Trademark Appeal Case
POLOの識別力と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第90858号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件商標は、「ROYAL PRINCE POLO CLUB」の文字を左横書きしてなり、第17類「被服その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年5月14日に登録出願され、同9年12月19日に、登録第4094710号商標として登録されたものである。
2 本件登録異議申立ての理由
本件商標は、申立人がその業務に係る「被服、眼鏡」等の商品に使用し、広く一般に知られている「Polo」の文字を有してなり、かつ、本件指定商品と上記商品とは取引者、需要者を同じくするところから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条1項15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 登録取消理由の通知
平成11年5月27日付けで、上記2と同趣旨の取消理由を商標権者に通知した。
4 本件商標権者の意見
本件商標権者は、本件取消理由の通知に対して、以下のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1) 本件商標は、欧文字「ROYAL PRINCE POLO CLUB」を同書、同大で一連に表示してなるものである。「ROYAL」「PRINCE」「POLO」「CLUB」の語は、いずれも我が国において広く親しまれた英語である。このうち「POLO」の語は「ポロ競技」を意味する英語であって、「サッカー」や「ベースボール」と同様、我が国において一般に広く知られたスポーツの名称である。そして、スポーツはもとより趣味、娯楽その他共通の目的を持つ人々の集まり、すなわち「同好の士の集まり」を表す語として日常頻繁に用いられている「CLUB」の語と結合して「ポロ競技愛好会」の意味合いを想起させるところである。また、「ポロ競技」は英国発祥の貴族のスポーツであることから、「ROYAL」「PRINCE」の語と「POLO」の語とは極めて密接な関係を有するものである。よって、本件商標に接した取引者・需要者は、これを全体として特定のポロ競技愛好会名を表したものと理解し、認識するのであり、本件商標から「POLO」の文字部分を殊更に要部として抽出することはないとみるのが相当である。
このことは、本件商標が審判における審理を経て登録を認められたものであることからも明らかである(乙第1号証)。また、本件商標と構成を同じくする商標は、旧第21類(商公平4‐93844、登録第2686345号商標、乙第2号証)及び旧第22類(商公平5‐84917、登録第2657720号商標、乙第3号証)についても審査において登録を認められている。
(2) 仮に、本件商標に接した取引者・需要者が、本件商標から「POLO」のみを抽出したとしても、以下のとおり、商品の出所について混同を生じさせるおそれは生じ得ないものである。
「POLO」の語は「ポロ競技」を意味する英語であって、「サッカー」や「ベースボール」と同様、我が国において一般に広く知られたスポーツの名称であり、ラルフ・ローレンが独自に創作した造語でないことは前述のとおりである。
古くは「ポロ競技」に際してプレイヤーが着る衿つき半袖シャツを「POLO SHIRT/ポロシャツ」と称していたが、現在ではこのシャツが一般のスポーツに、また遊び着的に広範囲に用いられているところである(乙第4号証及び乙第5号証)。また、取引の実際においては「ポロシャツ」を単に「ポロ」と略称することが頻繁に行われており、「メッシュ・ポロ」「インターロック・ポロ」「リブポロ」「ボタンフロントポロ」「フレンチテリーポロ」「ポロチュニック」「スポーツポロ」「ピケポロ」「ジップフロントポロ」「カラーブロックポロ」等々、「ポロ」を含む語が商品の品質を表す語として広く用いられているところである(乙第6号証及び乙第7号証)。
以上のことからみて、「POLO」「ポロ」の語そのものは、本来アパレル関連商品について自他商品の識別力がないか、極めて弱いものであることは明らかである。
それゆえ、ラルフ・ローレンは、自身のデザインに係る商品であることを示すため、「POLO BY RALPH LAUREN」「Polo by Ralph Lauren」等のように、常に「POLO」、「Polo」と自身の氏名とを結合させた態様で商品に使用し、その商品がラルフ・ローレンのデザインに係る商品であることを強くアピールしてきたものである。そして、取引者・需要者は、通常これらを「ポロバイラルフローレン」と称呼し、「ラルフローレンのポロ」と認識することによって、他の「POLO」の文字を含む商標と明確に区別しているのである。
したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、他人の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれが生じ得ないことは明らかである。
(3) また、ラルフ・ローレンの主力商品「被服」等を指定商品とする「POLO」「Polo」の文字を含む商標について検索すると、我が国においては、乙第8号証のとおり、米国においても乙第9号証のとおり、多数の登録が認められている。
このように「POLO」「Polo」の文字を含む商標が多数並存する取引の実際において、「POLO」の文字を含む商標に接した取引者・需要者がこれを直ちにラルフ・ローレンのデザインに係る商品であると認識することがないことは明らかである。
以上のことからみて、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しないものである。
5 当審の判断
(1) 「POLO」の周知性について検討する。
(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケテイング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧 1980年版」「ポロ/ Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略'85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輪入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen 男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑'79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行 別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑'80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN'S CLUB I980,12」 、「世界の一流品大図鑑'81年版」(昭和56年5月発行)、前記「舶来ブランド事典'84 ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑'80年版」、「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」、「世界の一流品大図鑑'81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)第183号、平成3年7月11日判決言渡、平成11年(行ケ)第250号、平成11年(行ケ)第251号、平成11年(行ケ)第252号、平成11年(行ケ)第267号、平成11年12月16日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くとも昭和55年頃までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして「POLO」の商標が取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2) 本件商標は、前記構成からなるものであるところ、「ROYAL」 、「PR1NCE」、「POLO」、「CLUB」 がそれぞれ既成の意味を有する語であるから、これら4つの語を結合してなるものであることは明らかであって、「POLO」の文字部分が1つの語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。
そうすると、本件商標をその指定商品である「被服」等に使用するときは、前記した実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る「POLO」標章を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
この点について、商標権者は、本件商標は全体として特定のポロ競技愛好会名を表したものと理解・認識されるものであって、「POLO」の文字部分のみが殊更に要部として抽出されることはない。仮に、「POLO」のみを抽出したとしても、「POLO」「ポロ」の語そのものは、アパレル関連商品については自他商品の識別力がないか、極めて弱いものである旨主張するが、かかる主張は、前記認定判断に照らし、失当であり、採用することはできない。
(3) したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであるから、本件登録異議申立ては理由があるものとし、その登録を取り消すべきである。
よって結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。