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Trademark Appeal Case

不使用取消と書換登録の効力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31360(T2000−31360/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第569626号商標の指定商品中、「事務用紙、水ひき、短冊、及びこれらの類似商品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第569626号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和35年2月11日に登録出願され、商標の構成を「ロマン」の片仮名文字とし、指定商品を第50類「紙、及び他類に属しないその製品」として、同36年4月1日に設定の登録、その後、本件商標に係る商標権は、同56年6月30日、平成3年6月26日及び同12年10月17日の両3度に亘って存続期間の更新登録がされ、さらに、同12年10月4日に書換登録の申請があった結果、以下のように指定商品を書き換える旨の登録が同13年3月14日にされたものである。

<指定商品の書換登録>

第16類「トイレットペーパー,ちり紙その他の紙類(擬革紙を除く。),紙製包装用容器,紙製ごみ収集用袋,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製ふきん,型紙,紙製テーブルクロス」

第20類「紙製ストロー,紙製ネームプレート及び標札」

第21類「紙製貯金箱,紙製盆,紙製はたき,紙製ちりかご,紙製雑巾」

第22類「紙製の編みひも・真田ひも・のり付けひも及びよりひも」

第26類「紙製の組みひも,紙製の裁縫箱」

第27類「壁紙」

第28類「千代紙,折り紙」

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を、本件商標はその指定商品中「第50類 事務用紙、水ひき、短冊、及びこれらの類似商品」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである、と述べている。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求を却下する、または、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。

(1)審判請求の却下を求める理由

被請求人は、平成13年1月23日付提出の手続補正書を以て、被請求人の申請に係る本件商標の書換登録申請書(書換2000−506859)に記載の指定商品中、第16類の指定商品を下記のとおり訂正し、本件商標の権利の一部を放棄した(乙第1号証)。

「第16類 トイレットペーパー,ちり紙,その他の紙類(擬革紙を除く。),紙製包装用容器,紙製ごみ収集用袋,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製ふきん,型紙紙製テーブルクロス」

これによって、本件商標は、その指定商品中に請求人の取消請求に係る指定商品「事務用紙、水ひき、短冊、及びこれらの類似商品」を包含しないものとなった。

したがって、請求人の本件請求は、指定商品中に包含されていない商品について、本件商標の登録の取り消しを求めるものであるから、本件審判の請求は不適法なものとして却下されるべきである。

(2)本件審判の請求は成り立たないとする理由

被請求人は、本件商標の使用の事実についての論証は、これを留保する。

4 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取り消しを免れない。

これを本件についてみるに、被請求人は、(1)本件商標に係る商標権の書換登録により、取消請求に係る指定商品(「事務用紙、水ひき、短冊、及びこれらの類似商品」)を放棄・除外したので、本件請求は取消対象を有しない不適法なものとして却下されるべきである、(2)本件商標の使用事実についての論証は留保する、旨答弁の理由を述べ、その使用事実について主張、立証を一切行っていない。

そこで、(1)本件審判の請求の法的利益と書換登録との関係及びその効力について、(2)被請求人主張の留保事由の当否について、の2点について、以下、検討する。

(1)本件審判の請求利益と書換登録との関係について

商標法第50条による商標登録の取消審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、その審判の請求の登録の日(予告登録日)に(遡って)消滅したものとみなされる(商標法第54条第2項)。

一方、当該商標権の書換の登録は専らその登録日以後に効力を生ずるものであるから(平成8年6月法律68号により追加された商標法附則第12条)、上記審判の請求の登録日以後に生じた書換登録の効力は、その審判の請求に何ら影響を及ぼすものでなく、当該商標権について登録の取り消し(一部取消を含む。)を求める審判請求の法的利益は依然存するものというべきである。したがって、取消審判請求後においてされた商標権の書換登録の事由は、たとえ、それが当該取消請求に係る指定商品を事実上放棄するものであったとしても、それをもって直ちに取消審判の請求を不適法なものとして却下すべきものとすることはできない。

そこで、本件商標に係る商標登録原簿をみるに、本件審判の請求の登録(予告登録)は平成12年12月13日であるのに対し、商標権の書換登録は本件審判の請求の登録後の同13年3月14日であることが認められる(書換申請の時日が本件審判の請求前である事情は考慮されない。)。

そうすると、被請求人の述べる書換登録の事由は、本件審判に何ら影響を及ぼすものでなく、ほかに特段考慮すべき事由も見出せないから、被請求人の述べる取消対象商品が書換登録後の指定商品中に含まれるものか否かの点について判断するまでもなく、審判請求の法的利益はなお存するものというべきである。

してみれば、本件審判の請求は適法であって、これを不適法なものとして却下することはできない。よって、この点を述べる被請求人の主張は妥当でなく、採用することができない。

(2)被請求人主張の留保事由の当否について

被請求人の述べる本件商標に係る書換登録の事由は、本件審判に何らの影響を及ぼすものでないこと前記(1)に示すとおりである。そして、前述取消審判の制度の趣旨よりして本件審判において被請求人はその答弁期間を含む現在に至るまでの間引き続き本件商標の使用事実について挙証責任を負っているものと解するのが相当である。

しかしながら、被請求人は、本件商標の使用事実について何ら答弁することなく、独自の見解に基づく不確かな理由を唯一論拠として本件審判の請求の不適法性を述べているに止まるから、その答弁理由は前述取消審判の制度の趣旨に反するものというべく、本件商標の使用について実質的な答弁を怠ったものといわなければならない。

すなわち、被請求人主張の全趣旨より推測するに、前記1に示す本件商標に係る商標権の書換登録は、本件審判の請求があった後に急遽その取消請求に係る指定商品を放棄・除外することにより、本件商標登録の取り消しを免れようとした意図を十分窺わせるものである。

換言すれば、被請求人は、取消請求に係る指定商品についてその使用事実の主張・立証を行うことが困難であるか、もしくは、その使用事実が存しないため、この主張・立証に代えるべく本件商標に係る商標権の指定商品の書換を行うことにより本件審判の請求を回避し又は取消請求に係る指定商品についての登録の取消を免れようとした意図を推認するのに十分である。

そうすると、被請求人の述べる留保事由は、専ら自己都合によるものであって単なる方便でしかなく、斟酌すべき余地は存しないものといわなければならない。そして、ほかに、被請求人の述べる留保事由を斟酌すべき合理的理由は見出せない。

してみれば、被請求人は、その挙証責任を自ら放棄するに等しく、結局、本件商標の取消請求に係る商品についての使用を事実上主張・立証し得なかったものというべきである。

(3)結語

以上のとおり、被請求人の述べる書換登録の事由は本件審判に何ら影響を及ぼすものでなく、また、被請求人は、本件審判の請求に対して所定事項の主張・立証を行い得なかったものであるから、本件商標の登録は、その取消請求に係る指定商品(「事務用紙、水ひき、短冊、及びこれらの類似商品」)について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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