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Trademark Appeal Case

ハイフン有無と観念類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35446(T2000−35446/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4339051号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示したとおりの構成のものであり、第16類「紙類,紙製包装用容器,衛生手ふき,型紙,紙製タオル,紙製テーブルクロス,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,油取り紙,印刷物,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,あて名印刷機,印字用インクリボン」を指定商品として、平成10年5月28日に登録出願、同11年11月26日に登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、指定商品中『紙類,文房具類』について、その登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

(1)請求人は、「arcenciel」と横書して成り、平成5年5月31日に出願され、平成8年8月30日に商標登録された本人所有の商標登録第3188127号を引用する。

(2)本件商標と商標登録第3188127号(以下「引用商標」という。)とを対比すると次のとおりである。

本件商標を構成する文字はフランス語であり、その頭部の文字は、定冠詞「Le」の省略形であって、これを冠した名詞に格別の意味を加えたり、これを変化させるものではない。

そして、本件商標の構成そのもの及び同構成より上記の定冠詞を除いた文字部分について考及するに、この語はフランス語において「虹」を意味するものであり(甲第3号証)、また引用商標「arcenciel」を構成する語は、これを構成する「arc」と「en」と「ciel」の各文字間ににハイフンは存在しなくとも、本件商標を構成する語と同様に「虹」を意味する以外の何物でもないことは次の理由によって明白である。

即ち、前記のハイフンは言語表記の補助符号の一つであって、欧文などで合成度の浅い複合語の連結、または一語内の形態素の区切りを明確にするのに使うものであり、このようなハイフンは複合語の成り立ちを明確にするものにすぎず、したがって、かかるハイフンの存否にかかわらず、スペルが同一であれば当然、同一の語意を有するものと解すべきは論をまつ迄もないからである。

してみると、本件商標と引用商標は、「虹」を意味するフランス語として、同義語であること極めて自明である。

また、引用商標が本件商標におけるようなハイフンを具えることがないとの理由によって、仮に日常語として用いられることがないとしても、少なくとも、その綴り自体、若しくはこれがその下段「アルカンスィエル」の片仮名と総合して「虹 」を直感させるものである。

(4)以上のとおりであるので、本件商標は、引用商標と観念を一にするか若しくはこれを類似とするものであり、かつ前者はその指定商品のうち、「紙類及び文房具類」に関しては後者の指定商品とこれを一にするものであるので、本件商標はその指定商品中、「紙類及び文房具類」について商標法第4条第1項第11号に該当し、したがって、その指定商品中、「紙類及び文房具類」につき商標法第46条第1項の規定によって、その商標登録を無効とされるべきものである。

(5)請求人は上記の引用商標の権利者であるので、本件審判を請求するについて重大な利害関係を有するものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨下記のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

(1)以下のとおり、本件商標登録は無効理由に該当するものではない。

(2)本件商標の著名性について

アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel(ラルク・アン・シエル)」は、乙第1号証ないし乙第6号証から明らかなように、全国的に著名であり、数多くの音楽活動、TV出演、新聞・雑誌による宣伝広告などにより全国的に著名となっていることが明らかである。

また、標章「L’Arc〜en〜Ciel」は、乙第1号証ないし乙第6号証より、アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」を示すものとして使用されていることが明らかである。例えば、乙第5号証では、アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」の写真の下に、標章「L’Arc〜en〜Ciel」が付されており、この新聞記事を見た需要者は、標章「L’Arc〜en〜Ciel」がアーティストの 「L’Arc〜en〜Ciel」を示しているものと考える。

被請求人は、乙第1号証から明らかなように、上記アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」について、プロダクション業務、原盤制作、著作権管理、商品開発販売を行っており、標章「L’Arc〜en〜Ciel」を付して、業として、アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」のレコード、ビデオ、カレンダー等を販売し、また紙類、文房具類なども販売している。

すなわち、標章「L’Arc〜en〜Ciel」は、標章であって、業として商品とを生産等する者がその商品について使用するものであり、商標法2条1項の「商標」に該当する。そして、被請求人は、商標「L’Arc〜en〜Ciel」の権利者である。

需要者は、本件商標が付された商品は、著名なアーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」に関連する商品であると考え、この商標を目印として、他の商品と「L’Arc〜en〜Ciel」に関連する商品とを明確に区別して商品を購入する。したがって、商標 「L’Arc〜en〜Ciel」は自他商品識別機能を発揮しており、需要者が商標「L’Arc〜en〜Ciel」が付された商品を引用商標「arcenciel」の付された商品と混同することはない。

また、需要者は、商標「L’Arc〜en〜Ciel」が付された商品は、アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」に関連した商品であると考え、次に、そのような商品は、アーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」について、プロダクション業務等を行っている被請求人から販売等されているものであると考える。したがって、商標「L’Arc〜en〜Ciel」は、出所表示機能を発揮しており、引用商標「arcenciel」と出所の混同が生じることはない。

さらに、商標「L’Arc〜en〜Ciel」を見た需要者は、上記のように、この商標の付された商品がアーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」に関連していると考え、購買意欲を起こしてその商品を欲しいと思う。したがって、商標「L’Arc〜en〜Ciel」は、強力な宣伝広告機能も発揮している。

以上より、標章「L’Arc〜en〜Ciel」は、商標法2条1項に規定する商標であり、また著名なアーティストの「L’Arc〜en〜Ciel」を示すものとして、強力な自他商品識別機能、出所表示機能および宣伝広告機能を発揮する著名商標であり、引用商標「arcenciel」と混同が生じることはない。

(2)本件商標と引用商標の対比

本件商標は、「L’Arc〜en〜Ciel」のように、波線「〜」が入っており、「L’Arc」、「en」及び「Ciel」の3つの部分から構成されている標章であって、請求人が主張するようなフランス語の単語ではない。さらに、上記のように、著名な本商標を見た需要者は、著名なアーティストの「L’Arc〜en〜Cie1(ラルク・アン・シエル)」を連想する。一方、引用商標を見た需要者は、「虹」を連想する。したがって、両商標が混同されることはあり得ない。

仮に引用商標「arcenciel」を、本件商標のように「〜」で3つの部分に区切り、頭に「L’」を付して使用したとすれば、そのような使用は、本件商標が著名であることを奇貨とした不正使用であり、また不正競争行為であると言わざるを得ない。上記のように、本件商標は著名商標であり、商標法とともに、不正競争防止法によっても保護されるべきものである。

また、本件商標は、「L」「A」及び「C」の文字を大文字としており、これらの文字が特に目立つ。特に、大文字で文字列の先頭に置かれている「L’」 は、非常に目を引く。一方、引用商標は、すべての文字が同じ大きさの小文字となっており、特に目を引く文字はなく、平坦な外観である。このため、両商標はそもそも外観において非類似となるものである。

また、本件商標は、上述のように、3つの構成要素から成るため、全体として、「ラルク」と「アン」と「シエル」の間をあげた、「ラルク・アン・シエル」という称呼が生ずる。さらに、本件商標はアーティストの「LArc〜en〜Ciel(ラルク・アン・シエル)」を表すものとして著名であり、このことからも、本件商標から「ラルク・アン・シエル」という称呼が生ずることが明らかである。これに対して引用商標は、「虹」を意味するフランス語の単語そのものであり、全体として、「アルカンスィエル」という一連の称呼を生ずる。したがって、両商標は称呼においても非類似である。

以上より、本件商標と引用商標とが非類似であることは明らかである。

4 請求人は、被請求人の答弁に対し何ら弁駁をしない。

5 当審の判断

乙第1号証ないし乙第6号証によれば、「ラルク・アン・シエル」は、1991年(平成3年)に大阪で結成されて以来、音楽活動を行い、遅くとも平成8年には全国的に著名となっていた音楽グループであって、自己の名称表記として、本件商標と同一の「L’Arc〜en〜Ciel」の構成よりなる標章をその音楽活動とこれに伴う宣伝広告等に使用してきた事実が認められる。

そして、上記実情からすると、本件商標は、全国的に著名な音楽グループの名称「ラルク・アン・シエル」を表したものと認識、観念され、これを称呼するに当たっては、「ラルク・アン・シエル」とのみ称呼するものとみるのが相当である。

一方、引用商標は、上記の構成のものであって、何らかの意味の外国語「arcenciel」と、その発音を示す「アルカンスィエル」の片仮名文字を併記したものと認識されることが多いものと認められる。この点について請求人は、引用商標を構成する語は、本件商標を構成する語と同様に「虹」を意味する以外の何物でもないことは明白であると主張しているが、「arcenciel」は、「虹」を意味するフランス語であるとしても、我が国においては、このフランス語を知らない者がむしろ多く、その意味を理解できないことが多いものと考えられる。

そうしてみると、本件商標は、「ラルク・アン・シエル」とのみ称呼されるものであるのに対し、引用商標は、「アルカンスィエル」と称呼されるものと認められ、両称呼は、語頭音を初め構成音に相当の差異があり、語調語感も異なる称呼であるから、互いに紛れて聴取されるおそれはないものというのが相当である。

また、本件商標は、これより著名な音楽グループ「ラルク・アン・シエル」が観念されるものであるのに対し、引用商標からは、特定の観念を認識できないことが多く、仮に認識できたとしてもその観念は「虹」であって、本件商標より生ずる上記観念とは全く異なるから、その観念において何ら紛らわしいところがないものである。

そして、本件商標と引用商標は、前記した構成のものであって、その外観において紛らわしいところがあるとも認められない。

そうすると、本願商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛らわしいところがないものであり、非類似の商標といわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものであるから、同法第46条第1項の規定により、請求に係る指定商品「紙類,文房具類」についての登録を無効とすることはできない。

審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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