結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35340号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第3218756号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の(1)に示すとおりの構成からなり、平成4年7月31日に登録出願され、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物・動物の供覧,演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,運動施設の提供,娯楽施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、平成8年11月29日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第8号、同第10号,同第15号,同第16号及び同法第8条第2項にそれぞれ該当するので、同法第46条第1項第1号又は同第5号の規定により、その登録を無効にすべきである。
(1)請求の利益について
請求人は、役務「スポーツの教授」等について商標「CENTRAL/セントラル」等の商標出願をしたところ、本件商標を引用して拒絶査定の謄本が送達され(甲第2号証ー1ないし4)、平成11年6月21日付けで拒絶査定不服審判を請求した(甲第3号証ー1及び2)、したがって、本件審判請求をすることについて、法律上の利害関係を有する。
(2)商標法第3条第1項柱書
本件商標の商標権者は、大阪市に本店を有する大企業であり、各種の事業を行っていると想像される。しかし、その定款によれば、役務「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物・動物の供覧,演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,録画済み磁気テープの貸与」については、その業務を行っている事実を確認する事は出来ず、又、将来上記役務に係る業務を行う可能性も推察されない(甲第4号証)。
よって、本件商標を係る役務に使用している等の商標権者の証明がなされない場合、本件商標は商標法第3条第1項柱書に違反し登録を受けられない。
(3)商標法第4条第1項第8号
請求人の名称は「セントラルスポーツ株式会社」である。請求人は、スポーツクラブ経営の先駆け的存在として、1969年に東京オリンピック出場の体操・水泳選手が中心となって設立された会社であり、設立以降現在に至るまで常にこの業界を代表する企業の一つとして業界の先頭に立ってきた(甲第5号証−1ないし甲第6号証−2)。この事実は例えば、本件商標出願時(1992年)既に100を越えるスポーツクラブを運営し約30万人の会員を有している業界のトップの企業であったことからも伺い知ることが出来る(甲第7号証−2及び3)。
請求人は、上記の如く正式名称は「セントラルスポーツ株式会社」であるが、この業界では一般に「セントラル」と略称されている(甲第7号証−2及び3、甲第8号証−1ないし8等)。即ち、これらの証拠からも明らかなように、「セントラル」の語は、少なくとも第41類の役務「スポーツの教授、運動施設の提供」を行なう業界では「セントラルスポーツ株式会社」の略称として広く認知され、かつ、実際に広く使用されている。
以上より、本件商標は、請求人の著名な略称を含む商標であって、請求人の承諾も得ていない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号
(イ)本件商標は、請求人が役務「スポーツの教授、運動施設の提供」について使用する商標「セントラル」「CENTRAL」「セントラルスポーツ」「CENTRAL SPORTS」(甲第5号証ー1,甲第6号証ー2、甲第10号証ー1ないし20、甲第11号証ー1ないし17、以下、「請求人使用商標」という。)と称呼・観念において類似し、かつ、本件商標の指定役務と請求人使用商標に係る役務とは共通である。さらに、請求人使用商標は、本件商標の出願時・査定時いずれの時においても、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者に広く認識されている。
(ロ)本件商標は前記したとおりの構成よりなり、「シーエスジー」又は「セントラル」の称呼を生じ、「中央の」程度の観念を有する語と認められる。
一方、請求人使用商標は前記したとおりであるから、これよりは「セントラル」又は「セントラルスポーツ」の称呼を生じ、「中央の」・「中央のスポーツ」又は「請求人の略称」程度の観念を有する語と認められる。
よって、両者は「セントラル」の称呼、「中央の」の観念において類似する商標である。
(ハ)請求人は、役務「スポーツの教授,運動施設の提供」について請求人使用商標を約30年に亘って使用し続けている(甲第5号証ー1,甲第6号証ー1,他チラシ等参照)。
更に、請求人は、スポーツクラブの運営等の業界における大手企業であり、本件商標の出願時には既に30万人の会員数を超えていた。(甲第7号証ー2及び3)
したがって、請求人が業界で広く知られていることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号
(イ)本件商標は、「セントラル」の文字をその構成中に有するものであり、請求人の使用又は所有する著名な商標と同一又は類似することは明らかである。
(ロ)請求人の商標の著名性
請求人は、自らの役務「スポーツの教授、運動施設の提供」の営業の表示として「CENTRAL SPORTS」「セントラルスポーツ」「CENTRAL」の標章を使用しており、これらの標章は、スポーツクラブを営む業界においては広く知られている。かかる事実は、本件商標の権利者の出願にかかる商標であって本件商標と連合関係にあった公告商標に対し、請求人が登録異議を申し立てた事件において、請求人使用商標の著名性が認められ、公告商標が拒絶された経緯があることからも推察できる(甲第13号証−1及び2)。
(ハ)請求人の業務と本件商標の指定役務との関係
請求人の行う業務は、前述の通りスポーツクラブの経営・運営等であり、本件商標の指定役務との関係では「スポーツの教授、運動施設の提供」等の役務について、「CENTRALSPORTS」「セントラルスポーツ」「CENTRAL」「セントラル」等の商標を使用しているものである。
したがって、請求人の行う業務と本件商標の指定役務とは相互に関係があると言えるものであるから、本件商標をその指定役務について使用するときは、請求人の使用する商標と出所の混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第16号
請求人の営業に係るスポーツクラブ「セントラルスポーツ」及びその略称の「セントラル」は、前述の如く「スポーツの教授、運動施設の提供」について、周知・著名な商標と認められる。したがって、「セントラル」の文字からなる本件商標をその指定役務について使用すれば、いかにも「セントラルスポーツ」が提供する役務であるかの如く、その役務の質を誤認するおそれがある。
特に、1998年以後、請求人は、スポーツクラブの業界で唯一の「JOCオフィシャルスポンサー」であって(甲第11号証−1ないし17)、「セントラルスポーツ」及びその略称の「セントラル」が使用されると、いかにも「セントラルスポーツ」が提供する役務であるかの如く、その役務の質について誤認されるおそれは、更に増大したと考えられる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(7)商標法第8条第2項
平成4年9月30日に登録出願され、別掲の(2)に示すとおりの構成よりなり、第41類「企業の社員の健康に関する知識の教授,ダイビングの教授,水泳の教授,スキーの教授,ゴルフの教授,学習塾における教授,幼児体操の教授,プールの提供,健康増進のためのトレーニング施設の提供,テニスコートの提供,ゴルフ練習場の提供,スカッシュコートの提供」を指定役務として、同8年10月31日に設定登録されている登録第3207879号商標(以下、「引用商標」という。)と本件商標とは、「セントラル」の称呼、「中央の」の観念において類似する商標であり、かつ、両者の指定役務も抵触するものである。
そして、本件商標が平成4年特例期間中の通常出願であるのに対して、引用商標は特例出願であるから、本件商標は商標法の一部を改正する法律附則第5条第3項で読み替えられた商標法第8条第2項に該当する。
(8)被請求人の答弁に対する弁駁
(イ)商標法第3条第1項柱書の該当性
被請求人は、「本件商標に係る指定役務についての業務はありえない。」旨の請求人の主張に対して、設定登録後相当期間が経過しているにもかかわらず、自らの業務について積極的に立証する事ができないため、今回の意味不明な答弁となったものと推察される。
次に、被請求人が乙第2号証−1及び2を提出することで立証しようとしている被請求人の業務は、役務「技芸・スポーツ又は知識の教授,演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,運動施設の提供」に対応する業務であると考えられる。
しかし、被請求人の立証によれば、独立した役務を行っていること及び「学校」「演劇興行請負業」又はこれに類する業務を行っていることは一切立証されていない。
以上述べたように、被請求人は、自己の業務について全く立証をしないか又は適切でない資料を提出しているのみである。しかも、審判請求書で述べたとおり、請求人の調査によれば、かかる業務を行っている蓋然性は全く認められない。
(ロ)商標法第4条第1項第8号の該当性
被請求人は、「セントラル」の文字を含む登録商標が多数存在していることを立証しているが、このことが、請求人の名称の略称として「セントラル」が著名でないことを示す資料にはなり得ないことは明らかである。
即ち、請求人は、自らの名称の略称を役務「スポーツの教授」等に使用している事実を立証していると共に、その名称の略称が記載されているチラシを全国90箇所以上で年間総計約4,000万枚も配布している。
実際に、全国でスポーツクラブを利用する年代やスイミングスクールに子供を通わせる年代を対象にアンケートを取れば、「セントラル」は「セントラルスポーツ株式会社」の略称として広く知られているのである。これは、前述のチラシの数や全国におけるスポーツ施設の数、業界における地位等を考慮すれば当然のことと考えられるため、あえて証明書やアンケート等を行っていない。
以上より、本件商標は、請求人の著名な略称を含む商標であって、請求人の承諾も得ていないものである。
(ハ)商標法第4条第1項第15号の該当性
被請求人は、「セントラル」は請求人の使用にかかる商標として著名でない旨主張し、その根拠として「セントラル」の文字を含む登録商標が多数存在していることを立証している。
ここでは、前述の「同第8号の該当性」との重複記載を避けるため、請求人以外の者が「スポーツに関連する役務」に商標「セントラル」を使用した場合に、出所の混同を生じる可能性があるか否かについて述べる。
まず、被請求人は著名商標にもその程度等に種類があることを理解していないか又は、意識的に無視しようとしていると考えられる。請求人も自らの使用にかかる商標「セントラル」「セントラルスポーツ」が、この世に存在する全ての商品・役務について出所の混同を生じる程極めて著名な商標であると主張したことはない。請求人は、「スポーツに関連する役務」については、請求人の使用商標「セントラル」「セントラルスポーツ」は周知著名であり、これらの役務と非類似とされる役務であっても、役務の需要者や役務の提供場所などで関連性のある役務に限って出所の混同を生じるおそれがあると主張しているのである。
例えば、本件商標の指定役務との関係では、役務「娯楽施設の提供」が役務「スポーツ施設の提供」と役務の提供を受ける需要者を共通にし、役務の提供場所も近似している役務と考えられるため、商標「セントラル」を該役務に使用した場合については役務の提供者の出所について混同を生じると考えられる。
(ニ)商標法第4条第1項第16号の該当性
本号について、被請求人はほとんど反論しておらず、ただ該当しないとのみ述べているにすぎない。
しかしながら、「セントラル」の語は、ある世代の需要者にとっては、請求人の略称として広く知られていること前記のとおりであるから、例えば、役務「スポーツの教授,スポーツ施設の提供,スポーツ関係の録画済み磁気テープの貸与」について商標「セントラル」を使用した場合、その役務の質について誤認を生ずるおそれがあることは否定できない。
3.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると要旨次のように答弁し、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項柱書
請求人が、無効審判請求理由として挙げている商標法第3条第1項柱書について、請求人は、被請求人の謄本記載事項をもってのみ、本件商標を、自己の業務に係わる商品又は役務に使用することはないと主張しているが、現行商標法は、登録主義を採用し、商標権の自由譲渡、使用許諾を認め、財産権として、私的自治に委ねている。
なお、本件商標の指定役務については、添付の乙第2号証のとおり、当該役務を実施している。
(2)商標法第4条第1項第8号及び同第10号
商標法第4条第1項第8号の適用においては、氏名、名称は、いわゆるフルネームでなければならない。略称は、著名でなければならない。
また、商標法第4条第1項第10号の周知商標成立のためには、商標が特定され、使用する役務との関係で、周知商標であることを現実に、役務に使用されている商標の態様・外観を特定しそれが周知商標であることを証拠によって立証しなければならない。
しかるに、請求人の提出した証拠物は、全て、「セントラルスポーツ」に係る証拠であり、「セントラル」の周知著名性を立証するものは何も無い。単純に、「セントラルスポーツ」を「セントラル」と自己表示している事実をもって、著名な略称として、本件無効審判を請求した根拠を推察することが出来ない。
因みに、「セントラル」という名称が付く登録商標は、添付の乙第1号証のとおり、555件存在する。
この商標権者の中には、請求人の会社より歴史も古く、社業、業態も大きく、国内外に周知著名な企業も数多く存在している。
しかし、これらの企業のうち、略称としての「セントラル」のみが、周知著名であるとの事実を、見聞することは出来ない。
請求人は、「セントラルスポーツ」の略称としての「セントラル」が、セントラルを結合した登録商標555件と対比して、著名な略称であることを、具体的に証拠をもって立証すべきであり、客観的認定資料として少なくとも官庁や業者団体の証明書をもって立証すべきである。
請求人は、特定地域に限定した、集客資料としての「セントラルスポーツ」のチラシ、広告、資料をもって、「セントラル」の周知著名性を立証しようとしているが、これらの証拠物は、証拠資料としての価値を欠くものと言わざるを得ない。
(3)商標法第4条第1項第15号
著名商標とは、周知商標の中でも、特に高い名声を有するため、それが表示する役務(商品)と競業関係の無い非類似の役務(商品)に使用されても、出所の混同を生じるようなおそれのあるものを言い、また、全国的に知れ渡っている商標を言うのであって、請求人の請求に係わる「セントラル」は、上述の観点から、明らかに商標法第4条第1項第15号に該当しない商標である。
なお、甲第14号証ー1ないし6の審決証拠書類は、「フジカラー」、「伊勢丹」、「ロレアル」、「ギネス」、「キャノン」、「ソニー」が、略称としての著名性を審決により確認されたものであり、請求人の主張に係わる「セントラル」が、上記著名商標の略称と同列であるとの主張は、請求人の証拠物から、到底、同一視することは出来ない。
周知著名性は、不特定多数の一般需要者、同業者等において、当該商標が、その使用に係わる役務において、現実に良く知られており、第三者の使用により、役務の出所、役務の提供の場所、役務の質について誤認混同を生じる具体的な事実の可能性の大なることである。
しかるに、請求人が、本件審判請求において提出した膨大な証拠物中には、請求人の主張に係わる「セントラル」の周知著名性を立証する具体的かつ客観的な表示、記載は見受けられない。
周知著名性の認定、評価は、独断的な自己主張ではなく、当該役務に係わる、客観的な社会の評価でなければならない。
請求人の主張する「セントラル」の周知著名性についての立証資料を、請求人の提出した証拠物から検証すると、表示・記載があるのは、「セントラルスポーツ」、「セントラルフィットネスクラブ」、「セントラルスイムクラブ」、「セントラルウエルネスクラブ」等に、特定の地域名が付記された名称のみである。
このことから、請求人の主張する「セントラル」は、一般に広く認識されているとは言えない。
請求人の役務の提供の場所を中心に、歩いて通える範囲(甲第8号証)の、ごく限られた地域の人達に「セントラルスポーツ」として、認識されているに過ぎない。
新聞記事として、甲第9号証ー1ないし11に至る11件の証拠物において、請求人の主張する「セントラル」の記載は全くなく、記載があるのは「セントラルスポーツ」のみである。
(4)商標法第4条第1項第16号
請求人の主張する商標法第4条第1項第16号該当については、請求人の主張に係わる「セントラル」は、これに該当するものではないので、重ねて反論することは割愛する。
4.当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書について
本件商標は、別掲に示すとおり、やや図案化した「CSG」の欧文字と「セントラル」の片仮名文字とを二段に併記してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物・動物の供覧,演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,運動施設の提供,娯楽施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務とするところ、本件商標が自己の業務に係る役務について使用するものでなかったか否かをみると、願書には前記指定役務とともに、「社会通信教育,植物園,演劇興業請負業,ゴルフ・テニス練習場,ヘルスセンター,録画済み磁気テープ賃貸業」が出願人の業務として記載されているものである。
しかして、本件商標の登録査定時において、出願人が上記指定役務に関する業務を行っていなかったとする客観的な事情を認め得ないばかりでなく、出願人が本件商標をその業務に係る指定役務について使用をするものでなかったとも認め得ないところである。
請求人は、被請求人の定款(甲第4号証)によっては、前記業務を行っている事実は確認できず、将来それを行う可能性も推察されないと主張するが、商標法上要求される業務が定款に明示されたところに限定されるとしなければならない理由はない。そればかりか、法人の定款は変更も可能である。また、乙第2号証(枝番号を含む。)によれば、現に上記役務に係る業務を行っていることが窺えるところである。そして、他に上記査定時における認定を覆すに足りる具体的な証拠の提出もない。
そうすると、本件商標は、自己の業務に係る役務について使用をするものでなかったとはいえないものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
請求人の名称は「セントラルスポーツ株式会社」であるところ、請求人より提出された甲第5号証ないし同第11号証(枝番を含む。)によれば、これが「セントラル」と略称されている例があることは認められるが、上記の証拠をもっては、本件商標の登録出願時に、請求人の名称が「セントラル」と略称されその略称が著名なものとなるに至っていたとは認められない。
したがって、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標に該当するものとは認められない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
前記甲第5号証ないし同第11号証によれば、請求人「セントラルスポーツ株式会社」が昭和45年に設立され、その主たる事業内容である「スポーツクラブの運営・指導」において、この種業界(いわゆるフィットネス産業)を代表する企業となり「セントラルスポーツ」及び「CENTRAL SPORTS」の文字よりなる商標(以下、「請求人商標」という。)を使用して、本件商標の登録出願前には、その需要者間に相当程度認識されていた事実を認め得るものである。
しかしながら、請求人使用商標の周知・著名性を立証するものとして請求人が提出した前記甲第5号証ないし同第11号証によっては、「セントラル」及び「CENTRAL」の文字が請求人の商標として周知・著名である事実を認めるに不十分であるというべきである。
そこで、本件商標と請求人商標とを比較するに、本件商標は前記のとおり「CSG」と「セントラル」の文字を二段に併記した構成よりなるものであるから、これより「シーエスジーセントラル」「シーエスジー」及び「セントラル」の各称呼を生ずるものと認められる。
他方、請求人商標は前記したとおりの構成よりなるものであるから、これよりは「セントラルスポーツ」の一連の称呼を生ずるものと判断するのが相当である。
請求人は、請求人商標から「セントラル」の称呼をも生じ、本件商標とは「セントラル」(中央の)の称呼・観念を共通にする旨主張するが、請求人商標の構成中の「SPORTS(スポーツ)」の文字が「運動」を意味する語ではあるとしても、かかる構成においては役務の質を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものとも言い難いところである。しかして、「セントラル」と「スポーツ」及び「CENTRAL」と「SPORTS」とが軽重の差なく結合された「セントラルスポーツ」及び「CENTRAL SPORTS」の文字より、「セントラル」あるいは「CENTRAL」の文字部分を限定抽出し、これより生ずる称呼・観念をもって取引に資するとすべき特段の理由があるとは認められない。そして、請求人商標は特定の観念を生じない一連の造語と判断するのが相当である。
そうとすれば、請求人商標より生ずるものと認められる称呼は「セントラルスポーツ」のみであるとみるのが相当であり、これと、本件商標より生ずる称呼中の「セントラル」の称呼とは、後半部における「スポーツ」の音の有無の明確な差異を有するものであるから、両者は称呼上判然と区別し得るものである。
また、請求人商標は前記したとおり特定の観念を生じない一連の造語と判断するのが相当であるから、両者は観念上比較し得ないものであり、それぞれの構成よりみて外観上十分に区別し得るものである。
してみれば、本件商標と請求人商標は、その外観、称呼及び観念において十分に区別し得る非類似の商標と判断されるものであり、他に両者を関連づけて認識するとすべき事由も認められないから、商標権者が本件商標をその指定役務について使用した場合、その役務が請求人若しくは請求人と関係のある者の業務に係る役務であるかの如くその出所について混同を生じさせるおそれのないものというべきである。
(4)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、その構成前記のとおりであって特定の役務の質を表すものとはいえないから、これがその指定役務について使用された場合、その需要者が役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものとは認められない。
(5)商標法第8条第2項について
本件商標は「CSG」と「セントラル」の文字を二段に併記した構成よりなるものである。
他方、引用商標は別掲に示すとおり、特定の内容を想起し得ない背景図形と、判読し得ない図案化された欧文字及び「CENTRAL SPORTS」の欧文字を書した構成よりなるものである。
そして、本件商標と「CENTRAL SPORTS」が非類似の商標であること前記したとおりであり、かつ、他に本件商標と引用商標が類似するとすべき理由は見当たらないから、本件商標は商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項で読み替えられた商標法第8条第2項に該当するものとはいえない。
(6)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号、同第16号及び同法第8条第2項に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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