結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第31688号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2038811号商標(以下「本件商標」という。)は、「SME−V」の文字及び記号を書してなるものであり、昭和60年7月8日に登録出願、第11類「電気材料,その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和63年4月26日に設定の登録がなされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、被請求人である商標権者若しくは使用権者によってその登録に係る指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具」について、少なくとも過去3年以上継続して使用されている事実を発見できなかった。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項に該当し、その登録の取消を免れることができないものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人が提出した乙第1号証ないし同第5号証は、以下に述べるように、本件商標の指定商品中の「電気通信機械器具,電子応用機械器具」についての使用を証明するものではない。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証として、被請求人との間で取引関係があるユカデンシ株式会社の購入証明書なるものを提出しているが、その証明者である「ユニデンシ株式会社」が被請求人との間で取引関係があることから、かかる購入証明書に証拠能力があるかが疑わしい。このことは、購入されたとされる各年度毎の納品書や受取書等の書類が提出されていないことからも裏付けられる。
乙第1号証には、「『受話器振動板用』として下記仕様を購入している」旨記載され、そして、「材質名:SME−V(セメンジュール)」の記載がされている。請求人には、かかる記載からは、如何なる商品についての商標の使用なのか不明であり、「SME−V」は、商標とは言えない。更に、「・・・用」という記載は、単に「受話器振動板」の材料を意味しているに過ぎない。
(イ)乙第2号証について
乙第2号証は、商品「金属磁性材料」についてのカタログであって、本件審判請求の対象である商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具」との関係を示すものではない。このことは、乙第2号証の27頁の「セメンジュール(SME−V)は非常に高い飽和磁束密度を持つ材料で電磁石、各種ヨウク、モータ、ジェネレータ用鉄心、電話機受話器の振動板、プリンターヘッド、高性能リレー用鉄心などに最適です。」といった記述からも明らかである。
(ウ)乙第3号証について
乙第3号証のジャケット面には、「非売品」との記載が有り、このことは、当該「CD−ROM」が商品として流通しているのかどうかを疑わしめるものである。
更に、乙第3号証には、本件商標がどこにも表示されておらず、被請求人は、乙第3号証によって、一体何を証明せんとしたのかが不明である。
(エ)乙第4号証について
乙第4号証での「SME−V」の記載は、乙第2号証と同様であって、単に「材料」を指称する言葉として、「SME−V」が使用されているに過ぎない。
(オ)乙第5号証について
乙第5号証には、乙第2号証及び同第4号証と同様に、「セメンジュール(SME−V)」が「材料名」であるという記載が有るに過ぎない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第9号証を提出している。
(1)被請求人の第1答弁
被請求人が提出する証拠方法は、(a)乙第1号証:購入証明書、(b)乙第2号証:金属磁性材料カタログVol.2(1999年9月25日発行)、(c)乙第3号証:TOKIN PRODUCTS2000 CD−ROM(1999年10月発行)のジャケット及び当該ページのハードコピー、(d)乙第4号証:商標権者ホームページ(http://www.iijnet.or.jp/tokin/index.html)、(e)乙第5号証:TOKIN PRODUCTS98 CD−ROM(1998年9月発行)のジャケット及び当該ページのハードコピー)である。
乙第1号証では、商標権者が、本件審判請求日前3年以内に受話器振動板用について本件商標「SME−V」を使用していることが明らかである。
以上により、本件商標は、本件審判請求日前3年以内に指定商品中の「電気通信機械器具」に含まれる電話機の受話器振動板について使用している。
(2)被請求人の第2答弁
本件商標は、前回の被請求人が提出した乙第1号証ないし同第5号証及び今回新たに追加した証拠方法(乙第6号証ないし同第9号証)から明らかなように、本件審判請求日前3年以内に指定商品中の「電気通信機械器具」について使用している。
被請求人が追加した証拠方法は、(a)乙第6号証:ドットインパクトプリンタの印字ヘッド部品を需要者に出荷する際の包装箱の写真、(b)乙第7号証:乙第6号証の包装箱に貼付された需要者の宛先が記されたラベルの拡大写真、(c)乙第8号証:乙第6号証の包装箱の内容物の写真、(d)乙第9号証:平凡社発行:大百科事典第10巻(1985年3月25日初版発行)である。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証として当社は「ユタカデンシ株式会社」の購入証明書を提出したのであって、請求人の指摘する「ユカデンシ株式会社」及び「ユニデンシ株式会社」の購入証明書については不知である。
以下、請求人の指摘する購入証明書が「ユタカデンシ株式会社」による乙第1号証を示すと仮定した場合について述べる。
請求人は「ユタカデンシ株式会社」殿が被請求人と取引関係があるから乙第1号証の証拠能力は疑わしいとしていますが、商品を生産し証明し譲渡する者(被請求人)と商品の需要者(ユタカデンシ株式会社)の間に商業取引関係があることは当然である。即ち、商品の流通というものは、商品を譲渡する者と、譲受する者がいてその両者はまさに取引関係にあるといる。したがって、請求人の主張する、「『ユタカデンシ株式会社』が被請求人と取引関係があるから乙第1号証の証拠能力は疑わしい」どころか、逆に証拠能力としては最適のものであると思料する。
次に、乙第9号証(平凡社大百科事典第10巻の該当頁のコピー)の図2に受話器の構造が示されているように、受話器の構造は、電気通信系の当業者にとっては周知の事実である。すなわち、振動板はダンパーと内側磁極からなり、SME−Vよりなる商品はこの内側電極として使用されている。したがって、SME−Vは電話機械器具すなわち電気通信機械器具に使用されていることは明らかである。
(イ)乙第2号証について
乙第2号証の請求人引用部の上部には、商品SME−Vの一例の写真が掲載されている。個々の商品の説明は無いものの、写真形状から明らかなようにSME−Vは複雑形状を呈しており、単なる材料ではなく請求人が引用する「電磁石、各種ヨーク、モー夕、ジェネレータ用鉄心、電話機受話器の振動板、プリンターヘッド、高性能リレー用鉄心」といった「電子通信機械器具、電子応用機械器具」であることは明らかである。
また、乙第2号証3ページ(付与ページ番号28)左下の「熱処理」の項に記載の通り、SME−Vは機械加工を施して所望の形状にした後の熱処理が必須であり、「電子通信機械器具、電子応用機械器具」に適した最終形状に加工し更に熱処理を要するものであって、需要者と被請求人間では当然にその商品を具体的に認識した上で本件登録商標を使用していることは明らかである。
(ウ)乙第3号証について
乙第3号証は被請求人のCD−ROM版カタログであって、その内容を全て紙面に表示することはその情報量の多さからも現実的に不可能であったためにその一部を複写したものである。すなわち、乙第3号証の6・7ページがこのCD−ROMに記録されていることを示すものであり、その内容は乙2号証と同じである。
(エ)乙第4号証について
乙第4号証は、被請求人のホームページでも上記乙第3号証のCD−ROMカタログ閲覧が可能であることを示し、もって被請求人の商標使用および需要者に広く知られていることを証明したものである。
(オ)乙第5号証について
上記乙第2号証ないし同第4号証に対する反論と同趣旨であるので省略する。
(カ)新たな証拠方法について
乙第6号証はドットインパクトプリンタの印字ヘッド部品を需要者に出荷する際の包装箱を示したものであり、乙第7号証は乙第6号証の包装箱に貼付された需要者の宛先が記されたラベルの拡大写真を示したものであり、乙第8号証は乙第6号証の包装箱の内容物を示したものであり、乙第9号証は平凡社発行の大百科事典第10巻(1985年3月25日初版発行)の一部を示したものである。
乙第8号証から明らかなように、ドットインパクトプリンタの印字ヘッド部品は複雑形状に加工が施されており、材料ではなく、電子応用機械器具であることは明らかである。なお、身近のドットインパクトプリンタの印字ヘッドを観察すれば、本形状もしくは類似形状の部品が印字ヘッド内に配置されていることは目視観察可能である。
上記した電子応用機械器具であるドットインパクトプリンタの印字ヘッド部品を需要者に出荷する際の包装箱に貼付されたラベルには本件商標が表示されており、電子応用機械器具に使用されていることは明らかである。
被請求人は、本件商標を使用している証拠として乙各号証を提出しているので、以下これらについて検討する。
乙第1号証は、ユタカデンシ株式会社が「材質名:SME−V(セメンジュール)」である商品を「受話器振動板用として」株式会社トーキン(被請求人)から購入していることを平成12年3月30日付けで証明したものであることが認められる。
乙第2号証は、被請求人の販売に係る「金属磁性材料」のカタログ(平成11年9月25日発行)であり、「セメンジュール(SME−V)は非常に高い飽和磁束密度を持つ材料で、電磁石、各種ヨーク、モータ、ジェネレータ用鉄心、電話機受話器の振動板、プリンターヘッド、高性能リレー用鉄心などに最適です。」及び「セメンジュールは、最終熱処理をして初めて高透磁率および高飽和磁束密度が得られますので、打抜き加工、あるいは成形加工の後、必ず熱処理をしてご使用下さい。・・・また、ご要望によっては、最終の熱処理をTOKINお引き受けいたしますので、熱処理上お困りの場合にはご用命下さい。」の記載が認められる。
乙第3号証は、被請求人発行の「TOKIN PRODUCTS 2000」と題するCD−ROMカタログ(平成11年10月発行)に係るものであり、その中には上記で述べた乙第2号証中の記載と同一の記載が認められる。
乙第5号証は、被請求人発行の「’98 TOKIN PRODUCTS」と題するCD−ROMカタログ(平成10年9月発行)に係るものであり、「セメンジュール(SME−V)は、非常に高い飽和磁束密度を持つ材料で、電磁石、各種ヨーク、モータ、ジェネレータ用鉄心、電話機受話器の振動板、プリンターヘッド、高性能リレー用鉄心などに最適です。」の記載が認められる。
乙第4号証は、被請求人のホームページでも上記乙第3号証のCD−ROMカタログの閲覧が可能であることを示しているにすぎないものである。
上記乙第1号証ないし同第3号証、同第5号証に記載されている「セメンジュール(SME−V)」なる商品は、その記載によれば、「電気通信機械器具」の範疇に属するとみられる「電話機受話器の振動板」等の電話機の部品そのものとは認められず、打抜き加工又は成形加工の後、熱処理を経ることにより各種商品の部品になりうる材料といえるものである。このことは、被請求人が「乙第2号証3ページ(付与ページ番号28)左下の『熱処理』の項に記載の通り、SME−Vは機械加工を施して所望の形状にした後の熱処理が必須であり、『電子通信機械器具、電子応用機械器具』に適した最終形状に加工し更に熱処理を要するものであって、・・・」と述べていることからも明らかである。
また、これらにおいては、本件商標と社会通念上同一といえる標章が商品に使用されているという証拠が示されているということもできない。
してみれば、乙第1号証ないし同第5号証によっては、本件商標がその指定商品中の「電気通信機械器具」について使用されている事実を把握することができない。
また、被請求人は、乙第9号証の説明において「受話器の振動板はダンパーと内側磁極からなり、SME−Vよりなる商品はこの内側電極として使用されているものであり、SME−Vは電話機械器具すなわち電気通信機械器具に使用されていることは明らかである。」旨述べているが、「電気通信機械器具」の範疇に属するとみられる電話機の部品に本件商標が使用されている事実を把握することはできない。
被請求人は、乙第6号証ないし同第8号証により、本件商標が「ドットインパクトプリンタの印字ヘッド部品」に使用されていることを立証しようとしているが、同第7号証の送付ラベル中に品名の一部として「SME−V」の記載が認められるのみであって、これらの証拠によっては、本件商標がその指定商品中の「電子応用機械器具」について使用されている事実を把握することができない。
以上によれば、本件商標は、本件請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者(被請求人)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具」について、使用されていたものとは認められない。
その他、これを覆すに足りる証拠の提出はない。
また、本件商標を使用しないことについての正当な理由の開示もない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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