Trademark Appeal Case
称呼の類似性:語尾音の有無
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−91145(T2000−91145/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4406743号商標(以下、「本件商標」という。)は、「NIC」の文字(標準文字による)を横書きしてなり、平成11年8月2日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,ばんそうこう,包帯」を指定商品として、同12年8月4日に設定の登録がされたものである。
2 登録異議申立の理由の要旨
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、「ニックス」の文字を横書きしてなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤及び医療補助品」を指定商品としてなる登録第845372号商標(以下、「引用商標」という。)と商標において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品中の登録異議の申立に係る指定商品「薬剤」は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標の指定商品中、上掲の指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものである。
4 商標権者の意見の要旨
本件商標は、その態様から「エヌアイシー」の称呼の他、「二ック」の称呼が生じ得るものであり、引用商標からは、「二ックス」の称呼が生じる。
本件商標より生じる「二ック」の称呼は、非常に短い音数(3音)の構成であり、丁度中間に位置する促音によって前後に等しく区切られて弾むように発音され、「ク」の音で歯切れ良く完結するものである。
一方、引用商標より生じる「二ックス」の称呼は、比較的短い音数(4音)の構成であり、日常頻繁に使用される「エックス」「サックス」「マックス」「シックス」「ソックス」「ルックス」「ワックス」「ミックス」等の語のように、促音の後の称呼「クス」に特徴を有し、リズム良く語尾の「ス」の音まで明瞭に発音され、全体としてまとまりのよい落ち着いた語調をもつものである。
したがって、両商標の称呼は、いずれも短い音数により構成され、促音を伴ってそれぞれ特有のりズムをもって語尾まで一気かつ明瞭に発音されるものであり、これらを一連に呼称した場合は、語尾の「ス」の音の有無が引用商標の称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼全体のもつ語感語調が明らかに異なるものとなる。
また、両商標の観念について比較すると、本件商標は造語であるのに対し、引用商標は、「いや、違う」「全然...でない」「やめろ、いやだ」「拒否」等の意を有する英単語「nix」を想起させるものであるから、両者は観念において明らかに非類似である。仮に、我が国においては引用商標からかかる語意が容易に想起されることがないとすれば、両商標は、観念においては比較すべくもないものであり、外観において類似しないことは、論じるまでもない。
5 当審の判断
本件商標と引用商標とは、上記のとおりの構成よりなるところ、本件商標は、「エヌアイシー」の称呼のほか、英語風の読みに従い「二ック」の称呼をも生ずるものというのが相当であり、この点については、商標権者も認めているところである。
他方、引用商標は、「ニックス」の片仮名文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「二ックス」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「二ック」の称呼と引用商標から生ずる「ニックス」の称呼とを比較するに、両称呼は「ニック」の音を共通にし、異なるところは語尾における「ス」の音の有無のみである。
しかして、この「ス」の音は、それ自体響きの弱い無声摩擦音であるばかりでなく、比較的聴取され難い語尾に位置することから、該「ス」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体としての語調、語感が近似し、互いに聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観及び観念において相違する点があるとしても、称呼において相紛らわしい類似の商標であり、かつ、その指定商品についても、本件商標の指定商品中の「薬剤」と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものである。
なお、商標権者は、「エックス」「サックス」「ソックス」等の語を挙げて、このような構成の語は、リズム良く語尾の「ス」の音まで明瞭に発音されるものである旨主張しているが、商標権者の挙げている事例は、いずれも、全体の称呼をもって、親しまれた意味合いの語として知られているものであり、本件とは、事案を異にするものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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