結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35641号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第4146986号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成6年9月6日に登録出願され、「C.E.O.」の文字を横書きしてなり、第25類「被服」を指定商品として、平成10年5月22日に設定登録されたものである。
2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、「CEO」の文字と「セオ」の文字を2段に横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和58年11月2日に登録出願、昭和60年12月25日に設定登録された登録第1832394号商標(以下「引用A商標」という。)及び別掲に示したとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成4年3月25日に登録出願、平成6年6月29日に設定登録された登録第2679430号商標(以下「引用B商標」という。)である。
3.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決求めると申し立て、その理由を次のように述べている。
(1)商標の類似について
本件商標は、英文字で「C.E.0.」と左横書きに書してなるものであるから、これより「シーイーオー」または「セオ」の称呼を生ずること明らかである。
他方、請求人が引用A商標及び引用B商標はその構成より「セオ」の称呼が生ずるものである。
してみれば、本件商標と請求人の引用する商標は、共に「セオ」の称呼を生ずること明らかであるから、その称呼を共通とする商標である。
なお、本件商標は、各文字の後に「.」を付加しているが、その位置及び配置関係からみて視覚上強い印象を与えるものとは言い難く、一個の語として把握することはなんら不自然ではない。従って、簡易・簡便・迅速を尊ぶ実際の商取引の現場において、「セオ」と称呼されることも十分あり得ると判断するのが至当である。逆に本件商標から「セオ」の称呼は生じないと判断する合理的な論拠・根拠を探し出すことは極めて困難である。
また、理屈はどうあれ、本件商標から「セオ」と称呼してしまうのが実際の取引界の実態と思われる。例えば、(実際の取引界の例ではないが)「WIPO」について、WIPO自身は「ワイポ」は悪い意味があるため「ダブルアイピーオー」と発音するよう要請しているが、いまだに「ワイポ」と発音している人は大勢いることでも、いかに簡易・簡便・迅速が尊ばれるかが判る。
本件商標と請求人の引用する両商標が称呼上類似のものであることは前段において述べたところであるが、次に、この点について下記の審決例を引用する。
昭和56年審判第11444号
「M.A.P.」と「BLUEMAP/ブルーマップ」(分類第17類)
昭和62年審判第6624号
「S・i・S」と「シス」 (分類第17類) 上記審決例についてみると、「.」または「・」の有無の場合を比較し、その有無に関わらずいずれも英語風の称呼が生じるものとして審理していることが認められる。
しかして、これらの各商標の構成およびその指定商品は本件と同一ではないが、実質的には本件と事案を同じくするものであって、上記の審決例の存することより考えて、本件の場合においても同一の判断が与えられるのが相当である。
さらに、「C.E.0.」「CEO」はいずれも造語ではなく、経済界において経営最高責任者(chief executive officer)を表す語として一般的であるため、経営最高責任者の観念を共通とするものである。
(2)商品の類似について
本件の指定商品については、商標法施行令別表にも示されているように、引用各商標の指定商品とは販売ならびに需要者が同一で、類似する商品ということができる。
4.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求める。と要旨次のように答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求人は、本件商標は、請求人が所有する引用A商標及び引用B商標に類似し、また、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは類似する商品なので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきものと主張している。
しかし、以下に詳述するように、本件商標と引用A・B商標とは、称呼、外観、観念のいずれにおいても明瞭に区別できる非類似の商標であって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(2)本件商標より生じる称呼について
(2−1)本件商標は、同一の書体、同一の大きさ及び同一の間隔で表記された「C」「E」及び「0」の英文字と、これら各英文字の後ろに付したピリオド「.」から構成され、「C.E.0.」と表記されるものである。
本件商標において、3つの英文字の後ろに付されたピリオド「.」は、「叙述文の終わりや省略形等を示す終止符」であり(乙第6号証の14)、英語において、略語を構成する各文字の後ろに付する記号として、しばしば使用されるものである。そして、このことは、少なくとも、初歩的な英語教育を受けたことのある者であれば、誰もが知るところである。したがって、本件商標を使用した商品の需要者・取引者は、本件商標の「C」「E」「0」の各文字の後ろに付された記号「.」が、上記ピリオドを意味するものであることを容易に理解し得るものであり、また、かかるピリオドを付された本件商標が、全体として、何らかの略語を表示するものであることも、容易に認識し得る筈である。
この点に関し、請求人は、請求書において、本件商標中のピリオド「.」が、「...その位置及び配置関係からみて視覚上強い印象を与えるものとは言い難く、...」と述べているが、上述したように、ピリオド「.」というものが、我が国の国民にとって極めて周知の記号であり、その用途及び機能を誰もが容易に理解し得るものであることを考慮すれば、本件商標に接した者が、ピリオド「.」の存在を見落とすことは現実には有り得ないと言うべきである。
そして、ピリオド「.」の持つ記号としての用途・機能、つまり、「略語を構成する各文字の後ろに付され、各文字が特定の語の省略形であることを意味する機能」が我が国の国民にとって周知のものであることから、本件商標のように、ピリオド「.」によって区切られた英文字から構成される商標は、通常、各英文字一つ一つの発音に基づいて称呼されるものである。
このため、本件商標に接した需要者・取引者は、ピリオド「.」で区切られた「C」「E」「O」の各文字を、「シー」「イー」「オー」というように、各文字毎に、一つ一つ発音する筈であり、これを敢えて、ピリオド「.」の存在を無視した上で、「セオ」と称呼する筈はないのである。
たとえ、簡易・簡便・迅速を尊ぶ実際の商取引の現場においても、僅か3つの英文字とその後ろに付されたピリオド「.」のみからなる本件商標は、常に、正確に「C.E.0.」と認識され、かかる構成に従って称呼されるものである。
(2−2)このように、本件商標が、極自然に「シーイーオー」と称呼されるものであること、また、本件商標から「セオ」という不自然な称呼が生じるべくもないことは、審決例等からも容易に知ることができるのである。
(2−3)ところで、本件商標の「C.E.0.」は、「最高経営責任者」等の意味を有する英語「chief executive officer」の略語と同一の文字から構成されるものである。この英語は、我が国では、必ずしも、現在一般的に広く使用されているものではなく、また、その意味も正確に認識されてはいないと解されるが、比較的最近に発行された英和辞典等の中には、この言葉を収載しているものが幾つか見受けられる(乙第4号証〜乙第10号証)。そして、本件商標が、常に「シーイーオー」と称呼されるべきものであることは、これらの辞典類の記載からも明白なことである。
「chief executive officer」の略称としての「C.E.0.」の文字については、これを「セオ」と発音する慣習も存在しないし、これを「セオ」と発音すべきものとしている英和辞典や略語辞典も存在しないのである。これらの事実からしても、本件商標が「セオ」と発音されないことは明らかであり、結局、本件商標から生じる称呼は「シーイーオー」のみと言うべきである。
(3)引用A・B商標より生じる称呼について
(3−1)引用A商標は、「CEO」の英文字と「セオ」の片仮名文字を上下二段に表記してなるもので、構成中上段の英文字と下段の片仮名文字とは、互いに対応するようにバランスよく配置されているため、一見して、下段の片仮名文字「セオ」が上段の英文字「CEO」の振り仮名の役目を果たすものと容易に理解されるものである。その結果、引用A商標は、振り仮名として理解される片仮名文字に基づいて、常に「セオ」と称呼されるものである。
また、引用B商標は、幾分図案化した英文字「CEO」と、その末尾の「0」の中に小さく表記された片仮名文字「セオ」からなるもので、「セオ」の文字が「0」の中に位置するため、この片仮名が英文字と完全に一体となって把握されることになり、その結果、「セオ」の文字が「CEO」の発音を示すものとして、需要者・取引者に容易に理解されるものである。したがって、引用B商標も、片仮名文字に基づいて、常に「セオ」と称呼されるというべきである。
(3−2)このように、英文字と片仮名文字から構成される商標の場合、当該英文字と片仮名文字とが互いに対応し合い、一見して、片仮名文字が英文字の発音を特定する役目を担っているものと理解される場合には、かかる商標からは、その片仮名文字に従った称呼のみが自然に生じると言うべきであり、このことは、過去の審決例においても、繰り返し述べられていることである。
そして本件の引用A・B商標を見ると、引用各商標は共に、その片仮名文字部分が英文字部分の発音を特定する役目を果たすものと無理なく認識されるから、これら両商標からは、常に、片仮名文字部分に基づいて「セオ」の称呼のみが生ずると言うべきである。
(4)本件商標と引用A・B商標の称呼の非類似性について
上述の(2)及び(3)において詳述したように、本件商標からは「シーイーオー」の称呼のみが生じ、また、引用A・B商標からは「セオ」の称呼のみが生じるものと言うべきである。
そして、本件商標の「シーイーオー」と引用各商標の「セオ」とは、互いに明瞭に区別できる非類似のものである。
したがって、本件商標と引用A・B商標とは、称呼上非類似の商標と言うべきである。
(5)本件商標と引用A・B商標の外観、観念の非類似性について
本件商標と引用A・B商標とは、外観上はっきりと区別できるものであり、観念上も何ら類似性を有しないものと言うべきである。
(6)以上詳述したように、本件商標と引用A・B商標とは、称呼、外観、観念のいずれにおいても明瞭に区別することのできる、非類似の商標であることが明らかであり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
したがって、被請求人は、答弁の趣旨で述べた通りの審決を求めるものである。
5.当審の判断
そこで、本件商標と引用B商標との類否について判断するに、本件商標は、前記したとおりの構成よりなるから、その構成文字に相応して「シーイーオー」の称呼を生ずるものである。
これに対し、引用B商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるところ、その構成態様は圧倒的に大きく「CEO」の文字を表し、「O」の中に「セオ」の文字を配してなるものであるが、その「セオ」の文字は極めて小さく判然としないものであって、これが欧文字「CEO」の読みを特定したものとは必ずしも看取し得ないものであるから、顕著に書された「CEO」の文字に相応して「シーイーオー」の称呼を生ずると判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用B商標は、「シーイーオー」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用B商標の指定商品中に含まれるものである。
そうとすれば、本件商標と引用B商標は、外観において差異が認められるとしても、観念において判然と区別し得る差異を有することもないから、両商標は、上記認定のとおり、称呼上、類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、引用A商標との類否を検討するまでもなく商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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