sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標の無効審判

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35739号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4145016号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲の(1)に示すとおりの構成よりなり、平成8年11月6日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,帽子,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同10年5月15日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第165号証(枝番含む。)を提出した。

1.「インディアン」は、1901年、ジョージ・エム・ヘンディーが、設計者のオスカー・ヘドストロムを迎えて、マサチューセッツ州スプリングフィールドに設立したオートバイのメーカーであり、その設立は、ハーレー・ダヴィッドソンの設立の1903年に2年先立つ。

「インディアン」は、マン島のレースや、デイトナビーチ(DAYTONA BEACH)でのレースで優勝したりして、その品質とデザインにより、米国はもとよりヨーロッパや日本でも極めて有名であった。

同社の商号は、当初は、「ヘンディー・マニュファクチュアリング・カンパニー」であったが、1923年に「インディアン・モトサイクル・カンパニー」に変更された。

インディアン・モトサイクル・カンパニーのオートバイには、特徴ある書体の筆記体の「Indian」(以下、「インディアンロゴ」という。)、別掲の(2)に示すとおりの羽根飾りを冠した右向きのインディアンの図形(以下、「インディアン図形」という。)、本件商標と同一態様(甲第1及び2号証)の「左向きのインディアンの図形」、及び活字体の「INDIAN」等が商標として使用された。「インディアンロゴ」及び「インディアン図形」並びに「左向きのインディアンの図形」や活字体の「INDIAN」等は、インディアン・モトサイクル・カンパニーの製造販売するオートバイの商標として米国はもとよりヨーロッパや日本でも周知であり、「INDIAN MOTOCYCLE」(「インディアンモトサイクル」)は、インディアン・モトサイクル・カンパニーの略称として、米国はもとより、ヨーロッパや日本においても周知であった。インディアンモトサイクル・カンパニーの「インディアン」のオートバイの車種は多数あるが、1908年より発売の「INDIAN RACER」、1920年より発売の「INDIAN SCOUT」、1935年より発売の「INDIAN CHIEF」等が代表的である(甲第3号証乃至甲第5号証)。

インディアン・モトサイクル・カンパニーは、1953年操業を停止し、後に解散した。しかしながら、「インディアン」のオートバイの愛好者は多数おり、同好者向の雑誌が発行されている程であり、「インディアン」は、米国を象徴するトロフィーブランドであった(甲第6及び20号証)。

2.1990年6月26日、フィリップ・ザンギは、かつてインディアン・モトサイクル・カンパニーが存在したマサチューセッツ州スプリングフィールドに、「インディアン・モトサイクル・カンパニー・インク」を設立し、前記のインディアン・モトサイクル・カンパニーを復活し、「インディアン」のオートバイの復活製造及び「インディアンロゴ」や「インディアン図形」等を使用した「インディアン」ブランドのアパレルやアクセサリー等のマーチャンダイジングビジネスを開始した。

被請求人による「インディアンモーターサイクル」の出願は平成3年(1991年)11月5日である(甲第9及び10号証)。

被請求人は、米国のインディアン・モトサイクル・カンパニー・インクと何らの関連も無く、単に、日本における「インディアン」のブランドビジネスの展開を予測して、片仮名の「インディアンモーターサイクル」を登録し、これを一切使用せず、「インディアンロゴ」等を無断で使用している。

3.請求人はライセンサーとして、サンライズ社はマスターライセンシーとして、「インディアン」ブランドの広告宣伝、輸入販売及びライセンスビジネスを展開した。

1993年7月24日、織研新聞(甲第18号証)及び日経流通新聞(甲第19号証)等で、請求人の設立、「インディアン」ブランドの輸入、ライセンスビジネスの展開の開始が報じられた。

また、請求人及びサンライズ社は、米国製の「インディアン」商品の輸入販売を行い、「インディアン」ブランドの市場への浸透をはかったが、1993年11月の時点で、既に、米国ではブームであり、日本でも、「インディアン」ブランドのマーチャンダイジングは、「ブーム着火は時間の問題」という程であった(甲第20及び21号証)。

「インディアン」ブランドは1994年(平成6年)前半には市場に充分浸透し、1994年(平成6年)初め、サンライズ社はマルヨシとバッグについてサブライセンス契約を締結し、マルヨシは、1994年5月展示会を開催し、販売を開始した(甲第25ないし30号証)。「インディアン」ブランド即ち、「インディアンロゴ」、「インディアン図形」、別掲の(2)のうち下段の欧文字を除いた標章(以下、「ヘッドドレスロゴ」という。)、「左向きのインディアンの図形」及び筆記体の「Indian Motocycle Co.,Inc.」(以下、「モトサイクルロゴ」という。)等は、衣類、帽子、バッグ等について、請求人が輸入販売し、又は、ライセンスに使用する商標として、1994年(平成6年)前半(本件登録商標の出願前)には、既に周知であった。

マルヨシのバッグ及びサンライズの輸入にかかるTシャツ、トレーナー等及びサンライズの製造に係るTシャツ等は、1994年更に雑誌等で広告され(甲第33及び34号証)、「インディアン」ブランドは、衣類、バッグ、身飾品の分野において更に周知となった。

4.本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

本件商標は、被請求人において、請求人が本件商標を含む「インディアン」商標の日本における正当な出所であること、かつ、請求人がライセンスビジネスに使用する商標であることを知り、請求人の「インディアン」商標に関するブランドマーチャンダイジングビジネスの成果に只乗りし、かつ、請求人による同ビジネスの展開を妨害せんとして出願登録されたものである。本件商標と類似する「左向きのインディアンの図形」からなる商標は、本件商標の出願当時既に請求人のウェア、バッグ、その他のライセンスに係る商品に使用する商標として周知であったものであり、被請求人において本件商標を使用することは、健全な業界の秩序を紊乱するものであるから、本件商標は、公序良俗に反するものである。

5.本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(1)本件商標と類似する「左向きのインディアンの図形」を含む商標は、本件商標の出願当時、請求人の登録に係る商標として、特に、バッグ類に使用する商標として、周知であった。

(2)バッグ類と本件商標の指定商品である衣類等とは密接に関連する商品であり、ブランドビジネスの展開において、同一ブランドの下に製造販売されるものである。

(3)そして、請求人が「インディアン」商標の日本における正当な出所であり、「インディアン」のブランドビジネスを展開する主体であることは、本件商標の出願当時、既に周知であった。

(4)よって、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用するときは、本件商標が請求人又はライセンシーその他請求人と何らかの経済的関係に立つ者により製造販売されるものであるとの誤認を需要者に生ぜしめるおそれのあるものである。

6.本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(1)本件商標は、「左向きのインディアンの図形」を含む商標(甲第25ないし30号証参照)と類似するものであり、かつ、請求人が日本における正当な出所である「インディアン」商標の1つである。

(2)よって、「左向きのインディアンの図形」を含む商標が請求人の業務に係る商標であり、かつ、請求人が「左向きのインディアンの図形」の商標の日本における正当な出所であることは、本件商標の出願当時、既に周知であった。

(3)被請求人は、請求人による日本における「インディアン」ビジネスの円満な展開を阻害し、これを妨害せんとし、かつ、請求人の 「インディアン」ビジネスの発展のための企業努力の成果に便乗せんとして、本件商標の出願、登録、使用をするものである。

7.結論

本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に該当するから、その登録は、商標法第46条第1項により、無効とすべきものである。

第3 被請求人の主張

被請求人は結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第39号証を提出した。

1.1901年に設立され、1953年に解散消滅した米国法人「INDIAN MOTO(R)CYCLE CO.,INC.」(以下、「インディアン社」と称する。)の歴史的経緯、並びに該インディアン社が存続時使用していた商標に付いては、大凡請求人主張の通りであり、被請求人にあっても特に異論の存するところではない。

しかしながら、請求人等が関係したのは当該インディアン社ではなく、フィリップ・ザンギ氏が設立した同名の米国法人であって、1901年設立の「インディアン社」とは法的には勿論のこと、経済的にも社会的にも一切の関係がない米国法人である。

2.請求人は、請求人所有商標等の著名性を頻りに主張するが、「如何なる商標が、何時、如何なる者の、如何なる商品に付いて」著名商標となっているのか、具体的且つ個別的に特定されておらず、請求人主張は認められない。

仮に、請求人主張がフィリップ・ザンギ氏或いは同人設立のインディアン社の商標として著名であるとの主張であるならば、同人/同社の周知著名に至る使用事実を明らかにすべきであるのに、周知著名に至った程の使用事実はもとより、事業活動そのものの存在すら立証していないものである。同人/同社は米国においてすら企業本来の事業活動を一切行っていないのが真実であり、かかる請求人主張は認められない。

また、請求人主張が「1901年に設立されたインディアン社のオートバイの商標として同社が過去において使用していた商標の全てが著名である」との主張と善解するならば、同社は1953年に消減した以降現在に至るまで、一切の営業活動を行っていないのであるから、本件商標の出願時、査定時にあって、同社の著名商標ということはできない。

このことは、請求人が被請求人所有の登録商標(インディアンモーターサイクル:旧第17類)に対して起こした無効審判事件(平成6年審判第13787号)において、インディアン社のハウスマーク的商標(羽飾り図十Indianロゴ十Indian Motoryicle Co.,Inc.)ですら、その著名性を否定されていることからも明白である(乙第9号証)。

請求人の登録商標(甲第121号証、甲第124号証等)が、1901年設立の「インディアン社」の社章的標章と同一であることは認めるが、これは請求人等自らの創作に係る標章ではなく、単に請求人等が消滅した「インディアン社」の社章的標章をデッドコピーしたものを、自らの商標として採択したにすぎず、標章態様が同一であるからといって、全く関係のない「インディアン社」の過去の実績や名声を根拠に、請求人等が他の者の商標選択や使用を排する何等かの権利や特権を有することにはならないのは当然である。

即ち、1953年に解散消滅したインディアン社、又はその関係会社や関係者が何等かの形で存在しており、同社のインディアン商標の著名性が、現在においてもなお維持されているという事実が存在しないことは世界的に周知の事実である。

3.本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。

(1)請求人は「請求人がインディアン商標の日本における正当な出所である」とか、「本件商標は、請求人のブランドビジネスの成果に只乗り、これを妨害せんとして出願登録したものである」とか主張しているが、請求人が「正当な出所」と主張するからには、少なくとも1953年に消滅した「インディアン社との関係」を立証すべきであるのに、関係を示す一片の証拠も提出していない。

(2)過去に存在した事実をイメージしての商品企画(レプリカ商品、復刻商品、等々)は、当業界(衣料品業界)に限らず、多くの業界で日常的に行われていることで、その際には当該事実によって存在する他人の法的権利や既得権益を侵害しないことが前提とされるのであるが、既に「インディアン社」はその関係者を含めて存在せず、インディアンバイクのイメージ及びそれに纏わるマーク等は、特定の者が法的根拠もなく独占し得る訳ではなく、その意味でこれらは社会的共有物となっているものというべきである。

(3)このことは、歴史上の人や物から商品企画上のヒントを得、或いはそれらを商標として採択することに何等違法性がないことと同義で、インディアン社のバイクイメージ及びそれに纏わるマークに関しても、米国はもとより多くの国で採択されており(乙第16号証乃至乙第20号証・乙第21号証)、その際、請求人のように「インディアン社」の過去の名声や実績を根拠にして自らの正当性や独占性を主張する採択者は一切存在しないのである。被請求人にあっても、特に「インディアン社」との関係を強調するものではなく、他の採択者と同等の立場で本件商標を採択したものである。

(4)本件商標の図柄と同一の図柄は、「インディアン社」存続時に一部使用していたマークであり(乙第32号証)、被請求人にあっては、既に1994年9月21日に同図柄を含む商標を出願しているのであって(乙第26号証)、該図柄を商標として採択したのは被請求人が最先である。

(5)「インディアン社」に縁の商標については、請求人や被請求人以外にも既に多くの者が自己の商標として採択しているもので、我が国被服類について例示すれば、インディアン社の代表的なバイク名である「INDIAN SCOUT」が登録され(乙第33号証)、また「Indian」の欧文字書体にあっても乙第13号証の1の登録商標で明らかなように、請求人が採択する前に我が国において商標として採択されている書体である。

(6)被請求人による本件商標の採択動機は、乙第24号証より明らかなように、1990年にヴィンテージバイクのコレクターとして著名な米国人(ジェリー氏)と被請求人会社常務(小林亨一氏)との出会いに始まり、彼の所属する米国で最大のヴィンテージバイク愛好家団体からの依頼により、ライダージャケットを製作したことに起因する。

(7)被請求人は、「一貫してアメリカンカジュアルを扱い続け、完成度の高いモノ作りで世界に知られるメーカーで、フライトジャケット、ハワイアンシャツ、デニム衣料と制覇し、最後に残った分野がモーターサイクルジャケットだった」のである(乙第24号証)。

このように、被請求人会社は当該分野の商品において世界的に信頼されているものである。

(8)請求人が商標使用の事実として提出した甲号証の多くは、「本件商標とは非類似の商標の使用事実」、「本件商標の出願日以後の事実」若しくは「本審判事件の審理とは無関係な事実」を示したものであり、その採用を認めることは出来ない。

敢えて関係する資料を抽出すれば、第25号証乃至甲第30号証であるが、甲第25号証は請求人等が一方的に発表した商品の発売予定記事で、具体的な商標の特定すら出来ない程、不鮮明且つ不確定なものである。甲第26号証及び甲第28号証はマルヨシの商品カタログ及びパンフレットとのことであるが、頒布年月日やその部数等が不明である。甲第27号証はマルヨシ作成の商品仕様書であるが、これはあくまでマルヨシの社内資料であって商標使用の事実とはならない。甲第29号証は展示会の日時や場所、来場者数等が不明である。甲第30号証は広告用に撮った写真にすぎず、実際の行われた広告の日時や方法等が明らかでない。

以上の資料(甲第25号証乃至甲第30号証)より窺い知れる事実は、「1994年後半より、マルヨシがバッグについて、本件商標に類似する商標を使用していたらしい」という程度であって、該商標がマルヨシまたは請求人の商標として周知著名になったといえる程の使用実績ではない。

また、前記資料からマルヨシが「1994年後半頃」より使用を開始したことを敢えて推測するとしても(実際の販売時期等が立証されていないので事実は不明)、被請求人による本件商標の採択は、先に記述したように1990年に起因し(乙第24号証)、「インディアンモーターサイクル」の採択出願は請求人等の如何なる事実行為よりも先行しているのものであり、その後の一連の商標採択経過(乙第26号証・乙第27号証)や、商品展開(乙第34号証乃至乙第39号証)等からして、被請求人が上記マルヨシのバッグに付された商標を模倣して本件商標を出願したなどと謂うことは到底ありえないことであり不可能なことである。

4.本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(1)請求人は、本件商標と別掲の(2)の登録第2710099号商標及び筆記体で「Indian」の文字を横書きしてなる登録第4022987号商標とは類似すると主張をするが、本件商標の如き図形商標にあっては、その類否判断において観念・称呼を検疑すべきでないことは過去の登録例(乙第12号証乃至乙第14号証)から明白であり、両商標は非類似である。

(2)また、請求人は「本件商標に係る指定商品」と「マルヨシが使用する商品(カバン)」とは類似商品であると主張するが、両商品は販売者の一部において共通する場合があるとしても、生産者、取扱い系統、材料、用途等の全てにおいて関連性を有さず、両商品は非類似且つ無関連である。

(3)請求人は、引用A及びB商標が本件商標出願時著名であったことを主張するが、提出された甲号証から判断しても使用の事実が認められる程度の使用実績にすぎず、非類似商標(本件商標)を使用した場合にまで、出所混同をきたすほど極めて著名な商標ということができない。

仮に、請求人主張が正しいとすれば、多くのインディアン関連商標(インディアン/INDIAN/インディアンの図形等を含む商標)の使用は、全て出所の誤認混同を生じさせるものであるとの結論となり、到底認められない。

(4)また、マルヨシがバッグに使用する「本件商標に類似する商標」の使用にあっては、先に記述したとおりであり、この程度の使用事実をもって著名商標と認められるとするならば、登録、未登録に拘わらず、全ての使用商標は著名商標ということとなり、到底認められない。

5.本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

(1)請求人は、本件商標とマルヨシ使用の商標とが類似し、且つ「請求人所有の商標として周知著名である」と主張するが、甲第25号証乃至甲第30号証に示されている程度の事柄をもって、当該マルヨシ使用商標が周知化又は著名化したとの主張は到底認められない。

(2)また、請求人は頻りに「当該インディアン図形商標の日本に於ける正当な出所である」と主張するが、如何なる根拠によってかかる主張を繰り返しているのか全く不明であり、その立証はおろか、インディアン社との関係に付いての言及すら避けている。

(3)被請求人による本件商標の採択起源は1990年に遡ること先に示したとおりであり、「インディアン社」のバイクイメージを転化させた商品の開発や、同社に纏わるマークを商標として採択した衣料品の企画は、被請求人が独自に且つ最先に行ってきたことであり、その証拠に商標「インディアンモーターサイクル」の出願日は請求人等の如何なる事実行為よりも先行しているものである。

(4)更に、本件商標の図柄は、請求人による創作図柄ではなく、マルヨシがバッグに使用した図柄を模倣したものでないことは、先に立証(乙第26号証・乙第32号証)したとおりである。

6.結論

叙上のとおり、請求人主張には理由も根拠もなく、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号の何れにも該当しない。

第4 当審の判断

本件商標は、別掲の(1)に示すとおり「髪に二枚の羽根飾りをつけた左向きのインディアンの頭部の図形」を描いてなるものである。

請求人は、「『インディアン』ブランドは1994年(平成6年)前半には市場に充分浸透し、1994年(平成6年)初め、サンライズ社はマルヨシとバッグについてサブライセンス契約を締結し、マルヨシは、1994年5月展示会を開催し、販売を開始した(甲第25乃至30号証)。即ち、『インディアン』ブランド即ち、『インディアンロゴ』、『インディアン図形』、『ヘッドドレスロゴ』、『左向きのインディアンの図形』及び『モトサイクルロゴ』等は、衣類、帽子、バッグ等について、請求人が輸入販売し、又は、ライセンスに使用する商標として、1994年(平成6年)前半(本件登録商標の出願前)には、既に周知であった。マルヨシのバッグ及びサンライズ社の輸入にかかるTシャツ、トレーナー等及びサンライズ社の製造に係るTシャツ等は、1994年更に雑誌等で広告され(甲第33及び34号証)、『インディアン』ブランドは、衣類、バッグ、身飾品の分野において更に周知となった」旨主張している。

しかして、本件商標と「髪に二枚の羽根飾りをつけた左向きのインディアンの頭部の図形」部分において極めて酷似した請求人の言うところの「左向きのインディアンの図形」は、サブライセンシーであるマルヨシによって商品「バッグ」に使用されている事実を甲第25号証乃至甲第30号証及び甲第33号証乃至甲第34号証により認め得るものである。

しかしながら、請求人提出の前記甲各号証によって「左向きのインディアンの図形」を商品「バッグ」に使用している事実を認め得るとしても、上記甲各号証には商品の取引状態を示す証拠が含まれておらず、該商品の取引数量・取引地域等が全く不明であり、これらの証拠をもってしては、マルヨシが商品「バッグ」に使用していた「左向きのインディアンの図形」が、本件商標の出願時において、取引者・需要者の間に広く認識されていたとまでは認め得ないところである。

また、本件商標は、前記したとおり「髪に二枚の羽根飾りをつけた左向きのインディアンの頭部の図形」よりなるところ、インディアンには多種の種族がおり、「インディアン」を描いた図形よりなるからといって、直ちにこれが全て「インディアン」の称呼・観念をもって取引に資されるとは限らないものというべきである。そして、本件商標は、「髪に二枚の羽根飾りをつけた左向きのインディアンの頭部の図形」よりなるものとして把握・認識されるというのが相当であって、単に「インディアン」の称呼・観念をもって取引に資されるものとは言い難いものである。

そうとすれば、前記「左向きのインディアンの図形」以外で、請求人が衣服、帽子等についてその使用を主張する「インディアンロゴ」、「インディアン図形」、「ヘッドドレスロゴ」及び「モトサイクルロゴ」と本件商標とは、外観及び称呼・観念において十分に区別し得る非類似の商標であるといわざるを得ず、また他に両者を関連づけてみるべき理由も見出せない。

してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、請求人又は請求人と関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるとは認められない。

さらに、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、若しくは差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとはいえず、さらに、他の法律によってその使用が禁止されている等、公序良俗を害するおそれのある商標に該当するものとは認められない。

また、商標権者が本件商標を採択し商標登録を得た行為に不正の目的があったものと認め得る証拠は、見出すことができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。