Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第19515号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「保湿ティシュ」の文字を横書きしてなり、平成8年11月6日に登録出願、その指定商品については、出願当初は第16類「紙類」とされていたが、平成10年9月2日付けをもって手続補正書が提出され、第16類「ティッシュペーパー、ちり紙、化粧紙」に補正され、その後、当審において、平成12年3月6日付けをもって再び手続補正書が提出され、第16類「ティッシュペーパー」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『乾燥しすぎないように、湿度を一定に保つこと』の意味合いである『保湿』の文字と、『ティッシュペパーの略称として、又は薄葉紙』の意味合いで親しまれている『ティッシュ』の文字よりなるところ、指定商品との関係においては、『ティッシュ』の文字が業界においては普通に使用されているのが実情であるから、これより全体として『保湿機能を有するティッシュ』等の意味合いを容易に想起させ、これを本願指定商品中、前記に照応する商品に使用する時は、単にその商品の品質等を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「保湿」の漢字と「ティシュ」の片仮名文字を結合させて「保湿ティシュ」と書してなるところ、その構成中の「保湿」の漢字は、「乾燥しすぎないように、湿度を一定の範囲内に保つこと」を意味する語として親しまれたものであり、また、「ティシュ」の片仮名文字は、「ティッシュ」の語と同様に、英語の「tissue」の語に通じ、本願の補正後の指定商品である「ティッシュペーパー」を指称するものと容易に認識し得るものである(例えば、広辞苑第五版(発行所 株式会社岩波書店)の「ティシュペーパー」の欄には、「ティシュ‐ペーパー【tissue paper】⇒ティッシュ‐ペーパー」と記載され、「ティッシュペーパー」の欄を参照するよう表示されている。)から、全体としては、「乾燥しないように湿気が保たれているティッシュペーパー」程度の意味合いを容易に想起し得るものである。
そして、本願の補正後の指定商品を取り扱う業界において、実際に、前記意味合いに相応する保湿タイプのティッシュペーパーの開発、製造、販売が活発に行われ、これを「保湿ティッシュ」と称することさえあることは、例えば、2000年11月3日の日本経済新聞(朝刊)に、「家庭紙の減産年内継続、箱スリム化、高級品拡販―メーカー採算改善狙う。」の見出しの下、「十月に『クリネックスティシュー ウルトラ』の保湿性を向上したほか来春には保湿ティッシュで新製品を発売する予定。」と、2000年6月17日の日経流通新聞に、「ティッシュペーパー―保湿タイプなど高級品伸びる(やさしい商品知識)」の見出しの下、「特に市場全体の約五%を占める保湿ティッシュなどの高級品の消費が伸びている。」と、2000年5月11日の日経流通新聞に、「保湿ティッシュ―風邪・花粉症、鼻をケア、サイコロやポケット型も(売れ筋)」の見出しの下、「保湿剤を使ったティッシュペーパーが、風邪や花粉症で繰り返しティッシュを使う消費者に受けている。」、「ネピア(東京・中央)の『ネピアモイスチャーティシュ』(二百組、三百三十円)は紙の繊維に植物系の保湿剤を染み込ませて保湿効果を従来品の二倍に高めた。」、「大王製紙の『エリエールローションティシュー』(二百組、三百三十円)は植物系の保湿剤を塗布し、摩擦によるひりひり感が起きにくいようにした。」、「『エリエールローションティシューコスメティック』(六十組、二百六十円)は・・・・麻を配合したティッシュを上下二枚の保湿ティッシュで挟み、吸湿力を高めて化粧用に特化したのが特徴だ。」及び「特に市場全体の約五%を占める保湿ティッシュなどの高級品がけん引役になっている。保湿ティッシュの用途は鼻のケアだけでなく化粧用にも広がっており、人気が続きそうだ。」と、2000年4月27日の日本経済新聞(朝刊)に、「ティッシュに花粉症特需、1―3月出荷、4.4%増―『保湿』の伸び目立つ。」の見出しの下、「花粉症対策から肌に優しい保湿ティッシュなどの高級品の販売が好調なことがけん引役になった。・・・・特に伸びているのが市場全体の約五%を占める保湿ティッシュなどの高級品。」と、2000年4月11日の日経産業新聞に、「卸価格、家庭紙が一段安―店頭の特売が拡大。」の見出しの下、「花粉症の影響もあり、『保湿ティッシュの売り上げが伸びている』(ネピア)という。」と、1999年12月9日の日経流通新聞に、「クオリティー・ティッシュ―鼻のヒリヒリ感緩和、原料に工夫・保湿成分も(売れ筋)」の見出しの下、「こうした向きに適するのが保湿ティッシュなどの『クオリティー・ティッシュ』だ。・・・・『クリネックス・ウルトラ』(百四十組、三百円)はシリコンベースの保湿成分を含ませた滑らかなティッシュ。・・・・王子製紙系のネピア(東京・中央)の製品では『ネピアモイスチャーティシュ』(二百組、三百三十円)が人気だ。『当社の従来の保湿ティッシュの二倍以上の水分を含む』(ネピア)点が最大の売り物。独自製法でしみこませた保湿成分が空気中の水分を取り込み、しっとりとした柔らかさを実現している。」と、1998年12月9日の日経流通新聞に、「販売量伸びるが、家庭紙、苦境打ち破れず―在庫膨張/店頭の特売常態化。」の見出しの下、「大王製紙は天然保湿成分を配合して、肌触りをよくした『ローションティシュー』を九四年に発売したところ、通常商品に比べ価格は五割ほど高いものの花粉症の人などに受けて、九七年四―十二月の販売額は前年同期比二四%増。」と、1998年2月19日の産経新聞(東京朝刊)に、「【暮らし】ちょっとさいえんす ティッシュペーパー」の見出しの下、「最近は、しっとりして肌にやさしい保湿タイプというティッシュまであります。・・・・グラフに示すように、肌触りの最もよかった保湿タイプのティッシュは、曲げ測定でも小さい力で曲げることができました。・・・・今回のテストで、最もよかった保湿タイプのティッシュの価格は、高級タイプと同様に一箱二百五十円前後で、スーパーやコンビニなどで売られています。ティッシュはいろいろな用途に使用されていますが、肌に使うなら、少々値がはりますが保湿タイプや高級タイプがよいようです。」と、1997年5月17日の日経流通新聞に、「 ティッシュペーパー『ネピアモイスチャーシリーズ』(クローズアップ戦略商品)」の見出しの下、「ネピア(東京・中央、山崎一彦社長)が発売した『ネピアモイスチャーシリーズ』は、新技術を確立し、これまでにない新高級市場の形成を狙っている。発売はボックスティッシュが九六年十月、ポケットティッシュが九七年一月、トイレットロールが同年二月。従来品の水分含有量は四%から六%なのに対し、同シリーズは独自の新技術『保湿ウェブ』により、一〇%から一二%まで高めた。そのしっとり感とやわらかさ、なめらかさが特徴。・・・・現在、ティッシュペーパーは、(1)レギュラーゾーン(六十五円前後)、(2)ボックスのデザインを重視した中級ゾーン(百五十円前後)、(3)香りやプリント、保湿効果をプラスした高級ゾーン(二百二十円前後)に分類される。・・・・新技術の『保湿ウェブ』は、パルプ繊維の中まで保湿成分をしみ込ませるというもの。空気中の水分を自ら取り込み、常に水分含有量を従来品の二倍以上に保つことができる。」と、1997年5月12日の日経産業新聞に、「博報堂生活総研所長関沢英彦氏―広がる花粉の影響(市場トレンド私はこう読む)」の見出しの下、「ティッシュペーパーも花粉症向けに、やわらかい保湿ティッシュの需要が伸びた。」と、1997年3月14日の日本経済新聞(朝刊)に、「ティッシュペーパー横ばい(マンスリーワンポイント)」の見出しの下、「春の需要期入りに伴って出荷は好調で、市場では『特に花粉症の対策用品として、通常のティッシュより柔らかい保湿ティッシュの伸びが著しい』との声が出ていた。」と、1996年8月27日の毎日新聞(東京朝刊)に、「[ビジネス情報]やしの実エキス配合、ティッシュペーパーを発売―大王製紙」の見出しの下、「従来品に比べパルプの質を高め、やしの実エキスなどの天然保湿成分も配合。」と、1996年2月22日の日本経済新聞(夕刊)に、「花粉症の季節、お世話になります、ティッシュ多彩に――3枚重ね・保湿成分入り・・・。」の見出しの下、「今年はティッシュペーパーの新製品が相次いで登場し『肌に優しい』『保湿成分を入れた』『デザインがしゃれている』などと、特徴を競っている。・・・・紙に保湿成分を塗り込んだ製品も登場した。」と記載されていることからも、十分に裏付けられるところである。
してみれば、本願商標は、その指定商品に使用するときには、取引者、需要者をして、「保湿タイプのティッシュペーパー」の意を容易に理解し、それを商品の品質を表示するものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないとみるを相当とするものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、本願商標とは事案を異にし、同一に論ずることはできない。また、同じく、各種資料を提出して、本願商標が商標法第3条第2項に該当し得る旨を主張してもいるが、上述のとおり、本願商標より容易に想起される保湿タイプのティッシュペーパーが多くの事業者によって取り扱われ、それを「保湿ティッシュ」とも称している実情にあることを勘案するならば、提出された資料をもってしては、本願商標の使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認めることができない。そうとすれば、請求人の主張は、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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