結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35117号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4195252号商標(以下「本件商標」という。)は、「ソルティエ」の片仮名文字と「SOLTIER」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成8年10月29日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年10月9日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2316327号商標(以下「引用A商標」という。)は、「ソリティア」の片仮名文字と「SOLITAIRE」の欧文字を上下二段に横書してなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、平成1年2月9日登録出願、同3年6月28日設定登録、その後、平成13年4月10日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく登録第3140860号商標(以下「引用B商標」という。)は、「SOLTINA」の欧文字と「ソルティナ」の片仮名文字を上下二段に横書してなり、第3類「せっけん類,薫料,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成4年12月3日登録出願、同8年4月30日設定登録なされているものである。
(A)請求人の主張
請求人は、「登録第4195252号の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。
(1)請求人は、引用A商標を保有しており、本件商標とは互いに相紛れる虞がある類似の関係にあって、取引者、需要者をして出所混同のおそれがあるので、本件審判を請求する利害関係を有する。
(2)本件商標は、引用A商標と引用B商標と類似し、その指定商品と同一又は類似の指定商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)本件商標は、上段に「ソルティエ」の片仮名文字、下段に「SOLTIER」の欧文字を二段に横書き併記してなるのに対し、引用A商標は、上段に「ソリティア」の片仮名文字、下段に「SOLITAIRE」の欧文字を二段に横書き併記してなる。本件商標は、「ソルティエ」の称呼を生ずるのに対し、引用A商標は、「ソリティア」の称呼を生じ、両称呼を対比すると、第2音において「ル」と「リ」、語尾音において「エ」と「ア」の差異を有する。しかし、「ル」と「リ」は、50音図中「ラ」行に属する音であって、舌面を硬口蓋に近づけ。舌の先で上歯茎を弾くように発する有声子音(r)である点で共通する。即ち、「ル」と「リ」の音は、その調音位置、調音方法を同じくする近似音である。しかも、「リ」と「ル」の両音は、本来的には第2音以降に位置する場合、弱音となる上、両商標においては明瞭且つ強く発せられる「ソ」と「ティ」の間に挟まれていることとも相俟って、両者の音構成全体に及ぼす影響は少ないものである。即ち、本件の場合、「ル」と「リ」の音は、聴覚上、響きの強い「ソ」あるいは「ティ」に吸収されて聴取されにくいものである。なお、日本語の「ラ」行は、発音記号上はともかく、英語ではむしろ「r」よりも「l」に近い発音となる点考慮すると、弱音の場合には、より印象が弱くなるということができる。その裏付けとして、過去の審決例においても、対比する2つの商標の何れもが3音以上であって、「ル」と「リ」の差異音が第2音以降に位置する場合には、その2つの商標を類似と判断された例が非常に多い。
他方、両商標の語尾における差異音「エ」と「ア」も、やはり50音図中同行に属し、両音とも共鳴の形で発する開放音であることから、その調音方法や音質において共通する要素が多く、極めて近似する音である。
そればかりか、両商標において「エ」「ア」とも、音構成中、一般に聴別し難い語尾に位置するため、通常の注意力をもってしても聞き誤ることが多いというべきものである。また、過去の審決も「エ」と「ア」の差異音を有する2つの商標を類似と判断したものが圧倒的であるが、特に上記差異音が語尾に位置するときは、より類似性が高いと判断することが顕著である。
しかも、本件商標・引用A商標とも、その音構成中に両唇音を含まないため、これを一連に称呼する場合、常に口を開けた状態で、且つ下顎の動きを殆ど伴わず口の開きが一定のもと、舌の位置の変更だけで称呼されるものであるから、上記差異音はより一層聴別し難いものである。
さらにいえば、両商標は欧文字を含み、これに併記された片仮名文字はその読みを示したものとして看取されるのが自然と考えられるところ、現在の日本における英語の普及度からして欧文字と片仮名文字とで看者の注意力に優劣がなく、当該注意力の半分が欧文字に働くとすれば、両商標の欧文字の綴りには共通する点が多いことから、両商標は外観上も相紛れる虞があるというべきである。
少なくとも本件商標については、その欧文字を通常の英語読みで称呼した場合、「TIER」は「ティア」と発音するのが自然であるから、当該欧文字に働く通常の注意力からすれば、本件商標は「ソルティア」との自然称呼が発生するとも考えられる。そして、当該自然称呼「ソルティア」は引用A商標の称呼と、より一層類似したものになることはいうまでもない。
このように本件商標と引用A商標の差異音「ル」「リ」ないし「エ」「ア」は、何れも近似音であり、しかもこれら差異音が明確に発音乃至聴別し難い位置に存在することと相俟って、両商標を一連に称呼するときには、その語調、語感が極めて近似したものとなるから、本件商標と引用A商標は、称呼上、互いに相紛れる虞のある類似の商標である。
なお、本件商標はその審査手続中に、引用A商標と類似するという拒絶理由通知(甲第7号証)を受けており、被請求人は意見書(甲第8号証)を提出して、本件商標と引用A商標とが称呼上非類似である旨を主張している。
しかし、この意見書における被請求人の主張は、両商標の差異音のみを抽出し、単に個々の差異音の音質等を別個独立に比較したものであって、それより生ずる称呼全体の音感までも考慮したものではないから、その類否判断手法には誤りがあるというべきものである。即ち、差異音「ル」と「リ」の対比において被請求人は、「しかも[ラ行音]は力の入る迫力音で、共に『ル』と『リ』の音にアクセントが掛かり」と主張している。しかし、ラ行音が常に迫力音というべき被請求人の主張には根拠がなく、「ラ行音」が中間音あるいは語尾音であり、調音位置にない場合には、むしろ弱音となることが多いのであって、本件商標と引用A商標にあっては響きの強い「ソ」と「ティ」の間に挟まれているのであるから、なおさら両商標において「ル」と「リ」の音質は弱音といえる。これは審決例を参照すること明らかである。
また、アクセントが「ル」と「リ」に掛かることについても根拠不明というばかりか、引用A商標については被請求人が主張するように「一つはめの、普通はダイヤモンドの一つの石」の意味を有する英語であり、その発音は甲第10号証に示した英和辞典に掲載されているように、「ソ」に第一アクセント、「ティ」に第二アクセントが存在するのである。この点、被請求人は意見書において引用A商標を上記意味の英語と認めているにも拘わらず「リ」にアクセントが掛かると主張していることには矛盾がある。
さらに、本件商標については造語である旨を主張しておきながら、そのアクセント位置を「ル」に特定することには、何等合理的根拠を見出せず、被請求人の主張は悉く採用できないものといわざるを得ない。
次に「エ」と「ア」との対比においても、被請求人は「エ」と「ア」の差異で非類似と判断される根拠として3つの審決例(昭和56年審判第20529号、昭和57年審判第14182号、昭和63年審判第22805号)を掲げており、意見書の内容も当該審決理由を踏襲したものとなっている。しかし、これら審決例は何れも、語頭に「エ」と「ア」の差異音が存在する事例であって、語頭音は称呼の識別上最も重要な要素であることを審決の前提としたものであり、これら審決例と本件とは構成音の配列が全く異なるのであるから、上記審決例を根拠として本件商標と引用A商標の類否を論ずることは当を得たものではないこと明らかである。仮に上記審決例を根拠に本件商標と引用A商標との非類似性を認め、本件商標を登録査定したとするならば、その審査手法に瑕疵があったという他ない。
(4)本件商標と引用B商標との対比
引用B商標はその構成文字より「ソルティナ」の称呼を生じ、本件商標とは僅かに語尾における「エ」と「ナ」の音の差異を有するのみである。そして、両音「エ」「ナ」とも響きの弱い音である上、称呼識別上印象の弱い語尾にある。しかも、前音「ティ」が響きの強い破裂音であることから、「エ」「ナ」は一層明瞭さに欠き、特定の意味合い、観念を生じない造語であることも相俟って、本件商標を一連に称呼するときは、引用B商標と語感、語調が近似したものとなる。従って、本件商標は引用B商標とも称呼が互いに相紛れる虞のある類似の商標である。
(B)被請求人の答弁に対する弁駁の要点
(1)本件商標と引用A商標との対比
被請求人が本件商標と引用A商標は称呼上非類似である旨主張する審判答弁書第2頁10行から24行の記載は、請求人が甲第9号証として提出した意見書の内容とまったく同じものである。そして、この主張が妥当でないことは、既に明らかにしたところであるが、あらためて整理すると、i)被請求人は差異音のみを対比したに過ぎず、称呼全体の考察を怠ったものであるから妥当ではない。ii)「ラ行音」が常に迫力音であるとした被請求人の主張には根拠がない。iii)「ル」と「リ」の音にアクセントが掛かるとの被請求人の主張には根拠がない。iv)「エ」と「ア」の対比で被請求人が自己の主張に援用する審決例は、本件事案と音配列を異にするものであり、それ自体当を得ない、というものである。特に、上記i)に関して、50音の各音をそれ単独で発音した場合は他の1音と聴別可能であることは認めるが、実際の商取引において商標を一文字ごとに区切って発音することは皆無であり、商標は会話にまぎれながら一連に称呼されるのが普通であるから、差異音の対比のみに終始した被請求人の類否判断手法は妥当でない。次に、被請求人は答弁書において本件商標から「ソルティエ」の称呼のみ生ずると主張するので、この点についても弁駁する。
ある商標の称呼を認定する場合、指定商品との関係を踏まえ、取引の実情をも熟慮した上で個別具体的に考察する必要がある。本件商標は、片仮名文字「ソルティエ」と欧文字「SOLTIER」を二段に併記したものであるが、当該構成のうち先ず取引者等の目を惹くのは欧文字「SOLTIER」であって、この意味で片仮名文字「ソルティエ」は従といえる。なぜなら、本件商標に係る指定商品「せっけん類、化粧品、歯磨き」では、その名称(商標)を欧文字のみで表示する、あるいは欧文字を片仮名文字等よりも大きく顕著に表示することが趨勢であり、一般的取引者等も欧文字の表示のみから所望の商品を購入している、という取引の実情があるからである。ところで、本件商標のように欧文字に振り仮名風に片仮名文字を付した商標の称呼認定に関しては、a「振り仮名が必ずしも欧文字の一般的な読み方でないときは、そのような商標は欧文字の部分より一般的な読み方による称呼をも生ずる」あるいはb「一般的な読み方が二通り以上ある欧文字は、その一方を振り仮名として付したときでも、そのような商標は他の読み方による自然の称呼をも生ずる」と判断する必要がある。その理由は上述した取引の実情に即するためであり、この判断手法は特許庁の審査基準にも適うところである。そうすると、本件商標が取引に供された場合、上述のように欧文字「SOLTIER」を主とし、しかも片仮名文字「ソルティエ」は欧文字「SOLTIER」の一般的な読み方でない、あるいは欧文字「SOLTIER」は一般的な読み方が二通り以上生ずることから、本件商標からは「ソルティエ」以外に、欧文字「SOLTIER」から「ソルティア」の自然称呼が生ずるのである。なお、欧文字「SOLTIER」は造語であるが、その称呼は、本件商標に接する一般的な取引者等が通常有する語学知識に応じて発音する読み方から特定すべきであるところ、我が国において英語が極めて普及していることは明らかであり、まず英語の発音方法によって「SOLTIER」を読み、これが無理なく自然に発音される場合には、その読み方から生ずる称呼をもって取引にあたると考えられる。そして、語尾に「ier」の付く多数の英単語がほとんど例外なく「・・・イア」と発音されること、より具体的には語尾に「tier」が付く英単語(例えば、「frontier;フロンティア」)が「...ティア」と発音される事実があり、この事実は通常の語学知識を有する一般的取引者等にも浸透していると考えられるから、欧文字「SOLTIER」からは「ソルティア」の自然称呼も発生するのである。
続いて、被請求人は「引用A商標は全ての英和辞典に記載されている単語ではないから、正確に発音できるかどうかは疑わしき」旨主張するが、これは単なる憶測に過ぎず、客観性に欠ける。むしろ、ある英単語を発音する場合に、それが仮に取引者等にとって無知のものであっても、通常有する語学知識や経験によって正確に発音できる場合が多い。さらに被請求人は、正確な発音に期するためには、その英単語が義務教育過程で使用される英和辞典に掲載されていることが必要である旨主張するが、これは恰も義務教育過程で使用する英和辞典が強制的に定められていることを示唆するものであって、そのような事実がない以上、この主張は客観性に欠ける。そもそも義務教育課程での語学知識が、英語に関する平均的レベルであるという根拠はなく、やはり被請求人の主張は単なる憶測に過ぎないといわざるを得ない。そればかりか、被請求人は「solution」や「solidity」なる英単語を引用し、引用A商標のアクセント位置を特定しようとしているが、これら英単語は本件事案とまったく無関係なものであって、その引用自体当を得ない。仮に、上記英単語を語頭「sol」が引用A商標と共通するという理由で引用したのならば、「sol」から始まる英単語のほとんどは少なくとも第1音にアクセントがくるのであって、上記引用の英単語は第2音にアクセントがくる希な例であるから、これをもって引用A商標のアクセントが第2音の「リ」にかかるということはできない。これに対して、一般的な取引者等における引用A商標の称呼を予測するのであれば、請求人が主張するように複数の英和辞典に掲載されていることをもって、正確な発音に期すると判断することが合理的であると思料する。
(5)むすび
以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由について述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
(1)審判請求人は本件商標は、引用A商標及び引用B商標と類似し、指定商品も抵触するため、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録できないものであるにもかかわらず誤って登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に該当し、無効とされるべきである旨主張している。しかしながら、本件商標と引用A商標及び引用B商標は、以下述べる理由により、互いに非類似の商標であるので、被請求人としては審判請求人の主張を認めることはできない。
(2)本件商標と引用A商標との対比
まず、審判請求人は『両者の差異音である「ル」と「リ」が調音位置、調音方法を同じくする近似音であり、第2音以降に位置する場合、弱音となる、また「エ」と「ア」も近似音であり、語尾に位置するため聞き誤ることが多い』旨主張するが、差異音「ル」(ru)と「リ」(ri)は、50音図中の「ラ行」に属する同行音であって子音「r」を共通にするものではあるが、その音感、音質において重要な要素となる接続母音において、「ル」の母音「u」は重く淀んだ音感、音質を有するのに対し、「リ」の母音「i」は明るく軽い、音質を有するもので、しかも「ラ行音」は力の入る迫力音で、共に「ル」と「リ」の音にアクセントが掛かり、明瞭に称呼されるものである。また、「エ」と「ア」は、「エ」の音が、舌面位置を中心とする半開き母音(e)であるために、弱く柔らかく聞きとれるものであるのに対し、「ア」の音は、口を広く開いて発する母音(a)であって、強く明瞭に澄んだ音として聴取できるものである。よって、この4音中2音の差異が、両商標の全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合は、語調語感が明らかに相違なるものとして聴取され、両者が互いに称呼上紛れるおそれは全くないものである。更に、被請求人は「エ」と「ア」の差異で非類似と判断された審決例(乙第1号証ないし乙第4号証)を次に挙げて、これを自己の主張理由に有利に援用することとする。次に、審判請求人は『本件商標については、その欧文字を通常の英語読みで称呼した場合、「TIER」は「ティア」と発音するのが自然であるから、当該欧文字に働く通常の注意力からすれば、本件商標は「ソルティア」との自然称呼が発生するとも考えられる。』旨主張する。しかしながら、本件商標は上段の片仮名文字が下段の欧文字部分の読みを特定したものと考えられるので、本件商標からは「ソルティエ」の称呼のみが生じるものであり、「ソリティア」の称呼が生ずる引用A商標とは称呼上非類似の商標である。また、審判請求人は『引用A商標は「一つはめの、普通はダイヤモンドの一つの石」の意味を有する英語であり、その発音は英和辞典に記載されているように、「ソ」に第一アクセント、「ティ」に第二アクセントが存在する』旨主張する。確かに、審判請求人が提出する「研究社新英和大辞典」 によれば、引用A商標は「ソ」に第一アクセント、「ティ」に第二アクセントを有し、発音されるものではあるが、引用A商標は全ての英和辞典に記載されている単語ではなく、例えば、義務教育の過程で使用される、東京書籍発行「ニューホライズン英和辞典(ジュニア版)」(乙第5号証)には、その記載がない単語である。則ち、引用A商標は、必ずしも一般に親しまれた単語とは言えず、一般の需要者、消費者等が、正しく発音できるかどうかは疑わしきものである。むしろ「ラ行音」が一般的に力の入る迫力音であることから、「solution[s lu:n]、solidity[sld ti]」のように「ル」にアクセントがかかり発音されることがあることも否定できないものであると考えられる。
(3)本件商標と引用B商標との対比
次に、審判請求人は『本件商標は引用B商標とも称呼が互いに相紛れる虞のある類似の商標である』旨主張するが差異音「エ」と「ナ」は、「エ」の音が、舌面位置を中心とする半開き母音(e)であるのに対し、「ナ」の音は、舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音(n)と母音(a)との結合した音節(na)であって、両者は調音方法、音質を著しく異にするものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼した場合、語調語感が互いに相違し、十分聴別し得るものである。したがって、本件商標は引用B商標とも称呼上非類似の商標である。
(4)本件商標と引用各商標とを外観及び観念について対比するに、まず、外観について両商標は詳細に述べるまでもなく明らかに非類似の商標である。また、観念についても本件商標は何ら特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、引用A、B商標とは、比較すべくもないものである。
(5)以上述べたように、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても、何ら類似する商標ではなく、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではない。
本件商標は、前記のとおり、「ソルティエ」の片仮名文字と「SOLTIER」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、上段に書された「ソルティエ」の片仮名文字は、下段の「SOLTIER」の欧文字の読みを特定した振仮名と認められるものである。
そうとすれば、本件商標よりは、上段に付された「ソルティエ」の振仮名に従って「ソルティエ」の称呼のみを生ずるものというのが相当である。
一方、引用A商標は、前記のとおり「ソリティア」の片仮名文字と「SOLITAIRE」の欧文字を上下二段に表し、また、引用B商標は、「SOLTINA」の欧文字と「ソルティナ」の片仮名文字をそれぞれ上下二段に表してなるものであるから、前者よりは「ソリティア」、後者よりは「ソルティナ」の各称呼を生ずるものとみるのが相当である。
そこで、まず、本件商標より生ずる「ソルティエ」の称呼と、引用A商標より生ずる「ソリティア」の称呼を比較するに、両称呼は、共に4音構成からなるものであるところ、第2音の「ル」と「リ」、第4音の「エ」と「ア」と相違するものである。そして、これらの差異音がわずか4音という短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するも全体の語調語感が異なり、称呼上聞き誤るおそれはないものと認められる。
つぎに、本件商標より生ずる「ソルティエ」の称呼と、引用B商標より生ずる「ソルティナ」の称呼を比較するに、両者は共に4音構成からなり、第4音において「エ」と「ナ」の差異があるものである。そして、該差異音「エ」は、舌面位置を中心とする半開き母音(e)であり、「ナ」は舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音(n)と母音(a)とを結合して発する音であるから、その音質、音感が異なり、これが称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するも、全体の語調語感が異なり、称呼上十分区別することができるものである。
また、本件商標と引用各商標とは、前記の構成よりみて外観においても相紛れるおそれはなく、かつ、本件商標は、特定の観念を生じさせない造語を表したものと認められるので、引用各商標が、いかなる観念を生じさせるものであっても、観念上比較すべくもないものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観、観念のいずれの点よりみても、紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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