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Trademark Appeal Case

著名商標の略称と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35149(T2000−35149/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4179329号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4179329号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年1月20日に登録出願され、「TOMMY」と「トミー」の文字を二段に併記してなり、第25類「履物」を指定商品として、平成10年8月21日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は著名なファッションデザイナーである「TOMMY HILFIGER」のデザインにかかる商品を表す商標として本件商標の出願時にアメリカ合衆国はじめ、南アメリ力諸国、ヨーロッパ諸国、香港、日本等でよく知られていた商標「TOMMY」と類似するものであり、その商品と同一又は類似の商品に使用するものである。

請求人であるトミー ヒルフィガー ライセンシング インコーポレーテッドは上記デザイナー「トミー ヒルフィガー」の商標を所有・管理している会社である。

トミー ヒルフィガーは1970年代にジーンズ等カジュアルウェアのデザインを始め、次第にファッション界で有名になっていった。1980年にニューヨークに移ってデザイナーとしての活動を続け、「トミー ヒルフィガー」の名はアメリカのスポーツウェアの分野において最も注目されるものとなった。(甲第1号証及び甲第2号証)

トミー ヒルフィガーの商品は最初は紳士衣料・洋品から始まったが、現在では婦人及び子供衣料・洋品、靴、かばん類、香水、眼鏡等広い分野にわたっている。

トミー ヒルフィガーのショップはアメリカではいたるところにあるが、日本においては1992年に伊藤忠商事と合弁でトミーヒルフィガージャパンが設立され(甲第3号証)、1993年9月の時点ですでに全国16の百貨店に店舗を展開(甲第4号証)、1996年8月以前の時点では約百店舗となっており、その後さらに増加した(甲第5号証の1)。また、売上高は1995年で29億円(卸売りベース)を数え、衣料品市場が低迷している中でも好調のブランドであった(甲第5号証)。

トミー ヒルフィガーはしばしば「TOMMY」と略称されており(甲第6号証)、今やファッション業界では「TOMMY」といえば「TOMMY HILFIGER」を指すに至っている。

実際に「TOMMY」というブランドで商品も出しており、特に1995年5月にアメリカで、1996年10月に日本で発売した香水「tommy」は好評を博して一躍有名になった(甲第7号証)。この商品「tommy」はフレグランスのアカデミー賞といわれるFIFI賞において、1996年に5部門で賞を獲得している。

したがって、本件商標は、本件商標の出願時において請求人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品に使用するものであるから、その登録は商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

トミー ヒルフィガーはアメリカを代表するデザイナーとして本件商標の出願時である平成9年(1997年)1月20日以前からアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国はもとより日本においても著名であり、世界各国で商標登録されていた(甲第10号証証)。また、トミー ヒルフィガーは、単に「TOMMY」と略称され、また「TOMMY」、「TOMMY JEANS」、「TOMMY GIRL」、「TOMMY TENNIS」等の商標をも使用し、これらはよく知られていた(甲第6号証及び甲第8号証)。特に、最近ではファッションデザイナーの進出がめざましく、ファッションの業界と非常に密接な関係にある香水の分野において1995年に発表した香水「tommy」が大ヒットしたため(甲第7号証及び甲第8号証)、ファッション業界においては、「TOMMY」といえばトミー ヒルフィガーを示すという認識が浸透した。また、甲第6号証及び甲第8号証ないし甲第10号証に示したとおり、トミー ヒルフィガーはそのデザインするファッションの一環として、スニーカー、紳士靴等履物をも取り扱っていた。

履物の分野は被服の分野と近接しており、場合によってはファッションという観点からみれば同じ分野ともいえる。実際、ファッションデザイナーのブランドとして著名なイブ・サンローランやシャネル、ラルフ・ローレン、ディオール、クロエ、ジバンシー、ランバン等は履物も製造・販売している。このような状況を鑑みると、本件商標を商品「履物」に使用した場合、需要者・取引者がその商品がトミー ヒルフィガーの業務にかかる商品であるか、又はトミー ヒルフィガーのライセンスした商品であると誤認し、出所について混同を生ずることは本件商標の出願の時点から確実であった。

したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

(3)商標法第4条第1項第19号について

請求人の商標「TOMMY HILFIGER」、「TOMMY」がその業務にかかる商品を表示するものとして日本及びアメリカその他多数の国において需要者の間に広く認識されていたことは上述したとおりである。

また、これらの商標は甲第10号証に示したとおり、世界中の国々で商標

登録され、実際に使用されている。

かかる状況において、我が国最大手の履物メーカーである被請求人が、上記著名商標を知らなかったはずはなく、かかる著名商標と類似する本件商標を商品「履物」について出願したのは、これらの著名商標のグッドウイルにただ乗りしようという意図があったからに他ならない。

したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。

3.被請求人の主張

被請求人は、何ら答弁していない。

4.当審の判断

(1)請求人提出にかかる甲各号証によれば、米国のファッション・デザイナーである「TOMMY HILFIGER(トミー・ヒルフィガー)」は、米国のみならず世界的に著名なデザイナーである事実を認め得るものである(甲第1号証及び甲第2号証)。

(2)我が国においても、1992年に伊藤忠商事との合弁により、トミーヒルフィガージャパンを設立、1996年8月の時点で全国の百貨店を中心に、インショップ(店内店)形式で約八十五店の店舗を展開し、1996年8月以前の時点では約100店舗となっている。また、売上高は1995年で29億円(卸売りベース)に達していることが認められる(甲第4号証及び甲第5号証の1、の2)。

(3)トミー ヒルフィガーのデザインする商品は紳士衣料・洋品から始まったが、現在では婦人及び子供衣料・洋品、靴、かばん類、香水、眼鏡等広い分野にわたっている。本件商標の指定商品である「履物」についても、トミー ヒルフィガーのデザインする、スニーカー、紳士靴等履物をも製造・販売している事実が認められる(甲第6号証ないし甲第9号証)。

(4)そして、「履物」はファッションとは切り離せない商品であり、むしろファッションの一環として、「履物」をデザインし、製造・販売している著名なファッション・デザイナーは決して少なくないといえる。

(4)さらに、請求人提出にかかる甲各号証によれば、「TOMMY HILFIGER(トミー・ヒルフィガー)」が「TOMMY(トミー)」と略称されて著名である事実を認め得るものである。

(5)してみれば、「TOMMY」及び「トミー」の文字よりなる本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、該商品が著名なファッション・デザイナー「TOMMY HILFIGER(トミー・ヒルフィガー)」若しくは同人と関係のある者の取り扱いに係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、他の無効理由を判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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