結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35779号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第4197524号商標(以下「本件商標」という。)は、「ガルパン」の文字と「GALPAN」の文字を2段に横書きしてなり、平成9年6月16日に登録出願され、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,耳帯,胸当てパッド」を指定商品として、平成10年10月9日に設定登録されたものである。
2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2269050号商標は、「カルバン」の文字と「CALVAN」の文字を2段に横書きしてなり、昭和61年3月31日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、平成2年9月21日に設定登録され、その後指定商品については商標登録の取消審判により、指定商品中「医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,三角きん,月経帯,指サック,氷のう,氷まくら,氷のう釣り,すいのみ,ほ乳用具,魔法ほ乳器,ピンセット,綿棒,乳首,手術用キャットガット,スポイト,デンタルフロス及びこれらに類似する商品」について登録を取り消す旨の審決がなされ、その審決確定の登録が平成10年3月11日になされているものである。
同じく登録第3327968号商標は、「カルバン」の文字を横書きしてなり、平成6年12月13日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、平成9年7月4日に設定登録されたものである。
同じく登録第3327969号商標は、「CALVAN」の文字を横書きしてなり、平成6年12月13日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、平成9年7月4日に設定登録されたである。(以下まとめて「引用各商標」という。)
3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品のうち、『薬剤』について登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第39号証を提出した。
(1)請求の理由
(イ)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標の称呼上の類否について比較すると、本件商標からは「ガルパン」の称呼を生じ、引用各商標からは、何れも「カルバン」の称呼を生じることは前記構成に徴し、明らかである。
本件商標から生じる称呼「ガルパン」及び引用各商標から生じる称呼「カルバン」は、共に4音構成からなり、しかもその構成は第1音目において「力(ka)」と「ガ(ga)」の清音と濁音との差異を有するものの母音(a)を共通にする近似音である。そして、第3音目においてもまた、「バ(ba)」と「パ(pa)」の濁音と半濁音との差異を有するものである。更に、第2音目の「ル(ru)」、第4音目の「ン(n)」の音を同じくするものである。
してみれば、両構成の差異は第1音目における清音と濁音及び第3音目における濁音と半濁音の差異を除くと「力(ka)」、「ル(ru)」、「ハ(ha)」、「ン(n)」の構成音を全て共通にするものである。
したがって、両商標をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の語韻語調が相似たものとして聴取され取引上、彼此聴き誤るおそれがある称呼上類似の商標である。
請求人の主張は、下記に示す本件事例に酷似する甲第10号証ないし同第19号証の審決例(省略)からも客観性を有する正当な主張であることが明らかである。
また、外観上の類否について比較すると、上段の片仮名文字については、同一構成文字の「カルハン」の語頭文字において濁音記号がつくか否か、また第3文字に半濁音記号がつくか、濁音記号がつくか、の差異にすぎない。そして、下段の欧文字について第1文字が「G」か「C」か、また第3文字が「P」か「V」かの差異にすぎず、視覚的には一見して類似であり、外観上も類似することは明らかである。
以上の通り、本件商標と引用各商標とは、称呼上若しくは外観上も類似し、極めて紛らわしいものであり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、結局、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(ロ)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標は、請求人が現在販売している高血圧治療剤〔カルバン錠:塩酸べバントロール製剤(以下「本商品『カルバン』」という。)〕として使用中である。本商品「カルバン」は請求人により平成7年3月31日に製造承認を得て、同年6月1日から販売を開始している(甲第8号証、同第9号証及び同第20号証参照)。
本商品「カルバン」は、医師の処方箋を必要とする医家向けの医薬品であるため、一般消費者への宣伝活動はできず、医療関係者のみに宣伝活動を行うよう規制されている(甲第21号証参照)。
しかしながら、本商品「カルバン」は新医薬品であるため厚生省告示第111号(平成6年3月29日付)に基づき投薬が認められ、本件商標出願時(平成9年6月16日)までには請求人の営業担当者を介して全国の病院、医院、診療所などに甲第8号証及び同第9号証に示すパンフレット等を配布し「カルバン」の商標を周知させるとともに、薬事日報社発行の「最近の新薬‘96/47集」に降圧剤として紹介されている(甲第20号証参照)。
更に、全国の病院、医院、診療所などの医師及び医療関係者において購読される医薬文献誌「基礎と臨床」には、本商品「カルバン」が掲載され、及び「日本臨床(Vol.55/No.8/1997)特集高血圧症」においても本商品「カルバン」が掲載され、その目次(第1項)には日本の各医科大学の先生が寄稿している事実からして国内の専門医、関連業界の間で購読されていることが伺えるのもであり、これらの点からみても「カルバン」の商標は著名であるといえる(甲第22号証及び同第23号証参照)。
また、他の医薬文献誌(甲第24号証ないし同第28号証)にも、本商品「カルバン」が紹介され、その有効性及び有用性が論文として報告されている。
以上のように、本商品「カルバン」は「高血圧症治療剤」の商標として平成7年6月1日から医科向けの新薬として全国一斉に宣伝広告され、周知著名となっていることは、数多くの医療業界向け刊行誌からみても明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1号第15号に違反してなされたものであり、同法第46条第1項第1号により、指定商品中「薬剤」について登録を無効とすべきものとする、との審決を求めるものである。
(2)答弁に対する弁駁
(イ)商標法第4条第1項第11号について
被請求人が答弁書において示した審決例、乙第1号証ないし同第12号証を検討したところ、その内、乙第1号証ないし同第5号証、乙第7号証ないし同第9号証、乙第11号証及び同第12号証の各審決例は、本件商標が使用される医療業界とは需要者、取引者等が異なる他の類での審決であるので、本件と事案を異にするものである。
また、本件と同じ類における審決例として、乙第6号証及び同第10号証を挙げているが、それぞれ審決の理由に記載されているように称呼上非類似であるとされており、それぞれ本件と事案を異にするものである。
(ロ)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、引用各商標の製品の周知性、顕著性について、乙第13号証及び同第14号証を用いて周知なものではない旨を主張している。
しかしながら、被請求人が示す乙第13号証の「血圧降下剤主要製品ランキング」は、そのタイトルの示す通りいずれも「主要」な製品のランキングである。例え、最下位であっても、ここに掲載されているということは、医療現場で使用する専門医師や薬剤師の間では周知なものの一つである。
参考までに、現在臨床に使用されている血圧降下剤は約250品目のブランド名がある(甲第39号証参照)。被請求人が示す乙第13号証は、約250品目のブランド名がある血圧降下剤の中でも「主要」なものの一つとして医療現場で周知、著名であると位置づけられていると言っても過言ではない。
また、被請求人が示す乙第14号証の「薬事ハンドブック2000」を見ると、いずれも医療業界における著名会社が販売する、医療現場での著名品目が掲載されていると言えるものである。
したがって、「カルバン」の商標が、乙第13号証及び同第14号証に掲載されること自体が周知、著名であることであり、本件商標の登録は同法第4条第1項第15号にも違反してなされたものである。
4.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第14号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標が本号に該当するとの請求人の主張は、称呼類似及び外観類似についてである。
まず、片仮名文字「ガルパン」と欧文字「GALPAN」を上下二段に併記してなる本件商標が片仮名文字「カルバン」と欧文字「CALVAN」を上下二段に併記し、また片仮名文字「カルバン」、及び欧文字「CALVAN」からなる引用各商標との間で、外観上、相紛れ見られる虞のないことは逐一論ずるまでもないことは明らかであり、請求人の主張は失当である。
次に、称呼類似について論ずるに、請求人は、両称呼における第1音目の「ガ」と「力」、第3音目の「パ」と「バ」の相違は、濁音と清音、半濁音と濁音の差異にすぎないから、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語韻語調が相似たものとして聴取され取引上、彼此聴き誤るおそれがある、と主張し、審決を例示している。
しかし、そもそも両称呼は、極めて簡明な4音という音構成にあって、2音が相違しているのであるから、基本的に非類似のものと云うべきである。
また、各音について検討しても、称呼識別上、最も印象を与える冒頭において、「ガル」の音は重厚な響きを、「カル」の音は軽快な響きを与えしめる点で、音質を異にしている。
本件商標と引用各商標は、上述した通り、4音の音構成中、第1音の濁音と清音、第3音の半濁音と濁音において相違するものであるから、この点、近似する審決は、唯一、甲第13号証のみである。
しかし、この審決についても、称呼識別上、最も印象を与えしめる語頭部における「パラ」と「バラ」の音は、日常よく耳にする音であってさほど特徴がないのに対し、本件商標における「ガル」の音は、日常あまり耳にしない特徴のある音であって、それにより、引用各商標の「カル」の音とは明瞭に聴別される点は、十分勘案されてしかるべきである。
よって、本件商標は、引用各商標との間で、称呼の点においても、また、外観の点においても、非類似のものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用各商標が「高血圧症治療剤」として周知著名であると主張し、甲第8号証、同第9号証及び同第20号証以下を提出している。
しかし、被請求人は、他人の製品の周知性について論ずることは本意ではないが、その周知性を認めるわけにはいかないので、以下の証拠を提出し、請求人の引用各商標が周知なものではないことを立証する。
まず、「国際医薬品情報」2000年2月14日号34頁(乙第13号証)において、「血圧降下剤主要製品売上げランキング」があるが、その最下位に請求人の製品がランキングされており、その市場占有率は0.3%にすぎない。
また、株式会社じほうの発行に係る「薬事ハンドブック」〈2000年版276頁〉(乙第14号証)によれば、「降圧剤」「Ca桔抗剤」の最下位に、請求人の製品が掲載されており、もし仮に引用各商標が周知著名な商標であるとすると、そこに掲載されている商標の殆どが周知、著名な商標であることになってしまう。
かかる事実からも明らかなとおり、引用各商標は、周知・著名なものではないから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものでもない。
以上述べた通り、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものではない。
5.当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標は、前記したとおりの構成よりなるところ、本件商標は片仮名文字と欧文字との2段併記、そして、引用各商標は片仮名文字と欧文字との2段併記のもの、片仮名文字のもの及び欧文字のみの構成よりなるものであり、それぞれの片仮名文字及び欧文字の各文字又はその綴り字は各々2文字の差異を有するものであるから、外観においては十分に区別し得るものと認められる。
次に、称呼については、本件商標は、その構成文字に相応して「ガルパン」の称呼を生ずる造語よりなるものと認められる。
他方、引用各商標は、それぞれの構成文字に相応して「カルバン」の称呼を生ずる造語よりなると認められるものである。
そこで、本件商標より生ずる「ガルパン」の称呼と引用各商標より生ずる「カルバン」の両称呼を比較すると、両称呼は共に4音よりなるところ、称呼の識別において重要な要素となる語頭において濁音「ガ」と清音「カ」の音の差異があり、さらに、第3音において明瞭に発音される半濁音「パ」と濁音「バ」の音の差異を有するものであるから、この差異が短い両称呼に与える影響は大きいものとなり、それぞれを一連に称呼した場合には、語感語調が異なるものとなって十分に聴別し得るものといわなければならない。
また、両商標は、前記したとおり共に造語と認められるものであるから、観念においては比較することができない。
してみると、本件商標と引用各商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人より提出された甲第8号証、同第9号証及び同第20号証ないし同第28号証によれば、引用各商標が「カルバン錠」の名前で請求人の業務に係る商品「高血圧症治療剤」を表示する商標として使用され、ある程度知られていることは認められるとしても、上記の証拠をもってしては、これが周知・著名な商標となったとは認め得ないものであり、加えて、本件商標は、上記(1)で認定したとおりであって、引用各商標とは、外観、観念についてはもとより、それぞれより生ずる称呼においても明確に区別し得る別異のものとして把握され認識されるといえるものであるから、本件商標をその指定商品中の「薬剤」に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
(3)むすび
したがって、本件商標は、その指定商品中の「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものとはいえないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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