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Trademark Appeal Case

「船」の記述性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90091(T2001−90091/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4430889号商標の指定商品中「釣り具」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4430889号商標(以下、「本件商標」という。)は、「船」の文字よりなり、平成12年3月22日に登録出願され、第28類「遊戯用器具,手品用品,運動用具、釣り具」を指定商品として、平成12年11月2日に設定の登録がされたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は、その登録出願以前より「船釣り用の竿」「船釣り用の釣り糸」「船釣り用のリール」等の商品の用途表示として使用されているから、本件商標をその指定商品「釣り具」に使用するときは、その商品に接する取引者、需要者は、「船釣り用の釣り具」であると容易に認識し、単にその商品の用途、品質を表示するものと理解するにすぎず、それ以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせる。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第4条第1項第16号に該当し登録されるべきでないとして、甲第2号証ないし同第6号証を提出した。

3 本件商標の取消理由

登録異議の申し立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成13年7月10日付取消理由通知)は、要旨次のとおりである。

<取消理由>

申立人が提出した証拠(甲第2号証ないし同第6号証)によれば、「釣り具」を取り扱う業界において、「船」の文字は、商品「釣り竿、釣り糸、リール」について、船釣り用、あるいは船釣りに適したものであることを表すものとして、取引上普通に使用されていることが認められる。

そうとすれば、本件商標をその指定商品中「釣り竿、釣り糸、リール」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「船釣り用竿、船釣りに適した釣り糸、船釣りに適したリール」であること、すなわちその商品の品質、用途を端的に表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

また、本件商標を前記商品以外の「釣り具」について使用するときには、その商品が「船釣り用、船釣りに適したもの」であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由通知に対して、商標権者は要旨次のように意見を述べている。

本件商標が、「船」の文字に効能、用途を表す文字を結合した「船舶用」「釣舟用」という表示であれば、自他商品の識別力を有しないといい得るが、本件商標はあくまで「船」の文字のみであり、本件商標を構成する「船」の文字は、その指定商品の品質、効能を表すというよりは、むしろ、「男性的」「カッコ良い」の如く需要者に好印象を与え、商品の購買意欲を促進するものであって、自他商品の識別力を有する。

5 当審の判断

本件商標についてした上記取消理由は妥当であって、その撤回を求める商標権者の意見は、以下の理由によりいずれも採用の限りでなく、さきの認定を覆すに足りない。

(1)商標権者は、「船」の文字は、本件指定商品の品質、効能を表すよりは、むしろ、日本の需要者に好印象を与え、商品の購買促進に役立っている。本件商標が「船」の文字に効能、用途を表す文字を結合して「船舶用」あるいは「釣舟用」という表示であれば、たしかに自他商品の識別力を有しないといい得るが、本件商標はあくまで「船」の文字のみであるから自他商品の識別力を有する旨主張する。

しかしながら、「船」の文字が「釣り竿、釣り糸」等の商品について、船釣り用、あるいは船釣りに適したものであること、つまり「船舶用」「釣船用」を表すものとして取引上普通に使用されていることは、申立人の提出に係る証拠(甲第2号証ないし同第6号証)により認め得るところであって、釣り具関連の取引者、需要者がこれを当該商品の品質、用途を端的に表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものとみるのが相当であるから、この点を述べる商標権者の意見は主観論に止まり妥当でなく、採用の限りでない。

(2)また、商標権者は、他人が「船舶用」「釣舟で使用する」という表現を用いても商標法第26条の規定により、本件商標権の効力は及ばず、商標権の侵害にはならない旨主張するが、同法条の趣旨は、いわゆる過誤登録等の要因による登録商標の効力制限を定めたものであって、これにより、当該商標権者による登録商標の取得・使用が正当化され、或いは、本件商標の登録適格性が担保される訳ではないから、この点を述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用の限りでない。

(3)結語

以上のとおり、商標権者の意見はいずれも妥当でなく採用することができないから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、結論掲記の商品について同法第43条の3第2項の規定により、これを取り消すべきものとし、その余の指定商品についての登録は、取り消すべき理由がないものであるから、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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