおり、審判請求の登録前3年以内に、被請求人の美容院、理髪店等の専門店向けの「ナチュラルヘアソープ」のシリーズ商品の「N.H.S」の商標を使用したセット商品のキヤンペーンのパンフレットである。これによっても、その「N.H.S」の商標を使用した「Aセット」または「Bセット」のセット商品を購入した際の販売促進のための景品として、クッション等の品物を提供するものであり、「N.H.S」の商標を使用した商品「クッション」を販売するものでないことが看者に認識されるものである。

ハ)乙第5号証は、「’98Summer Debut!!」・「お申し込み期間10月15日」及び「サンクスプロモーション ニューイヤーキットお申し込み書」の記載より、審判請求の登録前3年以内に、被請求人の美容院、理髪店等の専門店向けの「ナチュラルヘアソープ」と「ナチュラルヘアトリートメント」を詰め合わせたシリーズ商品の「N.H.S」の商標を使用したセット商品のパンフレットである。これによっても、その「N.H.S」の商標を使用したセット商品が販売されていた事実が把握されるものである。

ニ)乙第6号証は、被請求人の商品「ナチュラルヘアソープ」を取り扱うことについて美容院、理髪店等の専門向けの誓約書であり、その第1条以下の条項によっても、「N.H.S」(または「NHS」)の商標を使用した「ナチュラルヘアソープ」のシリーズ商品に関する誓約書であり、「N.H.S」(または「NHS」)の商標を使用した商品の定義、代理店の義務、一般顧客への販売に関して取り極めたものである。この誓約書によっても、「ナチュラルヘアソープ」のシリーズ商品の商標として「N.H.S」(または「NHS」)が使用されているものである。

ホ)乙第7号証は、従前より審判請求の登録直後においても継続して、本件商標が「ナチュラルヘアソープ」のシリーズ商品の商標として使用されていることを証明するための証拠として提出したものである。

ヘ)本件商標は、乙第3号証ないし乙第9号証によって、審判の請求前より継続して現在においても、被請求人が「ナチュラルヘアソープ」のシリーズ商品の商標として使用していることが証明されているものである。

4 当審の判断

先ず、被請求人の提出した乙第4号証ないし乙第6号証に記載されている「ルベルコスメティックス」若しくは「LebeICosmetics」と商標権者との関係についてみると、被請求人の提出した乙第8号証及び乙第9号証によれば、乙第4号証ないし乙第6号証に使用されている「ルベルコスメティックス」、「LebeICosmetics」の文字は、被請求人の所有に係る登録商標と同一態様であり、ハウスマークとして使用している商標と認め得るから、乙第4号証ないし乙第6号証の書証に商標権者の表示がないとしても、前記の事実よりすれば、乙第4号証ないし乙第6号証は商標権者の作成に係るものとみるのが相当である。

しかして、被請求人が提出した各乙号証をみるに、乙第6号証の「ナチュラルヘアソーププレミアム取扱サロン誓約書」によれば、商標権者と取扱サロン誓約書を取り交わした登録サロンのみが商標権者の企画・販売するナチュラルヘアソープ等の商品を取り扱い、一般顧客への販売をすることができるものであることが認められ、また、乙第7号証は、平成11年7月24日付けのアイリス美容室からの上記サロン誓約の申込書と認められる。

そして、乙第6号証及び乙第7号証が本件審判の予告登録日以降のものであるとしても、被請求人の答弁及び他の乙号証に照らしてみれば、それ以前においても、これと同様の取引形態にあったものと容易に推認することができるものである。

そうとすれば、乙第3号証ないし乙第5号証は、いずれも商標権者と登録サロンとの間において用いられていた業者間の価格表でありキャンペーン案内といえるから、一般顧客向けのものとは、その記載方法、記載内容において趣を異にしていてもやむを得ないものというべきである。

また、乙第3号証の価格表は、1998年11月現在のものである旨の表示があり、ギフトの区分欄には、商品名として「NHS」の文字と商品記号と思しきアルファベットが記載されており、その右には「容量」「サロン価格」「小売価格」が掲載されている。また、乙第4号証のキャンペーン案内は、申込書の上部に「’97 RETAIL CAMPAIN HAIR CARE」の表示があることから、1997年に制作・配付されたものと認められ、申込み内容を表示するAセット、Bセットの各欄には、いずれも「N.H.S.シリーズ」の文字とともに容量、本数の表示が記載されている。更に、乙第5号証のキャンペーン案内は、中段部分に「’98 Summer Debut」の表示があることから、1998年夏頃以降に制作・配付されたものと認められ、ニューイヤーキットの商品案内として、「NHSニューイヤーボックス」の表示のもとに、箱内に商品が収納されていることを表す態様でヘアソープとヘアトリートメントが掲載されており、申込書欄には、その具体的な商品の内容、価格が表示されている。

しかして、本件商標は、他の文字とともに用いられているとはいえ、容易にそれ自体独立して自他商品識別標識として認識し得る態様をもって表されているものというべきであり、使用に係る商品も「ヘアーソープ、ヘアートリートメント」であることが認められる。

してみれば、被請求人が提出した乙第3号証ないし乙第9号証を総合してみると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「ヘアーソープ、ヘアートリートメント」について使用していたものというのが相当である。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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