結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35525号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第4201678号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年2月21日に登録出願され、別掲(1)に示したとおりの構成よりなり、第19類「土かわら,陶磁製かわら,石綿かわら,セメントモルタル製かわら,石がわら,ガラスかわら」を指定商品として、平成10年10月23日に設定登録されたものである。
2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、別掲(2)に示したとおりの構成よりなり、第48類「煙草類」を指定商品として、昭和27年1月14日に登録出願、昭和28年10月8日に設定登録された登録第432715号商標(以下「引用A商標」という。)、同じく別掲(3)に示したとおりの構成よりなり、第27類「フイルター付たばこ」を指定商品として、昭和42年12月26日に登録出願、昭和44年11月7日に設定登録された登録第837273号商標(以下「引用B商標」という。)、及び同じく別掲(4)に示したとおりの構成よりなり、第27類「フイルター付たばこ、フイルター」を指定商品として、昭和60年3月30日に登録出願、平成1年3月27日に設定登録された登録第2122839号商標(以下「引用C商標」という。)以下、これらを一括して「引用商標」という。
3.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)審判請求人の引用商標は、請求人の取扱い商品「たばこ」の主要銘柄である「ピース」のパッケージを展開した図、またはパッケージの正面図であり、鳩の図形と「Peace」の文字を組み合わせた商標である。
引用商標は、「平和」を意味する「Peace」の文字と、平和の使者と言われる鳩の図形を組み合わせたものであり、その特徴のある鳩の図形をもって、広く需要者・取引者層に認識されているものである。
請求人の商品「ピース」は戦後間もなく(1946年、昭和21年)発売を開始して以来現在に至るまで、50年を越えて愛好されているロングセラーであり、その商標の鳩の図形は、1951年(昭和26年)に米国の商業デザイナー:レイモンド・ローウイーによって製作されて以来48年の歴史を有するものである。
引用商標の「Peace」は、1946年には「両切りたばこ」として発売され、その後、フィルター付きたばこ、ロングサイズたばこ等々に商品を展開しているものであるが、いずれも1951年に使用を開始した鳩の図形をその商標の中心に置いているものである。
(2)本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、鳩の図形の下方に「防災瓦」の漢字を配しているが、本件商標の指定商品は、「土かわら,陶磁製かわら」等の「かわら」であり、「瓦」は、火災の延焼を防ぐ等、防災用の目的を持って作られているものであり、「防災瓦」の部分は本件商標の指定商品との関係で品質・用途等を表わす言葉である。したがって、本件商標の要部は上段の鳩の図形だけにあると考えらる。これに対して、引用各商標は、それぞれ「Peace」の文字と鳩の図形を組み合わせたものである。引用A商標は商品の包装を展開したものであり、引用B・C商標は、商品包装の正面図をそのまま商標として登録しているものである。よって、引用各商標の要部は「Peace」の文字と同時に独特なデザインの鳩の図形にもある。
そして、引用商標の鳩図形は、写実を排した極めて特異な図形を構成しており、その鳩は頭を下に向けており、それに伴って首をそらせるようにして水平にオリーブの枝をくちばしにくわえているものである。鳩本体の特徴としては、a)鳩の左右の翼が並行な線として表されている。b)胴体と羽根が並行するものとして表されている。c)羽根の先が外側に流れている。d)翼の下羽根がU字型を形成しており、翼の中に2本の線が見える。e)尾がばち状になっている。f)尾の中にV字型の線が配されている、等々の特徴を有するものである。
本件商標の鳩の図形は、引用商標の鳩の図形を元にして、鳩がくわえているオリーブの葉を削除し、鳩の向きを90度回転しただけの同一図形であり、引用商標の図形に依拠して作成されたと考えざるを得ず、仮にそうではないとしても図形全体として、同一または類似であることは明らかである。
引用商標の鳩図形と本件商標の鳩図形の相違点を挙げようとすれば、羽根の中に表されている2本の線の太さにおいて、本件商標の方が太く表されている点、鳩の首が細目に表されている点等を挙げることができる。
しかし、左右の羽根が並行に表されている点や、尾がばち状に形成されていて、その中にV字型の線が配してある点、羽根がU字型に形成されている点等々、引用商標の図形を見ることなしには本件商標を考案することはできなかったと言わざるを得ないものである。
(3)商標法第4条第1項第15号の規定の該当性
(a)請求人の業務及び営業活動
請求人、日本たばこ産業株式会社は、1899年(明治31年)大蔵省専売局として発足、その後1949年(昭和24年)に日本専売公社へ組織変更。1985年(昭和60年)に日本たばこ産業株式会社となったものであり、資本金1,000億円、年間売上2兆7,240億円(平成元年)を数えるものである(甲第3号証、会社案内他、参照)。
その業務は、たばこ塩専売事業のほか、民営化に伴う業務の拡張を目指し、現在までに、医薬、食品、種苗・園芸、不動産、物流、情報事業等々へその業務を拡張する一方で、各種の文化事業やイベント等の宣伝広告活動を積極的に展開しているものである(甲第3号証、会社案内他、27頁〜32頁)。
(b)引用商標の著名性
引用商標の鳩の図形は、昭和21年に発売されて以来、異議申立人の代表的な商品として高い人気を博しているものであり、商標登録としても、昭和27年に出願、昭和28年に登録された「鳩図形およびPeace」(引用A商標)、同じく昭和43年に登録された「鳩図形およびPeace」(引用B商標)、同じく平成1年に登録された「鳩図形およびPeace」(引用C商標)を初め多数の商標登録を所有しているものである。
引用商標「鳩図形」が請求人の業務に係る商標として、本件商標の出願日たる平成9年2月21日以前より、需要者・取引者間に広く認識され、周知・著名になっていたものであることは御庁においても顕著な事実であると確信する。
引用商標は、特許庁の特許電子図書館サービス中で日本国周知・著名商標検索において、いずれも、著名商標として紹介されているものである(甲第4号証)。
また、上記の引用商標は、それぞれ防護標章登録を受けているものである。引用B・C商標においては、それぞれその防護標章第16号として、第19類の全ての商品を指定商品とする登録を得ている。そして、本件商標の指定商品「土かわら」(07A02)「陶磁製かわら」(07A02)を初め、その全て商品が防護標章の指定商品として指定されている。
防護標章登録の審査において、引用B・C商標の商標の著名性については、十分に検討されており、引用商標を第三者が防護標章に係る指定商品に使用した場合には、出所の混同を生ずる蓋然性があると判断されている。
引用商標は、防護標章の登録を、本件商標の指定商品の全てについて得ているので、さらに、引用商標の周知・著名性を立証する必要はないものと請求人は考えるているが、念の為に、引用商標の著名性を示す資料として、平成7年4月から平成9年2月の間の引用商標に関する広告資料(甲第5号証)を提出する。
(c)出所混同のおそれ
上記の通り、請求人の業務は多岐にわたり、特に多彩な宣伝広告活動を展開しているところから、本件商標の登録権利者が、引用商標に類似した本件商標をその指定商品に使用した場合には、請求人の著名商標である「PEACEの図形」を直ちに連想すると共に、請求人の商標のイメージを当該商品の上にそのまま移行し、本件商標を見る者は、あたかも請求人の商標の一環として認識し彼此混同誤認を生ずること必定であり、あたかも、当該商品が請求人の業務と何らかの関連(請求人と人的または資本的なつながり、若しくはスポンサー的な関係、または、ライセンスを与えられた関係)のある商品であるかのごとく認識し、その商品の出所につき混同を生ずるおそれのあること明白である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。
(4)商標法第4条第1項第7号の該当性
本件商標の図形は、引用商標の図形を元にして、一部に改変を加えた模倣である。本件商標は、引用商標のデザインに依拠して作成されたものであり、著作権における同一性保持権の侵害にも相当するものである。このような模倣行為は、取引秩序をも乱す行為であるから、本件商標をその指定商品に選択・使用・登録することは、公の秩序、善良な風俗に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(5)弁駁の理由
(a)被請求人は、答弁の理由(1)において、請求人は、本件審判請求について請求の利益はないと主張しているが、本件商標は審判請求人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれのある商標であり、また、本件商標は請求人の引用商標を改変したものであるので公序良俗に反する商標であるから、本件商標の登録が無効となるか否かにつき、請求人には重大な利害関係があることは明らかである。
(b)被請求人は、答弁の理由(3)において、引用商標が防護標章登録を受けていることから「出所混同のおそれがあることを推認させる」と認めた上で、「無効理由と、登録要件は自ずから異なる」と述べている。
しかしながら、これにより、被請求人が何を主張しようとするのか、理解に苦しむものである。 防護標章登録は、商品役務区分上は類似しない商品についても出所混同のおそれがある時に、防護標章登録を認めて禁止権の範囲を明確にすることを目的としている。後願排除の効力としては、防護標章登録と同一の商標については商標法第4条第1項第12号により、同一ではない商標については商標法第4条第1項第15号により後願を排除しようとするものである。
本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反するという無効理由があると請求人は主張しているのである。その際に、出所混同が生じるか否かを判断するにあたり、防護標章登録が認められている事実は十分に考慮されるべきであることを主張しているものである。
(c)被請求人は、答弁の理由(4)において、本件商標と引用商標の類否について、鳩の向きと、オリーブの葉の有無だけについて言及し、それ以外の点を何も述べていない。引用商標は高度に抽象化の進んだ特異な図形であるので、鳩の向きと、オリーブの葉の有無だけで両者が全く別々に創作された非類似の図形であるということは到底できない。被請求人は、鳩図形の全体の実質的同一性について何も述べられない事情にあると推察され、本件商標が引用商標の図形を元にして作成したものであることを否定できないと暗に認めているものである。
(d)被請求人は、答弁の理由(5)において、「(請求人は)引用商標でもって多角経営をしている訳ではない」と述べ、本件商標を使用した場合の出所混同のおそれを否定すると思われる主張をしているが、企業が事業を多角化する場合、本業商品において所有する著名ブランドを新規事業において活用することはままあることであり、ましてミッキーマウス等のキャラクターがライセンスにより多種多様の商品に使用されている実態を考えれば、被請求人の主張が的はずれであることは明らかである。
(e)被請求人は、答弁の理由(7)において、何の詳細な説明もなく単に「コピーしたものでもない」と主張しているが、引用商標の図形と本件商標を対比してみれば、特異な図形の鳩であり、引用商標を元にして簡単な改変を加えて作成したことは誰の目にも明らかである。本件商標は他人の著作物の改変に当たるものと言うことができる。
以上の通り、本件商標は、請求人の引用商標を見ることないしに創作し得たものではなく、本件商標は引用商標と類似するものである。したがって、防護標章登録を受けている引用商標と類似する本件商標を、その指定商品に使用したときには、これに接する需要者・取引者は、請求人の業務にかかる商品と出所混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
また、本件商標は、引用商標を改変したものであるから公序良俗に反する商標である。
4.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)本件商標の指定商品は、引用商標と全く非類似であり、かつ本件商標と引用商標の防護標章とは後述するとおり同一性を有しない。ましてや請求人と被請求人との間には、一切の利害関係がない。してみると、請求人には、本件審判請求の利益がない。
(2)甲各号証とくに甲第3号証の成立を認める。但し、請求人が商品「かわら」およびこれに関連する事業まで行っている事実は否認する(立証されていない)。
引用商標における「鳩の図形」が商品「たばこ」においてのみ周知著名であることは、これを認める。
(3)甲第2号証において、引用B商標および引用C商標の防護標章登録第16号が第19類の商品「かわら」の類を指定商品としている事実も認める。
このように、請求人の引用B・C商標に防護標章が登録されている事実は、形式論的にみると、被請求人の本件商標の指定商品と該引用商標のそれとの間に「出所混同のおそれ」があることを推認させるものではある。
しかし、それが直ちに、本件商標の無効理由にはなり得ない。司法的判断を要する無効理由と、行政的判断に基づく登録要件とは、自ずから異なるからである。
このことは、防護標章制度が、第三者の登録商標と同一でも重複登録を認めるものである点からも明らかである。
商標法と同じ識別法である不正競争防止法によれば、他人の著名商標と同一または類似のものを使用する行為は、不正競争行為とされている(同法第2条第1項第2号)。かかる不正競争防止法のとくに比較広告の観点から考察するに、仮に請求人が更に業務を拡張して「かわら」も「鳩の図形」を商標として販売したとする。その際に、広範な宣伝広告によるブランドイメージの確保により、請求人の「かわら」が被請求人のそれと同品質であるにもかかわらず、高価に販売できたとせんか。そのとき、本件商標を使用する被請求人との競争上、請求人の該当「かわら」の売上が減少し、販売価格も低く設定せざるを得なくなるとする。その場合の請求人の不利益まで、法的保護をするに値するのであろうか。過去のディオール事件などの判例からも明らかなとおり、需要者の利益を考えれば、かえって価格の低下は好ましいことであり、当然に否の筈である。高い宣伝広告費を掛けたことによる私法人のブランド・イメージを保護することは、商標法および不正競争防止法の目的とするところではないからでもある。
もとより、先の結論は被請求人の本件商標が請求人の防護標章と同一ではなく、かつ請求人の営業上の秘密等を不正に取得していない、現実の取引の実情を前提としてのことである。
(4)商標相互の類否について
本件商標と引用商標とは、鳩の頭が横向きか下向きかで相違し、くちばしにオリーブの葉をくわえているか否かでも大きく相違し、その他の相違点も請求人の自認するとおりである。従って、両商標は一見して同一ではないし、類似してもいない。
(5)請求人の法人名称「日本たばこ産業株式会社」及び「JT」が周知著名であることは認める。しかし、引用商標は、著しく特定の専売商品「たばこ」においてのみ周知著名であるに過ぎず、この限りにおいて請求人が多角経営化を目指していようとも、引用商標で以て多角経営をしている訳ではない。
(6)以上のとおりであるから、先の商標法(不正競争防止法)の指導原理と、引用商標の使用商品が「たばこ」であって、両商品が相互に著しく非類似であることを総合的に考察すると、引用商標が防護標章を受けていようとも、取引の実情を考慮して第三者との関係が問われるべき無効審判請求事件においては、本件商標は引用商標との関係で「出所混同のおそれ」を生じる筈のないものである。
(7)本件商標は、前記したとおり引用商標と相違していて、これをコピーしたものでもないから、請求人の主張する公序良俗違反も論外である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第7号に該当しないものである。
5.当審の判断
(1)先ず、本件審判請求に関し、当事者間に利害関係について争いがあるので、この点についてみるに、請求人は、自己の使用する著名な登録商標の存在を理由として本件審判請求をなすものと認められるところ、仮に、この理由によって本件商標の登録が無効とすべきものであるならば、請求人は、その登録の存在により直接不利益を被る関係にある者であるというのが相当である。
してみれば、請求人は、本件無効審判を請求するについて利害関係を有するものといわなければならない。
(2)そこで、本案に入って審理するに、本件商標は、別掲(1)に示したとおり鳩の図形を上部左側に描き、その下部に「防災瓦」の文字を配してなるところ、その下部に書された「防災瓦」の文字は、前記したとおり「各種のかわら」を指定商品とする本件商標の指定商品との関係においては、該商品の品質・用途等を表示してなる語と認められるものであるから、本件商標における自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、その構成中の上部に描かれた鳩の図形といえるものである。
しかして、本件商標の該鳩の図形は、左向きの鳩で左右の羽根が並行に表されていて、尾がばち状に描かれ、その中にV字型の線を配してなるものと認められ、全体の構成態様は、頭部及び胴を中心にして上下のバランスのとれた創作的な鳩の図形を描いてなるといえるものである。
これに対して、請求人の業務に係る商品「たばこ」について長年に亘って使用する引用商標は、その構成中の鳩の図形は、下向きの鳩がオリーブの葉をくちばしにくわえ、左右の羽根が並行に表されていて、尾がばち状に描かれ、その中にV字型の線を配してなるもので、全体の構成態様は、頭部及び胴を中心にして左右のバランスのとれた創作的な鳩の図形を描いてなるといえるものである。
(3)ところで、商標法の目的は、「商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」(同法第1条)にあることからして、同法による商標の保護が、産業の健全な発達及び需要者の利益を損なうようなものであってはならず、同法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗」も、このような観点から解すべきであって、そうであれば、商標の構成自体がきょう激、卑わい、差別的な印象を与える文字等からなるものである場合のみならず、商標の構成自体はそのようなものでなくても、その時代の一般的社会通念に照らしてみた場合に、その商標を特定の商品又は役務に使用することが社会の一般的倫理的観念に反するような場合やそれが商取引の秩序を乱すことにより社会公共の利益を害するような場合においても、当該商標は同号に該当するものとして、登録を受けられないものと解さなければならない。
そして、該条項の適用の判断にあたっては、その文字又は図形に係る歴史的背景、社会的影響等、多面的視野を考慮するものとされている。
(4)そこで、本件商標をみるに、該鳩の図形は前記したとおりであるところ、引用商標の該鳩の図形とは、オリーブの葉をくわえている点、鳩の向きが左向きか下向きかの点を除けば、その要部ともいえる上下(左右)の羽根が並行に表されている点、尾がばち状に描かれ、その中にV字型の線を配してなる点等、全体の構成態様は、頭部及び胴を中心にして上下(左右)のバランスのとれた特徴のある創作的な鳩の図形を描いてなる点で酷似しているものである。
しかして、請求人の甲各号証によれば、引用商標の構成中の鳩の図形は、当時の日本専売公社(請求人の前身)が米国の商業デザイナー(レイモンド・ローウィー)にピース(たばこ)のパッケージ・デザインとして高額で依頼したものであることが認められ、我が国において請求人の業務に係る商品「たばこ」(「Peace」「ピース」)の商標として長年に亘り販売・使用されてきた結果、我が国においては愛煙家はもとより、一般の国民にも平和(Peace)を象徴する鳩の図形として広く親しまれ認識されるに至ったことが認められる。
してみれば、本件商標は、この請求人の使用に係る引用商標の該鳩の図形と構成の軌を一にする図形を含んでいるものであって、その指定商品が請求人の業務に係る商品「たばこ」とは直接関連を有しないことを考慮しても、本件商標中の鳩の図形を被請求人が採択使用するについては、偶然の一致によるものとは認め難く、むしろ、請求人の使用に係る引用商標の該鳩の図形の存在を知った上で採択し、登録出願したものというのが相当であるといわなければならない。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用することは一般的社会通念に照らしてみた場合、社会的妥当性を欠くものであって、公正であるべき商取引の秩序を乱すおそれが少なからずあるといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、請求人の他の主張について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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