Trademark Appeal Case
デジタルアートプリントの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第9740号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「デジタルアートプリント」の文字を横書きしてなり、第42類「写真の撮影及びその取次,オフセット印刷及びその取次,グラビア印刷及びその取次,スクリーン印刷及びその取次,石版印刷及びその取次,建築物の設計・管理及びその取次,工事の設計に関する製図,デザインの考案,光学機械器具の貸与,カメラの貸与,印刷用機械器具の貸与,製図用具の貸与,美術品・絵画を記憶させた磁気ディスク・光学式記録媒体の加工」を指定役務として、平成8年6月27日に登録出願され、その後、指定役務については、同10年4月17日付け手続補正書において、「写真の撮影及びその取次,オフセット印刷及びその取次,グラビア印刷及びその取次,スクリーン印刷及びその取次,石版印刷及びその取次,建築物の設計及びその取次,工事の設計に関する製図,デザインの考案,光学機械器具の貸与,カメラの貸与,印刷用機械器具の貸与,製図用具の貸与」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『作品をつくる過程や作品そのものの中に何らかの形でコンピューターを介在させた新しいアート』等の意味を表す『デジタルアート』と『印刷,焼き付け,陰画を焼き付けて陽画にすること』等の意味を表すものとして知られる『プリント』を一連に『デジタルアートプリント』の文字を書してなるところ、指定役務との関係においては、1970年代のコンピューターグラフィックスから始まり、近年ではデジタルカメラで撮った写真やスキャナーでパソコンに取り込んだ写真を加工したデジタルアート作品の作成、デジタルアートに関する芸術祭の開催、美術館での展示、デジタルアートに係る教育が各地で行われている状況があることより、全体として『デジタルアートの技術を導入・応用した写真の撮影及び取次・印刷及び取次・建築物の設計及び取次・製図・デザインの考案・印刷用機械器具・カメラなどの貸与』等であることを想起させるものであるから、これを本願指定役務中、前記役務に照応する役務について使用するときは、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務に照応する役務以外の写真の撮影・印刷・設計・製図・デザインの考案・印刷用機械器具・カメラなどの貸与に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「デジタルアートプリント」の片仮名文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであるところ、その構成中の「デジタル」の文字は「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば、二進数)として表現すること」、「アート」の文字は「芸術、美術」、「プリント」の文字は「印刷すること、印刷物」の意を有する外来語として、「広辞苑」(第5版、株式会社岩波書店発行)等の各種辞典に掲載されており、それぞれ一般に極めてよく知られているものと認められる。そして、「デジタル」の文字は、「デジタルカメラ」、「デジタル時計」、「デジタル通信」、「デジタル放送」等、「アート」の文字は、「モダンアート」、「ポップアート」等の複合語を構成する語としてもそれぞれ一般に親しまれているものである。
また、「デジタル」の文字は、それを含む語として、例えば、「知恵蔵」(2000年1月1日、朝日新聞社発行)において、「デジタル・デザイン〔digital design〕」の見出しのもと「CAD(computer aided design)を使ってデザインすること。製図板上でT定規・三角定規などで設計する従来の方法と異なり、コンピューターを使い、キーボードやマウスを操作し、ディスプレーを見ながら設計する。(999頁)」という記載、「デジタルムービー〔digital movie〕」の見出しのもと「撮影や編集をコンピューターで行い、映像をデータ化した映画。(1347頁)」と掲載されており、コンピューターを用いてデータ化することの意においても使用されていることが認められるものである。
そうとすれば、本願商標は、上記の意味を有する「デジタル」、「アート」及び「プリント」の各文字を結合したものと容易に認識、理解され、全体として「コンピューターを用いてデータ化された映像の作品を印刷すること、又はされたもの」の意味合いを理解させるとみるのが相当と認められる。
また、本願指定役務との関係で、「デジタルアート」の文字について、株式会社ジー・サーチの提供に係る「G−Searchの新聞情報データベース」により、各紙の新聞報道をみると、1992年9月18日付け日経産業新聞(30頁)において「ドリームショット−CG使い肖像画制作」の見出しのもと「胸像や肖像画など照れ性の日本人にはなじみが薄かった記念品ビジネスが盛んになってきた。この事業領域に最先端のコンピューターグラフィックス(CG)で参入したのが大阪に本社を置くドリームショット。・・・制作スタジオに足を踏み入れると、描きかけのCG作品が大小取り交ぜ壁際に立てかけてある。・・・完成した絵は薄い紙にプリントアウトし、キャンバスにはり付けて下地の布目を浮き立たせる。・・・米国ではパソコンを使って描く『デジタルアート』が浸透し、作品の商業取引も行われているが、日本でのCGはアーチストが個展を開くといった純芸術的見地からの取り組みにとどまる。」という記載、1993年3月20日付け日本経済新聞(朝刊、38頁)に「テクノアート制作、人も提供−ラボで芸術家にデジタル指南」の見出しのもと「資金や場所を提供するだけでなく、企業の持つ技術や人材を生かしたメセナ活動が始まっている。91年に発足したキャノンのART LAB(アートラボ)はそうしたもののひとつ。アーチストと自社のエンジニアが芸術とテクノロジーが一体になった“デジタルアート”を共同製作している。・・・オリジナル画像を様々な形に加工したり、見たこともない画像を作り出すことができる。・・・『コンピューターで処理してプリントした作品は人間の肉体労働が介在しない分、アーチストのコンセプトが直接伝わる』と筆で描いた絵画とは異なるデジタルアートの画面の魅力を語る。」という記載、さらに、1996年10年22日付け日刊工業新聞(19頁)に「旭硝子、カラー画像記録材を使用したプリントアウト事業を展開」の見出しのもと「旭硝子は21日、カラー画像記録材料・・・を用いたプリントアウト事業を展開すると発表した。・・・デジタルアートなどのポスター、博物館の展示物解説、プレゼンテーション用パネル、店内装飾のプリント事業を本格展開するすることにした。」という記載が認められる。
前記した実情よりすれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「コンピューターを用いてデジタルデータ化された映像作品の印刷及びこれに関連した役務」という意味合いで、役務の質を表示したものと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定役務中、コンピューターを用いてデジタルデータ化された映像作品の印刷に関する役務の提供について使用しても、単に役務の質を表示するにすぎず、前記役務以外の役務に使用した場合は、役務の質についての誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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