Trademark Appeal Case
技術用語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90085(T2001−90085/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4430318号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年8月5日登録出願、商標の構成を「イングレーズ」の片仮名文字とし、指定商品を第21類「食器類(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),陶磁製のティッシュケースカバー,化粧用具,陶磁製のポプリ容器,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,食卓用ディナーベル(貴金属製のものを除く。),ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),ごみ箱(貴金属製のものを除く。),貯金箱(金属製のものを除く。),花瓶及び水盤・その他の花器(貴金属製のものを除く。),香炉,コッフェル」として、同12年11月2日に設定の登録がされたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、陶磁器製品の加飾方法の一つとして普通に使用されている技術用語である「イングレーズ」の文字よりなるものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。よって、その登録は、同法第43条の3第2項により取り消されるべきである。
3 本件商標の取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成13年6月20日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
登録異議申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の各点が認められる。
(1)財団法人日本セラミックス協会編,丸善株式会社昭和61年1月25日発行セラミックス辞典「イングレーズ」の項(甲第1号証)によれば、「磁器の上絵付は、700ないし850°C程度の低温で絵付けするもので絵具の釉面への溶け込み不充分の場合がある。イングレーズは、施釉後、釉上に絵付けして本焼するか、または上絵付けより相当高温で絵付焼成するものである。したがって、絵具は、うわぐすり層中に溶け込み光沢と耐久度を増大する。一方、イングレーズは、上絵焼成より高温であるので、色の種類は制限される。」旨解説されていること。
(2)著者:素木洋一,技報堂出版株式会社昭和57年12月1日発行陶芸・セラミック辞典「イングレーズがんりょう(顔料)」および「イングレーズそうしょく(装飾)」の項(甲第2号証)によれば、焼成する前に施釉器に絵付するのに用いる顔料。焼成中に顔料は釉の中に沈み、特殊な効果を示す」、「イングレーズ顔料を用いて行う装飾方法、施釉後、イングレーズ顔料で彩飾し、透明釉をかけた器物をいう場合がある。顔料は、上釉と下釉の両方に溶けるので、他の方法では得られない効果が出る。」旨解説されていること。
(3)長崎県窯業技術センター研究報告(平成10年度)「パッド印刷による釉中、釉上加飾の研究」なるタイトルのデザイン情報科「久田松学」の報告書(甲第3号証)によれば、「・・・下絵・上絵・イングレーズの組み合わせによる表現の多様化を検討・・・」、「・・・イングレーズ絵具と同じ熱溶融特殊メジュウムを使用しており・・・」等の文面にみられる如く、「イングレーズ」の語を陶磁器の彩飾または加飾用語として、普通に用いていること。
(4)「イングレーズ」の用語に関する日本科学技術情報センター(JICST)の検索情報(甲第4号証)によれば、たとえば、「イングレーズは、本焼成したゆう薬上に着色剤で加飾し、再焼成により軟化したゆう薬中に着色剤を沈み込ませる加飾技法。・・・」とする用語解説その他陶磁器の加飾技法の一つとして「イングレーズ」の用語が当業界において普通に使用されている状況が窺われること。
以上の点よりして、陶磁器業界ないしはこの種商品の取引者、需要者間においては、「イングレーズ」の語は、陶磁器の彩飾または加飾の方法、すなわち、商品の加工方法、品質を表示するものとして容易に理解され、かつ、取引上普通に使用されているとみるのが相当である。そして、本件商標は、その指定商品中にこの種陶磁器製品の多くが含まれるものといえる。
そうとすれば、本件商標をその指定商品中のイングレーズ加工を施した各種陶磁器製品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その品質、加工の方法を表示したものと理解するに止まり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、かつ、これを前記以外の商品について使用したときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の各規定に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
本件商標権者は、上記3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
本件商標についてした上記の取消理由は妥当であって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の各規定に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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