結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35207号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4058354商標(以下「本件商標」という。)は、「タヒボの恵み」の文字を横書きしてなり、平成8年1月19日に登録出願され、第29類「茶」を指定商品として、平成9年9月19日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2101823号商標(以下「引用A商標」という。)は、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、昭和61年7月16日に登録出願され、第29類「茶」を指定商品として、平成63年12月19日設定登録されたものである。同じく、登録第2724255号商標(以下「引用B商標」という。)は、「タヒボ」の片仮名文字と「TAHEEBO」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成1年12月12日に登録出願され、第29類「清涼飲料、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成10年12月25日に設定登録されたものである。
請求人は「本件商標の登録は、これを無効にする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第86号証(枝番を含む。)を提出している。
請求人の引用商標は、本件商標の出願前に既に周知・著名性を獲得しており、本件商標は商標法第4条第1項第10号もしくは同第15号に違反して登録されたものであり、無効にされるべきである。また、「タヒボ」なる商標と「タヒボの恵み」なる商標の類似性を論じるとき、「タヒボ」の部分の特異性も考慮すべきである。更に、特定の商標が周知・著名性を獲得しているか否かの判断は宣伝・広告の量、期間、費やした費用に加えて、市場や取引の実態を考慮すべきである。
(1)経緯
本件商標は、平成8年1月19日に商願平8−4312号として出願され、平成9年9月19日に商標第4058354号として登録されたものである。
(2)本件商標の構成要件
本件商標は、茶を指定商品とし、外観上〔タヒボの恵み〕と横書きしてなるものであり、「たひぼのめぐみ」なる呼称が生じる。
(3)請求人の登録商標
請求人は欧文横書きの〔Taheebo〕なる茶を指定商品とする登録第2101823号商標権を取得している。この商標は昭和61年7月16日に出願され、昭和63年12月19日に登録されたものでありその称呼は[たひぼ]もしくは[たひーぼ]であり、古代インカ語で「神の恵み」又は「神の光」という意味だといわれているが正確なところはわからない。加えて、請求人は片仮名で横書きの「タヒボ」と欧文字の「Taheebo」の2段書きの商標も平成元年12月12日に出願し、平成10年12月17日に登録第2724255号商標として既に登録されている。
上記2段書きの商標は、平成元年に出願でありながら先願の商願昭62−73099号の審査の遅滞が原因で公告決定が遅れ、更に、商願平6−23262号〔タヒボの精〕の出願人よりの異議申立で登録が遅れたものである。通常の審査工程を採った場合この商標も平成3年中には登録商標としての地位が確定していたことが充分予測される。
(4)「Taheebo」「タヒボ」の原材料について
商品「Taheebo」あるいは「タヒボ」は、学名タべブイア・アベラネダエという名称の南米産のノウゼンカズラ科の樹皮を粉砕したものを原料とした茶の商標であり、制癌効果を呈する他、糖尿、リュウマチ、肝硬変等あらゆる疾病に効果があるといわれている。また上記タべブイア・アベラネダエは、本件請求書に添付した甲第69号証ないし甲第71号証に記載のようにブラジルでは通称をイペー(正確にはイペー=ロッショ)又はパウダルコ〔Pau d’arco〕という名称を持つ樹木である。
すなわち、甲第69号証のブラジル植物記(帝国書院発行 橋本梧郎著:絶版につき発行日不明)196頁には異名としてIpeが挙げられておりその語意も説明されている。また、甲第70号証の熱帯植物要覧(平成3年9月30日発行:養賢堂発行 熱帯植物研究会編集)462頁にも〔ipe−roxo〕〔ipe−rosa〕が記載されている。ここで、〔roxo〕とは紫色の意味であり、〔rosa〕はバラ色のことであるので、色を省略して単にipeと呼ばれることがある。更に、甲第71号証の「日本ブラジル修好100周年記念郵便切手」と題する郵政省のパンフレットにもブラジルの国花として「イペー」があげられている。
(5)「Taheebo」、「タヒボ」の名称の由来について
請求人の代表者、畠中平八は1986年に渡伯して、「Taheebo」、「タヒボ」の販売活動の一貫としてサンパウロ大学農学部のウォルター・ラダメス・アコーシ名誉教授にタべブイア・アベラネダエすなわちパウダルコに関する研究の日本での発表を依頼し、1987年に甲第72号証に示すポルトガル語の論文を受けとった。この論文は請求人によって翻訳され、甲第74号証の契約書に示すように、1988年に株式会社神戸新聞総合出版センターと株式会社ゼロ・プランニングによって編集され、更に株式会社神戸新聞総合出版センターにより主題〔TAHEEBO〕、副題〔奇跡の薬木「タヒボ」〕として1988年9月25日に初版が発行された。
上記論文の主題は甲第72号証の表紙に示すように〔PAU−D’ARCO〕となっており、副題として〔A MARAVILHOSA PLANTA MEDICINAL DA FLORA BRASILERA〕が付加されている。すなわち「パウダルコ」「ブラジル植物群の素晴らしい薬草」となっている。ところが、甲第73号証の邦訳(以下邦訳という)では、主題が〔TAHEEBO〕であり副題が〔奇跡の薬木「タヒボ」〕となっているのは、請求人の「タヒボ」の販売促進を目的とする意向が強く打ち出されていることによる。すなわち邦訳は「Taheebo」の販売活動の一貫として発行されたものであるから、当然のごとく本文中の要所要所に「タヒボ」の文字が散見される。
また、邦訳の26頁最終行には「タヒボ」なる文言が見られるが、この部分は甲第72号証(以下単に原文という)の23頁4行目に相当し、原文ではIPE ROXOになっている。また、邦訳28頁4行目の「タヒボ」は原文の23頁9行目ないし11行目に相当するが、対応する文字は見当たらない。更に、邦訳32頁の4行目の「タヒボ」の表現は原文24頁の下から4行目のTabebuiaに相当する。
また、例えば邦訳の50頁ないし51頁に「タヒボ」なる文字が散見できるが、この部分は原文の45頁に相当する。しかしながら、原文の表記は全てPAU D’ARCOであって「Taheebo」は使用されていない。
邦訳の103頁の1行目ないし2行目に「広く、民間ではタヒボとよばれ」とあるが、この部分は原文では74頁の8行目ないし11行目あたりに該当する。この部分を直訳すると「パウダルコ(北部地方)あるいはイペー(南部地方)は同一のものである。ロッショ(赤紫)とアマレーロ(黄色)の2種類がある。両者とも薬用植物である。原産地に関して、最良のものは北部地方(マラニョン州)と北東部地方(ペルナンブコ州およびバイア州)に存在する。」となっており、「Taheebo」の文字は一切見られない。
邦訳の28頁9行目の「タヒボ」の表現は原文の23頁下から10行目に相当し、邦訳の38頁4行目の「タヒボ」の表現は原文の33頁6行目に相当する。
ここでは原文でも「Taheebo」となっているが、原文の23頁下から10行目ないし11行目には〔“taheebo”antiga civilizacao inca do Peru〕〔古代ペルーのインカ帝国ではタヒーボ〕とあり、原文の33頁6行目には〔Inca do Peru〕〔ペルーインカ帝国〕となっている。すなわち、古代インカ帝国での呼び名であることが明記され、このことは「Taheebo」は俗称や通称といった類ではなく、現在では死語であることを暗に意味している。加えて「Taheebo」が古代インカ帝国で使用されていたといっても、上記のように文献的な証拠がある訳ではなく、筆者(アコーシ博士)の研究の積み重ねからの推測で記述されている。
更に、上記のように「Taheebo」は古代でのみ通用したと推測される言葉であるので、アコーシ博士から請求人の代表者畠中平八に商品の名前として使用してはどうかという提案があり、畠中が日本での商標権を取得するに至ったのである。ただ「Taheebo」はこのまま読むと「たひーぼ」と読まれる可能性があり、日本人に馴じまないので、畠中が、自分の姓を「はたけなか」といっていたのを「はたなか」に読み替えた経験から「たひぼ」と読ませるべく「タヒボ」と商品には付し、また商標登録出願でも「タヒボ」としたものである。
(6)本件商標と請求人の商標との関係
本件商標の中〔タヒボ〕の部分は引用A商標と称呼が類似しており、また、引用B商標とは称呼および外観とも同一である。
すなわち、本件商標は「Taheebo」あるいは「タヒボ」なる請求人の商標に「の恵み」を付加したにすぎない。
いうなれば、ある登録商標AAAに対して該AAAの権利者以外の者にAAA○○○なる登録が認められたとすると、商品の需要者・取引者間に混同を生じさせることが必至であり、特に、AAAの部分が日本で初めて使用された文言であり需要者に特異な感じを与える場合は、その商標が周知・著名でなくてもその危険性が大きいことになる。
かっての、特許庁の審査、審判例では、例えば「まきば」(登録第2066687号)と「牧場の精」(登録第2009554号)にみられるように商標AAAの権利と商標AAA○○○の権利の併存を認めるようにしている。しかしながら、いずれの事例もAAAの部分は日本語として日常的に使用されている文言であるか、あるいは日常的に使用されていなくても、需要者・取引者が日本語として充分に理解できる程度の文言であり、日本で初めて使用された文言とはいえない。ところが、「Taheebo」あるいは「タヒボ」は日本で、あるいは世界中で初めて使用されたに近い状態の文言であるので、需要者・取引者に与える印象は非常に強く、この部分を他の文言と組み合わせた商標は全部「Taheebo」あるいは「タヒボ」と関連する商標であるとみなされるおそれがある。
特に、以下に資料を以て証明するようにAAAの部分が周知・著名性を確保している場合はなおさらである。
(7)請求人の登録商標「Taheebo」あるいは「タヒボ」の周知性・著名性について
商品「Taheebo」あるいは「タヒボ」は請求人の代表者である畠中平八が昭和59年10月ごろから販売を開始し、昭和60年12月にこの商品の販売を目的として、タヒボジャパン株式会社を設立した。さらに、その後当該タヒボジャパン株式会社によって本格的に販売活動が展開され、雑誌・新聞・ラジオ・テレビにて多数の宣伝広告がなされ、本件が登録された平成9年9月19日以前はおろか、本件が出願された平成8年1月19日以前に既に周知となっていることは明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第10号あるいは同法第4条第1項第15号にも該当し、登録を無効にされるべきである。
(ア)大阪地裁、平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件
引用商標の周知・著名性について、請求人(原告)と商願平6−23262「タヒボの精」の出願人(被告)との間で争われた大阪地裁、平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件の判決文が記述している。
上記判決文53頁の三(一)で「以上によれば、被告が被告商標を付した被告商品の販売を開始した平成6年頃には、原告商標は原告商品の商品表示として周知性を獲得していたというべきである。」と述べている。この判決は以下に説明する請求人による膨大な量の、かつ、長期に亘る宣伝広告活動を重視したものであって、判決文の53頁ないし54頁に記述するように、本件が異議に継続している過程で商標権者が平成10年9月17日に提出した電話アンケート調査等で現実に数字に現れる「知名度」よりも、請求人の10年以上にも渡る継続した営業努力を重視している。
判決のこの部分の正当性は、取引の実態により裏付けすることができる。
すなわち、上記のように請求人が長年に亘り販売努力をした結果、甲第76号証のりストに上げるように夥しく類似品が出現している。平成5年頃から請求人の商標と同一あるいは類似の商標が同一の商品に付されて販売される事態が頻繁に発生するようになり、本件の出願がなされた平成8年に至っては、請求人が把握するだけでも実に年間33件にも達している。このことは、請求人の長年の販売努力、宣伝広告努力が如何に健康食品業界に浸透しているかを立証するものであり、一般需要者に無差別にかつ唐突に質問をする電話アンケートでは現れない数字である。尚、これらの全てに対して請求人は内容証明郵便物として警告書を出しており、その原本は全部請求人の手元にあるので、必要に応じて提出することが可能である。また、類似商品のパッケージあるいはパンフレットも部分的に遺失しているものを除いて提出可能である。
尚、上記のりスト中、年月日は請求人が内容証明便で警告書を出した日付である。
更に、判決文57頁7行ないし8行の『被告商標は「タヒボ」の部分が特に需要者の注意を引く部分であり、「の精」の部分は付加的なものと見るのが相当である。』の文言は重要である。
商標権者は甲第77号証の1に示すように、平成6年6月25日発行の「奇跡の霊樹−タヒボ」なる刊行物を発行し、甲第77号証の2に示すようなパッケージで「タヒボ」の販売を開始したが、平成6年11月19日付の請求人の警告書によって、その販売行為を中止せざるをえなくなり、その後商標権者は上記商標を甲第77号証の3に示すように、その名称を「ダヒボ」に変えて販売しようとしたが、平成7年9月4日付の請求人の警告書によって、またもや販売を中止せざるをえなくなったという経緯がある。すなわち、商標権者は、「タヒボ」の名称でなければ商品が売れないことを知っており、何とか「タヒボ」の名称、あるいはそれに近い名称を使用したかったといえる。この意味で上記判決文の『被告商標は「タヒボ」の部分が特に需要者の注意を引く部分であり』の文言は正当な評価であり、「の精」の部分を「の恵み」に置き換えても何ら変わりないことになる。
『「タヒボ」の部分が特に需要者の注意を引く部分である』とるする文言は現実の商品販売の現場での以下の事例でも理解できる。すなわち、甲第78号証は大阪府門真市スーパーダイエー内のお茶販売コーナの平成7年10月12日の写真である。店内の吊り広告には「タヒボ」としながら、実際には「タヒボの精」が販売されている状態が判る。
(イ)請求人の講演活動その他について
請求人の代表者〔畠中平八〕は、清水一行氏の小説「最後の相場師」のモデルにもなり、また、甲第79号証の1のパンフレットにも紹介されているように、かっては大阪証券取引所の理事、大証正会員協会理事、大阪証券業協会理事、金田証券株式会社取締役社長、岩井証券株式会社取締役社長等を歴任した人物である。その関係で株式に関する講演の依頼が現在も多く、その影響力は絶大である。
甲第79号証の2として、請求人側が主催あるいは参加した講演等のりストをあげておくが、ここでのタイトルからも明らかなように、株式に関する講演に加えて健康法に関する内容を添える形式が多く、ここで「タヒボ」の宣伝も同時に行っている。また、例えば平成2年7月3日の「第49回日本癌学会総会」は、「タヒボ」に関する研究者の医学的な観点よりの研究発表であり、「タヒボ」が単に健康食品として知られるに止まらず、より専門的な領域においてまで知られるようになっていることを立証している。更に、請求人は平成2年8月の花博アマゾンウィーク、同年9月の花博ブラジルナシォナルデ−、あるいは平成3年3月、平成4年3月等の健康博覧会への出展等各種の博覧会にも出展し、常に多くの人の目に触れる活動を展開している。また、近年はタヒボサロン会、タヒボ勉強会といった説明会が開催され、株式とは関係なく「タヒボ」に関する講演を依頼されることも多くなっている。講演中に「タヒボ」についての話に触れることはもちろんであるが、畠中平八みずからが、みずからの体験に基づいて記した甲第80号証として表紙と奥付を提出する〔タヒボに賭ける〕を講演参加者に配付している。
このように、「Taheebo」あるいは「タヒボ」の著名性は以下に掲げる夥しい量の宣伝・広告に加えて代表者〔畠中平八〕の講演活動によるところも大きい。
(ウ)新聞、雑誌(甲第1号証ないし甲第60号証)
媒体種ごとの宣伝広告および記事を証拠方法の欄にリストとして添付するとともに、各媒体より縮小コピーした宣伝広告の態様も添付した。各宣伝広告において商品の包装パックの写真があるものは、その包装パックに「Taheebo」なる表記がなされ、その上に「タヒボ」なる片仮名書き、あるいは「タヒボ&ラパチョ」なる片仮名書きが表記されているものが多い。また記事の場合は「タヒボ」なる片仮名書きだけの表記もある。
また、請求人自身による宣伝広告でない場合もあるが、いずれも請求人の販売店の資格を持つ者の宣伝広告である。
尚、各宣伝広告、記事に「Taheebo」あるいは「タヒボ」なる文字が含まれていることは各証拠を見ると明らかであるので、ここでは個々の証拠については詳しく説明しない。
(エ)その他の印刷物
甲第61号証の1、2は平成2年の大阪天神祭りのときに配付した団扇のコピーである。甲第61号証の2に「90」の文字が見え、平成2年の印刷物であることが分かる。この団扇は1000本製造され800本が一般に配付されている。
更に、甲第62号証の1は平成4年8月から平成5年7月にかけての大阪市営バスの窓への張り付シールの広告のコピーであり、甲第62号証の2、1ないし11はそれに対応する広告会社株式会社本州堂よりの請求書である。9月分の請求書は遺失しているが、年間を通しての広告であることが理解できる。
甲第62号証の3、1ないし12は阪神高速バスの車内広告に対する広告会社株式会社大阪竜青社よりの請求書を示すものである。制作費として25万円(平成4年2月27日付)、広告代金として最初の月は7万円(平成4年3月15日付)2回目以降は5万円の請求がなされていることが読みとれる。この広告は平成4年末まで継続している。
(オ)ラジオ、テレビ(甲第63号証ないし甲第66号証)
(a)株式会社広研アドバタイジングを介してのラジオ、テレビCMについて:
甲第63号証の1は株式会社広研アドバタイジングを介してのラジオ、テレビCMについて株式会社広研アドバタイジングが証明した請求人の広告リストである。
昭和62年から毎日放送ラジオでのCMが開始され、現在も継続的におこなっているが、平成2年度に至ってはラジオ、テレビ合わせて1000万円以上のCMを当該株式会社広研アドバタイジングを介して行っていることになる。
この中、平成2年6月以降のニッポン放送によるラジオCM、及びTBSテレビによるテレビCMについては請求人の側に株式会社広研アドバタイジングが発行した請求書(甲第63号証の2、1ないし8)が残っているので、証明書の信憑性が確認できる。
甲第63号証の3は上記ニッポン放送によるラジオCMを作成する過程で株式会社広研アドバタイジングが請求人に確認を求めた広告内容の原稿である。
右下に株式会社広研アドバタイジングの欧文表記である「KOHKEN ADVERTAISING CO.,LTD」が見られる。
甲第63号証の4は請求人がまとめた、上記株式会社広研アドバタイジングの平成2年12月ないし平成3年1月にかけてのTBSによるCMのスケジュール表である。上記株式会社広研アドバタイジングが発行した証明書の下から2枠目の総額300万円の15秒スポットに対応する。
(b)株式会社クリエイティブタグを介してのラジオ、テレビCMについて:
甲第64号証は、株式会社クリエイティブタグを介してのラジオ、テレビCMについて株式会社クリエイティブタグが証明した請求人の広告リストである。昭和62年から毎日放送ラジオでのCMが開始され、平成2年1月まで継続しており、広告費用は総額で1900万円余りに至っている。
(c)株式会社大有社を介してのラジオ、テレビCMについて:
甲第65号証の1、1ないし10は平成2年3月ないし12月迄のテレビ大阪が広告会社株式会社大有社に対して発行した請求人に関する「テレビスポット放送通知書」である。月に18回または21回の15秒スポットCM(通知書の右下枠の15は15秒スポットの意味、計の枠の数字はその月の放映回数)がなされているのが分かる。
これに対応して、株式会社大有社から請求人に対して甲第65号証の2、1ないし7に示すように、平成2年6月分から同年12月分(3ないし5月分は請求人側で保存なし)の請求がなされており、TVO(テレビ大阪)の表示の欄より毎月50万円程度の請求額を読み取ることができる。
(d)株式会社大阪竜青社を介してのCMについて:
甲第66号証の1は、平成2年度の朝日放送によるラジオ、テレビCMについての請求人の広告料を証明した株式会社大阪竜青社発行の証明書である。合わせて当該株式会社大阪竜青社の請求人からの広告料の入金を確認できる普通預金写し(甲第66号証の2)も加えられており証明の信憑性が確認できる。
(カ)売上高
甲第67号証の1は請求人の代表者、畠中平八が昭和60年12月8日に商品「Taheebo」の販売をするためにタヒボジャパン株式会社を設立してからの各会計年度の売上高を示すものであり、甲第67号証の2は健康食品の品目毎の業界全体の売上高を示す、財団法人日本健康・栄養食品協会が平成4年3月に発行した資料である。尚、上記売上高の第1期は昭和60年12月8日ないし昭和61年5月31日迄、以降は毎年5月31日が決算日であり、必要であれば決算書にて証明できる。
クロレラ、ローヤルゼリー等、古くから知られている商品は別として殆どの商品が億換算で2桁以下であり、1桁のものも多い。加えるに商品「Taheebo」は請求人が日本に持ち込んでから日が浅いこと、及び請求人1社で10億円前後の売上のある事実を考慮すると如何に請求人が宣伝広告に勢力をそそぎ、商品「Taheebo」あるいは「タヒボ」が周知性を獲得したかが理解できる。
(キ)証明書
甲第68号証は株式会社健康産業新聞社が請求人の3つの態様の商標(A)(B)(C)についての周知性を証明した証明書である。
(8)結論
以上、証明したように、引用商標は、広告量およびそれに要した費用、売上高いずれの観点からみても、更に、実際に類似品の発生した頻度からみても本件商標の出願日より以前に既に周知性を確保しており本件商標は商標法第4条第1項第10号、または同第15号を以て登録を無効にされるべきである。
(1)要旨
本件の権利者の一人である株式会社小谷穀粉と請求人との間で大阪高裁で争われていた不正競争行為差止等請求控訴事件〔平成11年(ネ)第473号)の判決(甲第81号証の1)〕が平成11年10月14日に出たが、請求人に不利な内容となっている。以下その内容の誤りを指摘するとともに、その根拠となる新たな証拠を提出する。
また、請求人は上記判決を不服として最高裁に上告したので、その上告受理申立理由書を合わせて提出する(甲第81号証の2)。
(2)上記控訴事件は権利者の一人である株式会社小谷穀粉が「タヒボの精」なる商標を付した商品を平成6年頃から販売したことに対する大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件の判決に被告側が不服とした事件である。原判決は不正競争防止法11条1項1号にいう「商品若しくは営業の普通名称」及び商標法26条1項2号の「普通名称」につき、「取引者・需要者において特定の商品又は役務を指す一般名称として認識され通用しているものをいい、その名称が原産地あるいは原材料名で表示されているときは、それが特定の原産地や原材料を指すものと一般に認識される程度に表示されていれば足りるものと解すべきであり、当該商品が新商品として開発されたものであるときは、名称の表示が必ずしも正確な地名や学名を用いていない場合であっても、それを普通名称と認める妨げにはならないものというべきである。」(原判決書12頁、同19頁)との前提に立ち、「原告商品の『タヒボ茶』なる名称は商品の種類である茶の原材料を原産地での俗称に倣って表示したものと認められ、タヒボ茶というのは、我が国の従来茶である『鳩麦茶』『どくだみ茶』『アロエ茶』等と同種類の表示である」と認定し、その後の原告商品の宣伝広告等により、「『タヒボ』茶はブラジル北部を中心に生育する樹木の内部樹皮を原材料とする樹木茶の一種であり、『タヒボ』はその原材料を指す名称として使用されていることが、遅くとも被告商品が発売された平成6年9月頃までには、健康食品に関心のある需要者一般に認識され、それに伴い取引者にも一般に同様に認識が広がっていたものと推認される。してみると原告商品の『タヒボ』なる名称は、南米産の樹木茶の原材料を指す普通名称であると認めるのが相当である」との結論に至っている。
(3)しかしながら「タヒボ」あるいは「Taheebo」は昭和60年頃から請求人の代表者である畠中平八によって販売が開始され、その後昭和60年12月に請求人であるタヒボジャパン株式会社が設立されてからは、積極的に販売と宣伝活動を展開し、現在では取引者、需要者に広く知られたいわゆる周知商標に認められるに至っている。上記したように請求人であるタヒボジャパン株式会社設立前の販売は請求人の代表者である畠中平八個人によってなされ、本件出願の請求人による異議申立段階における乙第4号証の「医薬・健康ニュース」の内容も発行者からの取材を受けて、畠中平八が提供した内容および写真を用いて編集されたものである(必要であれば写真等の原本は提出できる)。
尚、ここで「タヒボ」なる文字が、新聞編集者の認識不足から商標名とも普通名称とも区別されずに使用されているが、この点に関しては株式会社医薬・健康ニュース社自ら「正確な事実を知らなかった」旨証言している(甲第82号証参照)。
請求人が提出した資料に基づいて、請求人の商標が周知に至った過程をより詳しく考察すると、平成6年頃から類似品の発生が確認され、平成7年にはその数が著しく多くなり、出願人の「タヒボの精」が出願された平成8年に至っては異議申立段階における乙第3号証の「ブラジル産薬用植物辞典」に掲載されるに至っている(甲第76号証、および平成11年10月6日提出の上申書の警告書リストの内容参照)。
したがって、昭和の60年代には全く世の中に知られていなかった「タヒボ」あるいは「Taheebo」(昭和60年1月発行の「医療・健康ニュース」参照)が、請求人の販売努力とその薬効とあいまって、平成6ないし7年に至ってやっと周知商標になるに至ったということはいえても、このことは普通名称になるに至ったことを意味するものではない。
この点に関し、上記乙第3号証の「ブラジル産薬用植物辞典」の監修者である橋本梧郎氏に確認したところ、「あくまで商品名としてよく知っていた」との証言を得ている(甲第83号証参照)。
尚、上記甲第76号証、および平成11年10月6日提出の上申書の警告書リストの内容参照に示すように、請求人は上記類似品の出現に対しては、すべて警告書を出している。また、少なくともタヒボジャパンが広告主体となっている広告に関しては、「タヒボジャパンの商標である」旨の表示をしており、普通名称化しないように努力している。上記大阪高裁の判決はこの点を全く無視しているといえる。
(4)原判決は「原告が会社を設立した昭和60年12月以降、『タヒボ』の名称で原告商品を製造販売しその宣伝広告に努めた結果、平成元年頃には健康雑誌等に『タヒボ』茶の効用が記事として取り上げられるようになり、その後幾度も健康雑誌等に掲載されたことによって、『タヒボ』茶が樹木茶の一種として健康食品に関心のある需要者に広く知られるようになり、さらに、我が国の医学界でも『タヒボ』茶の制癌効果等が研究の対象とされるに至ったことが認められる(甲第4号証ないし甲第8号証、甲第14号証、甲第33証等)。
右各事実や、原告による宣伝広告の中でも原告商品の原材料となる内部樹皮を採取する木が『タヒボ』と呼ばれるものと受け取られるような記述がされており、従来、同様の茶が我が国に紹介されていなかったこともあって、需要者の間においてそのような認識が一般化してきたことは容易に窺われる。」(11頁)と記載している。
しかしながら、辞典や学術書といえども、商品名と普通名称と明確に区別しないで表記することが多い事実がある。原判決の解釈によると、以下の各商標はすべて普通名称ということになる。
(ア)広辞苑で「あかふく‐もち【赤福餅】」を引いてみると「伊勢名物のあんころ餅。小豆漉館コシアンを使用、上部に指で押えた型がある。」とあり、まさに普通名称として扱われている。ところが、「赤福餅」は登録812581号商標である。
単に辞書に一般名称的に扱われているからといって、必ずしも一般名称ではない場合が多々あることをこの事実が証明している。
(イ)同様に「ベンベルグ【Bemberg】」を岩波国語辞典で引いてみると「細いしなやかな人絹布地。すべりがよい」とある。ここでもあたかも普通名称のように扱っているが「ベンベルグ」は日本では旭化成が持つ商標(登録589596号他)である。
(ウ)また「かがく‐せんい【化学繊維】」を広辞苑で引いてみると、「天然繊維に対して人工によってつくった繊維の総称。再生繊維(天然繊維を溶解し紡糸してつくったもの。ビスコース‐レーヨンの類)、半合成繊維(天然繊維の高分子を誘導体として溶解し紡糸してつくったもの。アセテート‐レーヨンの類)、および合成繊維(分子量の小さい化合物から合成したもの。ナイロン・テトロンの類)に分類される。人造繊維。」とありナイロンやテトロンが普通名称として扱われている。ところがテトロンは例えば登録513076号商標である。
(エ)更に「ポリエステル【polyester】」を引いてみると、「多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合により生ずる高分子化合物の総称。主鎖にエステル結合(‐CO‐O‐)をもつ。テトロンのような合成繊維、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などがある。」とありここでもテトロンは普通名称のように扱われている。
各種辞書において上記のような事情であるから、一般刊行物に至っては、そこで扱う名称が普通名称であるのか、商標上の名称(商品名)であるのかの判断は更につきにくいことになる。すなわち、各種新聞雑誌に記事として扱われている場合には新聞、雑誌の編集者側に商標権に対する認識が欠ける場合が多く、往々にして商品名を普通名称のようにして扱う場合がある。上記したように請求人は、この点を考慮して、少なくとも原告が出す広告(代理店が独自に出す広告には注意が至っていないこともある)には「タヒボ」がタヒボジャパンの商標であることを明記している。
原判決は[「ブラジル産薬用植物事典」の「...タヒボの名で広く知られた...」という表現を「タヒボ」が俗称として記載されている]といっているが、この判断はきわめて独断的である。すなわち「ブラジル産薬用植物事典」には「タヒボ」が俗称であるとも何ともいっていないのであり、判決が「ここにタヒボの俗称が記載されている」との判断に基づいているとすればその根拠を失うことになる。ここでの意味は、橋本梧郎氏の証言(甲第83号証)から判断して「...タヒボという商品名で広く知られた...」と解釈すべきである。
(5)請求人は甲第84号証の1に示すように、ピンク枠に金地のパッケージに、「タヒボ」あるいは「TAHEEBO」なる商標を付した状態で、ここ10年以上同じ状態で商品を販売している。一方、権利者の小谷穀粉も甲第84号証の2に示すピンク枠に金地のパッケージに、「タヒボ」と大きく表示し「の恵み」の部分を下段に小さく表示した状態で商品を販売している。このように権利者が自らの包装形態を、タヒボジャパンの包装形態に似せて販売するということは、タヒボジャパンの「タヒボ」又は「TAHEEBO」が周知・著名であることを意味し、普通名称ではないことを意味する。普通名称であれば、権利者がいかなる包装形態を選択しても需要者の購買意欲に影響を与えないはずである。
(6)以上の観点から勘案して「タヒボ」、もしくは「TAHEEBO」はあくまで商標として周知・著名になったとはいえても、判決の言うように普通名称にまでなるに至っていないことは明らかである。普通名称化しているならば、出願人が実施した電話調査においてもっと多数の人が「知っている」旨の回答をするはずである。
(1)被請求人は答弁書を提出し、要約以下の主張をしている。
(ア)請求人が請求書に於いて述べている主張及び添付されている証拠は、異議申立の理由及び証拠と殆ど同一であり、新たな主張及び証拠は、大阪地裁の判決文(平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件)と、同判決内容に基づくもののみである。
(イ)しかし、上記地裁の判決は、控訴審に於いて既に取り消されており、商標権者(被請求人)の主張が認められている。
(ウ)又、異議申立事件も、異議決定書に於いて、両商標は外観・称呼・観念のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号の規定に該当しない。両商標は商標において著しく相違するものであるから、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはなく、商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に該当しないという明瞭な判断が下されている。
(エ)したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の規定に該当せず、本件商標は保護されるべき商標である。
以下にこれらの被請求人の主張に対して反論する。
(2)被請求人は、請求人が甲第75号証として提出していた大阪地裁の判決(平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件)が、控訴審に於いて取り消されたことを根拠に、請求人の主張が誤りであると主張する。
しかし、この控訴審の指摘に誤りがあることは、平成12年1月14日付けで提出した理由補充書に於いても述べた通りである。
即ち、該控訴審では、「奇跡の薬木『タヒボ』」のサンパウロ大学農学部名誉教授ウォルター・R・アコーシ氏の記載、及び「ブラジル産薬用植物事典」の橋本梧郎氏の記載等を根拠として、「タヒボ」が普通名称であると認定している。
しかし、甲第82号証(再提出)の事情説明書や甲第83号証(再提出)の橋本梧郎氏の説明書、さらに甲第85号証として提出するウォルター・R・アコーシ氏の説明書の内容からすれば、「タヒボ」が普通名称ではなく商品名であることは明らかである。
又、該控訴審では、『原告商品の「タヒボ」なる名称は、商品の種類である茶の原材料を原産地での俗称に倣って表示したものと認められ、...』と指摘されている。
しかし、甲第86号証のブラジル農務省からの書簡にもある通り、「TAHEEB0(タヒボ)」という名称は、通俗的・科学的を問わず、現地ブラジルに於いても使用されていない言葉であり、原産地での俗称ではあり得ない。
よって、当該控訴審の判断は、その根拠となった事実の認識において誤りがあると解さざるを得ないものである。
(3)又、被請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しないとの異議決定を受けたことを根拠に、本件審判請求は理由がないと主張する。
しかし、該異議決定は、「Taheebo」「タヒボ」の周知・著名性について何ら判断しておらず、只単に両商標が外観・称呼・観念に於いて異なるが故に出所混同は生じないとしたものであり、周知・著名商標保護の要請から改正された現行審査基準には馴染まないものである。
即ち、現行審査基準の下では、「Taheebo」「タヒボ」に周知・著名性があれば、該文字を一部に含む本件商標は、当然に商品の出所について混同を生ずる虞れがあると解されてしかるべきである。
そして実際に、請求人は既に提出している甲各号証により「TAHEEBO」「タヒボ」の周知・著名性は充分に証されるものと確信しており、又、前記控訴審判決が言う様に「タヒボ」が普通名称化しているという程に知られているのであれば、尚更「タヒボ」「Taheebo」には周知・著名性があると認められてしかるべきである。
したがって、これらの事情を考慮すれば、上記控訴審判決及び異議決定は、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に該当するか否かの考察に影響を及ぼすものではなく、これら判決及び決定を根拠とする被請求人の主張は採用されるべきではない。
(4)上記の各理由に拠り、被請求人の主張が不当なものであり、本件商標を指定商品に使用すれば、商品の出所混同が生ずる虞れがあることは明確である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に該当し、商標法第46条第1項の無効理由を有する。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
(1)答弁の要旨
(ア)「Taheebo」及び「タヒボ」の語は茶の原材料を示す普通名称であること。
(イ)請求人が提示する「大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件」の判決(甲第75号証)は、控訴審である〔大阪高裁 平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件〕の判決(平成11年10月14日)において既に取り消されており、該控訴審判決において商標権者の主張が認められていること。
(ウ)本件商標「タヒボの恵み」と引用商標「Taheebo」及び「タヒボ」は外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であること。
(エ)「Taheebo」及び「タヒボ」の文字よりなる商標の使用量は商品「健康茶」の分野において、格別突出したものではなく、その結果取引者・需要者をして周知・著名商標として認識されていないこと。
(オ)よって、本件商標『タヒボの恵み』との間に一般的出所の混同は勿論、具体的出所の混同を生ずるおそれはなく、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号に該当するものではないこと。
(2)無効理由の内容
本件商標に関して、今般上記異議申立人と同一人より、商標登録無効審判の請求がなされた。送達された無効審判請求書の副本の「審判請求の理由」の欄及び添付された証拠方法を精査したが、その内容は殆どが上記異議申立の理由及び証拠方法と同一であり、新たな主張及び証拠方法は、商標権者(株式会社小谷穀粉)が使用する別件商標『タヒボの精』(商願平6−23262号:商公平8−19318号:異議審査中)に関して、請求人との間に存在する係争事件である「大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件」の判決文の提出及び該判決内容に基づく主張である。
(3)本件商標の登録が維持されるべき理由
《異議決定の理由について》
本件無効審判における請求人の主張及び提出した証拠方法は前記した甲第75号証の判決文に基づく主張を除いて既に異議審理において審理されたものと同一内容であり、異議決定書において明瞭に判断が下されているものである。よって、該異議決定書の写しを乙第1号証として提出する。
該異議決定書の第28頁以降の「5、当審の判断」に「〜本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではない。
さらに、申立人は、自己の使用する商標「Taheebo」及び「タヒボ」の周知・著名性についても主張しているが、本件商標と引用商標とは上記の如く商標において著しく相違するものであるから、これを商標権者がその指定商品に使用しても、取引者・需要者が該商品を申立人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について誤認混同を生じるおそれがあるものとは認められないものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号の規定に該当するものとは言い難い。〜」と明瞭に判断されている。
《「大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件」の判決文について》
請求人は上記事件に関する大阪地裁の判決文の写しを提出し、該判決内容に基づき主張を展開している。
しかしながら、上記訴訟事件は商標権者によって控訴され、該控訴審において地裁の判決は既に取り消されており、商標権者の主張が認められている。
即ち、該控訴審は〔平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件(原審:大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号)〕として大阪高裁に係属していたが、平成11年10月14日に判決が行われているので、該判決文の写を乙第2号証として提出する。
該判決主文に示すとおり、控訴人(=本件商標の商標権者)の主張を認め、『原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。以下略』(注:被控訴人=無効審判請求人)との判決が行われた。
その理由として、該判決文の『第三 当裁判所の判断』に次のように判示されている。
『ところで、不正競争防止法11条1項1号にいう「商品若しくは営業の普通名称」とは、取引者・需要者において特定の商品又は役務を指す一般的名称として認識され通用しているものをいい、その名称が原産地あるいは原材料名で表示されているときは、それが特定の原産地や原材料を指すものと一般に認識される程度に表示されていれば足りるものと解すべきであり、当該商品が新商品として開発されたものであるときは、名称の表示が必ずしも正確な地名や学名を用いていない場合であっても、それを普通名称と認める妨げにはならないものというべきである。
〜中略〜
従って、原告商品の「タヒボ」なる名称は、商品の種類である茶の原材料を原産地での俗称に倣って表示したものと認められ、タヒボ茶というのは、我が国の従来茶である「鳩麦茶」「どくだみ茶」「アロエ茶」等と同種類の表示ということができる。
〜中略〜
そうであれば、「タヒボ」茶はブラジル北部を中心に生育する樹木の内部樹皮を原材料とする樹木茶の一種であり、「タヒボ」はその原材料を指す名称として使用されていることが、遅くとも被告商品が発売された平成6年9月頃までには、健康食品に関心のある需要者一般に認識され、それに伴い取引者にも一般に同様の認識が広がっていたものと推認される。
してみると、原告商品の「タヒボ」なる名称は、南米産の樹木茶の原材料を指す普通名称であると認めるのが相当である。』
『5 右検討のとおり、被告商標「タヒボの精」及び被告表示「タヒボ茶」のうちいずれも「タヒボ」なる名称は南米産の樹木茶の原材料を示す普通名称であり、被告商品にはこれを通常の字体で表示しているのであるから、普通名称を「普通に用いられる方法で表示」したものと認められ、結局、被告商標及び被告表示を使用することが不正競争に当たるということはできない。』
『二 商標法に基づく請求について
商標法26条1項2号にいう「普通名称」も前記と同旨に解するのが相当であるところ、被告商標及び被告表示のうち「タヒボ」なる名称は「普通名称」と解すべきであって、これを被告商標及び被告表示に使用することは「普通に用いられる方法で表示」するものと認められることも前記のとおりであるから、右部分を除外した被告商標及び被告表示は原告商標「Taheebo」に類似するものとはいえない。』
《異議事件における商標権者の主張》
前記したように、その他の請求人の主張は異議申立ての内容と同一であるため、異議事件において提出した平成10年7月31日付の「商標登録異議意見書」、平成10年9月10日付及び9月17日付の「上申書」をそれぞれ乙第3号証乃至乙第5号証として提出することにより、具体的に答弁する。なお、該商標登録異議意見書等に添付した証拠方法については必要に応じて提出する準備がある。
(4)むすび
以上詳細に説明したように、「Taheebo」及び「タヒボ」の文字よりなる商標は何等周知・著名なものではなく、又本件商標『タヒボの恵み』と類似するものでもないため、本件商標は本来保護されるべき商標である。また、現実に使用されており、本商標権者は本件商標の商標権による保護を強く切望している。
(1)答弁の要旨
大阪高裁 平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件(原審:大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件)の判決は、上告棄却及び上告不受理により確定したこと。
(2)請求人がその主張の根拠として指摘している大阪地裁 平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件の判決は、控訴審である大阪高裁 平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件において、既に取り消され、商標権者の主張が認められていることは平成12年1月31日付けの答弁書において既に答弁した通りである。
今般、上記控訴審判決に対する上告人(無効審判請求人)の上告が、「棄却及び上告不受理」とされ、控訴審判決が確定したので、最高裁の上告棄却及び不受理の決定の写しを乙第6号証として、又控訴審判決の判決確定証明書を乙第7号証として提出する。
(3)上記判決も判示するとおり、本件商標は引用例と何ら類似するものではなく登録適格性を有することは明らかである。
(1)答弁の要旨
請求人が平成12年1月14日付け理由補充書において、権利者の製造販売に係る商品のパッケージ写しとして提出した「甲第84号証の2」は何ら権利者の製造販売に係るものではないため、その事実を指摘すると共に現実の商品パッケージの写しを提出する。
(2)大阪高裁 平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件における控訴審判決が確定したことは平成12年6月6日付けの答弁書(第2回)において、最高裁の上告棄却及び不受理の決定の写し(乙第6号証)及び控訴審判決の判決確定証明書(乙第7号証)として提出して指摘した通りである。
(3)今般請求人の平成12年1月14日付け理由補充書の副本が送達され、該理由補充書の中で、権利者の製造販売に係る商品のパッケージ写しとして「甲第84号証の2」が提出されている。
しかしながら、上記商品パッケージは何ら権利者の製造販売に係るものではない。上記「甲第84号証の2」は本件商標「タヒボの恵み」の登録適格性を判断するには直接関係を有しないものであるが、権利者は該証拠方法に示すような販売形態を取るものではない。即ち、「甲第84号証の2」に示す商品は権利者である「株式会社小谷穀粉」が製造したものではないのである。
そこで、本件商標「タヒボの恵み」は権利者「有限会社自然療法研究所」において使用しているものであるので、権利者の製造・販売に係る商品パッケージの写しを乙第8号証として提出する。
また、「甲第84号証の2」の製造者として表示されている「株式会社小谷穀粉」は別件商標「タヒボの精」の下に商品を販売しているため、参考として該商品のパッケージの写しを乙第9号証として提出する。
(1)本件商標は、「タヒボの恵み」の文字を書してなるものであるが、該文字は、同書・同大・等間隔で外観上まとまりよく一体的に表してなり、また、該文字全体より生ずる「タヒボノメグミ」の称呼も冗長とは言えず淀みなく一連に称呼し得るものである。
そうとすれば、本件商標は書された文字全体に相応して「タヒボノメグミ」の一連の称呼のみを生じ、特定の意味合いを有しない造語を表した商標というのが相当である。
これに対し、引用A商標は、別掲(1)のとおり図案化した「Taheebo」の欧文字を書してなり、また、引用B商標は「タヒボ」「TAHEEBO」の各文字を二段に表してなるものであるから、これら引用A、B商標よりは、いずれも「タヒボ」又は「タヒーボ」の称呼を生ずるものと判断するのが相当である。
ところで、請求人及び被請求人の提出した証拠を総合勘案すれば、本件商標及び引用A、B商標中「タヒボ」、「Taheebo」の各文字は、ブラジル北部を中心に生育する「ノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ」の内部樹皮を原材料とする樹木茶の一種「タヒボ茶」の原材料を指す普通名称として使用されているものであることが、遅くとも被請求人が発売された平成6年9月頃までには、健康食品に関心のある需要者一般に認識され、それに伴い取引者にも同様の認識が広がっていたものと推認できる。
そして、上記実情を考慮し、本件商標より生ずる「タヒボノメグミ」の称呼と引用A、B商標より生ずる「タヒボ」若しくは「タヒーボ」の称呼とを比較するに、両称呼は、配列音、構成音数の差異により十分に聴別し得るものである。
さらに、本件商標と引用A、B商標とは、外観上互いに区別し得る差異を有し、観念においても何ら類似するものではない。
してみれば、本件商標と引用A、B商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
(2)請求人は、引用A、B商標の周知・著名性についても主張しているが、本件商標と引用A、B商標とは、上記のとおり称呼、外観及び観念において著しく相違する商標であり、かつ、「Taheebo」「タヒボ」の文字が、上記のとおり、本件商標の登録出願時に、需要者間において「タヒボ茶」の原材料を指す普通名称として認識されていたことを考え併せれば、本件商標を被請求人がその指定商品に使用しても、需要者が請求人の引用A、B商標を連想・想起し、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと認められる。〔乙第6号証ないし同7号証の「大阪高等裁判所 平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件判決及び最高裁の平成12年(オ)第140号、平成12年(受)第105号決定参照〕
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたもということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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