結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35046(T2000−35046/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4235347号商標(以下「本件商標」という。)は、「APTO」の欧文字を横書きしてなり、平成9年5月13日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,ガーゼ,眼帯,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,乳児用粉乳,乳糖」及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同11年1月29日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1657278号商標(以下「引用A商標」という。)は、「カプト」の片仮名文字を横書きしてなり、同じく登録第1680104号商標(以下「引用B商標」という。)は、「CAPTO」の欧文字を横書きしてなり、同じく登録第1680105号商標(以下「引用C商標」という。)は、「CAPT」の欧文字を横書きしてなるものであり、共に、昭和56年4月10日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、引用A商標は同59年2月23日に、引用B及びC商標は同59年4月20日にそれぞれ設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標の構成は、前記したとおり「APTO」の欧文字を書してなるものであるから、これより生じる自然の称呼は該構成文字に相応し英語読み風に「アプト」と発音するものと認められる。
これに対し、引用A商標の構成は、前記したとおり「カプト」の片仮名文字を書してなるものであるから、該構成文字に相応して「カプト」の称呼を生じること明らかである。
また、引用B商標と引用C商標の構成は、前記したとおり「CAPTO」及び「CAPT」の欧文字を書してなるものであるから、該構成文字に相応して、いずれよりも英語読み風に「キャプト」と発音される場合があることは否定するものではないが、しかしながら、本件商標を含め引用B商標及び引用C商標の各指定商品中には医薬品を有するところ、医薬品を取り扱う業界においては、医薬品の一般的名称命名基準の別表第3「音訳法則」に基づいて発音することが常態である。そうとすれば、該音訳法則に徴して本件商標「APTO」の欧文字からは「アプト」の称呼、引用B商標「CAPTO」の欧文字からは「カプト」の称呼並びに引用C商標「CAPT」の欧文字からも「カプト」の称呼をも生じるものとみるのが社会通念である(甲第18号証)。
(2)本件商標から生じる称呼「アプト」と引用A、B及びC商標から生じる称呼「カプト」との称呼上の類否について比較考察するに、両者はいずれも3音より構成されてなるうち、語頭音における「ア」と「力」の音の差異を除いては他の構成音を共通にするものである。
しかして、両称呼の差異音である「ア」と「カ」の音であるが、後者の「カ」(ka)は前者の「ア」(a)を母音として帯有するものであるところから、その差が各称呼全体に及ぼす影響は大きいものとはいえないばかりでなく、第2音目の「プ」(pu)及び第3音目の「ト」(to)の子音は、いずれも音の性質(音感及びアクセント)が力の入る響きの強い破裂音であるため、該音に吸収され弱く聴取されることとも相俟って、両者をそれぞれ一気一連に呼称するときは全体の語調、語感が極めて酷似したものとなり、特に口頭・電話によりなされる昨今の商取引の実情を鑑みるとき、称呼上相紛れるおそれが充分あるものといわなければならない。
(3)してみれば、本件商標と引用A、B及びC商標とは、その外観及び観念上の類否について論じるまでもなく、称呼の点において類似の商標であり、かつ、その指定商品も引用A、B及びC商標の指定商品と抵触するものであるから、結局、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものというべく、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のように答弁し、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求人の主張するとおり、本件商標の構成は「APTO」であり、引用A商標の構成は「力プト」、引用B商標の構成は「CAPTO」、引用C商標の構成は「CAPT」である。従って、本件商標が引用A、B及びC商標のいずれとも外観及び観念において類似しないことは明白である。
そして、本件商標からは「エイピーティーオー」の他に、「アプト」の称呼も生じるとする請求人の主張は認める。また、引用A商標から「力プト」の称呼が生じ、引用B及びC商標からは「キャプト」の他に「力プト」の称呼も生じるとする請求人の主張も認める。
(2)ここで、本件商標の上記称呼「アプト」が引用A、B及びC商標の上記称呼「力プト」とを比較して両者が称呼においても類似しない理由を述べる。
称呼「アプト」と「力プト」を比較するに、両者は共に3音という極めて短い音数の構成であり、両者は各称呼の語頭に位置する「ア」と「力」の顕著な差異がある。
そして、「ア」音は有声の開放音で、はっきりした澄んだ音であるのに対して、「力」音は無声の破裂音で、力を入れて発音される音である。このように、両者の構成音中で相違する「ア」音と「力」音とは音質、調音の仕方を全く異にするものであり、両音の音質、調音の仕方の明らかな相違により両音は明確に区別されるものである。さらに、両音は称呼の識別上重要な要素となる語頭に位置するものである。
従って、両者において相違する「ア」音と「力」音は全く異質のものであり、3音という極めて短い両称呼における両音の差異が両称呼全体に与える影響は極めて大きく、両者を一連に称呼する場合両者はその語韻、語調が格段に相違するものであるから、両者は明確に聴き分けられるものであって、互いに相紛れるおそれは全くないものである。
(3)如上のとおり、請求人の主張は理由がなく、また、本件商標は引用A、B及びC商標のいずれとも外観、観念、称呼のいずれにおいても類似しないものであり、その登録は無効にされるべきものでない。
本件商標と引用A、B及びC商標(以下、一括して「引用商標」という。)の類否について検討するに、両商標は、それぞれ前記1及び2のとおりの構成よりなるものであるから、該構成文字に相応して、前者からは「アプト」の称呼をも、また、後者よりは「カプト」の称呼をも生ずるものである。この点に関し、請求人及び被請求人において争いはない。
そこで、本願商標より生ずる「アプト」の称呼と引用商標より生ずる「カプト」の称呼とを比較するに、両者は共に3音という短い音構成よりなるところ、称呼における識別上重要な要素を占める語頭において、「ア」と「カ」の音の差異を有するものである。そして、前者の「ア」の音が、開放母音で澄んで明瞭に聴取し得る音であるのに対し、後者の「カ」の音は、無声の破裂音で力強く聴取される音であるから、該差異音が両商標の称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれ一連に称呼した場合、その語感が異なり、充分識別し得るものといわなければならない。
さらに、本件商標と引用商標とは、共に特定の語意を有しない造語よりなるものと認められるから、観念の異同については比較すべくもなく、また、それぞれの構成からして、外観上においても互いに区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることはできない。
なお、請求人は、過去の審決例を挙げて、本件についても類似である旨主張するが、引用の審決例はいずれも本件とは事案を異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は採用しがたい。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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