結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30790号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第789371号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類「合成樹脂を主材とする化粧板、その他の建築又は構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として、昭和42年6月5日登録出願、同43年8月7日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の登録は、その指定商品中「建築用又は構築用の金属製専用材料」について、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証乃至甲第3号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標の指定商品のうち、「建築用又は構築用の金属製専用材料」について、継続して3年以上日本国内において本件商標を使用した事実がなく、また、本件商標には、専用使用権者、通常使用権者が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
乙第1号証によれば、三和シャッター工業株式会社(以下、「三和シャッター」という。)は、防音ドアの商標として使用を希望する商標「カーム40Z」について、被請求人会社から使用を許諾されていることが認められる。(乙第1号証覚書の前文、第1条)。しかしながら、これを以って、三和シャッターが本件商標の通常使用権者といい得ないことは、自明の理である。けだし、乙第1号証覚書の前文に「原登録商標」として本件商標が明示されていても、同覚書には、三和シャッターに対して本件商標の使用を許諾する旨の条項がまったく存在しない。乙第1号証には、商標「カーム40Z」の使用を許諾する旨の条項が存在するだけで、本件商標の使用を許諾する旨の条項が全く存在しない。
また、商標「カーム40Z」の後半の文字「40Z」は、単なる記号、符号に過ぎないので、商標「カーム40Z」の使用を許諾した乙第1号証覚書により、本件商標の使用が許諾されているとの見解があるとすれば、かかる見解は明らかに誤りである。被請求人会社、三和シャッターの双方は、同覚書第2条第1項において「甲は、本件商標(商標「カーム40Z」を指す)を乙のために、・・・・商標登録出願を行う。」と規定し、同第3条第1項において「本件商標が・・・・登録されたときは、・・・・甲は乙に専用使用権を設定する。」と規定することにより、商標「カーム40Z」が本件商標と明らかに異なる別商標であることを明らかに認識した上で乙第1号証覚書を締結しているからである。
(3)第2答弁に対する弁駁
本件商標の連合商標である登録第2115913号商標(以下、「本件連合商標」という。)は、乙第1号証覚書による許諾商標に対し、それぞれの書体が極端に異なる上、最後尾の文字が小文字の「z」であり、大文字の「Z」でない点で、明らかな別商標である。
よって、乙第1号証覚書があっても、それによって三和シャッターが本件連合商標の使用を許諾されていることにはならず、三和シャッターは本件連合商標の通常使用権者ではあり得ない。
また、被請求人は提出された乙第2〜5号証のいずれによっても、平成8年6月21日以降平成9年3月31日以前において、三和シャッターが本件連合商標を使用していることを何ら立証していない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び第2答弁を要旨次のように述べ、乙第1号証乃至同第5号証を提出した。
(1)乙第1号証の覚書によれば、甲(被請求人である住友ベークライト株式会社)が所有する登録商標第789371号「カーム・CALM」および乙(三和シャッター)が防音ドアの商標として使用を希望する商標「カーム40Z」に関して、第1条には、「甲は、乙が本件商標を乙の製造販売する防音ドアの商標として使用することを承認する。」とあり、第2条では、「甲は、本件商標を乙のために、甲の名義にて原登録商標の連合商標として商標登録出願を行う。」とあり、第3条には、「本件商標が、原登録商標の連合商標として登録されたときは、この登録商標につき、甲は乙に専用使用権を設定する。乙が前項の専用使用権を希望するときには、甲はその手続を乙の費用負担でもって行うものとする。」とあり、三和シャッターは専用使用権の設定登録を希望すれば専用使用権者となることが規定されている。
それゆえ、現在の三和シャッターの立場は専用使用権者とは言えないが、前記のごとく、使用権者であることは間違いないので、通常使用権者であると見ることができる。
(2)乙第2号証は、使用権者である三和シャッターが発行する防音ドア(鋼製軽量ホテルドア/甲種防火戸<プロスパー>)についてのパンフレットで、「HEーHF series」というタイトル名であり、裏表紙に1997年6月に改訂して発行されたものであり、1997年6月現在とある通りで、表紙の裏面に白抜き文字を記載した黒帯部分の下部において『●防音「カーム40z」』の表示がある。また、第1頁最下段にカーム40zの文字、第11頁に、「■ドアクローザによる部材の組み合わせ」の表中に『防音「カーム40z」タイプ』という表示、および第12頁に「■カーム40z(遮音タイプ)V86AT(扉厚40mm)」の表示もある。そして、使用対象は前記のごとき、鋼製軽量ホテルドア/甲種防火戸<プロスパー>であり、建築用または構築用の金属製専用材料に該当することは明らかである。
(3)乙第3号証は、使用権者である三和シャッターが発行する「三和シャッタードア総合カタログ」の抜粋である。このカタログの発行についても、裏表紙に、1998年3月に改訂して発行されたものであり、1998年3月現在とある通りであり、第245頁の『防音仕様「カーム40Z」も可能』という表示、第256頁「LSDシリーズ」のうち「防音タイプ」として「カーム40Z(化粧鋼板)」の表示、第258頁「静寂さへの提案軽量防音ドアカーム40Z」の表示など、もしくは、第259頁「軽量防音ドア『カーム40Z』の真髄、実力」の表示がある。乙第3号証においても本件商標をビル用鋼製軽量ドア、すなわち、建築用または構築用の金属製専用材料に使用していることは明らかである。
(4)乙第4号証は、使用権者である三和シャッターが発行する「三和のドア総合カタログ」の抜粋である。この乙第4号証の発行は、裏表紙に「1995年6月現在」とあることからも明らかなように、平成7年6月になされたもので、2頁目の「LSDシリーズ」のうち「防音タイプ」として、「カーム40Z(化粧鋼板)」の表示があり、したがって、本件連合商標である「カーム40Z」は、平成7年6月の段階で、ビル用鋼製軽量ドアの化粧鋼板、すなわち、本件審判請求の取消に係る指定商品「建築用または構築用の金属製専用材料」について使用されているのは明らかである。
(5)乙第5号証は、使用権者である三和シャッターが発行する「三和の製品ガイド」であり、裏表紙にて「1997年5月現在」とあることからも明らかなように、平成9年5月に発行され、2頁目の「軽量ドア(LSD)」として「カーム40Z」の表示があるもので、この乙第5号証も、本件連合商標である「カーム40Z」が本件審判請求の取消に係る指定商品「建築用または構築用の金属製専用材料」について使用していることを明らかにしている。
被請求人の提出した乙第1号証の覚書には、「住友ベークライト工業(以下甲という)と三和シャッター工業株式会社(以下乙という)の間において、甲が所有する登録商標第789371号『カーム・CALM』(第7類)および乙が、防音ドアの商標として使用を希望する商標『カーム40Z』に関し次のとおり覚書を締結する。」との記載があり、その第1条には、甲は、乙が本件商標を乙の製造販売する防音ドアの商標として使用することを承認する。第2条には、甲は、本件商標を乙のために、甲の名義にて原登録商標の連合商標として商標登録出願を行う。また、第3条には、本件商標が、原登録商標の連合商標として登録されたときは、この登録商標につき、甲は乙に専用使用権を設定する。と記載されていることが認められるものであって、これよりは、三和シャッターは通常使用権者と推認できるものである。
また、乙第2号証は、「HEーHF series 鋼製軽量ホテルドア/甲種防火戸 <プロスパー>」のパンフレットで、その11頁には「遮音タイプ/防音『カーム40z』タイプ」、そして、最後の頁に「1997年6月現在 改訂1997年6月」の日付が記載されている。
乙第3号証は、「三和シャッタードア総合カタログ」で、245頁には「LSDシリーズは、軽さと強さを両立させたビル用鋼製軽量ドアです」、256頁には「LSDシリーズ 防音タイプ カーム40Z」(化粧鋼板)」、258頁には「静寂さへの提案軽量防音ドアカーム40Z」、最後の頁に「1998年3月現在 改訂1998年3月」の日付がそれぞれ記載されている。
乙第4号証は、「三和のドア総合カタログ」でその中には、「LSDシリーズ 防音タイプ カーム40Z(化粧鋼板)」との記載があり、裏表紙には「1995年6月現在」の日付が記載されている。
乙第5号証は、「三和の製品ガイド」で、その中に「軽量ドア(LSD)」「オプションで、優れた防音性を発揮する防音仕様(カーム40Z)も用意できます。」との記載があり、裏表紙に「1997年5月現在 改訂1997年5月」の日付が記載されている。
しかるところ、平成8年法律第68号による改正商標法附則第10条(商標登録の取消しの審判についての経過措置)第2項(以下、「改正法附則」という。)には「平成12年3月31日までに請求された新商標法第50条の審判については、旧商標法第50条第2項の規定は、この法律の施行後も、なお、その効力を有する。」との規定がなされている。
一方、本件商標に係る登録原簿を徴するに、本件商標には、「カーム40z」の構成よりなり、第7類「建築または構築専用材料、その他本類に属する商品」を指定商品とする本件連合商標(登録第2115913号商標)が連合商標として登録されていた(商標権は現に有効に存続している)ことが認められるところである。
したがって、本件審判請求の登録日である平成11年7月14日の前3年以内である平成8年7月14日から平成9年3月31日の間において、改正法附則の規定により、本件連合商標の使用が証明されれば、本件商標について、その取消しを免れるものと解される。
してみれば、上記に述べたとおり、被請求人が提出した乙第1号証乃至乙第5号証を総合勘案すれば、各乙号証は通常使用権者と推認される三和シャッターのパンフレット、カタログの写しであり、その中に記載されている「カーム40Z」は、本件連合商標であった「カーム40z」と、称呼及び観念を同じくするものあるから、社会通念上同一の商標であると推認できるものである。
そして、「カーム40Z」の文字は、乙第4号証の「三和のドア総合カタログ」に「LSDシリーズ 防音タイプカーム40Z(化粧鋼板)」と記載されていることが認められるもので、カタログ発行の日付も、裏表紙に「1995年6月現在」となっている。また、乙第3号証の「三和シャッタードア総合カタログ」にも「LSDシリーズ 防音タイプカーム40Z(化粧鋼板)」と記載されていることが認められるもので、カタログ発行の日付も、裏表紙に「1998年3月現在 改訂1998年3月」となっている。
通常、カタログ類は、その仕様に変更を加えない限り多年度に亘り継続的に使用し得るものであることから、「カーム40Z」は、1995年(平成7年)6月以降1998年(平成10年)3月まで継続的に使用されていたというのが相当である。
そして、その使用している商品の「鋼製軽量ホテルドア、ビル用鋼製軽量ドア」等も、本件取消審判に係る商品「建築用又は構築用の金属製専用材料」に属する商品といえるものである。
そうとすると、通常使用権者と認め得る使用者(三和シャッター)により、本件連合商標を、その取消請求に係る指定商品中の「建築用又は構築用の金属製専用材料」について、日本国内において、本件連合商標の使用の特別規定が認められる本件審判請求の登録前3年以内であって、平成9年3月31日までに使用していたものというのが相当であるから、被請求人は、連合商標の特則によって使用の事実を証明なし得たものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、取消請求に係る指定商品「建築用又は構築用の金属製専用材料」について、その登録を取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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