Trademark Appeal Case
地名の識別力と使用による識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−16579(T2000−16579/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第33類「清酒」を指定商品として、平成9年12月26日登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、越前、越中、越後の総称である『越州』の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない態様で表示してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の生産地、販売地を表示したものと認識するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と、認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張の要旨
請求人は、請求の理由において、越前、越中、越後の総称である「越州」の意味を理解し得る一般需要者は極めて少ない、他の類において旧国名「肥州」なる登録商標が存在する、請求人の出願に係る商標「越州萬寿」「越州千寿」及び「越州百寿」が他人の登録商標「萬寿」「千寿」及び「百寿」が存在するのに登録になっていることを理由として、「越州」の文字は識別力を欠く地名として扱われるべきでないものであり、本願商標は草書体で書されて独創性がある旨を主張する。また、「請求人の業務に係る清酒『越州 朝日山』は通常の販売数量を大幅に上回る販売実績を有するものであり幅広い宣伝活動が行われていること、そしてその結果『越州』といえば前記清酒のメーカーである請求人の商品として一般需要者、取引者に広く知られている」旨を内容とする証明書(甲第1号証の1ないし683)を提出して、本願商標は商標法第3条第2項で規定する使用による識別性を有する商標であると主張している。
4 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、「越州」の文字を縦書きしてなるところ、「越州」については、越前、越中、越後の総称またはそれぞれの旧国名である旨が「広辞苑」(株式会社岩波書店、1998.11.11第五版第一刷発行)、「日本語大辞典」(株式会社講談社、1989.12.22第七刷発行)、「コンサイス日本地名事典」(株式会社三省堂、1989.12.15第3版第1刷発行)、「コンパクト版日本地名百科事典」(株式会社小学館、1998.6.20初版発行)に記載されている事実が認められる。
また、旧国名である「甲州」、「信州」、「紀州」の文字が、「甲州ワイン」、「信州みそ」、「紀州みかん」のように生産地を表す語として、商品の普通名称と組み合わせて使用されている実情があり、指定商品「清酒」においても旧国名が産地の表示としてラベル等に使用される場合が少なくないと認められる。
そうとすれば、旧国名を表す「越州」の文字よりなる本願商標は、その指定商品に使用される場合、これに接する取引者、需要者をして該商品が「越前、越中、越後地方で製造され、または販売される清酒」であると理解、認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
また、酒に使用される商標は、楷書体以外に行書体や草書体で書されることも普通に行われていることよりすれば、別掲の本願商標は普通に用いられる域を脱しない文字態様といえるものである。
したがって、本願商標は、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法により表示した標章のみからなるものといわなければならないから、これを商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の判断は妥当なものである。
なお、請求人が示すように「肥州」からなる登録商標が存在し、また請求人の商標「越州萬寿」等が他人の登録商標「萬寿」等が存在するのに登録になっているとしても、本件については前記のとおり判断できるものであるから、本願商標は地名として扱われるべきでない旨の請求人の主張は採用できない。
(2)請求人は、本願商標が使用による識別性を有する商標であると主張し、その証左として、甲第1号証の1ないし683の証明書を提出している。
そして、同証明書は、前記3において述べた内容とともに、清酒の瓶とその外箱の写真を記載しているところ、これら清酒の瓶及びその外箱に表示されている標章は、「朝日山」の文字を大きく縦書きにし、その右上に本願商標と同態様の「越州」の文字を小さく縦書きに書した構成よりなるものと認められるものであって、その構成からすれば、自他商品の識別力を有する部分は中央に大きく書された「朝日山」の文字であり、その右上に小さく書された「越州」の文字は産地表示として認識されるとみるのが相当であるから、前記標章は本願商標と同一の商標とは認められない。
したがって、同証明書によっては、本願商標が使用により識別性を有するに至ったものとは認められず、前記の請求人の主張を採用することはできない。
なお、請求人は、平成13年7月18日付けの上申書において、本願商標に係る宣伝活動の実績等を準備し近日中に提出する予定であると述べているが、相当期間経つにもかかわらず提出されていない。
(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であり、また使用による識別性を有するものとも認められないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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