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Trademark Appeal Case

要部結合による商標類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35212号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4082074号商標(以下「本件商標」という。)は、平成7年12月25日に登録出願され、「サクセスマネジメント・アンド・モティヴェーション・プログラム」の文字と「SUCCESS MANAGEMENT AND MOTIVATION PROGRAM」の文字を上下2段に横書きしてなり、第16類「印刷物,紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルクロス,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,鑑賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、平成9年11月14日に設定登録されたものである。

2.請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第706462号商標(以下「引用A商標」という。)は、「SUCCESS」と「MOTIVATION」の文字(下段の「MOTIVATION」の文字は、上段の「C」と「E」の文字の中間部から表示されている。)を2段に横書きしてなり、昭和39年9月28日に登録出願、第26類「書籍、小冊子、雑誌を含む印刷物、及び本類に属する商品、ただし商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品として、同41年5月12日に設定登録され、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2001527号商標(以下「引用B商標」という。)は「サクセス モティベーション」の文字を横書きしてなり、昭和60年9月4日に登録出願、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、同62年11月20日に設定登録され、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第3076263号商標(以下「引用C商標」という。) は、「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」の文字を横書きしてなり、平成4年10月2日に登録出願、第16類「印刷物、文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」を指定商品として、同7年9月29日に設定登録され、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。

3.請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)請求人は、”人がその人生において真の成功を遂げられるよう豊かに生きる”ことについての人間教育・教化に関する各種のプログラム、人生に対する取り組み方・考え方を教示するソフトウエアの製造・販売をその事業の主目的にしている。請求人の創立者であるポール・ジェイ・マイヤー氏は、このような ”成功の鍵となる人間の心の持ち様”をソフトウエア化して販売する事業を他に先んじて始めており、マイヤー氏及び同氏が創立した請求人(当時はサクセス・モティベーション・インティテュートの名称であった)は当業界の草分け的存在として知られている。請求人の名称の核となっている言葉、「サクセス・モティベーション」即ち「成功への動機づけ」という造語は、マイヤー氏の創造に係るもので、その事業を推し進める請求人の名称にその思想の中心となる当該造語を冠して、その事業の特性を明示しているのである。当然この言葉は、出願人の商標として、その事業に関する分野において登録をうけている。

ところで、本件商標「サクセスマネジメント・アンド・モティヴェーション・プログラム/SUCCESS MANAGEMENT AND MOTIVATION PROGRAM」は、請求人の名称及び事業、並びに請求人の事業グループが製造・販売するマイヤー氏の創造に基づく各種のソフトウエア(プログラム)を識別する表示として用いられる一連の商標の中から、要部となる単語を拾い集めて結合させただけのネーミングであると認められる。特に、この類いの製品(プログラム)を取り扱う当業者や、その受講者・購買者にとっては、上記理解は極めて容易であり、本件商標をもって請求人の業務に係るものではないかと混同して認識する可能性は高いというべきである。その意味で、本件商標は、長年継続して販売される請求人の人気のある印刷物(プログラム)の商標と非常に近似するものである。この点について、請求人の先登録商標である引用A・B・C商標(以下、一括して「引用各商標」という。)を引用して、その主張を行う。

なお、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と相互に抵触する部分があることは疑いない。

しかして、本件商標が、請求人の引用各商標の要部を抽出して結合させたものであることは明白である。まず、「プログラム/PROGRAM」の語であるが、これは本件指定商品「印刷物」に関しては記述的な言葉である。特に、請求人及び本件商標の商標権者が事業を行う業界においては、上述した内容を有する「ソフトウエア」は「印刷物」の形式になって発行されることが多いが、これをして「プログラム」と称する(商品の普通名称を「プログラム」と称する)ことが日常的に行われている。従って、この言葉の部分には、自他商品識別力が認められないというべきである。そうとすれば、本件商標の要部は「サクセスマネジメント・アンド・モティヴェーション/SUCCESS MANAGEMENT AND MOTIVATION」である。請求人の固有名詞とも言うべき「サクセス モティベーション」と、最近の人気プログラムである「サクセスフル・マネジメントの力学(DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT)」シリーズの要部を抜粋して結合させただけのものと認められる。

よって、本件商標は、請求人の引用商標と観念の上で非常に近似した商標と認識される。即ち、引用各商標はそれぞれ「サクセス・モティベーンョン(成功への動機付け)」及び「サクセスフル・マネジメントの力学(DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT)」なる言葉からなっており、「サクセスモティベーション」「サクセスフルマネジメント(成功するマネジメント)」が要部であることは明白である。

しかも、商標の使用状態に言及すれば、現在人気プログラムである「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」が販売される際には、同じ客体に常に請求人の商号商標である「SUCCESS MOTIVATION(サクセスモティベーション)」が表示されている。

一方、本件商標は、これらを一体化して「サクセスマネジメント・アンド・モティヴェーション」と構成したものであり、要部部分は、「成功するマネジメント及びその動機付け」という請求人の主たる商標の要部を合体させて構成されたものに過ぎないと認められる観念が、自然に理解される。

本件商標のような語句で成り立っている商標の場合、商標は単なる音韻の響きのみで認識・認容されず、当業者・需要者がこれらを認識・理解するにあっては、その語句から抽出される観念に影響されるところが非常に大きい。この事情に鑑みれば、通常の当業者・需要者が、観念及び言葉の並びから理解して、本件商標を請求人の引用各商標に類するものと理解してしまう蓋然性は高いというべきである。

以上のとおり、本件商標は、引用各商標とその意味観念において類似する商標であり、よって、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)また、請求人の事業については、上述した通りであるが、何より業界で顕著な地位を確立している請求人の「サクセス・モティベーション」に関するグッドウイルと相まって、請求人の引用各商標は業界でも周知のものとなっている。また、先述したポール・ジェイ・マイヤー氏も、「サクセス・モティベーション」「サクセスフルマネジメント」等のテーマで、講演や著述を行っており、その事実を示す資料は後日提出する予定である。ともあれ、本件商標は当業界で周知の商標と紛れやすい類似の商標であるから、商標法第4条第1項第10号にも該当するものである。

(3)更に、当業界における請求人の事業の発展性、請求人の名称及びその「プログラム/印刷物」の著名性に鑑みれば、請求人の商標の要部を合体させたと認められる本件商標「サクセスマネジメント・アンド・モティヴェーション」が使用されると、これが請求人の業務に係る商標ではないかと誤認・混同される蓋然性は極めて高いと言うべきである。

この理由により、本件商標は万一上記各法条に該当しないとしても、商標法第4条第1項第15号に該当することが明白なものと考える。

(4)したがって、本件商標は前記商標法第4条第1項の規定に該当するものであって、同法第46条の規定により、その登録は許されるべきではない。

4.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。

(1)請求人は、本件商標は、請求人の商標の要部となる単語を拾い集めて結合させただけのネーミングであり、結合させることによって、観念の上で非常に近似した商標になるから、両者は類似の商標であると主張している。

要するに、「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」なる請求人所有の引用C商標から、「MANAGEMENT」だけを抜き出し、これを同じく請求人所有の引用B商標である「サクセス モティべ−ション」と結合させて、本件商標に類似すると主張しているものであって、商標の類似判断の基本的準則を全く無視したものであり、失当と言うべきである。

「プログラム」が、記述的要素を包含していたとしても、類似の判断において全く無視して良いというものではないが、仮に記述的であるという理由で省略したとしても、「サクセスマネジメント・モティべ−ション」が、引用B・C各商標の「サクセス モティべ−ション」及び「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」と相紛れる恐れの無い非類似の商標であること明らかである。

請求人は、上記両商標を合体させることによって、「成功するマネジメント及びその動機付け」という観念が生じることを、類似の理由として主張している。

請求人の商標を合体させて「成功するマネジメント及びその動機付け」という観念を導くことは考えられない。請求人の商標を合体させて、このよな観念を導く取引者、需要者は、皆無であると思われる。

また、「成功するマネジメント及びその動機付け」というのは、一体どういう意味か。この意味を理解できる本件指定商品の取引者、需要者は、非常に少ない筈である。

いずれにしても、本件商標と引用各商標とは、共に特定の意味を有しない造語というべきであるし、同一の観念が生じる筈が無いし、上記したように2つの商標を合わせて同じ観念が生じるという請求人の主張は極めて無理な主張であるから、観念類似に該当しないこと明らかである。

(2)請求人は、前記請求人の引用各商標は、請求人の「サクセス モティべ−ション」に関するグッドウイルと相まって業界でも周知のものとなっていると主張しているが、これは全くの誤りである。我国では、「サクセス モティべ−ション」及び「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」の請求人の引用各商標は、殆ど知られていない筈である。商標法第4条第1項第10号の「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」、いわゆる周知商標というのは、日本国内において広く知られている商標のことである。

従って、周知商標というからには、我国でどのような商品に付して、どの程度販売したのか、或はどのような宣伝広告活動を行ったかを立証して、周知商標であることを立証しなければならない筈である。

しかるに請求人は、本件と別件で自認したように、通常一般向けの広告等は行わず、現在までマス・コミを利用した広告を行っていないので「サクセス モティべ−ション」及び「DYNAMICS OF SUCCESSFUL MANAGEMENT」の引用各商標が周知である等ということは到底できない筈である。

請求人は、「サクセス モティべ−ション」及び「サクセスフルマネジメント」等のテーマで講演や著述を行ったことで、引用各商標が周知であると主張するようであるが、仮に、このことが立証されたとしても、これだけで周知商標であることが立証されるわけではない。

また、商標法第4条第1項第10号は、周知商標と同一若しくは類似の商標は登録しないという規定であるが、前記したように、本件商標と請求人所有の登録商標とは、非類似の商標であるから、周知商標であるかどうかを問題とするまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しないこと明らかである。

(3)また、請求人は、請求人事業の発展性、請求人の名称及びその「プログラム/印刷物」の著名性に鑑みれば、請求人の要部を合体させたと認められる本件商標が使用されると、これが請求人の業務に係る商標ではないかと誤認・混同される蓋然性は極めて高いと言うべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当すると主張している。

商標法第4条第1項第15号は、商品の出所について誤認または混同を生ぜしめるおそれがある商標は登録しないという規定であるが、本件出願人が、本件商標を使用したからといって、引用各商標を使用している請求人の取り扱いに係る商標であると出所の混同を生ずる等ということは到底考えられない。

しかも、請求人が引用各商標を、どのような商品にどのように使用しているのかも明らかではない。

引用各商標は、前記したように本願商標とは非類似の商標であるばかりでなく、少なくとも日本国内において、請求人の商標であると我国の取引者・需要者に広く認識されている事実は全くないものであるから、出所の混同など生じる筈はないのである。

更に付言すれば、「ダイナミックス」、「サクセス」及び「モティべ−ション」等を含む商標は、乙第1号証に見られるように、本件指定商品について多数登録及び出願されている通り、請求人の商品に独自のものではない。従って、この理由からしても、出所の混同など生じるはずはない。

(4)以上述べたごとく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれにもに該当しないこと明らかである。

よって、本件に関する請求人の主張は全く理由がないものである。

5.当審の判断

本件商標は、前記したとおりの構成よりなるところ、その構成文字全体は冗長といえるものであり、また、これより生ずる称呼も冗長に亘るものであるから、本件商標より生ずる称呼は、全体より生ずる称呼「サクセスマネジメント、アンド、モティヴェーション、プログラム」のほか、構成中の「サクセスマネジメント・アンド・モティヴェーション/SUCCESS MANAGEMENT AND MOTIVATION」の文字に着目した場合の「サクセスマネジメント、アンド、モティヴェーション」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。

他方、引用A・B商標は、前記のとおりであるから、それぞれの構成文字に相応して、「サクセス、モティベーション」の称呼を、また、引用C商標は、その構成文字に相応して「ダイナミクス、オブ、サクセスフル、マネジメント」の称呼を生ずるとみるのが相当である。

そこで、本件商標より生ずると認められる上記の称呼と引用A・B・C商標より生ずると認められる上記の各称呼とを比較するに、両商標より生ずるそれぞれの称呼は、その音構成、構成音数において明らかな差異が認められるから、称呼上、相紛れるおそれはないといえるものである。

また、観念においては、本件商標は「成功の経営管理とその要因(プログラム)」の如き意味合いを看取させるのに対し、引用A・B商標は「成功の動機づけ」の如き意味合いを、引用C商標は「成功した経営管理の原動力」の如き意味合いをそれぞれ看取させるといえるものであるから、観念において類似とすべき要素は認められない。

さらに、本件商標と引用各商標は、それぞれ前記したとおりの構成よりなるものであるから、外観上、十分に区別し得る差異を有するものである。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標というべきである。

請求人は、引用各商標の要部を抽出し、これを組み合わせて特定の観念を導き出し、そのうえで本件商標より生ずる観念と類似すると主張しているが、その主張は、個々の独立した登録商標の有する意味、観念の果たす役割を無視する商標の類否判断の手法であり、このような判断手法を採るべき合理的理由は存在しないから、これは採用しない。

しかして、請求人は、引用各商標、特に引用A・B商標は、「印刷物」の商標として、請求人が長年継続して使用してきたものであり、当業界において周知の商標である旨主張しているが、これを証明する証拠を何等提出していないものであるから、請求人の主張は、認めることはできない。

そうとすれば、本件商標は、引用各商標とは類似しない商標であって、かつ、引用各商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであるから、本件商標を指定商品に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項の規定により、これを無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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