Trademark Appeal Case
著名商標の出所混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年異議第90164号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4022850号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成7年10月30日に登録出願、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物被服類」を指定商品として、同9年7月4日設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件異議の申立の理由として要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第25号証を提出した。
(1)申立人が調査した範囲においては、本件商標の商標権者は、本件商標の指定商品に係る業務を行っている事実は発見できなかったものであり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品について使用する商標」の要件を具備しない。
(2)本件商標は、昭和48年1月12日に登録出願され、「BURTON」の文字と「バートン」の文字とを二段に併記してなり、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする登録第1229927号商標と商標において類似し、指定商品も抵触するから、同法第4条第1項第11号に該当する。
(3)「BURTON」、「バートン」商標は申立人の業務に係る「スノーボード、スノーボード用手袋・被服、バッグ」を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されている著名商標であって、本件商標と類似するものであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。
(4)申立人の社名は、「THE BURTON COPORATION」であり、「BURTON」と略称されて著名となっており、本件商標は、これを含むものであるから、同法第4条第1項第8号に該当し登録されるべきでない。
(5)本件商標は、申立人の使用する著名商標「BURTON/バートン」のただ乗りに該当するから、同法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。
したがって、本件商標は、その登録を取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てあった結果、本件商標は取り消されるべきであるとして商標権者に通知した取消理由は、次のとおりである。
<取消通知>
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人(ザ・バートン・コーポレーション)は、米国で1977年に設立された、スノーボード、スノーボード用手袋、被服、バッグ等の製造販売を中心とした会社であり、会社設立以来、全商品にハウスマーク「BURTON/バートン」を約20年に亘り使用しており、現在、申立人の米国におけるスノーボードのシェアーは、30%を占めていて、年間売上高は、約225億円に達していることが認められる。
日本でも、これらの商品は1981年より販売が開始され、現在では、バートン・スノーボード・ジャパン(申立人の日本支社)から、販売代理店を通じて全国600の小売店で販売されていることが認められる。そして、申立人の商標が使用されたスノーボードの日本におけるシェア一は、日本で第ー位の20%以上となっていることが認められる。
そうとすれば、商標「BURTON/バートン」は、申立人の業務に係る商品「スノーボード」を表示する商標として、少なくとも本件商標の出願時には、取引者・需要者の間に広く知られるに至ったと認められるものである。
しかして、本件商標は、「BURTON 」と「HOUSE」の文字からなるものであって、その構成文字中に、申立人の使用に係る商標「BURTON」の文字を有するものであり、また、その指定商品も「かばん類、袋物」等ファッションに関係する商品を含んでいるもので、申立人の使用に係る商品「スノーボード」とは需要者層が共通することが多いといえるものであるから、これに接する取引者・需要者は、前記したことよりして、容易に申立人を想起させるといえるものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、申立人の業務に係る商品、若しくは、申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、取引者・需要者がその商品の出所について混同するおそれがあるものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由について、商標権者は要旨次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第25号証(提出された証拠の表示は「甲号証」としているが、「乙号証」の誤記であるので、これを「乙号証」として扱う。)及び追加資料を提出した。
本件商標がアメリカのスノーボード・メーカー「The Burton CorPoration」(ザ・バートン・コーポレーション)」の商品と混同すると指摘されているが、この見解に商標権者は承服出来ないので、次の理由を主張する。
(1)申立人が「BURTON」商標を所有したと仮定しても、一つの商標とその商標に「HOUSE」の文字を組み合わせた商標は、別の商標として共存して多数登録されている。その為、「HOUSE」の合成語は別の商標であると一般化している(乙第1号証及び同第2号証)。
なお、商標権者は、他にも多数の登録例、審査例等を提出している。
(2)商標権者は、本件商標と同一の「BURTON HOUSE」(旧17類登録第2376194号)、「バートンハウス/ BURTONHOUSE 」(旧17類登録第2256709号)、「鳩のマーク/ BURTONHOUSE 」(旧17類登録第2109838 号)、「バートンハウス」(旧17類登録第2048379号)、「鳩鳥のマーク/ BURTONHOUSE 」(旧22類登録第2321362 号)の商標を登録しており、その連合商標の意味からも登録されるべきものと考えられる(乙第3号証)。
(3)(イ)商標権者は、上記「BURTON HOUSE」商標を使用した商品展開を行っており、また、グンゼ株式会社(ソックス)、藤井株式会社(メンズ・カジュアルウェア)、株式会社イソマタ(ネクタイ)、アークネス(バッグ)のメーカーがそれぞれ行っている。その結果、日本では既に「BURTON HOUSE」は、商標権者等の「アメリカン・シティー・カジュアルブランド」として有名であり、市場で既に認知されている(乙第4号証)。
(ロ)そして、商標権者は、上記事業を日本国内で問題なく行う為に「バルトン BURTON」商標(旧第17類商標登録第664522号)についてメルボ紳士服株式会社と昭和57年6月1日〜平成5年5月31日までの11年間及び「BURTON」商標(旧第21類商標登録第1229927号)について三共生興株式会社と昭和60年10月1日〜平成6年9月30日までの9年間商標使用権許諾契約を行っていたところ、これらの商標権について申立人が平成6年12月5日にメルボ紳士服株式会社より強引に譲渡を受けたり、三共生興株式会社より買収したまでである(乙第5号証ないし同第8号証)。
(ハ)申立人は、「BURTON」の商標名は自分達によって日本で有名になったと主張しているが、上記国内商標の実施権を出願人が旧第17類については11年間、旧第21類(新18類該当)については平成6年9月30日までの9年間使用していたことを考えると申立人の主張は正しいとは思えない。ちなみに申立人が旧第21類の商標権の譲渡を受けたのは、平成7年12月18日である。
(ニ)「BURTON」商標は、上記のように商標権者が昭和57年から日本国内で展開していたブランドであるところ、当時はアメリカのプレッピー・ファッションの全盛期であり、商標権者は、その流行の「バイブル」とも言われた「プレッピーハンドブック」で「JPress」「Brooks Brothers」「PauI Stuart」と同格に扱われていたニューヨークの有名なブティック「BURTON」社の代表者「BURTON HORN」氏と1982年(昭和57年)1月25日にライセンス契約を締結し、現在まで継続して他の商標分類を含めた多数の商品展開を行っている(乙第10号証ないし同第13号証)。
(ホ)然るに、申立人は、その後、強引に自己が商標の所有したにも係わらず「スノーボード商品」の販売に止まらず商標権者関連のファッション商品にも不法に進出し、商標権者の市場が荒らされ、商標権者は困窮し、結果仕方なく「BURTON HOUSE」等の商標出願をしたもので、その理由と責任は申立人にある。
(ヘ)また、「BURTON」商標は、もともと「BURTON」はアメリカ人やアングロサクソン系ヨーロッパ人の一般的な名前であり、さしたる特徴も無い名前である。ニューヨーク市やボストン市の電話帳にも別紙の如く多くの名前が掲載されいる(乙第14号証)。
(ト)そもそも「BURTON」はスノーボードで有名であるとの主張をしているが、「スノーボード」は日本のスキー場で受入れられたのは、ここ数年のことであり、それまではコースが荒れる、他のスキーヤーに危険だとの理由で各スキー場から締め出された筈である。
(チ)その為、商標権者が1982年頃から「BURTON」商標を展開し、それに引続き「BURTON CLUB」「BURTON HOUSE」を展開したことに引換え、申立人の商品の市場での登場期間は大変短いもので、申立人の主張の根拠は希薄であると思われる。
以上、商標権者が「BURTON」ブランドを展開した当初、「スノーボード」の運動具は日本に登場しておらず、「ザ・バートン・コーポレーション」の存在は誰も知り得なかったものである。
仮に、申立人の主張する通り「BURTON」のスノーボードが現在日本で著名であるとしても、別紙の商品写真(甲第11号証)を見れば明らかなように、商標権者が展開している「BURTON」の商品は純粋なファッション商品であり、申立人の展開する「スポーツ関連商品」とは売り場も全く異なる。販売店も一般の百貨店や小売店であり、スポーツ専門店を中心とする申立人の商品とは全く関連がない。
(4ー1)「BURTON」と言えば「スノー・ボード」の「ザ・バートン・コーポレーション」であると考えるのは全くの誤りであり、商標権者の国内ライセンス展開以外に、日本及び世界で下記の会社が有名である。
(イ)「BURTON」は「プレッピー・ファッション」を代表するニューヨークの「ファッション・ブティック」名で、「BURTON」と言えば、70年代ニューヨークに始まり日本でも大流行した「プレッピー・ファッション」の代表的ブランドである。
そのオーナー「BURTON HORN(バートン・ホーン)」氏は日本の雑誌でもよく紹介されている。ファッション・バイブル「プレッピー・ハンドブック」にも掲載され、日本でも有名な「ブルックス・プラザーズ」「Jプレス」「ポール・スチュアート」と並び称されるニューヨークのブティックである(乙第15号証)。
(ロ)アメリカで「BURTON」と言えば「ゴルフ・バッグ」(BURTON GOLF社)が有名であり、日本の2,000万人のゴルフ・ファンの間でも知らない人はいない程有名である。同社は、商品製造に留まらず、ストア一が10ケ所も全米に展開している。そのことはインターネットの「ホーム・ページ」でも詳しく書かれている(第16号証)。
その「BURTON」が日本でも「キャディーバッグ」「ゴルフバッグ」として有名であることは、その輸入代理店をスポーツ用品の大手企業「ダイワ精工株式会社」が取り扱いを行っていたことからも十分に推測出来る。ゴルフ用品業界で毎年「社団法人・日本ゴルフ用品協会」によって行われる「ジャパン・ゴルフ・フェア」を補う意味から毎年発行されている「ユニバーサルゴルフ」社の「ゴルフ用品総合カタログ・内外有名ブランド総掲載」の「1988年版」と「1998年版」に「BURTON」の「ゴルフ・バッグ」の広告が掲載されている。このことはその商品がスポーツ業界で公認されたと言われるものである(乙第17号証)。
(ハ)イギリスで「BURTON」と言えばロンドンの目抜き通りのリージェント街に店を構える「BURTON MENSWEAR」ストアーが有名であり、イギリス人で知らない人はいない程有名な「メンズ・ショップ」である。
会社の設立は1929年10月22日で、既に69年の歴史があり、日本人の観光客も多数押しかける程有名である。イギリスはもとよりヨーロッパで「BURTON」と言えばこの「メンズ・ショップ」を表すものである(乙第18号証)。
(二)日本で「BURTON」と言えば、「東洋ゴム工業株式会社」の靴のブランドとして有名であり、現在は三菱商事系列の「ライフギアコーポレーション株式会社」によって引き継がれ、製造販売されている(乙第19号証)。
(4−2)(イ)申立人は、日本で自己の商品「スノーボード」の商標権を所有していない。このことを持ってしても、申立人がアメリカや全世界で唯一の「BURTON」商標の持主であるとの主張は不自然である。
(ロ)現在「BURTON」の商標「旧第24類」(新第28類)を所有し、使用しているのはアメリカの「バートン・マニファクチユアリング・カンパニー・インコーポレイテツド(現在のBURTON GOLF社)」である(乙第20号証)。
同社が日本国内で「旧第24類」(スポーツ用品)の商標登録出願を行ったのは1976年(昭和51年)2月16日であり、スノーボードの「ザ・バートン・コーポレーション」がアメリカで事業を行った以前より商標活動していたことになる。
(ハ)商標権者の登録商標(登録第4012331号)における申立人の「異議申立書」に添付された資料を見る限り、同社のオーナー「JakeBurton」氏がマンハッタンの銀行を脱サラしたのは1977年の23才の時であり、実際に「ザ・バートン・コーポレーション」を設立し、飛び立ち始めたのは1981年とされている。又、日本に新会社「Burton Snowboards Japan」を設立したのは1995年1月1日となっている(乙第21号証)。
(ニ)アメリカの「ゴルフ」の「BURTON GOLF社」が日本国内で旧第24類の商標登録出願をしたのは1976年(昭和51年)であり、その当時から同社が「BURTON」の「ゴルフ・キャディーバッグ」の商品を実際に日本で販売していた。
(ホ)日本の「東洋ゴム工業株式会社」の靴の販売は1970年(昭和45年)からであり、同社が旧第22類の「BURTON」商標(登録第1042684号)を出願したのが1970年(昭和45年)12月23日である(乙第22号証)。
(ヘ)商標権者がニューヨークの「BURTON」ブティックと契約して日本での商品化展開を行ったのは1982年(昭和57年)である。
以上を考えると「スノーボード」の「ザ・バートン・コーポレーション」が日本に進出したのはずっと後であり、彼らが「BURTON」の名前を独占する根拠は全くあり得ないことである。
(5)アメリカ本国でも「ゴルフ」の「BURTON GOLF社」と「スノーボード」の「BURTON SNOWBOARD」社は、会社規模も桔抗しており、アメリカ本国では両社がそれぞれ知られ、認知されている。そのアメリカの弁護士の報告書を添付する(乙第23号証)。
商標権者が調査した結果下記の国での「BURTON」商標の登録状況は下記の通りであり、申立人が全世界的な商標権者とは言えないし、潜在的にそのような権利があるとは考えられていない。
(イ)海外での「BURTON」商標の登録状況を調査した結果は、1)アメリカ 大部分が出願中に過ぎない 2)イギリス 大部分が出願中に過ぎない 3)フランス 大部分が他人の登録商標である(乙第24号証)。
(ロ)商標権者は、現在、先進国での「BURTON」の名前について、下記の国の特許庁がどのような判断をするか、その専門家である1)アメリカの専門家 2)イギリスの専門家 3)フランスの専門家の弁護士、弁理士の意見を聞いてみたが、他商標分類までの商標権を申立て人の権利と認めるとの判断は、それぞれの国の特許庁でないようである(乙第25号証)。
以上の報告から日本の特許庁の判断が世界的基準とは考えられない。
5 当審の判断
本件商標登録異議の申立があった結果、当審において、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとして、平成10年6月8日付けで商標権者に対して取消理由通知を発したものである。
しかして、本件商標が同法第4条第1項第15号に該当するとの理由により、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。
(1)申立人の使用に係る「BURTON/バートン」商標の著名性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人である「ザ・バートン・コーポレーション」は、米国で1977年に設立された「スノーボード、スノーボード用手袋、被服、バッグ」等の製造・販売を中心とした会社であり、会社設立以来、全商品にハウスマーク「BURTON/バートン」を約20年に亘り使用しており、現在、甲立人の米国におけるスノーボードのシェアーは、30%を占めていて、年間売上高は、約225億円に達していることが認められる。
そして、これらの商品は、日本でも1981年より販売が開始され、現在では、バートン・スノーボード・ジャパン(申立人の日本支社)から、販売代理店を通じて全国600の小売店で販売されていることが認められ、申立人の商標が使用されたスノーボードの日本におけるシェア一は、第ー位の 20%以上となっていることが認められるものである。
そうとすれば、申立人の使用する商標「BURTON/バートン」は、申立人の業務に係る商品「スノーボード及びスノーボード関連商品」を表示するものとして、本件商標の出願前より、取引者・需要者の間に広く知られていたものと判断するのが相当である。
また、本件商標の指定商品である「かばん類、袋物」等と申立人が使用する商標「BURTON/バートン」に係る商品「スノーボード」とはファッションに関係し、需要者層が共通することが多いといえるものである。
(2)商標権者の意見について
(イ)商標権者は、申立人が「BURTON」商標を所有したと仮定しても、一つの商標に「HOUSE」の文字を組み合わせた商標は、別の商標として共存して多数登録されているから、「HOUSE」の合成語は別の商標であると一般化していると主張し、さらに、他にも多数の登録例、審査例等を提出しているが、「HOUSE」の文字を組み合わせた商標が多数登録されているからといって、需要者の間に広く認識されている商標「BURTON」と「HOUSE」の語が結合した場合とは事案を異にし、これを本件に適用することはできないばかりか、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立した統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、過去の審査例の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、この点に関する商標権者の主張は採用することができない。
(ロ)また、商標権者は、本件商標と同一の「鳩鳥のマーク/ BURTONHOUSE 」(旧22類登録第2321362 号)外の商標を登録しており、その連合商標の意味からも登録されるべきものと考えられる、と主張するが、本件は、申立人が商品「スノーボード」に使用している「BURTON」、「バートン」商標が取引者・需要者に広く認識されていることにより、本件商標をその指定商品に使用した時は出所の混同が生じるおそれがあるか否かが商標法上問われているものであり、本件商標と同一の構成の商標がそれぞれにおいて連合商標との関係があったこととは関係がない。
(ハ)そして、商標権者は、「BURTON」商標は海外及び我が国で申立人以外の者が使用し、市場で認知され、周知、著名である旨主張している。
(i)昭和57年より「BURTON」商標を付した各種の商品を国内メーカーが使用していることについて
しかしながら、商標権者が提出した証拠をみるに、商品展示会場写真(乙第4号証)はいかなる者の展示会か不明である。また、日本で商品化された商品写真(同第11号証)は、商品は示されているが、これが実際に流通し、取り引きされたことを立証するものでもなく、そして、国内メーカーのグンゼ株式会社外が商品展開したという証拠はなく、さらに、「ライセンス契約書」(乙第12号証)は、同契約書のみによっては実際に商標が使用されたか不明であり、「売上報告書」(追加資料)にしても、そのほとんどが昭和61年から平成3年や平成6年までの使用に関するものであって、本件商標の出願時のものは、ごく僅かで、全体としてこの程度の証拠では市場で認知されたものと認めるに充分なものといえない。
(ii)「BURTON」商標が、「バートン・ブティック社」、「バートン・ゴルフ社」等の各会社が海外で使用され、申立人以外の者の出所を示すものとして周知、著名であり、また「ザ・バートン・コーポレーション」が日本に進出したのはずっと後であり、彼らが「BURTON」の名前を独占する根拠は全くあり得ないとの主張について
しかしながら、商標権者が提出した証拠の書証によれば、商標権者が主張の「バートン・ブティック社」、「バートン・ゴルフ社」等の各会社が「BURTON」商標ないしこれを要部とする商標をそれぞれその業務に係る商品に使用していることは認めることはできるとしても、それらの各商標が、我が国において、本件商標の出願時である平成8年11月の当時において、周知、著名であることを肯定するに足りる的確な証拠はない。
そして、仮に、上記(イ)(ロ)の該商標を付した商品が流通していたとしても、該証拠によっては、申立人が使用している「BURTON」商標の周知、著名性が失われることに結び付いているものとは認め難いものである。
(ニ)さらに、申立人の主張する通り「BURTON」のスノーボードが現在日本で著名であるとしても、商標権者が展開している「BURTON」の商品は純粋なファッション商品であり、申立人の展開する「スポーツ関連商品」とは売り場も全く異なる。販売店も一般の百貨店や小売店であり、スポーツ専門店を中心とする申立人の商品とは全く関連がないと主張する。
しかし、一般に、スポーツを行う場合、そのスポーツに適した衣服、手袋、サングラス等が使用されるところ、スノーボードについても、スノーボード関連商品として、ボード、スノーボード用ブーツ、スノーボード用グラブ、ウエア、バッグ、ゴーグル、サングラス等が使用されるのであり、これらの商品は身の回りの商品であって、最近のスノーボードの若者におけるかっこよさの感覚も相俟ってファッションに関係する商品といえるものであり、これに対し本件商標の指定商品「かばん類,袋物」等についても実用品としての側面の他に、衣服等に合わせてファッション感覚で用いられるという商品性を持ち合わせているものである。
したがって、スノーボードと本件商標の指定商品である「かばん類,袋物」等は、ファッションに関連する商品において共通性があるというべきであるから、この点に関する商標権者の主張も採用できない。
そして、商標権者のその余の主張についても前記3の取消通知のとおりであり理由がない。
以上のとおりであるから、商標権者の意見は、いずれも採用することができない。
(3)商品の出所の混同のおそれについて
そうすると、本件商標は、他人の著名な商標をその構成中に含むものであり、かつ、本件商標の指定商品と申立人が使用する商標「BURTON/バートン」に係る商品とはファッションに関係し、需要者層が共通することが多いといえるものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、申立人または、同人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、取引者・需要者がその商品の出所について混同するおそれがあるものとみるのが相当である。
(4)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。