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Trademark Appeal Case

図形商標の類似性と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成6年審判第19982号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別紙(1)に表示するとおりの構成よりなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く。)、かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成2年12年26日に登録出願されたが、指定商品については、平成6年4月6日付け手続補正書により「かさ」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、ザポロ/ローレン コンパニー(アメリカ合衆国ニューヨーク市5th.Av.1107所在)が紳士スーツ、ポロシャツ、ネクタイ等に使用して本願出願時には需要者間に広く認識されていた商標『ポロ競技をしている人馬を正面から描いてなる図形』と酷似する図形を看者の注意を惹く構成中央上部に顕著に配してなるものであるから、これを出願人が指定商品に使用するときには需要者は上記会社若しくは上記会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように 商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

本願商標は、「馬上の競技者がボールを打と うとしている」図形の下部に「BIG POL O CLUB」の文字を配した商標であるから、本願商標からは「ビッグポロクラブ」の称呼及 び観念が生ずるものである。

一方、ザポロ/ローレンコンパニーの使用す る商標(以下、「使用商標」という。)は、「ポロ競技者が乗馬した図形」を左右から「Ralph」と「Lauren」の文字で挟んだ状態に構成したものであるから、これよりは「ポロラルフローレン」の称呼及び観念が生ずるか「ラルフローレン」の称呼及び観念が生ずるものである。

よって、「ビッグポロクラブ」とのみ称呼及び観念が生ずる本願商標と「ポロラルフローレン」或いは「ラルフローレン」と称呼及び観念が生ずる使用商標とは、その称呼及び観念において類似しない。

そして、外観上において、両者は文字と図形の配置が異なるばかりでなく、前者が文字と図形とを二段書きに構成されているのに対し後者は文字と図形とを横一線に並べて構成されているのものであって、その図形においても、前者は人馬の向きが右方向に向いているのに対し後者はその逆の左向きである。さらに、馬上の競技者の姿勢においても、前者は騎手が背中を丸めてボールを打とうとする姿を描いてなるのに、後者は馬上の騎手がスティクを真上に振り上げた姿勢を描いてなるものであって、両者は「ポロ競技」の図形を商標の一部に配した点で類似するものの、全体の構成が異なるので酷似しているものではない。

しかして、本願商標は指定商品を「かさ」とするものであり、使用商標は「紳士服、ネクタイ、かばん類」に使用されているものであって、「かさ」について現在使用されている事実はないから、出願人が本願商標をその指定商品に使用しても、需要者がザポロ/ローレンコンパニーと何らかの関係がある商標として認識するものでもなく、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないものである。

そして、ポロ競技を描いてなる商標が、商品区分を異なるものもあるが、多数公告(参考資料1〜11参照)されている事実から勘案しても、商標中にポロ競技を描いてなる図形を有していたとしても、ザポロ/ローレンコンパニーの業務に係る商品と関係あるものと需要者に商品の出所について誤認混同を生じさせるものではない。

4 当審の判断

(1)「POLO」の周知著名性について検討する。

(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテン

グ昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。

ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「byRALPHLAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。その中の一つとして別紙(2)に示す引用商標がある。

そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年

版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジ

ネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。

また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980、12」、「世界の一流品大図鑑’ 81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」、(株)東京企画平成7年1月発行「世界のブランド大全集’95」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」に、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。

他にこれを覆すに足りる証拠はない。

なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記

認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。

以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くても昭和55年までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されて周知、著名な商標に至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。他にこれを覆すに足りる証拠はない。

(2)本願商標は、別紙(1)に表示したとおり図形部分と文字部分よりなるから、視覚上、それぞれの部分に分離して看取されるものであって、そして、それぞれの部分は独立しても自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。

そして、本願商標中の図形部分は、人馬の描き方、馬上の競技者の姿勢、マレットをもつ騎手の姿態からして、馬にまたがるポロ競技のプレーヤーを描いてなると理解されるものであって、本願商標中の文字は、「BIG POLO CLUB」の文字を書してなるものである。

そこで、本願商標中の図形部分と引用商標及び使用商標中の図形部分とをみるに、両者を仔細に観察すれば、人馬の向き、馬上の競技者の姿勢、そして、馬上の騎手のマレットの位置などに差異があるが、両者はいずれも前を向いて前足を上げた馬にポロプレーヤーが乗り、マレットを振り上げている基本的構図を同一にしてなるものであるから、両者はその構図において類似しているとみるのが相当である。

次に、本願商標中の「BIG POLO CLUB」の文字をみるに、「BIG」、「POLO」、「CLUB」の各文字がそれぞれ既成の意味を有する語であるから、これらの語を結合してなること明らかであって、「POLO」の文字が1つの語に吸収され埋没しているものでもなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。

この点について、請求人は、本願商標は「ビッグポロクラブ」の称呼及び観念を生ずるものである旨主張するが、本願商標がかかる意味合いを有するものとして一般に知られているものとは認められないし、請求人も何らその証左を示すところがないから、請求人のこの主張は採用できない。

してみると、本願商標は、その構成中に、馬にまたがるポロ競技のプレーヤーを認識させる図形部分と「POLO(馬に乗ったプレーヤーによる2チームが互いにマレットで1個のボールを奪いあい、ゴールに打ちこむことを競う球技)」の文字部分とを有してなるものと理解、把握される場合も少なくないというのが相当である。

そうとすれば、本願商標は、その構成に照らし、「ポロ」(競技)の観念、「ポロ」の称呼が生ずるものと認められる。

一方、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示する周知商標として「ポロ」(競技)の観念、「ポロ」の称呼が生ずるものとして理解、把握されていること前記したとおりであるところ、使用商標はその構成よりして引用商標の一つの使用体系を表示してなるものというのが相当である。

そうすると、本願商標の指定商品は、ファッションに関連ある商品であって、統一ブランド化の下にトータル的ファッションをまとめようとする昨今においては、本願商標をその指定商品「かさ」に使用する場合には、前記事情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「馬にまたがるポロ競技のプレーヤーを 認識させる図形部分」及び「POLO」の文字 部分に注目して、ラルフ・ローレンのデザイン に係る商品を表示するものとして周知著名商標 である引用商標を容易に連想、想起し、ラルフ ・ローレン(原審認定のザポロ/ローレン コ ンパニーはラルフ・ローレンが関係する会社で 両者は同一視できるものである。)又は同人と 組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について 混同を生ずるおそれがあるものといわなければ ならない。

請求人は、当庁における審査例を挙げて種々主張するところあるも、それらは指定商品はも とより、商標の構成を異にするものであり、事案を異にするものであるからかかる主張は採用することはできない。

5 むすび

以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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