結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30853号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第3163162号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成5年4月21日登録出願、第9類「理化学機械器具、測定器械器具、配電用又は制御用の機械器具、回転変流機、調相機、電池、電気磁気測定器、電線及びケ―ブル、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、眼鏡、加工ガラス(建築用のものを除く。)、救命用具、電気通信機械器具、レコ―ド、メトロノ―ム、電子応用機械器具及びその部品、オゾン発生器、電解槽、ロケット、遊園地用機械器具、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザ―、乗物の故障の警告用の三角標識、発光式又は機械式の道路標識、鉄道用信号機、火災報知機、盗難警報機 、事故防護用手袋、消火器、消火栓、消火ホ―ス用ノズル、消防艇、消防車、自動車用シガ―ライタ―、保安用ヘルメット、防火被服、防じんマスク、防毒マスク、溶接マスク、磁心、抵抗線、電極、映写フィルム、スライドフィルム、スライドフィルム用マウント、録画済みビデオディスク及びビデオテ―プ、ガソリンステ―ション用装置、自動販売機、駐車場用硬貨作動式ゲ―ト、金銭登録機、硬貨の計数用又は選択用の機械、作業記録機、写真複写機、手動計算機、製図用又は図案用の機械器具、タイムスタンプ、タイムレコ―ダ―、電気計算機、パンチカ―ドシステム機械、票数計算機、ビリングマシン、郵便切手のはり付けチェック装置、計算尺、ウエイトベルト、ウエットス―ツ、浮き袋、エアタンク、水泳用浮き板、レギュレ―タ―、潜水用機械器具、ア―ク溶接機、金属溶断機、電気溶接装置、犬笛、家庭用テレビゲ―ムおもちゃ、検卵器、電動式扉自動開閉装置、半導体検査装置並びに同部品及び付属品、液晶表示基板検査装置並びに同部品及び付属品、レティクル検査装置並びに同部品及び付属品」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザ―、これらに類似する商品」については、継続して3年以上日本国内において使用されていない。したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、上記の商品については、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)乙号証についての主張
乙第1号証は、商標「UNITY」に係る商品のカタログの一部であることは推測に難くないが、その商品が何であるかは不明である。さらに、このカタログは何時誰が印刷したものか、また、何時頒布されたものかも不明である。
乙第2号証は、これが乙第1号証の商品のオペレーションパネルであるとの証明はない。「オペレーションパネル」とは「操作盤」のことであるが、乙第1号証に操作盤らしきものが見えるにしても、その操作盤が乙第2号証のものとは一致しない。
乙第3号証に本件商標が表示されているが、「トレーニングテキスト」がいかなる文書であるか不明である。少なくとも、「トレーニングテキスト」を商品と認定させるに足る証拠はない。
乙第4号証は、その成立を認めることができない。法人名はあっても、その住所も電話番号も表示されていない受領書というものは、実際の商品収受に使用されることはない。したがって、乙第4号証の受領書をもって何らかの商品の何人かによる受領が証明されるということはできない。
すなわち、乙第4号証には、株式会社日立製作所との記載はあるが、それがいずれに所在の株式会社日立製作所であるか特定し得ない。住所が特定されない法人を実在の法人と認めることはできない。
さらに、乙第4号証において、住所及び電話番号は黒い太線で消されたように見える。請求人において消したのか、原本において消されているのか、常識的には前者においてであろうが、明らかでない。いずれであっても、作成者不明であるから証拠としての成立を認めることはできない。
(イ)被請求人の主張に対する反論
被請求人は、本件商標を使用している旨主張する。
本件商標は、「U」の文字を大きく、その他の文字は「U」の文字の半分ほどの大きさに書かれ、しかも「U」の文字から一本の線が「NIT」の文字の下まで伸び、各文字が重なる部分は、細く隙間をあけて描かれており、全体として独特なデザインを施した特徴あるものとなっている。一方、乙第1号証に表示されているのは、普通に用いられる書体で、同じ大きさ、同じ間隔、同一書体による「UNITY」である。本件商標をこれと比較すると、外観が著しく相違し、両者は社会通念上同一の商標とはいえない。
被請求人は、本件商標を1993年頃から本件商品である「エッチン装置」について使用している旨主張する。
しかし、被請求人は、「エッチン装置」とは何か、いかなる理由で該「エッチン装置」が「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザ―、これらに類似する商品」に属するといえるかについて何ら主張、証明していない。
次に、乙第1号証は本件商品「エッチン装置」を広告するものである旨主張するが、乙第1号証には「エッチン装置」は記載されていない。
次に、乙第2号証の記載の「オペレーションパネル」は、何かの装置に運転のために設けられた操作盤であるから、その装置とは切り離すことができない部分であり、取引の対象物たる商品ではありえない。仮にそうであるとしても、操作盤は「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザ―、これらに類似する商品」に属する商品ではない。なお、オペレーションパネルはコンピュータにより制御される、と被請求人は主張するが、そのようなことはない。オペレーションパネルでコンピュータを操作することがあっても、その逆はない。
さらに、乙第3号証に記載のトレーニングテキストは何かの装置の使用説明書と推測されるが、それは性質上取引の対象物たる商品とはいえない。
さらに、乙第4号証は本件商品の納入事実を証明するものである旨主張するが、納入したのが本件商品「エッチン装置」であるとはいえない。
ところで、乙第1号証にかかる商品カタログに「東京エレクトロン SPEグループ エッチング・システム部」と表記されていることから、仮に、被請求人がいう「エッチン装置」が「エッチング装置」であるとしても「エッチング装置」は本件審判請求に係る商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザ―、これらに類似する商品」のいずれにも属さない商品である。
「エッチング装置」は、日本標準商品分類によれば、半導体製造装置に分類される商品であり(甲第3号証)、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」(改訂第8版)によれば、第7類に「半導体製造装置」があることから、「エッチング装置」は第7類の「半導体製造装置」に属すべき商品であると考える。
そもそも「エッチング」とは、「物質の表面の選ばれた部分に所望のパターンを生じさせるために酸、その他の腐食剤を用いて化学的に腐食させ除去すること」(甲第4号証)をいい、「トランジスタやICの製品にあたっては、レジスト(感光樹脂)で覆われていない基板部分を化学薬品などで除去すること」(甲第5号証)をいう。
たとえば、半導体集積回路の製造工程には、「シリコン単結晶(インゴット)の作成」、「シリコンウェハの作成と処理」、「酸化膜の形成」、「薄膜の堆積」、「リソグラフィー及びエッチング」、「不純物ドーピング」、「ペレタイズ」、「ボンディング」、「パッケージング」の各工程があるが、「エッチング」は、シリコンウェハやその上に形成された薄膜を部分的に取り除くことであり、前記工程のうち「シリコンウェハの作成と処理」や「リソグラフィー及びエッチング」の工程で行われる。
さらに、「エッチング」には、化学薬品を用いるウェットエッチング、気体をプラズマでイオンにして除去したい部分と化学反応を起こさせ気体とともに除去してしまうプラズマエッチングに代表されるようなドライエッチングとがある。
してみれば、「エッチング装置」は「電気通信機械器具」に属する商品でも、これに類似する商品でもない。
また、特許庁商標課編「商品及び役務区分解説」によれば「電子応用機械器具」の概念には「電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれる」とあることから、「エッチング装置」は「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品でもこれに類似する商品でもない。
以上、本件商標が指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザ―、これらに類似する商品」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実はない。
3.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)答弁の理由
商標権者である被請求人は、本件商標を1993年頃からエッチン装置(以下、本件商品という。)について使用し始め、継続して使用しているものである。
(ア)乙第1号証として提出する商品カタログ等により、本件商品を広告し、また、乙第3号証として提出するトレーニングテキストにも使用されているものである。
(イ)乙第2号証として提出するオペレーションパネルの写しは、乙第1号証に示す本件商品のオペレーションパネルにおいて、本件商標を使用しているものである。オペレーションパネルは、コンピューターにより制御されており、本件商品区分である「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具及びその部品」に対応するものである。
(ウ)乙第4号証として提出する受領書は、本件商品を1999年3月8日に株式会社日立製作所に納品したものである。
以上のように、本件商標の商標権者である被請求人は、本件商標と社会通念上同一のものと言える商標を、本件審判の請求に係る商品である本件商標の指定商品に属することが明らかな本件商品について、本件審判の請求前3年以内に、日本国内で使用していることは明らかであり、被請求人はそのことを立証しているものであるから、本件審判の請求は、理由がないものである。
(2)弁駁に対する答弁
被請求人は、指定商品中、「電子応用機械器具及びその部品」に包含される「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」を製造販売しており、それに本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標を審判請求の登録前(登録日 平成11年7月21日)3年以上、継続して使用しているものである。
(ア)被請求人は、1963年設立の半導体製造装置メーカーであり、98年、99年売上高ランキングでは世界第2位にランクされている。主力製品は、コータ&デベロッパ、ドライエッチング装置、酸化・拡散炉、減圧CVD装置、プローバなどであり、その中で、エッチング装置に、まず「UNITY」の商標を使用している(乙第4号証及び同第5号証)。
更に、被請求人は、エッチング装置に搭載され、かつ、エッチング装置を制御するコンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスクを単体の商品として取り扱っており、エッチング装置を使用するユーザーのニーズに対応してプログラムを開発し、販売しているのであり、その商品に本件商標及びブロック体の欧文字からなる「UNITY」の商標を使用している。
(イ)被請求人の商品について
乙第6号証(写真)として提出する商品が、被請求人が製造販売する「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」である。
被請求人の主力製品の一つであるエッチング装置は、半導体集積回路製造工程中の大きく分類して回路形成の工程で「エッチング」を行う装置であり、薄膜を堆積させた直後にリソグラフィーが行われ、そのリソグラフィー工程の後に、プロセスガスによる食刻(=エッチング)が行われる。その前後の工程が複数回繰り返される。通常それらの装置は、複雑な処理が行われる為にコンピュータが搭載されている。
被請求人が製造販売するエッチング装置に搭載され、かつ、制御されるコンピュータ用プログラムは、まず、新規に装置を納入するときは、最低限の機能を有する基本的なプログラムである「システムディスク」と「データディスク」が用意されている。
エッチング装置使用開始後、半年ないし1年位を経過すると、ユーザーからプログラムの機能アップの要請があり、また、被請求人が新たに開発したバージョンアップのプログラムをユーザーに提案して採用してもらうことがあるため、新しいバージョンのプログラムをパッケージングして個別の商品として取引するのであり、乙第6号証の写真の商品がそれである。
写真(1)〜(2)は、梱包して発送する状態を示すものであるが、写真(3)〜(10)は、磁気ディスクの商品形態及び商標の使用状態をそれぞれ示したものである。
システムディスク(SYSTEM−DISK)に記憶されているプログラムは、エッチング装置を起動させるものであり、データディスク(DATA−DISK)に記憶されているプログラムは、エッチング中の温度情報、真空カセット情報、ロードロック機構情報等のデータを入れ、エッチング装置の状態を解析しながら最良の状態でエッチングを行わせるようにするためのものである。
乙第7号証は、平成10年3月6日付けの被請求人から富士通株式会社への見積書であり、商品及び仕様の欄に記載されている「UNITY Ver.lle」 は、乙第5号証カタログに掲載の通り、本件商標を使用したエッチング装置のモデルの一つであり、〈eバージョン アプデイト〉及び「・ソフトウウェアパッケージ」の記載により、商品は、エッチング装置に搭載されるコンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスクであることが分かる。
なお、「Ver.lle 化改造」は、「機能拡張」を意味するものとして使用している。
乙第8号証は、ケイテイアイセミコンダクター株式会社との間で売買契約が成立して、バージョンアップしたプログラムを納品したときの見積明細書、注文書など一連の取引書類であり、98年(平成10年)3月31日の成約報告書により、同年4月1日が納入指定日のため、直ちに商品配送の指示が出されたことが報告されている。
乙第9号証は、富士通株式会社との間で成立した売買契約により、富士通株式会社岩手工場に納品したときの見積明細書、注文書など一連の取引書類であり、98年(平成10年)5月20日及び同年7月22日に契約が成立したことが報告されている。
なお、乙第7号証ないし第9号証に係る取引書類中、商品の単価、金額は企業秘密に属するため明らかにすることができず、金額の部分を隠して複写して提出する。しかしながら、この種の商品開発にはかなりの時間とコストおよびノウハウが必要なところから、一式約1千万円前後の単価となっている。
被請求人のコンピュータ用プログラムがユーザーに納品されると、ユ一ザーからの要請があれば、被請求人の方から作業員が出向し、「現場作業指示書」に従って、バージョンアップしたプログラムを搭載する作業を行い(乙第10号証)、作業が終了すると、担当した作業員から作業終了の報告書が提出される(乙第11号証)。
以上により、被請求人は、半導体製造装置であるエッチング装置に搭載するコンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスクを商品として製造販売していることを証明し得たものと確信する。
(ウ)被請求人の商標について、
本件商標は、商標公報(商公平7−80247号)掲載の通り、「UNITY」の欧文字をデザイン化したものからなり「ユニティ」の称呼が生ずるものとなっている。そして、これを同一の称呼が生ずるゴシック体の欧文字で「UNITY」と表示しても、それは本件商標と書体のみに変更を加えた場合に該当し、社会通念上同一と認められる商標の使用である。
被請求人は、エッチング装置及びそれに搭載されるコンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスクには、単なるゴシック体の欧文字をもって「UNITY」と表示して使用しているが、このプログラムを搭載した装置を稼働するためにユーザーに提供する「オペレーションマニュアル」の表紙には、本件商標と同一商標を使用している(乙第12号証)。
オペレーションマニュアルは、プログラムを操作するうえで欠かせないものであり、プログラムを購入したユーザーに附属品として提供されるので、コンビュター用プログラムを記憶させた磁気ディスクに使用する商標の一つの使用形態である。
また、被請求人のコンピュータ用プログラムを搭載したエッチング装置の起動時には、製品の正面に向かって中央右端部分にある四角いパネルの中に、乙第2号証として提出した表示が最初に表れる。
ここには、本件商標と同一の商標が使用されており、この商標の使用はエッチング装置本体に使用する商標ではなく、あくまで、エッチング装置を制御するコンピュータ用プログラムに使用しているものであり、本件商標を使用したプログラムの使用形態の一つである。
すなわち、一般に広く普及しているパーソナルコンピュータを使用するときにも、コンピュータを立ち上げると必ず、搭載されているプログラムの名称が(その多くは商標名であるが)、画面に表れるのと同じであり、それはコンピュータという機器に使用される商標であると認識することはなく、コンピュータ用プログラムに使用される商標の使用形態として認識されるのである。
以上、被請求人は、商品としてコンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスクを製造販売しており、それに、本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる「UNITY」の商標を使用しているのである。
したがって、請求人が本件商標の登録は、指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカーラー、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザー、これらに類似する商品」については取り消されるべきであるとの主張には理由がないこと明らかである。
4.当審の判断
被請求人の本件審判請求に対する答弁及び請求人の弁駁に対する答弁を総合すると、被請求人は、半導体製造装置である商品「エッチング装置」に搭載され、かつ、「エッチング装置」を制御する「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」を単体の商品として取り扱っており(製造、販売)、その商品に本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)を本件審判請求の登録前3年以内に使用している。そして、前記商品「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」は、本件審判の取消請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に包含されるものであるとの主張と認めるのが相当である。
そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、被請求人は、乙第4号証及び同第5号証より半導体製造装置である「エッチング装置」(本件審判請求に対する答弁においては「エッチン装置」と記載しているが、誤記と認める。以下、同じ。)について商標「UNITY」を使用していることが認められる。このことは、請求人の弁駁に対する答弁中において、被請求人も認めているところである。
すると、商標「UNITY」が表示されている商品カタログの一部である乙第1号証は、「エッチング装置」に関する商品カタログの一部であるというのが相当であるところ、該商品「エッチング装置」は、半導体集積回路の製造工程中の回路形成の工程で「エッチング」を行う装置であり、その用途、機能等からみて本件審判の取消請求に係る指定商品中に包含される商品ではないこと明らかである。
そうとすれば、「エッチング装置」に関し、商標「UNITY」が表示されていることをもって、該使用が本件商標と社会通念上同一の商標といえるか否かについて判断するまでもなく、本件商標が本件審判の取消請求に係る指定商品について使用されていたということはできないものである。
次に、被請求人のコンピュータ用プログラムを搭載したエッチング装置の起動時には、製品の正面に向かって中央右端部分にある四角いパネルの中に、乙第2号証として提出した表示が最初に表れ、ここに、本件商標と同一の商標が使用されており、この商標の使用はエッチング装置本体に使用する商標ではなく、あくまで、エッチング装置を制御するコンピュータ用プログラムに使用しているものであると主張する乙第2号証をみるに、当該画面中央上部に別掲のとおりデザイン化された文字からなる本件商標と同一の文字からなるものが表示されてはいるが、該表示の下には「TELーETCH MULTI CHAMBER SYSTEM」の表示があることから、これら表示をみて直ちに「エッチング装置」に搭載する「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」についての商標の使用とみるのは困難というべきであり、前記「エッチング装置」について商標「UNITY」を使用していることを被請求人自ら認めていることを考慮するならば、該表示も又「エッチング装置」について使用する表示とみるのが自然というべきである。
次に、被請求人の提出に係るトレーニングテキストと称する乙第3号証及びユーザーに提供する「オペレーションマニュアル」と称する乙第12号証をみるに、乙第3号証及び同第12号証の表紙には、別掲のとおりデザイン化された文字からなる本件商標と同一の文字からなるものが表示されてはいるが、乙第3号証は表紙1枚のみであり、この「トレーニングテキスト」と称するものが如何なる文書であるのか不明であるといわざるを得ない。また、乙第12号証は、コンピュータ用プログラムを搭載した装置を稼働するためにユーザーに提供する「オペレーションマニュアル」の表紙と認め得るところ、コンピュータ用プログラムを搭載した装置とは、「エッチング装置」とみるのが相当であり、該商品に添付されて販売される取扱説明書というべきものであって、該表示も又「エッチング装置」について使用する表示とみるのが自然というべきである。
また、乙第4号証は、株式会社日立製作所の被請求人宛の受領書であって、品名欄に「UNITY2S 85DI」の記載があるが、「UNITY」なる商標が付された商品が如何なる商品(「エッチング装置」、「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」)を指称しているのか該記載をもっては不明といわざるを得ない。
次に、被請求人は、当初販売する「エッチング装置」に搭載され、制御されるコンピュータ用プログラムは、最低限の機能を有する基本的なプログラムである「システムディスク」と「データディスク」が用意され、「エッチング装置」使用開始後、半年ないし1年位経過すると、ユーザーからプログラムの機能アップの要請があり、また、被請求人が新たに開発したバージョンアップのプログラムをユーザーに提案して採用してもらうことがあるため、新しいバージョンのプログラムをパッケージングして個別の商品として取引しているとして、磁気ディスクの商品形態及び商標の使用状態、取引書類等として乙第6号証ないし同第11号証(枝番を含む。)を提出している。
乙第6号証は、「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」の梱包して発送する状態、商品形態及び商標の使用状態の写真といえるところ、「UNITY HD」、「UNITY SYSTEM」、「UNITY DATA」の表示がなされていることが認められる。
しかしながら、そこに表示された文字は、ゴシック体で「UNITY」の欧文字を表したものであり、一方、本件商標は別掲に示したとおり、語頭の「U」の文字を大きく書し、それに続く「N」の文字を「U」の文字の右辺に半分程度の大きさで書き、それに続けて「ITY」と書し、さらに「U」の文字の左辺から一本の線が「NIT」の文字の下まで伸びており、各文字が接触しないよう、細い間隔をあけて描いた、全体として外観において独特の特徴を有した構成よりなるものといえるものである。
ところで、商標法第50条(商標登録の取消しの審判)にいう「登録商標の使用」には当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む、と規定され、その登録商標の一例として「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」を掲げている。
これを本件についてみるに、本件商標と被請求人が本件商標の使用に当たるとする商標とが共に「ユニティ」の称呼を生ずるとしても、前記の如く本件商標は外観において独特の特徴を有した構成よりなるものであり、これを単にゴシック体の欧文字をもって表したものとは、全体としてその外観を著しく変更するものであるから、単に「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」というべきではなく、両者は社会通念上同一と認められる範囲を逸脱した商標であるとみるのが相当である。そうしてみると、乙第6号証における「UNITY」の表示は、本件商標の使用に当たるものではないといわなければならない。
さらに、取引書類として提出された乙第7号証ないし同第11号証(枝番を含む。)(見積書、注文書、成約報告書、現場作業指示書、マシーン・ファイル控兼サービスデータ入力票)をみるに、これらには商品としての「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」の表示は一切なく、例えば、「UNITY Ver.lle化改造」(乙第7号証)、「UNITY 2E バージョンカ カイゾウ」(乙第8号証の4)、「UNITY2 eバージョン化改造パーツ手配」(乙第9号証の1及び2)」、「UNITYllEカカイゾウ」(乙第9号証の4及び5)」、「UNITY2 Eバージョンカカイゾウパーツ」(乙第9号証の6)」、「UNITY(標準機)」(乙第10号証)、「機器名 UNITY85PP/UNITY lle化改造作業」(乙第11号証の1)の表示が見受けられるところ、これらの「UNITY」は、乙第10号証及び同第11号証の1の記載からみて商品「エッチング装置」の商標を記載したものとみるのが自然であり、また、「UNITY Ver.lle化改造」の意味するところは、「エッチング装置」本体の機能を拡張するということを表したものとみるのが相当である。そうすると、「エッチング装置」本体の機能を拡張する場合に、「エッチング装置」に搭載されている「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク」をバージョンアップすることがあるとしても該商品が独立して取引の対象となっていたということは前記乙第7号証ないし同第11号証(枝番を含む。)からみても認めることはできない。
してみれば、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において取消請求に係る指定商品について使用していたことを証明し得たと認めることはできないものである。
そして、他に本件商標が使用されていたというべき証拠は見当たらない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中の「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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