sokuhyo弁理士法人WATT 監修

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結論

敗訴(請求棄却)

商標「うなぎ(生きているものに限る。)」と「ばんどう太郎」の称呼類似と要部認定(第4条第1項第11号|審判無効2000−35010(T2000−35010/J3))

審判番号
無効2000−35010(T2000−35010/J3)
審判種別
無効

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「うなぎ(生きているものに限る。)」引用商標「ばんどう太郎」
争点(論点)
称呼類似と要部認定
適用条文
第4条第1項第11号
指定商品・役務の区分
第31類
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判無効2000−35010(T2000−35010/J3)・無効)は、本件商標「うなぎ(生きているものに限る。)」と引用商標「ばんどう太郎」について、商標法第4条第1項第11号への該当性が争われた事例です。主な争点は「称呼類似と要部認定」です。指定商品・役務は第31類に属します。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。類似する商標を出願する際は、本件の判断枠組みを踏まえて称呼・外観・観念や指定商品の重なりを事前に確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4111768号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年6月15日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第31類「うなぎ(生きているものに限る。)」を指定商品として、同10年2月6日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人の引用する登録第2503189号商標(以下「引用商標」という。)は、平成2年5月22日に登録出願、「ばんどう太郎」の文字を横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同5年2月26日に設定登録されたものであるが、その後、商標登録の取消の審判により、指定商品中の「うなぎの蒲焼き及びそれに類似する商品」について取り消すべき旨の審決がされ、その確定審決の登録が平成12年3月29日にされており、また、「うなぎ及びそれに類似する商品」についても取り消すべき旨の審決がされ、その確定審決の登録が平成13年6月13日にされている。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標構成中「うなぎ 坂東太郎」の文字部分は、他の文字、図形とは離れた独立的配置において記載されており、「うなぎ」は商品の普通名称であるので、「坂東太郎」の文字が要部観察されるところである。

これに対して、引用商標は、「ばんどう太郎」と横書されてなるものである。

両者は、「バンドウタロウ」の称呼を生じ、観念においても同一であることは明白であり、指定商品においても類似する。

したがって、本件商標は、その構成の他の部分を比較判断するまでもなく、引用商標と類似関係にあることは明白であり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(2)答弁に対する弁駁

本件商標の構成において、「うなぎ 坂東太郎」の文字が、右側中間に独立して配置されていることについては、被請求人も認めている。そして、そうである限り、他人の登録商標を含むのであるから、他の離れた構成部分の表示の識別力に関係なく、商標法第4条第1項11号が適用されることは当然のことである。

被請求人は、指定商品との関係において、「坂東太郎」は利根川の異称であり、「うなぎ(生きているものに限る)」については、利根川産のウナギを意味するに過ぎないと主張しているが、異称が産地表示に該当するとの判断は、短絡に過ぎる。もしそうであるなら、第29類「うなぎの蒲焼き」について「坂東太郎」が現に登録されている(商標登録第4393905号)ことをどう説明するのであろうか。例えば、「ビッグアップル」が「ニューヨーク」の異名、愛称だからといって直ちに産地、販売地表示とはならないのと同様である。この点、被請求人が実在の川名「石狩川」の例を挙げているのは適当でない。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証の1ないし3及び同第2号証を提出した。

本件商標中「坂東太郎」は、「利根川」の異称であり、「利根川」は、天然ウナギの産地として知られている。「利根川」を観念想起させる「坂東太郎」を指定商品「うなぎ(生きているものに限る。)」に使用しても、取引者・需要者をして単に商品の産地を表示したものと認識させるにとどまり、自他商品識別標識としての要部にはなり得ない。

本件商標は、全体構成からみて、「忠平」の文字こそが要部であり、うなぎを取り扱う取引者間において、本件商標と引用商標とは彼此混同のおそれはあり得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

本件商標は、別掲に示すとおり、縦長長方形の枠内の中央に、二匹の鰻が笹葉から顔を出すように大きく描かれ、その左側に「白焼、蒲焼」の文字を、右側に「忠平」の文字が大きく縦書きにされ、「忠平」の文字の下に、これらの文字に較べて小さく「うなぎ」と「坂東太郎」の文字を二行に縦書きにした構成からなるものである。

しかして、上記構成に照らしてみれば、「忠平」の文字は、他の文字に比べて読み易く、かつ、太文字で大きく表されているものであるから、需要者がその出所を判断するにあたり、最も注意を惹かれる文字部分であるということができる。

一方、「うなぎ/坂東太郎」の文字は、「忠平」の文字に比較して、かなり小さく表されているばかりでなく、「坂東太郎」は、利根川の異称であること(例えば、岩波書店発行「広辞苑」の「坂東太郎」の項参照)をも合わせ考慮すれば、本件商標の構成にあっては、「坂東太郎」の文字部分が自他商品識別標識として認識されることはないものとみるのが相当である。

また、二匹の鰻の図形及び「白焼、蒲焼」の文字部分は、その指定商品である「うなぎ(生きているものに限る。)」との関係において、出所を表示するものとは認められない。

そうとすれば、本件商標は、「忠平」の文字部分が取引者・需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、「忠平」の文字部分に出所表示機能が存するものというべきである。

してみれば、本件商標は、その構成中の「忠平」の文字部分から「チュウベイ」の称呼のみを生ずるものといわなければならない。

他方、引用商標は、上記のとおりの構成からなるものであるから、「バンドウタロウ」の称呼を生ずるものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上相紛れるおそれのないものであり、外観及び観念においても類似しないものである。

この点について、請求人は、本件商標は他人の登録商標を含むのであるから、他の離れた構成部分の表示の識別力に関係なく、商標法第4条第1項第11号が適用されるべきである旨主張している。

しかしながら、引用商標が「うなぎ(生きているものに限る。)」について使用され、取引者・需要者間に広く知られているというような事情があればともかく(なお、前記2に記載のとおり、引用商標の指定商品中「うなぎ及びそれに類似する商品」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されている。)、そのような事情の主張、立証もないから、本件商標は、上記のとおりに判断するのが相当である。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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