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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35614(T2000−35614/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4357067号商標(以下、「本件商標」という。)は、「レニベーゼ」の片仮名文字を標準文字とし、第5類「薬剤」を指定商品として、平成11年2月17日に出願され、同12年1月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1778726号商標は、「RENIVACE」の欧文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和57年12月16日に出願され、同60年6月25日に設定登録され、その後、平成7年11月29日に存続期間の更新登録がされているものである。同じく、登録第1778727号商標は、「レニベース」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和57年12月16日に出願され、同60年6月25日に設定登録され、その後、平成7年11月29日に存続期間の更新登録がされているものである(以下、一括して「引用各商標」という。)。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。

(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同法第4条第1項第15号の規定に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号に基づきその登録を無効とされるべきである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用各商標とを比較するに、両商標の各構成は上記のとおりであるから、本件商標が「レニベーゼ」と呼称され、他方、引用各商標は、「レニベース」と呼称されるものである。

そうすると、本件商標と引用各商標とのそれぞれの称呼「レニベーゼ」と「レニベース」とは、ともに準5音節からなるものである。

そして、聴取者に印象の薄い語尾において「ゼ」と「ス」の差異があるも、本件商標と引用各商標は、ともに第1音にアクセントがおかれ、差異のある語尾は弱音化するから、その差異が暖味化し、「レニベー○」というタイプのネーミングの商標というように認識され、離隔的観察においては、いずれがいずれであったか、暖味模糊となるものである。

また、本件商標も引用各商標も共に「高中低低低型」の抑揚で発音されるから、全体の語調語音が極めて酷似するものである。

さらに、引用各商標は、薬品業界では著名商標であるから、本件商標が引用各商標と誤認・混同されるおそれはさらに高まるものである。

そして、本件商標の指定商品は引用各商標の指定商品に包含されているから、本件商標は指定商品の点においても引用各商標に抵触する。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、違法に登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、前にも説示したとおり、発音上「レニベー○」タイプの称呼の商標としてネーミングの発想を同じくするものである。

それ故、本件商標が引用各商標と同一市場(薬品業界)におかれ、離隔的に観察された場合には、両者とも「レニベー○」タイプの称呼の商品名(商標)と認識されることになる。

しかも、引用各商標は、請求人の子会社である萬有製薬株式会社に、1986年7月以来現在まで製造販売させている血圧降下剤に使用しているところ、1990年から1997年まで連続一位である(甲第4号証ないし甲第11号証)。また、1998年医科向け医薬品の分野では第15位である(甲第12号証)。売り上げ高の点からみると、1999年度321億円、2000年323億円であり、2001年は311億円の売り上げが予想されている(甲第13号証及び甲第14号証)。

さらに、本件商標の使用されている血圧降下剤の広告宣伝費は1999年で278,497,000円であり、2000年では286,639,000円もの経費を広告宣伝のために費やしている(甲第15号証)。

このように、本件商標は14年間盛大に使用しているものであるから、その同一市場に酷似するネーミングの薬剤が使用された場合には、それも又請求人若しくは請求人の子会社・関連会社が永年製造販売してきた「レニベース」と同人若しくは資本的・取引上関運のある者による製品ではないかと、取引者、一般需要者によって混同されるおそれが多分に存在するものというべきである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、違法に登録されたものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。

本件商標「レニベーゼ」と引用各商標「レニベース」との差異音である語尾音「ゼ」と「ス」は、いずれも長音に続く音であり、かつ、その音で終止するため明確にしかも強く称えるものである。

したがって、両商標とも4音と比較的短かな音構成であることとも相まって商標全体の中で前記差異音は、聴取音にはっきりした印象音として残る。

しかも差異音の「ゼ」と「ス」を比較すると、「ゼ」は有声破擦音であり、一方「ス」は無声摩擦音で、両音は音質及び呼気の流れ方が明らかに異なり、かつ、両音の母音の相違とも相まって明確に聴別できるものである。

よって、上記差異音は両商標における称呼の全体に及ぼす影響は大きく、それぞれ一連に称呼すれば、両商標はその語感が異なり、相紛れるおそれのない非類似商標である。

さらに、本件商標と引用各商標とは、前記構成よりみて、外観において互いに区別し得るものであり、また両商標は、特定の語義を有しない造語と認められるから、観念についても比較すべくもない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても類似しない商標であるから、たとえ引用各商標が請求人が主張するように周知商標になっていたとしても、取引者、一般需要者によって混同されるおそれがないものである。

5 当審の判断

本件商標は、その構成前記のとおり、「レニベーゼ」の文字をよりなるものであるが、その構成態様は、外観上まとまりよく一体的に看取されるばかりでなく、これより生じる「レニベーゼ」の称呼も一気一連に称呼されるものである。そして、これよりは、特定の意味合いを有しない一種の造語とみられるものであるから、本件商標は、構成文字を一体的に看取し、前記一連の称呼のみをもって取引に資される商標と認識し把握されるというのが自然である。

これに対して、引用各商標は「RENIVACE」ないし「レニベース」の各文字を横書きしたものであるから、「レニベース」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる「レニベーゼ」と引用各商標より生ずる「レニベース」の称呼とを比較するに、両称呼は語尾音において「ゼ」と「ス」の音に差異を有し、その前者の「ゼ」音は有声の摩擦音である子音「z」と母音「e」との結合した音節であるから、濁音として強く発声され、かつ、明確に聴取されるものであるのに対し、後者の「ス」の音は無声の摩擦音である子音「s」と母音「u」との結合した音節であるところから、極めて軽く簡潔に発声されるものである。してみると、その差異音が語尾に位置するとしても、共に長音を含め5音と比較的短い音構成からなる称呼の全体に及ぼす影響は大きいものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても聴感著しく相違し、互いに聴別できるものというのが相当である。

また、外観の点についてみるに、元来、文字の組み合わせ(羅列)によって構成される商標にあっては、これに接する需要者、取引者をして、それより自然に生ずる称呼又は特定の意味を有する語の理解のもとに字形を看取することが取引上一般的といえるから、両商標の係る構成においては、前記各一連の称呼のみを生じるものであり、商標本来の機能(自他商品の識別機能)に照らし、片仮名文字と欧文字の相違、及び片仮名文字の「ゼ」と「ス」の語尾の綴り字の相異を無視して、「レニベー」の文字部分を独立して認識させるとみるべき特段の理由は見出せないものである。そうすると、両商標に接する需要者、取引者は、片仮名文字と欧文字の相違、及び片仮名文字の「ゼ」と「ス」の各語尾の綴り字の相異を十分に認識し取引に資するものというべきであるから、本件商標と引用各商標とは、外観上相紛れるおそれがあるということはできない。さらに、観念の点よりみても、両者は、いずれも特定の意味合いを有しない一種の造語であり相紛れるおそれはないから、結局、本件商標と引用各商標は、何ら紛れるおそれのない非類似の商標であって、互いに別異の商標と認識、理解されるものというのが相当である。

そして、たとえ、引用各商標が申立人の業務に係る「血圧降下剤」を表示するものとして、本件商標の登録出願時に取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標は前記のとおり、引用各商標とは別異のものであり、ほかに、両者間にその出所を混同させる要因は見出せないから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が直ちに引用各商標を想起し、申立人の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。

以上述べた理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものということはできない。

したがって、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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