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Trademark Appeal Case

商標の類否と指定商品の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35257号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第3369378号商標(以下「本件商標」という。)は、平成4年12月10日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第6類「液化石油ガス容器用バルブ,その他のバルブ(機械要素に当たるものを除く。),鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金属製金具,金属製建造物組立てセット,金属製貯蔵槽類,金属製の滑車及びばね(機械要素に当たるものを除く。),金属製包装用容器,金属製荷役パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサ−,金属製人工魚礁,金属製の可搬式家庭用温室,金属製の吹付け塗装用ブース,金属製養鶏かご,金属製航路標識(発光式のものを除く。),金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),てんてつ機,キー,金属製管継ぎ手,金属製フランジ,コッ夕,いかり,金属製ビット,金属製ボラード,かな床,金属製締付け金具,はちの巣,金網,ワイヤロープ,犬用鎖,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製貯金箱,金属製のきやたつ及びはしご,金属製のネームプレート及び標札,金属製タオル用ディスペンサー,金属製帽子掛けかぎ,金属製郵便受け,金庫,金属製靴ぬぐいマット,金属製立て看板,金属製彫刻,金属製ブラインド,金属製の墓標及び墓碑用銘板,つえ用金属製石突き,アイゼン,カラビナ,金属製あぶみ,金属製飛び込み台,拍車,ハーケン」を指定商品として、平成10年4月3日に設定登録されたものである。

2.請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第11類「テレビジョン送受信機、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、平成7年3月31日に設定登録された登録第2705065号商標、同じく第24類「レコード、ミュージックテープ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、平成4年12月25日に設定登録された登録第2485882号商標、同じく第26類「録画済み磁気テープ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和63年7月22日に設定登録された登録第2061649号商標(以下まとめて、「引用A商標」という。)、また別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、第9類「産業機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和62年4月30日に設定登録された登録第1949485商標、同じく第12類「輸送機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和62年9月21日に設定登録された登録第1986039商標、同じく第13類「キーホルダー、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和62年10月27日に設定登録された登録第1993973号商標、同じく第18類「包装用容器、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和62年1月28日に設定登録された登録第1924125号商標、同じく第19類「台所用品、日用品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和62年4月30日に設定登録された登録第1949486号商標、同じく第20類「家具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和61年11月27日に設定登録された登録第1914056号商標、同じく第22類「かさ、くつ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年11月12日に登録出願、昭和63年1月26日に設定登録された登録第2019679号商標(以下まとめて、「引用B商標」という。)、さらに別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和59年6月25日に登録出願、昭和62年7月23日に設定登録された登録第1970479号商標、同じく第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、昭和58年7月4日に登録出願、昭和62年7月23日に設定登録された登録第1965862号商標(以下まとめて、「引用C商標」という。)、及び「MTV CLUB」の文字を横書きしてなり、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、昭和63年4月1日に登録出願、平成2年9月21日に設定登録された登録第2269682号商標(以下、「引用D商標」という。)である。

3.請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第45号証を提出している。

(1)本件商標と引用A商標との類否判断

本件商標は、その構成前記のとおりであるので、「エムティーブイ」の称呼が生じるとみるのが自然である。一方、引用A商標は、同じく「エムティーブイ」の称呼が生じるとみるのが自然である。よって、両商標は、称呼を共通にする。

(2)本件商標と引用B商標との類否判断

本件商標よりは、「エムティーブイ」の称呼が生じるとみるのが自然である。一方、引用B商標からは「エムティーブイミュージックテレビジョン」の称呼又は当該称呼が冗長であることにより及び後述の通り当該商標の市場での実際の使用の結果、単に「エムティーブイ」の称呼も生じる。従って、本件商標と引用B商標とは称呼を共通にする。

(3)本件商標と引用C商標との類否判断

本件商標よりは前述のとおり「エムティーブイ」の称呼が生じるとみるのが自然である。一方、引用C商標からは「エムティーブイミュージックテレビジョン」の称呼又は当該称呼が冗長であることにより及び後述の通り当該商標の市場での実際の使用の結果、単に「エムティーブイ」の称呼も生じる。従って、本件商標と引用C商標とは称呼を共通にする。

(4)本件商標と引用D商標との類否判断

本件商標よりは前述のとおり「エムティーブイ」の称呼が生じるとみるのが自然である。一方、引用D商標からは「エムティーブイクラブ」の称呼、または、当該称呼が冗長であることにより、単に「エムティーブイ」の称呼も生じる。従って、本件商標と引用D商標とは称呼を共通にする。

したがって、本件商標と引用各商標は、互いに類似する。また、本件商標は、いずれの引用商標ともその指定商品を共通にする。さらに、引用各商標に係る登録は、本件商標よりも出願日及び登録が以前である。

以上のとおり、本件商標は、引用各商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができない。

(5)本件商標が商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当することについて

商標「MTV」、商標「MTV MUSIC TELEVISION」等(以下「引用標章」という。)は、本件請求人等によって日本国を含む世界各国において長期間頻繁に使用されたことにより、請求人等の業務に係る商品を表示するものとして日本国内はもちろんのこと、外国においても需要者の間で広く認識されるに至っているものである。

したがって、引用標章が、請求人の業務に係る商品または役務を表示するものとして、日本国内または外国において広く知られているものであることは明らかである。又、本件商標が、引用標章と類似するものであることについては、前述の通りである。

よって、本件権利者が本件商標を本件指定商品に使用した場合には、請求人の業務に係る商品または役務と混同を生じるおそれがある。

従って、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、第15号により商標登録を受けることができない。

(6)被請求人の答弁書に対する弁駁

(イ)被請求人は、「本件商標採択の理由」と題し、本件商標が引用各商標とは全く関係なく採択された旨主張する。

しかし、当該主張は、本件商標が商標法第4条第1項11号に違反してされたか否かを判断するに際し全く無関係な事柄であり、採用することはできない。

(ロ)引用A・B・C商標より、「エムテイーヴイ」の称呼が生じることは明らかである。

一方、本件商標よりは、「エムティーヴ(ブ)イ」の称呼が生じることは明らかである。なお、本件商標より「エムティーブイ」の称呼が生じる点については、被請求人の認めるところである。

(ハ)したがって、本件商標が引用各商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当しないとの被請求人の主張は、誤ったものであり、到底採用できない。

よって、本件商標は、引用各商標との関係で商標法第4条第1項第11号により商標登録を受けることができないものであり、さらに、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その指定商品について使用した場合、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがあるものであるので、商標法第4条第1項第10号又は同第15号により商標登録を受けることができないものである。

4.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証を提出している。

(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しない理由

(本件商標採択の理由)

被請求人は、本件商標の出願に際して、商標の選択にあたり、「MT−Valve」をその候補に挙げていた。しかし、当方代理人と相談した結果、該商標には自他商品識別力がないと判断し、該商標の一部を図形化した本件商標「MT−V+図形」を採択するに至った。

従って、上記経緯から明らかなように、本件商標は引用各商標とは全く関係なく採択されたものである。

先ず、引用A商標中の登録第2705065号商標(以下、「引用商標1」という。)について

本件商標が引用商標1との関係において商標法第4条第1項第11号に該当するための要件は商標が類似すること及び類似する商品に使用するものであることの2点である。そこで、本件商標に係る指定商品と引用商標1に係る指定商品を比較すると、両商標に係る指定商品は互いに非類似の関係にあることは明らかである。

従って、商標の類否を論じるまでもなく、引用商標1は本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することを示す根拠とはなりえない。

(引用A商標について)

イ.両商標の特定

本件商標は欧文字「MT−V」を斜め書きにし、「V」の右隣りに2本の平行な線の間に8本の斜めの線を置いた図形を小さく配してなる。

従って、本件商標から生じる称呼は「エムティーブイ」である。

一方、引用A商標は欧文字「M」をモチーフにしたような影を伴う角張った太い線で構成された図形の右半分に重ねるように、欧文字「TV」をモチーフにしたような著しくデザイン化した図形を右肩上がりに配してなる。このように引用A商標は個々の構成部分は欧文字をモチーフにしていることが伺えるが、所詮その程度であり、各々の構成要素がまとまりよく配されていることもあり、全体として一つの図形と認識されるべきものである。

従って、引用A商標からは特定の称呼は生じない。

ロ.商標の類否

1)外観上の相違について

本件商標と引用A商標とは外観において全く異なることは明白である。

従って、本件商標と引用A商標とは外観上相紛れるおそれはない。

2)観念上の相違について

本件商標及び引用A商標は特定の観念を生ずるものではない。

従って、本件商標と引用A商標とは観念上相紛れるおそれはない。

3)称呼上の相違について

本件商標から生じる称呼は「エムティーブイ」であり、一方、引用A商標からは特定の称呼は生じない。

従って、本件商標と引用A商標とは称呼上相紛れるおそれはない。

上記で述べたとおり、本件商標と引用A商標とは外観、観念及び称呼の全ての面において相紛れるおそれのない互いに非類似の商標である。

(引用B商標について)

イ.両商標の特定

本件商標から生じる称呼は、前記したとおり「エムティーブイ」である。

一方、引用B商標は引用A商標と同一の図形の下部に欧文字「MUSIC TELEVISION」を配してなる。このように引用B商標は図形と欧文字から構成され、図形部分からは特定の称呼が生じないことは引用A商標についての項で述べた。従って、引用B商標からは欧文字「MUSIC TELEVISION」に対応して「ミュージックテレビジョン」の称呼が生じる。

ロ.商標の類否

1)外観上の相違について

本件商標と引用B商標とは外観において全く異なることは明白である。

従って、本件商標と引用B商標とは外観上相紛れるおそれはない。

2)観念上の相違について

本件商標は特定の観念を生ずるものではない。一方、引用B商標からは欧文字「MUSIC TELEVISION」に対応して「音楽番組」等の観念を生じる。

従って、本件商標と引用B商標とは観念上相紛れるおそれはない。

3)称呼上の相違について

本件商標から生じる称呼は「エムティーブイ」であり、一方、引用B商標から生じる称呼は「ミュージックテレビジョン」である。したがって、両称呼はその構成音、音数等著しく異なり、非類似であることは明白である。

従って、本件商標と引用B商標とは称呼上相紛れるおそれはない。

上記で述べたとおり、本件商標と引用B商標とは外観、観念及び称呼の全ての面において相紛れるおそれのない互いに非類似の商標である。

(引用C商標について)

両商標の特定及び商標の類否については引用B商標と同じ理由により、本件商標と引用C商標とは外観、観念及び称呼の全ての面において相紛れるおそれのない互いに非類似の商標である。

(引用D商標について)

イ.両商標の特定

本件商標から生じる称呼は、前記したとおり「エムティーブイ」である。

一方、引用D商標は欧文字「MTV CLUB」を配してなる。

そして、「CLUB」の語はその前に接続される語との結合力の強さを示す例として、商標登録が併存していることを挙げる(乙第2号証ないし同第9号証)。

従って、引用D商標からは「エムティーブイクラブ」の称呼が生じる。

ロ.商標の類否

1)外観上の相違について

本件商標と引用D商標とは外観において全く異なることは明白である。

従って、本件商標と引用D商標とは外観上相紛れるおそれはない。

2)観念上の相違について

本件商標及び引用D商標は特定の観念を生ずるものではない。

従って、本件商標と引用D商標とは観念上相紛れるおそれはなしい。

3)称呼上の相違について

本件商標から生じる称呼は「エムティーブイ」であり、一方、引用D商標から生じる称呼は「エムティーブイクラブ」のみである。

そこで、本件商標の称呼「エムティーブイ」と引用D商標の称呼「エムティーブイクラブ」とを比較するに、両称呼は「エムティーブイ」の部分を共通とするも、その構成音に5音と8音と大きな差異を有し、本件商標と引用D商標とは称呼上相紛れるおそれがないことは明らかである。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当しない理由

本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するための要件は以下の3点である。

イ.請求人の商標がその業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること。

ロ.本件商標が請求人の使用する商標と類似すること。

ハ.本件商標が請求人の広く認識されている商標に係る商品又は役務について使用されること。

請求人の採用する証拠はどれも上記の要件を満たすものではなく、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当することを示す根拠とはならない。

(3)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当しない理由

請求人の提出する甲第15号証ないし同第44号証はいずれも、請求人の商標登録を羅列したのみであったり、請求人の商標「MTV」が音楽放送分野、特にアメリカのケーブルテレビ局に係る業務を表示するものとして使用されていることを裏付けているにすぎないものであり、広く認識されていることを立証するものではない。

そこで、請求人の役務「放送」が属する業界と本件商標の指定商品「バルブ」等が属する業界とを比較するに、両業界が流通経路、取引者、需要者等を全く異にし、その関連性は希薄であることは明らかである。

上記に鑑みて、本件商標をその指定商品について使用しても、本件商標の指定商品の取引者・需要者がその商品が請求人の業務に係る商品であると誤認するようなことは有り得ないというべきである。

従って、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するという請求人の主張に根拠はない。

(4)請求人の弁駁書に対する答弁

(イ)請求人は、引用A・B・C商標の称呼特定において、平成5年審判第14868号を引用して引用A・B・C商標から「エムテイーヴイ」の称呼が生じる旨主張しているが、かかる審判事件は本件と事案を異にすると言わざるを得ない。

引用A・B・C商標はその共通の構成要素として欧文字「M」を立体的にロゴ化した部分と欧文字「TV」をやや斜めに走り書きしたようなロゴを含むが、「エムティーヴィ」の称呼は生じない。

なぜなら、両者はその大きさ、書体、ロゴ化の手法の全てにおいて異なるので、一連に「エムティーヴィ」又は「ティーヴィエム」と称呼すべき特段の事情がない。

従って、引用A・B・C商標の欧文字をロゴ化したものは全体としてロゴと認識されるべきであり、特定の称呼は生じない。

引用B商標のロゴ部分から称呼が生ずるとすれば、「エム」又は「ティーブィ」であるが、それらの称呼を生ずるのみでは識別力がないと言わざるを得ず、やはり、ロゴ部分は全体としてロゴと認識されるのが相当であり特定の称呼は生じないと確信する。

(ロ)請求人は、弁駁書において、本件商標が商標法第4条第1項第10号又は第15号に該当することを繰り返し主張しているが、被請求人は答弁書において述べたとおり、請求人の主張には根拠がないことは明らかである。

このことは、本件商標に対して出された登録異議の申立てについての決定(乙第10号証)においてもはっきりと述べられている。

(ハ)被請求人は、本件商標の選択にあたり、「MT−Valve」をその候補に挙げていたが、当方代理人と相談した結果、該商標には自他商品識別力がないと判断し、識別力をつけるため該商標の一部を図形化し、結局本件商標「MT−V+図形」を採択するに至ったものである。従って、本件商標は善意に採択されたものであり、引用A・B・C・D商標とは全く無関係に採択されたものである。

以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれにも該当するものではないから、本件無効審判には理由がないとの審決を求めるものである。

5.当審の判断

(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて

本件商標は、別掲(1)に示したとおり文字と図形の結合された構成よりなるところ、構成に係る図形部分からは特定の事物を認識し得ないものであるから、この部分からは称呼を生ずることはなく、顕著に書された「MT−V」の構成文字に相応して「エムテイーブイ」の称呼を生ずるものと認められる。

これに対して、引用A・B・C・D商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、まず、引用A商標中の登録第2705065商標について検討するに、該商標は、第11類「テレビジョン送受信機、その他本類に属する商品」を指定商品とするものであって、本件商標の指定商品とは生産部門、販売系統、用途及び需要者の範囲等を異にする非類似の商品と認められるから、該登録商標と本件商標とは商標の類否について判断するまでもなく、類似しない商標というべきである。

そして、前記登録第2705065商標を除いた引用A商標は、別掲(2)に示すとおりであるところ、その構成はローマ字の「M」を圧倒的に大きく立体的に描き、その右側に重ね合わせるように「TV」と思われる文字を右上がりに表してなる極めて特異な構成からなるものであって、かかる構成においては一定の称呼をもって取引に資されるというより、むしろ、(「M」及び「TV」の文字が看取されたとしても、)これらの文字をモチーフとした図形商標の一種(以下「ロゴマーク」という。)として認識され、取引に資されるとみるのが相当である。

この点に関し、請求人は、証拠を挙げて該ロゴマークから称呼を生ずる旨主張しているが、本件商標との比較においては上記認定が妥当といえるものであるから、引用A商標より「エム−ティーブイ」の称呼を生ずるとし、そのうえで本件商標と引用A商標とが称呼上類似するものであるとする請求人の主張は認めることはできない。

しかして、両商標は、外観上、明らかに区別できる差異を有するものであり、観念については比較すべくもないものであるから、結局、本件商標と引用A商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似するものとすることはできない。

次に、本件商標と引用B商標及び引用C商標を比較するに、引用B商標及び引用C商標の構成は、別掲(3)及び別掲(4)に示すとおり、引用A商標と同じロゴマークの下部に「MUSIC TELEVISION」の文字を配してなるものであるから、該ロゴマークからは引用A商標と同様の理由で称呼を生ずるものではなく、その下部に書された構成文字に相応して「ミュージックテレビジョン」の称呼を生ずると判断するのが相当である。

しかして、本件商標と引用B・C商標は、外観上、明らかに区別できる差異を有するものであり、観念については比較すべくもないものであるから、結局、本件商標と引用B・C商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似するものとはいえない。

さらに、本件商標と引用D商標を比較するに、引用D商標は、前記したとおり「MTV CLUB」の文字よりなるところ、書された文字からはある種のクラブ名(同好会名)を認識させるといえるものであり、その構成文字に相応して「エムテイーブイクラブ」の称呼を生ずるとするのが相当であるから、引用D商標より「エム−ティーブイ」の称呼をも生ずるとし、そのうえで本件商標と引用D商標とが称呼上類似するものであるとする請求人の主張は認めることはできない。

しかして、本件商標と引用D商標は、外観上、十分に区別できる差異を有するものであり、観念については比較すべくもないものであるから、結局、本件商標と引用D商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似する商標とはいえない。

以上のとおり、本件商標と引用A・B・C・D商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても非類似の商標といわなければならない。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するか否かについて

請求人の提出に係る甲第33号証ないし甲第42号証によれば、引用標章及び該ロゴマークからなる標章は、米国における音楽番組専門のネットワーク(ケーブル・テレビ局)を表す標章として、1981年8月のサービス開始以来継続して使用され米国において著名となっており、そのことが日本の各種雑誌等において広く報道された結果、日本国内においても放送、出版関係者又は音楽に関心のある需要者の間に広く認識されるに至ったと認められるものである。

しかしながら、本件商標の指定商品は前記のとおりであって、請求人の業務と関連があると思われる商品、例えば「放送用機械器具などの電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」等を一切含まないものであり、加えて、その指定商品は請求人の業務に係る役務(サービス)とは、それぞれの用途、需要者の範囲、商品の販売場所と役務の提供の場所等を全く異にするものであり、その関連性は極めて希薄というべきであるから、たとえ近時の産業界の多角経営化を考慮したとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務にかかるものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものと判断するのが相当である。

6.むすび

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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