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Trademark Appeal Case

リンパ球療法の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第8943号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「リンパ球療法」の文字を横書きしてなり、平成8年2月13日に登録出願され、指定役務については平成10年2月24日付手続補正書により第42類「医業,医薬品の試験・検査又は研究,治療法の研究又は試験,治療に必要な情報又は資料の提供,医療相談,特定契約者に対する治療法の指示又は助言」と補正されているものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、リンパ球の抵抗力を強化させ、それによって身体の自然治癒力を高める免疫療法を想起させる『リンパ球療法』の文字を普通に書してなるものであるから、これをその指定役務中、例えば、『リンパ球療法を行う医業,リンパ球療法の研究又は試験,リンパ球療法に必要な情報の提供,リンパ球療法コンサルタント,特定契約者に対するリンパ球療法の指示又は助言』に使用しても、単に役務の質を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記のとおり「リンパ球療法」の文字よりなるところ、岩波書店発行「広辞苑第5版」を徴するに、その構成中の「リンパ球」の文字は、「リンパ‐きゅう【淋巴球】」の項をみると「白血球の一種。骨髄で作られ、胸腺・リンパ節・脾臓で分化・増殖する。運動性や食作用は弱いが、大食細胞と協同して抗体を産生し(Bリンパ球)、また細胞性免疫および免疫機能調節にあたる(Тリンパ球)。大きさは5〜15ミクロンで円形の核を持つ。」として、「療法」の文字は「りょう‐ほう【療法】」の項によれば「治療の方法。『食餌―』」を意味する語として、いずれもよく知られているものであり、同時に「〇〇療法」の如く掲載されている語をみると「温泉療法」「血清療法」「高圧酸素療法」「免疫療法」等多くの治療方法を表示するために使用されていることよりすれば、「リンパ球療法」の文字全体としても、「リンパ球を利用して行われる治療の方法」として容易に理解させるというのが相当である。

そして、以上のことは、例えば「リンパ球療法」について株式会社ジー・サーチの提供に係る「G―Searchの新聞情報データベース」をみるに、「丸山ワクチンは効くか 個人差が大きく難しい判定(がんを疑う:4)(1996.11.03 朝日新聞社 東京朝刊)」の見出しのもと、「がんの免疫療法には、がん細胞を攻撃する免疫細胞(リンパ球)を活発にしたり、改造したりする各種のリンパ球療法もある。この療法は二通りある。他人のリンパ球で自分のリンパ球を刺激する『他人派』の代表は、元国立高崎病院放射線科医長で昨年亡くなった佐藤一英さんが開発した免疫監視療法。九二年からは、効果が出た患者の腹水に出てくる生理活性物質(BRP)を別のがん患者に打つ改良法に転換した。末期患者を対象に六週間に一度、注射する。本人のリンパ球に生理活性物質を加えて培養、攻撃力を強化して体に戻す『本人派』は米国が開発した。日本でも試みられている養子免疫療法が代表的だ。」という記載。「『医療ルネサンス』癒しのファイル がんと心=5(1997.07.13 読売新聞社 東京朝刊)」という見出しのもと、「・・・・病院では、医学的に効果が認められていないワクチンや民間療法まで様々な治療法に取り組んでいる。免疫を担当するリンパ球の活性化を図るリンパ球療法、がん細胞の消失を思い浮かべるイメージ療法、リラクセーション、音楽療法......。」との記載。「新・健康生活フェア99『代替医療』への理解求めて、横浜で開催(1999.10.08 毎日新聞社 東京朝刊)」の見出しのもと「『代替医療』をサポートする役割も期待されている健康関連産業の企業・団体を集めた『新・健康生活フェア’99』が10、11の両日、横浜市西区のみなとみらいのパシフィコ横浜展示ホールで開かれる。『代替医療』とは、現代西洋医学では正式に認知されていない医学・医療分野のことで、伝統的な地域医学や民間療法、保険が適用されない新治療法などの医療法を含んでいる。具体的には漢方医療、鍼灸(しんきゅう)、気功、指圧、リンパ球療法、薬効・健康食品、ハーブ療法、アロマテラピー、温泉療法、酸素療法などと幅広い。日本ではまだなじみの薄いものもあり、一般の医師の中には拒否反応もあるが、欧米では新しい医学として急速に研究が進み、科学的に有効性の証明がなされたものもある。さらに、西洋医学で行き詰まった難病の治療法として脚光を浴びている治療法もある。」という記載。「『生き生き健康』免疫細胞療法に漢方併用、がん患者の心身を改善、リンパ球活性化し戻す(2001.03.01 共同通信)」の見出しのもと、「血液を採取し、その中のリンパ球を増殖させて、免疫力が高まるよう活性化させる。このリンパ球を体内に戻す免疫細胞療法に漢方薬を併用して、がん末期患者の延命や生活の質(QOL)改善に役立てる。こんな東西医学を融合させた臨床応用に、東京医大病院で免疫療法外来を担当する星野泰三講師らが取り組み、成果を上げている。・・・・今のところ、保険が適用されず、治療費が自己負担なのが難点だが、研究グループは症例数を増やし、末期がんの漢方併用リンパ球療法を確立したいという。がん患者のリンパ球を培養して戻す治療法自体は一九八○年代後半に米国で始まり、世界中に臨床応用が広がった。しかし、効果が当初に期待されたほどでなく、次第に下火になった。リンパ球療法をよみがえらせつつあるのが関根元室長の開発した培養法だ。・・・・」という記載。さらに、「リンパ球療法」についてインターネットにより情報を公開しているサイトでは、例えば、「免疫医療で“がん”と戦う瀬田クリニック 江川滉二理事長 後藤重則院長(http://www.yobou.com/rensaiindex/rensai2_014/rig_rensai2.htm)」という見出しのもと、「免疫学を駆使した最前線の治療と、患者の心をもケアする医療――この両者が共存しているのが、日本免疫治療学研究会・瀬田クリニック(東京都世田谷区)だ。基礎、臨床の医師が共同でがんの研究と治療に携わっている。手術でも抗がん剤でもない治療を求めて患者は全国から集まってくる。『病気を診て、病人も診る』2人の専門医を訪ねた。」という記事の中で、「活性化自己リンパ球療法とは」と題して「東京・世田谷の住宅街。国道246号線から一歩入ったところに瀬田クリニックはある。訪れる患者のほとんどはがん患者だ。同クリニックは現在、大学病院やがんセンターで研究目的に行われている『活性化自己リンパ球療法』を用いてがんの治療にあたっている。活性化自己リンパ球療法は、養子免疫療法とも呼ばれる。患者の血液からリンパ球を分離し、Tリンパ球を活性化、培養して数千倍に増殖させた上で再び体内に戻す。そのTリンパ球の作用によって、がん細胞と戦う仕組みだ。この治療は15年ほど前にアメリカで始まったものだが、当時は有効率がそれほどには上がらず、評価は高くはなかった。しかし、かつてはインターロイキン-2(IL-2)のみによる活性化であったが、基礎免疫学の進歩によりさまざまな薬剤が使えるようになり、培養法が改良された。現在同クリニックではIL-2のほかに、CD3抗体、B7分子などによる活性化を行っている。」という記載からも、「リンパ球療法」の語(文字)が、特定の者が提供することを識別するための表示としてではなく、リンパ球を利用したさまざまな治療法の総括的表示として「〇〇〇リンパ球療法」のごとく用いられていることが十分に裏付けられるところである。

そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「リンパ球を利用して行われる治療の方法」として、役務の内容、質を表示したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別する標識とは認識しないというべきである。

なお、請求人は、本願商標を「癌をはじめとする難治性免疫疾患の治療,医業」等について使用された結果、自他識別標識として機能し、出願人等の業務にかかる役務であることが需要者に認識されている旨述べるとともに、本願商標が商標法第3条第2項が適用され、登録されるべきものと主張し、甲第1証ないし甲第30号証を提出している。、

しかしながら、請求人が提出した証拠をみるに、甲第1号証及び第4号証は、その療法の開発者による免疫療法そのものの解説。甲第2号証及び第3号証は、他人の書籍であるものの、その記載は、「人工抗ガンリンパ球療法」「新リンパ球療法」あるいは、リンパ球を利用した療法を略記するための記載と認められる。また、甲第7号証ないし甲第30号証の雑誌、新聞等の記事については、そのほとんどが療法の説明として「佐藤リンパ球療法」「人工抗ガンリンパ球療法」等のように記載されているか、佐藤博士の免疫療法の解説、「人工抗ガンリンパ球による免疫機構改善法」を説明するための略式表示として掲載されているのみで、「リンパ球療法」の語(文字)のみをもって自他役務識別標識として表示し、使用されている事実は認めることができない。特に、甲第27号証(東京スポーツ新聞掲載文)の1988年7月27日付の記事における「佐藤リンパ球療法も免疫療法の一つだが、他のリンパ球療法と大きくことなる。」という記載から、数あるリンパ球を利用した療法の総括的表示として使用されている事実が認められるものであって、その余の証拠を勘案しても、本願商標が「癌をはじめとする難治性免疫疾患の治療,医業」等について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できる商標としての機能を有するに至っているという請求人の主張は、認めることができない。

してみれば、本願商標は、「リンパ球療法」の文字を普通に書してなるものであるから、これをその指定役務中「医業」に使用しても前記の事実より、これに接する取引者、需要者をして、リンパ球を利用して行われる治療として理解、認識させるに止まるというのが相当であって、結局、本願商標は役務の質を表示するにすぎないものであり、かつ、リンパ球を利用して行われる治療以外の前記役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第3条第2項の規定に該当するものとも認めることができないものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり決定する。

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