Trademark Appeal Case
VISIONの品質表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第3319号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願は、昭和57年7月15日登録出願された昭和57年商標登録願第62343号を原登録出願とする商標法第11条第1項の規定による商標登録出願であり、本願商標は、「VISION」の欧文字と「ビジョン」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として平成8年3月22日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「映像装置」の意味を認識させる「VISION」「ビジョン」の文字を書してなるから、これをその指定商品中「映像周波機械器具、テレビジョン受信機」に使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
第3 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
原査定を取り消す、本願商標は、登録すべきものとする旨の審決
2 請求の理由
(1)本願商標は、商願昭57−62343号の出願変更願に係るものであり、当該商標は査定不服審判(昭和59年審判20870号)で自他商品の識別力があると判断され出願公告になっている。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号、同第4条第1項第16号はクリアーしていることは明らかである。
(2)「VISION」「ビジョン」の文字は、「構想力、未来像、幻想、視野、先見」等を意味する言葉として知られ、「(他の語と結びついて)映像周波機械器具、テレビジョン受信機」を理解させるとしても、「VISION」「ビジョン」の単独では指定商品中「映像周波機械器具、テレビジョン受信機」の品質を表示するものとして普通に採択使用されている事実はない。「VISION」「ビジョン」を品質表示として使用する場合は、他の語と結びついて表示されて初めて商品の品質表示になる。
ましてや、「TELEVISION」は、一般的には「テレビジョン」と称され、これを単に「ビジョン」と称するのであれば、具体的には何を指しているのか皆目不明というべきであるから、「VISION」「ビジョン」の単独が、「映像周波機械器具、テレビジョン受信機」の品質を直接表示したものと理解されることはあり得ない。また、前記以外の商品に使用しても、商品の品質につき誤認を生ずるおそれはない。
(3)以上のとおり本願商標は、先の審判で識別力があるとされた経緯及び品質表示としての一般的使用例がないことからして、その指定商品中いずれに使用しても、自他商品の識別機能を具有するものであるから、商標法第3条第1項第3号、同第4条第1項第16号に該当しない。
第4 当審における職権証拠調べ結果通知
本件審判事件について、当審において職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標の識別性に関する下記の証拠を発見したので、商標法第56条第1項において準用する特許法第150条第5項により、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
記
(1)「ワイドクリアビジョン・ハンドブック」(兼六館出版平成7年11月1日発行)に、「ハイビジョン」「ハイビジョンカメラ」「ハイビジョン・スイッチャ」「クリアビジョン」の語が、テレビジョン関係の用語として掲載されていること
(2)「新版 ビデオ用語事典」(写真工業出版社1997年5月31日発行)に、「シンセビジョン(synthevision)」「ノクトビジョン(noctovision) 暗視装置。暗闇の中で映像が得られるので夜間の動物の生態観察などに有効である。」が、ビデオ用語として掲載されていること
(3)「最新日中英 エレクトロニクス用語辞典」(熊本工業大学1998年9月1日発行)に、「クリアビジョン 現在のテレビジョン方式との両立性を保ちながら、画質の改善及びゴーストの除去を図る新しいテレビジョン方式」と記載されていること
同じく、「スーパービジョン 遠方監視制御装置の表示機能をいう」と記載されていること
同じく、「ハイビジョン(hi−vision) 日本放送協会(NHK)が開発した高精細度テレビジョン」と記載されていること
同じく、「ビジョンマシン(vision machine) テレビジョンカメラで写された画像情報を処理解析する装置」と記載されていること
(4)「映像情報メディア用語辞典」(コロナ社1999年1月11日発行)に、「クリアビジョン(clear vision) 日本の第1世代EDTVの愛称」と記載されていること
同じく、「コンピュータビジョン(computer vision) コンピュータを使って、人間の視覚と同等の機能により画像に写された対象世界に存在する物体の認識、再構成をする技術。主として、3次元物体の認識を目的としている。」と記載されていること
同じく、「ロボットビジョン(robot vision) 機械による視覚系のことで、マシンビジョンともいう。」と記載されていること
同じく、「Discoビジョン(Disco vision) MCA社が開発した光学式ビデオディスク。」と記載されていること
(5)「映像情報メディアハンドブック」(オーム社平成12年11月25日発行)に、「シンセビジョン シンセビジョンとは、背景として取り込んだハイビジョン画像をカメラ操作に合わせて切り出して、カメラの映像と合成するものである。」と記載されていること
(6)「日経BP デジタル大事典2001ー2001年版」(日経BP社2001年2月5日発行)に、「マルチビジョン CRTを複数台並べ、コンピュータで制御するシステム。」と記載されていること
(7)「THE 21」(PHP 平成11年8月1日発行)に、「ナイトビジョン 」の表題の下に、「もともとは軍事技術で、湾岸戦争の際に威力を発揮した赤外線暗視装置のこと。・・・フロントグリルに埋め込まれた赤外線センサーが目標物を感知すると、それをモノクロのビデオ信号に変換する。次にダッシュボードに組み込まれたヘッドアンプ・ディスプレーに信号が送り込まれ、フロントグラス内側に画像を投影する。ドライバー側からみると、画像はエンジンフード先端あたりに映写される・・・」と掲載されていること
(8)「週間読売」(平成11年8月1日発行)において、『サッポロ銀座ビルの′′大壁画′′だ。実は、これ「ワンウェイビジョン」と呼ばれる薄さ0.1ミリの特殊フィルム。』と記載されていること
(9)「日経トレンディ」(日経トレンディ1999年1月1日発行)において、「ハイブジョンは画質の好みなどのほかはモジネット、番組へのアクセスも可能なITビジョン、電子番組ガイドなどの付加機能も選択の要素になる。」と記載されていること
同じく、「チャットビジョン ソニーからキャラクターを使って自由にコミュニケーションを広げるチャットソフトウェアが登場した。」と記載されていること
(10)「増補改訂版 新ビデオ技術ハンドブック」(電波新聞社 2001年2月10日発行)において、「クリアビジョン」の表題の下に、「1989年から地上放送に導入された第1世代のEDTV(Extended DefinitionTV)方式【クリアビジョン方式】です。」と記載されていること
(11)「現代用語の基礎知識2000」(自由国民社 2000年1月1日発行)において、「ITビジョン(IT vision) わが国初の双方向テレビ放送。」と記載されていること
同じく、「ワイドクリアビジョン」の表題の下に、『民放のテレビ番組を見ている、画面の隅に「クリアビジョン」という文字が出ていることが多い。NHKの「ハイビジョン」に対抗して、民放が開発に力を入れている高画質テレビであり、EDTVの愛称である。従来のテレビと両立させて使うことができ、ちらつきや色のにじみを防ぎ、ゴーストがないので鮮明に見える。第二世代として開発されたのがEDTVーIIである。画面の縦横比はハイビジョンと同じ九対一六の横長の画面で、高画質化を実現した。すでに「パノラマビジョン」などどとして販売されている。』と記載されていること
同じく、「バーチャルビジョン(virtual vision)」の表題の下に、『携帯用メガネ型テレビ。超小型の液晶ビデオ・ディスプレイと精巧な光学反射レンズを、ステレオ・ヘッドホンに組み込んだメガネに装着した「アイウエア」』と記載されていること
以上の(1)ないし(5)の書証は、「VISION」「ビジョン」の識別性に関する証拠である。
第5 請求人の意見の要点
上記証拠を検討しても、他の語と結びついた使用例があることは認められるが、「VISION」あるいは「ビジョン」の単独使用は全く見られない上に、指定商品との間に何ら直接的な関連製がないから、むしろ「VISION」「ビジョン」に自他商品識別力があることを証明している。
したがって、本願商標「VISION」「ビジョン」に接する取引者、需要者が指定商品の関係において、これより直ちに「映像周波機械器具、テレビジョン受信機等の品質表示」と直感連想作用が生ずることはない。
以上のとおり、本願商標は、その指定商品に使用しても、自他商品の識別機能を具備するものである。
第6 当審の判断
1 本願商標の識別性について
(1)本願商標は、「VISION」の欧文字と「ビジョン」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなるものであり、「VISION」の欧文字は、「見えること、視覚、視力、将来を見越すこと、見えるもの」を意味する英語であって、「ビジョン」の片仮名文字は、その字音を表示したものと認められる。
そして、「VISION」「ビジョン」の文字は、当審において職権証拠調べをした結果、本願商標の指定商品「テレビジョン」等を取り扱う業界においては、上記第4に記載のとおりテレビジョン受信機等画像が表示される機械について、例えば「ハイビジョン(日本放送協会(NHK)が開発した高精細度テレビジョン)」「シンセビジョン(背景として取り込んだハイビジョン画像をカメラ操作に合わせて切り出して、カメラの映像と合成するもの)」「クリアビジョン(NHKの「ハイビジョン」に対抗して、民放が開発に力を入れている高画質テレビであり、EDTVの愛称である。従来のテレビと両立させて使うことができ、ちらつきや色のにじみを防ぎ、ゴーストがないので鮮明に見える)」「スーパービジョン(遠方監視制御装置の表示機能をいう)」「コンピュータビジョン(コンピュータを使って、人間の視覚と同等の機能により画像に写された対象世界に存在する物体の認識、再構成をする技術。主として、3次元物体の認識を目的としている)」など「〜VISION」「〜ビジョン」のように記載する事実が認められる。
そうすると、本願商標「VISION」「ビジョン」は、「テレビジョン受信機等映像が表示される機械、視覚認識が可能なコンピュータ」であることを、取引者、需要者をして、容易に理解、認識させるものであるから、本願商標をその指定商品中「テレビジョン受信機等映像が表示される機械、視覚認識が可能なコンピュータ」に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とみるのが相当である。
請求人は、上記第4に記載の書証には、「VISION」「ビジョン」の単独の使用例がない旨主張するが、単独の使用例がないことをもって、本願商標が自他商品の識別機能を有しないとした前記認定を妨げる事由とはならない。請求人の主張は採用することができない。
(2)ところで、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、「これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占をみとめるには妥当でないということ、また、多くの場合にすでに一般的に使用がされるものであるから、これらのものに自他商品又は役務の識別力を認めることができないということになる」(特許庁編「工業所有権法逐条解説」社団法人発明協会 平成4年9月25日改訂発行)と解される。
そして、本願商標は、上記のとおり昭和57年商標登録願第62343号を原登録出願とする商標法第11条第1項の規定による商願登録出願に係るものであり、当該原登録出願に係る商標「VISION」「ビジョン」については、平成6年8月23日出願公告がされたが、これに対して、パイオニア(株)、日本ビクター(株)、(株)日立製作所、武藤工業(株)、富士通(株)等より登録異議申立がされ、いずれも当該商標は、映像装置等については自他商品の識別機能を有しない商標である旨主張しているところである。
そうすると、本願商標の指定商品の主要なメーカーからの多数の登録異議申立がなされた事実に鑑みると、本願商標「VISION」「ビジョン」は、通常、映像装置等の商品を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占をみとめるには妥当でない語であるというべきである。
2 本願商標「VISION」「ビジョン」は、前記1で認定したとおりその指定商品中「テレビジョン受信機等映像が表示される機械、視覚認識が可能なコンピュータ」に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、これを前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものである。
3 結語
以上のとおりであり、本願商標は商標法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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