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Trademark Appeal Case

外国語称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35006(T2000−35006/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4248136号の指定商品中「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4248136号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年12月16日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、同11年3月12日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人の引用する登録第2162714号商標(以下「引用商標1」という。)は、昭和62年5月19日に登録出願、「ヴアージヤ」の文字と「VERDURE」の文字とを二段に横書きしてなり、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、平成1年8月31日に設定登録されているものである。同じく、登録第1353322号商標(以下「引用商標2」という。)は、昭和50年4月18日に登録出願、「ヴアージヤ」の文字と「VERDURE」の文字とを二段に横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同53年10月31日に設定登録されているものであり、いずれも、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

(1)請求の理由

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第13号証を提出した。

本件商標の文字部分は、「Verger」の文字を横書きしてなるものであり、日本人に最もなじみの深い外国語である英語風の読みを採用した場合、「ヴァージャー」と称呼されるものである。「ヴァーガー」と称呼される場合があることを否定するものではないが、「Verger」は英語で、「堂務者、(聖)堂守、権標捧持者」等を意味する名詞の既成語であり、現に「ヴァージャー」のごとく発音されるものである。

よって、英語の「Verger」を認識している取引者・需要者は自然と本件商標を「ヴァージャー」と称呼することになり、また、「Verger」の英語を認識していない者にとっても、「Changer(チェンジャー)」、「Manager(マネージャー)」、「Messenger(メッセンジャー)」、「Ranger(レーンジャー)」、「Teenager(ティーンエージャー)」、「Voyager(ボエージャー)」等の如く、語尾が「・・ger」と表記される英語で、「・・ジャー」と読まれる既成語が数多く存在していることから、本件商標は、これらにならって、無理なく「ヴァージャー」と称呼されるものである。

したがって、仮に、本件商標から「ヴァーガー」の称呼を生じるものであったとしても、それによって「ヴァージャー」の称呼が生じることを否定し得るものではなく、本件商標からは「ヴァージャー」の称呼が生ずるものである。

他方、引用商標1及び2は、上段に書かれた「ヴアージヤ」の片仮名文字から「ヴァージャ」の称呼が生ずることは明らかであり、本件商標から生ずる「ヴァージャー」の称呼と、引用商標1及び2から生ずる「ヴァージャ」の称呼とは、語尾の長音の有無が相違するにすぎないので、互いに紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。

そして、その指定商品中の「乳製品,食用油脂」は引用商標1の指定商品に含まれるものであり、「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」は引用商標2の指定商品に含まれるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、上記指定商品についての登録は無効とされるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標は果樹園を意味するフランス語に由来し、「ヴェルジェ」と称呼されるものである旨主張しているが、一般の日本人は、「Verger」が果樹園を意味するフランス語であることを理解しておらず、フランス語であるということすらも認識しているとはいい難い。本件商標は、フランス語であると認識すべき綴り字記号もなく、欧文字を通常に記したにすぎないため、フランス語が一般的に使用されていない本件の指定商品における食品業界の取引現状においては、英語読みあるいはローマ字風の読みが採用されるものというべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第10号証を提出した。

(1)本件商標は、果樹園を意味するフランス語「Verger」に由来するものであって、「ヴェルジェ」「ベルジェ」と発音されるものである。本件指定商品の分野における商取引界においては、各種輸入食品も愛好され、フランス語からなる商標も多く採択され、フランス語としての読みも認識されている。食品分野において、「果樹園」を意味するフランス語の「verger」は自然な採択であり、当然にその発音「ヴェルジェ」「ベルジェ」をもって特定されており(乙第2号証「新仏和中辞典」、甲第6号証「スタンダード仏和辞典」)、英語における「堂務者、(聖)堂守、権標棒持者」の用例よりはるかに一般化しており、一般の日本人も通常使用している用語である。

被請求人は、各種果物から作られるジャムに本件商標を付し、その片仮名読みとして「ヴェルジェ」「ベルジェ」の片仮名文字を併記して(乙第4号証「商品ラベル」)、日本全国の販売網を通じて大規模かつ活発な販売活動、営業活動などを通じ本件商標を付した商品の販売を行っており、実際の使用に基づいて、本件商標は、「ヴェルジェ」「ベルジェ」と発音されるものであって、これが本件商標より生ずる唯一の称呼である。

称呼認定に関する審判決例についてみても、フランス語に由来する商標は、フランス語の発音の称呼が生ずると認定すべきと判断されている(乙第5号証)。特許庁においても、本件商標より「ベルジェ」の称呼のみを認定しており、他の称呼は認定されていない(乙第3号証「特許庁データ」)。

(2)請求人は、「Verger」は、英語で、「堂務者、(聖)堂守、権標棒持者」等を意味する英語であって「ヴァージャー」と発音されると主張しているが、かかる英語は、我が国においては全く通用していないし、かかる発音も知られていない。特殊な教会用語であって、これらが何を意味するのか不明であって、我が国の一般の取引者、需要者に知られている用語ではなく、まして、その主張にかかるような発音をもって認識されたり記憶されるものではない。

仮に、請求人のいう英語風あるいはローマ字風の発音が生じるとしても「ヴァーガー」、「バーガー」、「ベーゲル」といった称呼である。

請求人が指摘する「Changer(チェンジャー)」以下8件の用例は、本件商標におけるように、前音「ver」あるいは「er」につながるものではなく、前音との関係が本件とは基本的に相違するものであって、本件商標の称呼認定の資料となり得るものではない。

本件商標は、長音の発音を招来する「Ver」に続いて「ger」と連続するものであるが、これは、例えば「hamburger」(ハンバーガ一)と同様の用例であり、lager(ラガー)、tiger(タイガー)、finger(フィンガー)、singer(シンガー)のごとく、語尾の「・・ger」は「ガー」と発音されるのが英語の通例である。

また、引用各商標の称呼は、上段の片仮名文字からは「ブ・アー・ジ・ヤ」であり、下段の欧文字からは「ヴァー・ジュ・ア」であって、本件商標の正しい称呼「ヴェルジェ」「ベルジェ」はもとより、英語風、ローマ字風とされる「ヴァーガー」、「バーガー」、「ベーゲル」のいずれとも類似するものではない。

なお、本件商標に対しては、平成11年異議第90895号により審理された。本件無効審判は、異議申立と同じ商標を引用し、理由も全く同じであって(乙第1号証)、何等特別な主張、理由が加えられていないものであるから、異議事件と同様に商標の類否が判断されるべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「Verger(gの文字は筆記体にして、やゝ図案化されている)」の語は、英語では「堂務者、(聖)堂守、権標棒持者」等を意味し、「ヴァージャー」あるいは「バージャー」と発音される成語であり、フランス語では、「果樹園」を意味し、「ヴェルジェ」あるいは「ベルジェ」と発音される成語であることを認めることができる。

ところで、欧文字よりなる商標の称呼は、商標に接する指定商品の一般的な取引者・需要者が通常有する外国語の語学知識に従ってなす発音によって定まるべきものである。そして、近時、フランス語も一般に相当程度普及している状況にあることからみれば、フランス語の読みに従った称呼の生ずることを必ずしも否定するものではないが、我が国においては、義務教育の段階から英語が取り入れられ、日常生活でも最も身近に、頻繁に用いられ、英語を語源とする外来語も数多く使用されており、英語は、フランス語に較べて、遙かに広く普及していることからすれば、該語が我が国において、フランス語として認識され親しまれているものであるとか、綴字からみてフランス語による発音以外の称呼は、不自然であるとかの特段の事情がない限り、まずは、英語の読みないしは英語風の読みによる称呼をもって取引に資されるものとみるのが自然である。

しかして、「Verger」の語は、上記のとおり、フランス語では「果樹園」を意味する語であることは認められるとしても、本件指定商品の分野において、該語が一般に格別親しまれているとする事情も認められず、かつ、明らかにフランス語を表したものと認められる綴り上の特色も認められない。

そうとすれば、本件商標は、「堂務者、(聖)堂守、権標棒持者」等の意味を有する英語として一般に認識されているか否かにかかわらず、英語の読みないしは英語風の読みに従い、「ヴァージャー」あるいは「バージャー」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

他方、引用商標は、上記のとおりの構成からなるものであるから、欧文字の読みを表したものと認められる仮名文字部分に相応して「ヴアージヤ」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標から生ずるものと認められる「ヴァージャー」の称呼と引用商標から生ずる「ヴアージヤ」の称呼とを比較するに、引用商標から生ずる「ヴアージヤ」の称呼は、「ヴ」「アー」「ジ」「ヤ」と一音一音区切って発音される場合があるとしても、「ヴ」の母音(u)は、これに続く「ア」(a)に吸収されて、「ヴァ」と一音の如く発音され、又、「ジヤ」の部分は拗音化して「ジャ」の如く発音され、全体として「ヴァージャ」のように発音、聴取される場合も決して少なくないとみるのが相当である。

そうとすれば、両称呼は、語尾における長音の有無の差にすぎないものであり、これとても、明瞭な音の長さの差として聴取し得る程のものでもないから、それぞれを一連に称呼した場合、その語調、語感が似たものとなり、称呼上、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。

この点について、被請求人は、ジャムに本件商標を付し、その読みとして「ヴェルジェ」の片仮名文字を併記して使用していることから(乙第4号証)、本件商標より生ずる唯一の称呼は、「ヴェルジェ」「ベルジェ」であること、仮に、英語風の発音を生ずるとしても、語尾の「ger」は、「hamburger」(ハンバーガ一)等と同様に「ガー」と発音されるのが英語の通例であるから、「ヴァーガー」あるいは「バーガー」と称呼されるものであること、更に、特許庁データ(乙第3号証)には、本件商標の称呼として「ベルジェ」のみが掲載されていることを挙げて反論している。

しかしながら、乙第4号証の商品ラベルに表されている商標の態様は、「VERGER」の欧文字の下に「ヴェルジェ」の片仮名文字が大きく表された構成からなるものであるから、このような構成からなる商標の使用態様のもとにあっては、該商品が「ヴェルジェ」と称呼され取引されるのは、むしろ自然なことというべきであって、そうだからといって、「ヴェルジェ」の片仮名文字が併記されていない「VERGER」の欧文字についても、直ちに「ヴェルジェ」あるいは「ベルジェ」の称呼をもって認識されるものとはいえない。また、「VERGER」の表記のみで、該商品が「ヴェルジェ」あるいは「ベルジェ」と称呼されて広く知られているとする証拠もない。

また、「Verger」から「ヴァーガー」あるいは「バーガー」の称呼を生ずるとする被請求人の主張を否定するものではないが、例えば、一般にも親しまれている「manager」が「マネジャー」と発音され、「teenager」が「ティーンエージャー」と発音されている等の例に従えば、「Verger」の綴りからは、「ヴァージャー」あるいは「バージャー」の称呼も無理なく生ずるものとみるのが相当である。

更に、特許庁データ(乙第3号証)は、称呼検索の便宜をも考慮した参考情報としての位置付けのものであって、これをもって、当該商標の称呼が特定されるという性質のものではない。

なお、被請求人は、審決例を挙げて主張するところあるが、それらの審決で争点となっている商標は、いずれも、本件商標とは商標の構成を異にし、事案を異にするものであるから、本件における上記判断を左右することにはならない。

してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼において相紛らわしい類似の商標であり、外観においては、格別、印象に残る構成上の特徴を有するものではなく、観念においても、親しまれた意味合いを表す語として知られているものでもないから、外観、観念における違いを考慮しても、両者は、互いに誤認混同のおそれのある類似の商標といわなければならない。

そして、その指定商品中の「乳製品,食用油脂」は、引用商標1の指定商品中に含まれているものであり、「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」は、引用商標2の指定商品中に含まれているものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中の「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」についての登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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