Trademark Appeal Case
「牛藩」商標の一体的把握
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90426(T2001−90426/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本件商標
本件登録第4457548号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年9月29日に登録出願され、別掲に示すとおり「 牛 藩 」の文字を横書きにしてなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、平成13年3月9日に設定登録されたものである。
2.登録異議の申立の理由
本件商標は、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用に係る登録商標、すなわち、平成4年9月30日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第42類「日本料理・アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成7年12月26日に設定登録された登録第3105740号商標(以下、「引用商標」という。)と外観、称呼及び観念において類似する商標であり、かつ、指定役務も同一又は類似のものである。また、申立人の商標「藩」は、申立人の経営に係る居酒屋「藩」を表示する商標として、本件商標の出願前より周知・著名な商標であるところ、本件商標は、その構成中にこの著名な「藩」の文字を含むものであるから、本件商標を役務「(牛肉料理を含む)飲食物の提供」について使用した場合には、恰も申立人の取り扱いに係る役務、又は申立人のチェーン店であって新しく牛肉専門店を始めた「藩」であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。さらに、本件商標は、「牛」の漢字を冠してなるから「牛肉料理を主とする飲食物の提供」以外の役務については役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3.当審の判断
(1)本件商標は、構成別掲のとおり「牛」と「(江戸時代の)大名の領地」の意味合いの「藩」の各漢字とを1文字程度の間隔をもって書してなるところ、両文字は1文字程度の間隔があるとはいえ、同じ書体、同じ大きさの文字により軽重、主従の差もなくまとまりよく表されていて、構成上は、漢字2字「牛」と「藩」により一体に構成される商標と認識、把握させるものである。そして、観念上は、それぞれの漢字のもつ意味を理解させるものであって、その構成文字の読みに相応して生ずる「ギュウハン」ないしは「ウシハン」の称呼も冗長に亙るものでなく一連に称呼し得るものである。
してみると、「牛」の文字が指定役務との関係において食材としての牛肉または牛肉料理を想起し得る場合があるとしても、これをもって直ちに分離し考察しなければならない理由とは認め難く、ほかにこれを分離して看取しなければならないとする特段の事情も見当たらず、むしろ、本件商標の構成にあっては、一体の飲食物の提供に係る固有の店名を表したものとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、「牛 藩」の漢字2字により構成される商標と認識、把握させ、それぞれの漢字のもつ意味を合わせ理解し、かつ、その構成文字に相応して「ギュウハン」ないしは「ウシハン」の称呼を生ずるものといわなければならない。
これに対して、引用商標は、別掲のとおり「藩」の漢字を筆書き風に表してなるものであるから、該「藩」の文字に相応して「ハン」の称呼を生じ、「(江戸時代の)大名の領地」の意味合いを認識させるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標より生ずる「ギュウハン」、「ウシハン」の称呼と引用商標より生ずる「ハン」の称呼とは、それぞれの音構成及び構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼上において相紛れるおそれはないものである。また、観念及び外観上においても本件商標が「藩」の文字のみをもって認識、把握されるものでないこと前記認定のとおりであるから、両者は明らかに構成の相違及び係る意味合いにおいても、区別し得る差異を有するものであって、互いに相紛れるおそれがない。
したがって、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからしても区別される非類似の商標というべきである。
(2)本件商標と引用商標は、互いに区別し得る非類似の商標であること前記認定のとおりである。そして、申立人の提出に係る甲第3号証ないし甲第12号証を検討するに、たとい、居酒屋「藩」が申立人の経営に係る店を表すものとして、東京、大阪などの各地域の需要者間に相当程度知られていることが窺われるとしても、本件商標と引用商標とは、別異のものであること前記のとおりであって、ほかに、両者がその出所において紛れるとする事情は見出せないから、本件商標をその指定役務に使用しても、これより直ちに居酒屋「藩」を想起し、申立人の取り扱いに係る役務又は申立人のチェーン店であるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれのないものといわなければならない。
(3)本件商標は、構成中に「牛」の文字を有し、その指定役務との関係からして、牛肉を認識し得ることがあるとしても、各種(和洋中)料理においては、宗教上の制約等を除いて牛肉を食材とすること決して少なくないばかりでなく、かかる構成文字からは特定の牛肉料理を理解するものとはい得ないものであって、牛肉料理の専門店であることまで認識させることはないものというのが相当である。
そうすると、本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものとはいえない。
(4)以上のとおり、本件商標は、申立人がその登録の取り消しを求め、主張する商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第16号の各条項のいずれにも違反して登録されたものとすることはできない。
よって、本件商標は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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