Trademark Appeal Case
氏名と業態表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成6年審判第18101号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙のとおり「酒房」と「山崎」の文字を2列に縦書きしてなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により、使用に基づく特例の適用を主張して、平成4年9月21日に登録出願されたものであるが、指定役務については、平成6年7月27日付け手続補正書により「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『酒房』『山崎』の文字を普通に用いられる方法で縦書してなるところ、『酒房』の文字は『酒を売る店』の意味を有し、指定役務中『アルコール飲料を主とする飲食物の提供』との関係においては、酒を提供する場所を表したものと認め得るものであり、これのみでは自他役務の識別標識としての機能を果たさないものである。一方、『山崎』の文字は、ありふれた氏であるから、全体として、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものである。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別紙のとおりの構成からなるところ、構成中の「山崎」の文字は氏の一つを表したものと認められ、「山崎」なる氏がありふれたものであることは、例えば、日本電信電話株式会社発行、「東京都23区個人名全区版・下巻」に掲載されている数に照らして、これを認めることができる。 また、本願商標の構成中の「酒房」の文字は、「さかや。酒店」(広辞苑)、「酒を売る店。酒店」(小学館 国語大辞典)の意味を有するほか、炉端焼や居酒屋等の飲食店の店名と共に業種・業態等を表す語として、好まれて使用されていることは、例えばインターネットタウンページに掲載された各種の店名から窺い知ることができるものである。
更に、「酒房」の語は、本願の補正後の指定役務との関係よりすれば、「アルコール飲料を主とする飲食物を提供する店」を意味するものとして理解、認識されるというのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、全体として「山崎さんがアルコール飲料を主とする飲食物を提供する店」程度の意を表したものと理解、認識せしめるに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
なお、請求人(出願人)が、本願商標中の「山崎」の文字と同一の態様よりなる商標を、商品「ウイスキー」に使用して広く認識されていることは認められるとしても、本願商標がその指定役務「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」について使用されて識別力を獲得している事実は、請求人提出の証拠を総合勘案するも、認めることはできない。
また、請求人(出願人)は、「本願商標の看板等の表示を持つ飲食店を利用する者は、ウイスキー『山崎』が飲める店を期待し、利用するものであるから、本願商標を請求人(出願人)あるいはその関係者以外が使用し、ウイスキー『山崎』を提供しなければ、利用者の期待を裏切り混乱を招く恐れが多大である。」旨主張している。
しかしながら、本願商標よりなる看板等の表示を持つ飲食店を利用する者が、上記「ウイスキー」と何らかの関係がある店と考える場合が全くないとはいえないとしても、通常、飲食店においては、各種メーカーのいろいろな種類のアルコール飲料を提供しているのが実情であり、特定のアルコール飲料のみをその店名と関連づけて提供している例は見受けられないことよりすれば、本願商標よりなる看板等の表示を持つ飲食店が常に上記「ウイスキー」を提供するものと理解し認識されるものとはいえないから、請求人(出願人)のこの主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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